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業界特有の「ITの壁」を打ち破るには?不動産業界のIT化を進める株式会社PICKに聞いた!

特集 ペーパーレス不動産対談業務プロセス効率化電子契約
2024年11月28日
業界特有の「ITの壁」を打ち破るには?不動産業界のIT化を進める株式会社PICKに聞いた!

普家 辰哉 氏
株式会社PICK 代表取締役社長兼CEO


2011年新卒で積水ハウス株式会社に入社し、営業職を経験。

主に富裕層向けの戸建て販売を担当。

2018年、共同創業者の淵澤とともにPICKの前身会社であるPrimeResort.を設立。(不動産事業をメインとして運営)

3期目を終え、大きなチャレンジをしたく思い、PICKに社名変更。

不動産取引特化型の電子契約サービス「PICKFORM」を運営。





中條 優 氏
株式会社コミクス


1987年、山形県生まれ。東北大学大学院卒。インド資本のIT企業にてビジネス経験を積む。

2020年に株式会社コミクスに入社し、現在に至る。 SaaS事業者を支援するプラットフォーム「kyozon」の事業運営を担当。

同時にBtoB向けYouTubeチャンネル運営や大型展示会運営も幅広くこなす。



国内初 国土交通大臣より適法である回答を取得した「不動産取引特化型電子契約サービス」

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目次

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<中條氏>

本日は株式会社PICKの代表取締役社長兼CEOである普家辰哉さまをお招きして、不動産業界のDX化についてお話をうかがいます。不動産業界に従事している方や興味のある方にとっては非常に刺激的な内容になると思うので、ぜひビジネスの参考にしていただければと思います。普家さま、本日はよろしくお願いいたします。

 

<普家氏>

株式会社PICKで代表取締役をしている普家と申します。もともと新卒で大手ハウスメーカーにて営業職をしており、2016年には全国約3,300人の営業担当者の中の一番を獲得しました。計8年勤めたあと、2018年に独立して不動産会社を立ち上げて3年ほど経った後、2021年に社名を現在の「株式会社PICK」に変更して不動産テック業界へ参入しました。今までは表に立って不動産取引を行う事業をしていましたが、今後は裏側から業界を支えたいという想いで参入したという背景があります。そして現在は、不動産・建築DXプラットフォーム「PICKFORM」を運営しております。本日はよろしくお願いいたします。

 

不動産業界、DX化が進まない原因は?

 

<中條氏>

さっそくなのですが、不動産業界のDX化がどのくらい進んでいるのか、現状を教えていただけないでしょうか?

 

<普家氏>

不動産業界のDX化は、まだまだ進んでないのが現状です。どれだけ遅いのかがわかる例で言うと、いまだに業務でFAXを多用していることが挙げられます。また、不動産会社のオフィスには書類が束になっています。紙ベースの保管が当たり前になっているので、電子化してクラウドで保管するという文化がそもそもないのです。法律的にアナログな対応しかできなかったということもあったため、とにかく紙が多いです。

 

<中條氏>

不動産契約の際には、契約書を紙ベースで確認して押印するというフローのイメージがありますよね。

 

<普家氏>

契約書だけでなく、不動産業界では受注書や発注書、見積書なども紙ベースのやり取りが一般的です。

契約書に関しては、宅建業法という法律に基づいて締結しなければならないのですが、2022年5月まで「紙で提示しなければならない」という決まりがありました。そのため、紙を使わざるを得なかったという状況でした。

 

<中條氏>

デジタルの波に、法律が追い付いていなかったのですね。その名残で、いまだに紙ベースでのやり取りが多いというわけですね。

 

他にもさまざまな課題がある不動産・建築業界

 

<中條氏>

DX化が進まない原因は、他にもありますか?

 

<普家氏>

不動産・建築業界は、一件あたりの取引単価が高いのが特徴です。単価が高いということは、手数料も非常に高額であることを意味します。つまり、DX化を進めて効率化しなくても、単価の高い取引を契約できれば儲かる業界だと言えるでしょう。

また、買い手がいくらお金を持っていても、売り手側の方が強い業界でもあります。たとえば「5億円持っているから、良い物件を買いたい」という人がいても、売り手側がYESと言わない限り買うことはできないので、エンドユーザーである買い手のほうが弱いというパワーバランスが成り立っています。そのため、買い手側が「こんなに面倒な手続きをしたくない」と言ったところで、業界全体を変えるほどの圧力にはならないのです。

 

<中條氏>

テコ入れしなければならないものの、現場が堅いのでなかなか進まないのですね。

 

<普家氏>

そもそも、業界ならではの商習慣があったり、一件の取引に関して多数のステークホルダーがいたりするなどの背景があり、他所から見ると「非効率で非合理的」と思うようなやり取りでも、業界内では「一周回って合理的だ」と捉える見方もあります。ゆえに、あるポイントだけ切り出して「ここだけDX化しましょう」となっても、商習慣やステークホルダーなど大きな構造があるため、そもそもDX化を進ませられないという要因もあるのです。

 

<中條氏>

部分的にDX化したとしても、構造全体に影響を与えてしまい、どこかで軋轢(あつれき)やズレが生じてしまうのですね。

 

困難な領域への挑戦で「乗り越え方」は?

 

<中條氏>

部分最適化しようとしてもさまざまな要因でDX化が難しいという現状がありますが、御社はその領域へと挑戦していますよね。

 

<普家氏>

非常に難しいチャレンジではあるとは思っています。私自身も不動産業者として会社員も経営者も経験しましたが、さまざまな不動産関係のサービスを見てきた中で、「押しつけがましいサービスだ」と感じることが少なくありませんでした。つまり、現実的に現場で使えないサービスが多いのです。

そこで、現場でしっかりと使えるサービスを世の中に提供したいと思うようになりました。それと同時に、サービスの提供だけでなく、導入後にしっかりとサポートすることで現場への定着を促すことも重要だと感じるようになったのです。

こうした取り組みは地道でゆっくりではあるけれど、着実に業界全体が変わっていけるのではないかと思い、事業を始めました。

大変なことではありますが、業界出身者が集まっている会社であるため業界の表も裏も理解しているので、実現できると思っております。

 

<中條氏>

「現場の意識」「商習慣」というソフト面の壁と、「現場で使えるサービスである」というハード面の壁があると感じました。2つの壁を乗り越えなければならないという現状の中で、苦労していることはございますか?

 

<普家氏>

当社は不動産業界出身者で構成されているため、業界については理解できているもののプロダクトを開発した経験はゼロだったので、IT関係の知識や経験が乏しいのは会社として大きな課題となりました。

また、私たちは2022年5月に法律が改正されて電子契約が認められるようになってから参入し、初めに電子契約サービスを開発しました。しかし、営業をしても「電子契約の必要性を感じない」「そもそもどうやってやるのかわからない」など、電子契約に対しての抵抗感が強かったのが大変でしたね。

 

<中條氏>

ITアレルギーは、非常に大きな壁になりますね。どのように乗り越えたのでしょうか?

 

<普家氏>

イノベーターを探すことから始めました。しかし最初は、どこにイノベーターとなる人がいるのか、どのような人がイノベーターになるのか、といったデータがなかったため、数を当たるしかありませんでした。多くの人と話していくうちに「業界を変えたい」「電子契約は便利だから使った方が良いよね」という意識の人も少なくないことに気づきました。そうした方へ営業をさせていただきながら、徐々に導入が進んでいったのです。

そんな中、国内大手の飯田グループホールディングス様が導入してくださったことが、大きな転機となりました。飯田グループホールディングス様が導入してくださったことで、飯田グループホールディングス様の不動産を扱う不動産会社様への導入も進み、流れが変わっていったと感じています。

 

<中條氏>

不動産業界に限らずITアレルギーの強い傾向がある他の業界にとっても有益な情報ですね。

 

国交省お墨付きの「PICKFORM」について

 

<中條氏>

御社の「PICKFORM」について詳しく教えていただけないでしょうか?

 

<普家氏>

2022年5月18日に法律の改正があり電子契約ができるようになりました。国交省からは電子契約についての60ページにもわたるマニュアルが公表されていたのですが、非常に難しくわかりにくい内容であったうえに、5月1日に発表されたため法律改正の間近であったこともあり、私たちのプロダクトにすべて反映した状態でリリースすることはむずかしい状況でした。我々のプロダクトを使った企業様に迷惑がかかると思い、2~3カ月ほど国交省と綿密にやり取りしながらプロダクト開発を進めることにしました。その結果、国交省よりまずは口頭で「この内容なら大丈夫」と言っていただけたため、プロダクトリリースに至りました。そして2022年11月に国土交通大臣より正式な回答書をいただき、PICKFORMのお墨付きをいただけました。

 

<中條氏>

国交省のお墨付きがあるとは、他の不動産DXサービスとは一線を画していますね。

 

PICKFORMで効率化を実現

 

<中條氏>

具体的な機能を教えてください。

 

<普家氏>

PICKFORMは電子契約機能があり、不動産業界の法律や商習慣に合わせた設計になっているのが特徴です。一般的な電子契約サービスとは異なり不動産業界に特化しているため、業界の方がスムーズに安心して導入いただけるのは強みですね。

また、不動産取引では収入印紙代が高額になるのですが、電子契約だと印紙代がかからない点は、電子契約のメリットです。大手企業だと印紙代だけで数億もの経費になっている場合もあるので、そのコストが削減できるのは大きなメリットになるのではないでしょうか。

 

<中條氏>

案件管理の機能もありますよね?

 

<普家氏>

不動産や建築の営業パーソンは、そもそもツールをあまり使っておらず、属人的な営業活動だという傾向があります。Excelさえ使っておらず、手書きのノートで管理している人も珍しくありません。先ほども申した通り、一件あたりの単価が高いため効率化しなくても契約さえ取れれば成果があがるという業界のため、効率化する必要がないのですよね。

しかし、不動産営業をしていた経験もある私から見ると、「効率化するともっと売上にもなるし、お客様に良い不動産を提供できる」と感じる場面が少なくありません。そのため、そうした非効率な部分を削減して効率化できる機能が網羅されているのが、案件管理の機能です。

 

<中條氏>

具体的に、どのようなムダが省けるのでしょうか?

 

<普家氏>

営業パーソンが、自分が抱えている顧客や物件などの資料を集約し、社内だけでなく社外にも共有できるようになっています。また、不動産建築業界は現場の写真をたくさん撮影するのですが、サイズの大きいファイルをいくらでもアップロードして共有できます。

「資料を印刷して郵送する」「画像をファイル転送サービスにアップロードしてからメールで送る」など、日々のちょっとした不便を解消できるかと思います。

 

他業界のDX化、どう進める?

 

<中條氏>

DX化が進まない業界は他にもたくさんあると思うので、他業界へのDX化について普家さんの意見を教えていただけないでしょうか。

 

<普家氏>

私は不動産建築業界しか経験していないので他業界のことを言うのは畏れ多いのですが……。我々のようにバーチカルのSaaSに特化している企業は、業界に対する解像度を経営者のみならず従業員も高めなければならないと思います。

解像度が高まった後にやるべきなのは、「私たちも業界の一人です」という立場で活動することが大事です。業界を良くするために活動しているということが、業界の方に伝わると良いですね。

私たちは、不動産業界のさまざまな協会に所属して、協会の活動もさせていただいています。また、業界に関する官公庁である国交省ともコミュニケーションを取って、ロビー活動を進めることも大事ですね。

 

<中條氏>

「よそ者が改革を起こしに来た」と思われるより、「業界についての理解がある仲間が一緒に良くしていく」というのが大事なのですね。

 

年代問わず使えるPICKFORMで成果を高めよう

 

<中條氏>

最後にメッセージをお願いします。

 

<普家氏>

不動産業や建築業に携わっている方の中には、今までITツールを導入してもいまいち活用できなかった方もいるかと思うのですが、我々のサービスはITアレルギーがあってもスムーズにご利用いただけるため、まずはお問い合わせいただければと思います。平均年齢が75歳という企業様でも導入していただいているので、ITが苦手でもご利用いただけるようサポートさせていただきます。

住宅の着工件数が年々減っている業界ではありますが、こんな時代でも住宅は売れると確信しています。営業のマンパワーだけでなく、DXの力を使うことでさらに成果を出せると思っているので、ぜひ一緒にがんばっていきましょう。

 

<中條氏>

本日は貴重なお話、ありがとうございました。

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