マージンとは?
マージンとは「利ざや」や「手数料」などの意味合いで使われるビジネス用語です。
たとえば、A社から仕入れた製品をB社に販売する際、仕入れ値のまま販売価格にしてしまうと、自社には1円も入りません。利益を得られないだけでなく、仕入れには運送費や人件費などのコストがかかっているため、自社に収益が入らなければ赤字になるのです。
そのため、A社からの仕入れ値に営業利益やさまざまなコストなどを上乗せして、B社への販売価格を設定します。この仕入れ値と販売価格の差額部分が「マージン」となります。
ほかにも、人材紹介や不動産売買などの仲介業ではマージンとして仲介手数料を設定し、自社の利益を得ます。
業界別のマージンの使い方
もともと「マージン(Margin)」とは「余白」「余裕」「差」などの意味合いがあるため、ビジネスでは業界によって「マージン」という言葉の使い方が異なります。ここではさまざまな業界におけるマージンの意味を紹介します。
人材業界
人材派遣や転職エージェントなどの人材業界では、仲介手数料や紹介料がマージンとなります。
人材派遣の場合、派遣会社が労働者の社会保険料を負担したり研修を行ったりするため、営業利益のほかにもさまざまなコストがかかります。よって、派遣先が派遣会社に対して支払う金額は、労働者の給与の数十%が上乗せされた金額となります。厚生労働省の資料によると、派遣会社や業界などによってマージン率が異なり、10%台から40%台までと幅広くなっています。
また転職エージェントの場合は、エージェントを通じて求職者が企業に入社した際、求職者への年収の数十%が手数料、つまりマージンとしてエージェント会社に支払われます。相場はおおよそ30%前後と言われていますが、会社により異なります。
商社、卸業者
商社や卸業者は、仕入れ先から商品を仕入れて顧客に販売する、仲介業が主な仕事です。仕入れ値のまま販売すると諸経費分をまかなえず赤字になったり自社の利益が得られなかったりするため、仕入れ値にマージンをプラスして販売します。
商社と一口に言っても、会社によって対象とする商品・サービスは大きく異なりますし、海外から輸入するなどの手間のかかる商品を扱っていることもあります。したがって、マージン率も会社によって大きく変動します。
印刷業界
印刷業界における「マージン」は、ビジネスシーンで使われる一般的な意味合いとは異なります。
印刷機を使った際、紙いっぱいに印刷されると、ページを綴じると見えなくなってしまう部分ができたり、情報が過密になりすぎて見にくくなったりします。また、印刷機の不具合で印刷面がずれてしまうこともあるでしょう。
そこで、あらかじめ余白を設けてから印刷機で印刷します。この余白をマージンと言います。 印刷物のマージンは上下左右に設けられていることが多く、ページ数の多い分厚い本などの場合には綴じる側面のマージンを多めにするなどの工夫も必要です。
投資業界
FXなどの投資において、マージンとは「必要証拠金」や「保証金」といった意味合いをもちます。
現在「信用取引」と呼ばれている取引方法は、以前はマージン取引と言われていました。 投資をしたくても、資金がない場合もあるでしょう。そうしたとき、証券会社などに初期預金としてマージンを支払うことで、証券会社などからお金を借りて投資できるため、実際の資金がなくても投資を運用できるのです。
ただし、失敗してしまうと大きなリスクがある点には注意しましょう。
Webデザイン業界
Webページなどのデザインの際にも、「余白」という意味でマージンが使われます。具体的には、コンテンツの外側の余白を意味します。
コンテンツとコンテンツの間が適切なマージンでなければ、コンテンツ同士が離れすぎたり逆にくっつきすぎたりして、見にくくなる原因となります。そのためWebページをデザインするときには、適切なマージンを設定する必要があるのです。
マージンに関する用語
「マージン」に関連するビジネス用語は多々あります。ここではいくつかピックアップして紹介します。
- マージンミックス
- バックマージン
- マージンコール
- マージンローン
- マージン率
一つずつ解説します。
マージンミックス
流通業界や小売業などは、商品によって原価が異なるため粗利率も異なります。そこで粗利率の高い商品と低い商品を組み合わせて販売することで、全体の利益を高めます。この方法をマージンミックスと言います。
バックマージン
バックマージンとは、メーカーや問屋などが販売先に販売した商品の価格を一定期間後に下げ、その差額を利益として販売先に払い戻すことです。 リベートの一種で「売上割戻」「インセンティブ」などと呼ばれることもあります。
マージンコール
マージンコールは投資業界で使われる用語で、投資会社などの金融機関が投資家に対して不足分の証拠金(マージン)を支払うよう求めることです。 マージンコールの通知が来たら、投資家は期日までに入金もしくはポジションの決済を行わなければなりません。
マージンローン
マージンローンも、投資業界で使われる言葉です。株式を担保にして金融機関から融資を受けることを言います。
マージン率
マージン率とは主に人材業界で使われる言葉です。
人材派遣会社や人材紹介会社は、人材を派遣・紹介した際に派遣先・紹介先からマージンを受け取ります。各社でマージン率が定められているため、派遣や紹介をした人材の給与や年収に応じてマージン率を掛け合わせた金額が手数料(利益)として支払われます。
マージンの類義語
ここまで紹介してきたように「マージン」にはさまざまな意味合いがあり、業界やシーンによって意味合いが異なります。 マージンの類義語としては、以下の言葉に言い換えられるでしょう。
- 利ざや
- もうけ
- 手数料
- 仲介料
- 紹介料
- 必要証拠金
- 保証金
- 余白
- スペース
ほかにもさまざまな言葉に言い換えられますが、「マージン」の意味を覚えておけばそれだけであらゆる意味合いを網羅するため、便利な言葉です。
まとめ
「マージン」とは、人材業界や卸業界、投資業界や印刷業界などさまざまな業界において、多様な意味合いで使われている言葉です。
ビジネスシーンでは「利ざや」や「手数料」などといった意味で使われることが多いですが、ほかの意味も覚えておくことで便利に使いこなせるでしょう。
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