ビジネスにおいて電話やメールでのやり取りでは、情報共有の際に非効率な場合があります。その解決策として、社内外のメンバーとのコミュニケーションにビジネスチャットツール・アプリを導入する企業が増えています。
ビジネスチャットは、コミュニケーション業務を効率化するだけではありません。顧客との接点を保つことで売り上げの向上につなげるものなど、さまざまなツール・アプリがあります。
本記事ではビジネスチャットの導入を検討している企業に向けて、活用するメリット・デメリット、具体的なおすすめのツール、選ぶ際のポイントを紹介します。
ビジネスチャットツール・アプリとは
ビジネスチャットは、ビジネスでのコミュニケーションを目的としたツール・アプリです。社内のメンバーとのやり取りだけでなく、社外の取引先や外注先とスムーズにコミュニケーションできるものや、顧客との接点を増やすためのものなど、さまざまなサービスがあります。
「メールで十分」と考えるかもしれませんが、チャットツールはより会話に近いコミュニケーションができ、メールよりもリアルタイム性が高く効率的なやり取りが可能です。
チャットツールをビジネスに活用するメリット
チャットツールをビジネスに導入する場合は、以下のメリットが期待できます。
- メールよりもスピード感をもってやり取りできる
- リアルタイムで情報共有しやすい
- リモートワークの推進に役立つ
メールよりもスピード感をもってやり取りできる
ビジネスチャットでは、緊急性が高い内容をリアルタイムで共有しやすくなります。最低限のマナーを守ることは当然ですが、かしこまったあいさつを省略でき、用件だけを入力した簡易的なメッセージを送りやすくなるでしょう。
メールの場合、相手に時間の余裕がある時しか開封されないこともありますが、チャットであれば即座に開封されやすく、素早いレスポンスが期待できます。迅速性が求められるビジネスの場において、チャットツールのスピード感は重宝するでしょう。
リアルタイムで情報共有しやすい
ビジネスチャットツール内では、プロジェクトチームごとにグループを組めます。グループ内でのやり取りやデータの送信など、情報を共有しやすいのも大きなメリットです。取引先や外注先など社外メンバーを含めたグループも設定できるため、社内外でのコミュニケーションにも役立ちます。
グループ内でのファイルの共有やタスク管理などもスムーズにでき、コミュニケーションだけでなくプロジェクトごとの管理などもしやすくなるでしょう。
リモートワークの推進に役立つ
近年ではワークライフバランス改善を目的に、リモートワークを推進する企業が増えています。ビジネスチャットは地理的な制約がなく、また音声通話やビデオ通話もできるため、離れたオフィスや遠方の顧客とのコミュニケーションもしやすくなります。
さらに、リモートワークを積極的に推進すると従業員の満足度が高まり、離職率の低下や人材の確保がスムーズになるといった効果も狙えるかもしれません。
ビジネスチャットを導入するデメリット
ビジネスチャットを導入することで得られるメリットは多くあります。しかし、導入においてはデメリットも理解しておく必要があるでしょう。ビジネスチャットを導入する主なデメリットは以下の通りです。
- 必要以上のコミュニケーションが発生することがある
- ネットワークやソフトウエアのトラブルが起きる恐れがある
- セキュリティ対策をしないと情報漏えいのリスクがある
気軽にコミュニケーションが取れることで、不要なやり取りまで発生してしまう恐れがあります。また、ネットワークの障害やソフトウエアの不具合などで、急にやり取りができなくなる懸念もあるでしょう。
そして、企業として気を付けなければならないのが情報漏えいです。セキュリティ対策や社員の情報管理体制にも十分注意する必要があります。
人気のビジネスチャットツールランキング
株式会社モニタスは全国の会社員2,874人を対象に、ビジネスチャットツールに関する調査を行いました。
その結果を参考にすると、まず認知度の高いツールのランキングは以下のようになりました。
- LINE WORKS(37.1%)
- Microsoft Teams(32.7%)
- Chatwork(16.8%)
- Slack(15.0%)
- Workplace(9.5%)
くわえて、従業員数1,000人以上の企業で使われているチャットツールの利用率は、以下の通りです。
- Microsoft Teams(21.4%)
- LINE WORKS(10.3%)
- Workplace(4.0%)
- Slack(3.7%)
- ChatWork(2.8%)
従業員数100人未満の企業で使われているチャットツールの利用率は、以下の結果になりました。
- Chatwork(4.7%)
- Slack(3.9%)
- LINE WORKS(3.8%)
- Microsoft Teams(3.2%)
- Workplace(0.6%)
従業員数の少ない企業ではいずれも利用率が5%未満となっており、2022年の調査時点でチャットツールを利用している企業自体が少ないことが分かります。
上記のランキングでは有名企業のサービスが多く並んでいますが、チャットツールは他にも種類が多く、それぞれ特徴が異なります。上記のランキングと次項のおすすめツールの詳細をもとに、ツール選びの参考にして下さい。
出典:株式会社モニタス『モニタス、「利用実態調査 ビジネスチャットツール編」を発表』(2022)
おすすめの人気ビジネスチャットツール・アプリ14選(無料・有料)
ビジネスチャットツール・アプリで人気の以下のサービスを紹介します。それぞれの料金や特徴を解説するので、比較検討の参考にして下さい。
- Slack
- ChatWork
- チャネルトーク
- Microsoft Teams
- LINE WORKS
- Google Chat
- Talknote
- WowTalk
- elgana
- Discord
- Lark
- Workplace by Facebook
- TAGS
1. Slack
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 925円~ 公式URL
Slackは世界中で使用されており、ユーザー数が1,000万人を超えるビジネスチャットツールの代表格です。幅広い業種や規模の企業に対応しており、特に複数のプロジェクトを同時進行することが多い企業や、外部ツールとの連携を重視する企業におすすめします。
Slackは過去ログの見やすさが魅力の1つです。検索のしやすさだけでなく、ログを見ることでメンバーの動きが分かりやすいような仕様も特徴的です。また、外部ツールとの連携が可能で、Microsoft製品やGoogleドライブなどのツールと連携させられます。
2. ChatWork
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 700円~ 公式URL
ChatWorkは無料でも使える、日本製のビジネスチャットツールです。チャットや音声・ビデオ通話、タスク管理、ファイル共有など便利な機能が多数あります。UIもシンプルで、ツールの操作が苦手な人でも扱いやすいのが特徴です。
国内で最大級の導入実績を誇っており操作も分かりやすいため、初めてチャットツールを導入する企業におすすめです。
3.チャネルトーク
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 3,000円~ 公式URL
ビジネスチャットツールでできることは社員同士や外注先、取引先とのコミュニケーションだけではありません。チャネルトークはメンバー同士のチャットに加え、顧客との接点を増やす機能も備えたビジネスチャットツールです。
CRMと接客ツールが一体化したコミュニケーションツールで、ECサイト離脱後の顧客ともメールやInstagram、LINEなどでやり取りできます。サポートボットを設定しておくと、よくある問い合わせにチャットで自動応答し、顧客対応の時間を削減できます。
メンバー間のやり取りだけでなく、ダイレクトマーケティングによる売り上げの増加やリピート率向上も期待できるビジネスチャットツールです。
4. Microsoft Teams
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 599円~ 公式URL https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software
Microsoft社のMicrosoft 365に含まれているサービスです。基本的なチャット機能をはじめ、ExcelやPowerPointへのアクセス、Web会議での参加をOutlookで設定するなど、WindowsユーザーならなじみのあるMicrosoft製品とスムーズに連携できます。
Windowsのシェアが高い国内においては使い勝手の良いツールといえるでしょう。特にMicrosoft製品をメインで活用している企業にはおすすめです。
5. LINE WORKS
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 450円~ 公式URL
LINE WORKSはコミュニケーションアプリ「LINE」のビジネスチャットツールです。LINEとほぼ同じUIで使えるため、多くの人にとって扱いやすいでしょう。
LINEの感覚でチャットできるため、テンポの良いやり取りが期待できます。タスク管理やアンケートなどの機能は業務で役立つだけでなく、会社のイベントなどにも使えます。使い勝手の良さから、導入時のハードルが低いビジネスチャットツールの1つといえるでしょう。
6. Google Chat
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 680円~ 公式URL
Google Chatは、Google Workspaceというサービスに含まれているチャットツールです。Google Chat単体は基本的に無料で使えますが、他のGoogleサービスと連携できるGoogle Workspaceで契約すると月額料金が発生します。
Google WorkspaceではGoogle Chatに加えてGoogleカレンダーの共有、Google Meetでのビデオ会議など、さまざまな機能が利用・連携できます。普段からGoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートなど、Googleのツールをよく使用している企業におすすめです。
7. Talknote
無料プラン なし 無料トライアル あり 月額料金 要問い合わせ 公式URL
Talknoteは「自分の仕事や職場に誇りをもって働ける環境を増やしたい」との思いから開発されたビジネスチャットツールです。現場のモチベーション維持や組織力を強化するための機能が多くあります。
例えば、社員のアクセス情報からオーバーワークの有無を検知したり、組織のコンディションをスコア化したりする機能などが特徴的です。また、コンサルタントによる初期導入サポートが充実しており、スムーズに導入・運用できるでしょう。
8. WowTalk
無料プラン なし 無料トライアル あり 月額料金 360円~ 公式URL
WowTalkは日本製のビジネスチャットツールです。管理者が全社員のIDとパスワードを発行して社員のアカウントを一括管理したり、各機能の有効範囲を個人単位で設定したりといった管理機能の柔軟さがポイントです。
また、掲示板や安否確認など、有事の際に役立つ機能も充実しています。BCPを強化するためのツールとしてもおすすめです。
9. elgana
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 275円~ 公式URL
elganaはNTT西日本が提供する、シンプルで使いやすいUIが特徴のビジネスチャットツールです。
月額料金は利用する人数によって変動しますが、他のツールと比べてコストが低めに設定されています。料金を抑えて少人数でのみ利用したり、アルバイトまで含めて情報共有に活用したり、柔軟な使い方ができます。
10. Discord
無料プラン あり 無料トライアル あり 月額料金 2.99ドル~ 公式URL
新型コロナウイルスの影響でリモートワークが急速に普及し、コミュニケーションツールとしてボイスチャットが注目されました。ボイスチャットの中でも評価の高いツールがDiscordです。
元々オンラインゲームやゲーム配信者の間で人気がありましたが、ボイスチャットの性能の高さから、ビジネスの場でも使われる機会が増えました。ボイスチャットだけでなく、テキストチャットやファイルのシェアなど、ビジネスチャットツールに必要な基本機能も備わっています。
11. Lark
無料プラン あり 無料トライアル 要問い合わせ 月額料金 1,420円~ 公式URL
Larkはビジネスチャットだけではなくビデオ会議やスケジュール共有、プロジェクト管理、稟議システムなど、ビジネスに必要な機能を幅広く網羅しています。多くの外部ツールとも連携でき、用途に応じてカスタマイズ可能です。
自社のニーズに合わせてツールをカスタマイズし、大幅な業務効率化を実現したい企業におすすめのアプリです。
12. Workplace by Facebook
無料プラン なし 無料トライアル なし 月額料金 4ドル~ 公式URL
Facebookが提供するビジネスチャットツールで、タスク管理や組織図といったビジネスに特化した機能が充実しています。SNSのFacebookとUIが似ており、使い慣れている人にとってはなじみやすいでしょう。
他の外部ツールと連携して、自社に合わせたカスタマイズも可能です。世界中で利用されており、マクドナルドやSpotifyなどでも導入されています。
13. TAGS
無料プラン なし 無料トライアル なし 月額料金 180円〜 公式URL
法人に特化した、セキュリティ・安定性の高いビジネスチャットツールです。チャット機能にオリジナルのボットを連携でき、必要な情報をスピーディーに取得・共有できます。
ビジネスチャットサービスの中でも月額費用が安く初期費用が無料なので、導入コストの低さも魅力といえます。
14. WeChat
無料プラン なし 無料トライアル なし 料金 99ドル(年会費) 公式URL
中国向けのビジネスをしている、あるいはこれから展開を考えている企業におすすめなのが企業版WeChatです。個人版と企業版があり、個人版は中国版LINEのような位置付けで、近年中国で人気が高まっているメッセンジャーアプリです。
企業版を使用するにはアカウント申請が必要で、年会費として99ドルかかります。顧客との直接的なアプローチができ、キャンペーン情報の発信やクーポン発行、1対1のコミュニケーションも可能です。
ビジネスチャットツール・アプリの選び方
ビジネスチャットツール・アプリは製品によって特徴や使用できる機能が異なるため、自社の課題や求める要素を明確化しておく必要があります。チャットツールを選ぶ際の5つの基準を紹介します。
- 料金・コスト
- 外部サービスとの連携のしやすさ
- セキュリティの高さ
- 社外メンバーとのやり取りのしやすさ
- ファイルやテキストの検索のしやすさ
料金・コスト
ビジネスチャットツール・アプリは、利用するユーザー数によって月額料金が変わるものがほとんどです。自社の規模に合わせた上で、外部のメンバーやアルバイトなども加えるのか事前に考慮して決める必要があります。
また、最初から全社的に参加するのではなく、一部のトップ層やプロジェクトメンバーだけで導入してみるのも良いでしょう。まずは無料プランやトライアルで試してみるのもおすすめです。
外部サービスとの連携のしやすさ
ビジネスチャットツール・アプリを導入して効率化を図るなら、既に導入している他の製品と連携ができることも確認しましょう。ビジネスチャットツール選定の際には、事前に現在利用しているツールを洗い出しておくことをおすすめします。
セキュリティの高さ
情報漏えいは企業のイメージダウンにつながるため、注意が必要です。ビジネスチャットツール・アプリを導入するなら、社内のセキュリティ基準を満たしていることが前提になります。またセキュリティ確保のためには、権限設定の範囲なども確認しておくと良いでしょう。
社外メンバーとのやり取りのしやすさ
社内だけでなく社外の外注先や取引先とのコミュニケーションも多い場合、社外メンバーとのやり取りがスムーズにできることも重要です。社外メンバーも招へいしやすいことや、権限を柔軟に付与できるかどうかも確認しておきましょう。
ファイルやテキストの検索のしやすさ
日常的に複数人が大量のメッセージやファイルをやり取りする場合、データが膨大になり後から必要なデータを探すのが難しくなることが想定されます。
ファイルやテキストを検索する機能の有無や検索機能の使いやすさなども、ツール選定の際には確認しましょう。
ビジネスチャットツール・アプリを活用して業務効率化を図ろう
ビジネスチャットツール・アプリは、コミュニケーションコスト削減や業務効率化に役立ちます。ツールの導入には、十分に比較検討して自社に合った製品を選ぶことが重要です。中には無料で使えるものやトライアルで利用できるものもあるので、まずは気軽に試してみると良いでしょう。
また社内外のコミュニケーションだけでなく、チャネルトークのように顧客とのつながりを保ち、売り上げに直結するようなツールもおすすめです。ぜひ気になったサービスがあれば資料や公式ページなどを確認して下さい。