講習会や試験を実施する際の不便を解消
――御社はどのような事業をされているのでしょうか?
<辻川氏>
私たち、株式会社シェアウィズはオンライン学習システム「WisdomBase(ウィズダムベース)」を開発・提供しています。講習会や研修、資格試験などの実施を自動化・効率化するシステムで、「受講の申し込み」「講習会の実施」「テストの実施」「受講認定証の発行」「受講者管理」といったオペレーションフローを一気通貫で実施できます。
見放題の動画講座を提供しているタイプのeラーニングサービスとは異なり、必須研修や法令で定められた講習会を主催する提供者サイドに最適化されたソリューションであることが特徴です。
――どのようなクライアントさまが多いのでしょうか?
<辻川氏>
講習会や検定の主催団体さまが多いです。代理店やパートナー育成、昇進昇格試験でご利用されるお客さまもいらっしゃいます。
具体的には、メーカーさまやSaaSベンダーさまが提供する代理店や顧客に向けた製品知識の講習会や、介護系や建設系など法令で受講が定められたオンライン講習の開催、セキュリティ系など法人が認証を取得するための試験での利用などがあります。また、最近はリスキリング関連の助成金に対応した研修を提供している研修会社さまへの導入も急増しています。受講証明書を発行できる機能などを評価いただいています。
また試験関連の機能が充実しているので、昇進・昇格試験や、新入社員試験を「WisdomBase」で実施している事例があります。フランチャイズの教育に導入してくださっているクライアントさまもおりまして、エステやパソコン修理などの技術を習得させるために活用いただいています。
いずれの場合も、「WisdomBase」を基盤として受講申込から受講者管理までを一気通貫で行えるフローを組んでいただいており、「WisdomBase」がなくてはならないものとなっている印象です。おかげさまで、解約率は非常に低い水準を維持しております。
感染症対策で講習会や検定のオンライン化のニーズが高まった
――そうした講習や試験などは「研修会場やテストセンターに集まって一斉に受講」というイメージがありますが、オンライン化したいというニーズが高いのでしょうか?
<辻川氏>
感染症対策で、受講者を会場に集めることが難しくなったことが、大きな契機となったと感じます。
もともと当社はBtoCの社会人向けの学習サービスを提供していたのですが、「このようなシステムを自社でも導入したい」というお問い合わせをいただくことがありました。2020年の新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、講習会や検定をオンラインにしたいというニーズが高まり、お問い合わせがぐんと増えたのです。
そこで、2020年にもともとあった学習サービスにテスト機能などを加えるかたちでリリースしたところ口コミが広がり、今では300社さま以上に導入していただいております。
――コロナが落ち着いてから、ニーズの変化はいかがでしょうか?
<辻川氏>
ニーズが減ったとは感じておりません。
テスト結果や受講者情報などのデータを紙ベースで集約・保管するのには限界がありますが、デジタル化することで保管場所に困ることもなく、検索するのも簡単なので、主催者サイドにとって大きなメリットとなります。
また、「申込はWebサイト」「決済は銀行振り込み」「顧客管理はCRMツール」など、講習会のフローを別々の方法で実施していると大変非効率です。しかし、オールインワンのシステムで実施できれば、わざわざ別々のシステムを開いたり自社で集金したりする必要がないため、効率的ですよね。
国としても、法令で定められた講習会などのデジタル化を推進している流れがあります。そうした追い風もあり、当社へのお問い合わせはコロナ後も増加傾向にあります。
オンライン化は受講者にとっても大きなメリット
――受講者にとっても、オンラインで講習やテストを受けられる利便性は高いですよね。
<辻川氏>
会場へ行く必要がないので、「スキマ時間に自宅で受講したい」「会場が遠方で、受講したいのに行けない」といった受講者のニーズにマッチしますね。
主催者サイドの企業さまからも、最近では「オンラインにも対応していないと、受講者が集まらない」という声を聞くことがあり、会場とオンラインを併用している企業さまも多く見受けられます。
――ただ、オンライン受講だと試験監督の目がないので、サボったり別人が受検したりするなどのリスクもありそうですが……。
<辻川氏>
実際、その点を懸念していらっしゃる企業さまも多くいらっしゃいます。
講習動画を配信しても、別の人が代わりに見ていたり、動画を再生して離席していたりするなど、本人の知識として身につかないことも少なくありません。また、講習を受けていても、別のことを考えていたり、間違って理解していたりしては、自身のスキルにはなっていませんよね。さらに、スキルを正しく習得していても、それを現場で効果的に用いるための知恵がなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。
その点、当社の「WisdomBase」は、パソコンのカメラで監視し替え玉受検を防止する機能があるので、ご安心いただけるかと思います。また、テストを実施することで講習動画の理解度を確認できるため、最初から最後まできちんと見て正しく理解していたのかを判断する指標にもなります。
情報を知識として身につけるだけでなく、スキルや知恵として身につけるまでの流れを、「WisdomBase」でご支援できます。
講習会・試験を一気通貫で実施できる「WisdomBase」
――そうした一連の流れをオンラインで実施できるのは便利ですね。
<辻川氏>
講習やテストの実施ができるだけでなく、その前段階である申込フローや、テスト後の認定証発行もできます。
WordPressのようなCMS機能でさまざまなページを作成できます。LMSにWebサイト構築機能が付いているようなイメージです。また、クレジットカードやコンビニ決済などに対応しているので、集金の手間もありません。
また、基準点をクリアするなどの条件を満たすと認定証が発行できる機能もあり、郵送する手間がなくなるのもメリットですね。
――料金体系やサポート体制はいかがでしょうか?
<辻川氏>
料金プランは2通り用意しておりまして、すべての機能を利用できるプランと、テストのみ実施できるプランがあります。一般的な学習システムだと「受講者1人につき〇円」という仕組みのため受講者が増えるほど利用料金も膨大になりますが、当社は受講者の人数が多くてもコスト面が負担にならないよう、緩やかな料金体系にしているのが特徴です。
どちらの料金プランにもサポートが含まれておりまして、導入後の3カ月ほどはオンボーディングの伴走支援をさせていただいております。ノーコードで設定が可能ですが、オフラインのフローをそのままオンラインに移行するのは結構なリソースがかかるので、その点を当社がご支援してしっかりとした基盤作りをサポートしています。
大手企業はじめ多数の導入実績をもつ信頼できるサービス
――導入事例を教えていただけないでしょうか。
<辻川氏>
株式会社マネーフォワードさまは、パートナーである税理士や会計士などがマネーフォワードクラウドの活用・操作などの理解を深める目的で行う「マネーフォワード クラウド検定」にて導入いただいています。とても使いやすくわかりやすいシステムで、受講者からも好評だということです。
また、辻調理師専門学校さまでは、DVD教材として提供していた「辻調理師専門学校 別科 通信教育講座」をオンライン化するにあたり、「WisdomBase」を導入いただきました。紙でやり取りしていたレポート課題をオンラインでできるようになり、作業量が4分の1にまで削減できたという声をいただいています。
社内向けの事例ですと、明治ホールディングス株式会社さまがあります。社員さまのサステナビリティへの理解を深めるための試験「meijiサステナカレッジ ベーシック認定テスト」を実施しており、直感的な操作性と、認定証もすぐに発行できる点などを評価していただいています。
――大手企業さまの導入実績も豊富なのですね。多くの企業さまに支持していただいている要因は、何かありますか?
<辻川氏>
受講者情報や、カメラによる受講者の顔情報など、機密性の高いデータを扱うためセキュリティ面を気にするクライアントさまは少なくありません。「WisdomBase」は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格のISO27001を取得しており、クラウドサービスに関する情報セキュリティ管理策のガイドライン規格であるISO27017も取得に向けて動いているので、セキュリティ面でご安心いただけるのは大きいかと思います。
また、オンラインでの講習や試験では、システムエラーが起きるのではないかという声もございます。「WisdomBase」は一気に数千人規模の試験を実施した実績もございますので、大規模な講習・試験でもエラーなく対応できる点も評価いただいているポイントです。
――多くの企業さまに導入されている「WisdomBase」ですが、今後の展望はございますか?
<辻川氏>
今まで、大人が勉強する場は「大学」や「専門学校」などの教育機関が主流でした。しかし、今後は「企業」が主体となり、企業がこれまでに培ったノウハウや知恵を提供する場になっていくと思っています。
企業が教育の主体となっていく中で、当社の「WisdomBase」が教育の基盤となり欠かせないものとなることを目指しています。
――「WisdomBase」は主催者サイドにとっても受講者サイドにとってもメリットのあるサービスであると感じました。本日は貴重なお話ありがとうございました。