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リーガルテック活用術を徹底解説!契約書レビューから電子契約まで中小企業こそ導入すべき理由

投稿日:2025年9月27日 /

更新日:2025年9月27日

リーガルテック活用術を徹底解説!契約書レビューから電子契約まで中小企業こそ導入すべき理由
● 業務効率化

リーガルテックは、法務の専門人材が不足しがちな中小企業こそ導入すべき強力なツールです。本記事では、なぜ中小企業にリーガルテックが必要なのか、その3つの理由を明確に解説します。AIによる契約書レビューや電子契約、契約管理システムなど、具体的なサービスで何ができるのかを分野別に紹介。自社の課題に合ったサービスの選び方から導入ステップまで、この記事を読めば全てがわかります。

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リーガルテックとは

リーガルテックとは、私たちのビジネス、特に法務業務のあり方を根底から変える可能性を秘めたテクノロジーの総称です。かつては専門家である弁護士や大企業の法務部が中心だった法律関連業務ですが、今や中小企業を含むすべてのビジネスパーソンにとって、リーガルテックは無視できない存在となっています。

この章では、リーガルテックの基本的な定義と、なぜ今これほどまでに注目を集めているのか、その背景を詳しく解説します。

リーガルテックの定義

リーガルテック(LegalTech)とは、「法律(Legal)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語です。具体的には、AI(人工知能)、クラウド、ブロックチェーンといった最新のIT技術を活用して、契約書の作成・レビュー、電子契約、コンプライアンス管理、知財管理など、企業活動に関わるさまざまな法務関連業務を効率化・高度化するサービスやソフトウェア全般を指します。

金融業界における「FinTech(フィンテック)」が金融サービスを革新したように、リーガルテックは法律・法務の分野にデジタルトランスフォーメーション(DX)をもたらすものとして期待されています。これまで専門家の知識や経験に大きく依存していた業務をテクノロジーで代替・支援することにより、業務の属人化を防ぎ、品質の均一化とスピードアップを実現します。

リーガルテックが対象とする主な業務領域
業務領域テクノロジー活用の具体例
契約業務AIによる契約書レビュー支援、電子契約サービス、契約ライフサイクル管理(CLM)システム
登記・許認可オンライン商業登記支援サービス、各種許認可申請のオンライン化
コンプライアンス反社チェックツール、社内規程管理システム、インシデント管理ツール
知的財産AIを活用した商標調査サービス、特許・知財管理システム
紛争解決オンラインでの紛争解決(ODR)、証拠開示(eディスカバリ)支援ツール

今リーガルテックが注目される背景

リーガルテック市場が急速に拡大し、多くの企業が導入を検討している背景には、現代のビジネス環境が抱える複数の課題が複雑に絡み合っています。単なる技術の進化だけでなく、社会や働き方の変化がリーガルテックの必要性を高めているのです。

1. 企業のDX推進と働き方改革

全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れは、バックオフィス部門である法務にも及んでいます。紙の契約書への押印や製本、郵送といった旧来のアナログな業務は、リモートワークの普及やペーパーレス化の要請と相容れません。働き方改革を実現し、場所や時間にとらわれない柔軟な業務環境を構築するために、電子契約サービスをはじめとするリーガルテックの導入が不可欠となっています。

2. 法務人材の不足と業務の複雑化

多くの企業、特に中小企業では、専門の法務担当者を配置する余裕がなく、総務担当者や経営者が法務業務を兼任しているケースが少なくありません。一方で、個人情報保護法や電子帳簿保存法の改正、下請法への対応など、企業が遵守すべき法令は年々増加し、その内容も複雑化しています。限られた人的リソースで、高度化・複雑化する法務リスクに的確に対応するための解決策として、リーガルテックへの期待が高まっています。

3. テクノロジーの進化とSaaSモデルの普及

AIの自然言語処理技術の向上により、契約書のリスク箇所を自動で検知するサービスの精度が飛躍的に向上しました。また、クラウド上で提供されるSaaS(Software as a Service)モデルが主流になったことで、企業は自社でサーバーを構築・管理する必要がなくなり、月額数万円といった低コストで手軽に高機能なツールを導入できるようになりました。これにより、これまで資金的な体力のある大企業が中心だったIT投資の裾野が、中小企業にも大きく広がりました。

4. コンプライアンス意識の高まりと経営リスクの増大

企業の不祥事に対する社会の目は厳しくなっており、一度コンプライアンス違反が起これば、企業の信用は大きく失墜し、事業の存続すら危ぶまれる時代です。契約内容の不備によるトラブル、情報漏洩、反社会的勢力との取引といったリスクを未然に防ぎ、ガバナンスを強化する体制を構築することは、すべての企業にとって重要な経営課題です。リーガルテックは、契約管理の徹底や反社チェックの自動化などを通じて、ヒューマンエラーを減らし、企業の守りを固める上で強力な武器となります。

中小企業こそリーガルテックを導入すべき3つの理由

「リーガルテックは大企業が導入するもの」というイメージをお持ちではないでしょうか。しかし実際には、法務にかけられるリソースが限られている中小企業にこそ、リーガルテックは計り知れないメリットをもたらします。ここでは、中小企業がリーガルテックを導入すべき3つの決定的な理由を、具体的な課題解決の視点から詳しく解説します。

専門人材不足の解消と業務効率化

多くの中小企業では、法務専門の部署や担当者を置くことが難しく、総務や経理の担当者が法務業務を兼任しているケースが少なくありません。いわゆる「一人法務」「兼任法務」と呼ばれる状況です。専門知識が十分でない中、契約書のレビューや管理に膨大な時間を費やし、本来の業務が圧迫されてしまうこともあります。

リーガルテックは、このような深刻な専門人材不足を補い、バックオフィス全体の業務を劇的に効率化するための強力なツールとなります。

  • AIによるレビュー支援: AI契約書レビューサービスを活用すれば、法務の専門家でなくても、契約書に潜むリスク(不利な条項、欠落しているべき条項など)を瞬時に洗い出すことができます。これにより、レビューの属人化を防ぎ、担当者の心理的負担を軽減しながら、契約品質の平準化を実現します。
  • 定型業務の自動化: 電子契約サービスを導入すれば、契約書の印刷、製本、押印、封入、郵送、そして返送された契約書のファイリングといった一連のアナログ作業が一切不要になります。営業担当者が外出先から契約締結を完結させることも可能になり、ビジネスのスピードを格段に向上させます。
  • 情報検索の迅速化: 契約書管理システム(CLM)を使えば、過去の契約書を「取引先名」「契約締結日」「契約種別」などの条件で瞬時に検索できます。紙のファイルを探し回る時間はなくなり、必要な情報をすぐに見つけ出して次のアクションに移ることができます。

これらの効果により、法務兼任者は本来注力すべきコア業務に時間を使えるようになり、組織全体の生産性向上に大きく貢献します。

コスト削減と事業成長の加速

事業を運営していく上で、法務関連のコストは避けて通れません。しかし、その多くはリーガルテックの導入によって削減、あるいは最適化することが可能です。コスト削減は守りの経営戦略に思われがちですが、創出されたキャッシュを事業成長に再投資することで、攻めの経営へと繋がります。

具体的にどのようなコストが削減できるのか、そしてそれがどう事業成長に結びつくのかを見ていきましょう。

直接的なコストの削減

リーガルテック、特に電子契約サービスは、目に見えるコストを直接的に削減する効果があります。紙の契約書1通あたりにかかるコストと比較すると、その差は歴然です。

紙の契約書と電子契約のコスト比較(1通あたり)
項目紙の契約書電子契約
収入印紙代契約金額により変動(例: 200円〜)0円(不要)
郵送費約500円〜(往復、書留など)0円
印刷・製本・紙代約50円〜0円
保管コストキャビネット代、倉庫代などクラウド利用料に含まれる
人件費(作業時間)印刷、押印、郵送、ファイリングなど大幅に削減

契約件数が月数件であっても、年間で見れば大きなコスト削減に繋がります。

間接的なコストの最適化と事業機会の創出

コスト削減効果は直接的なものに留まりません。リーガルテックは、契約締結までのリードタイムを劇的に短縮し、ビジネスチャンスを最大化します

従来の紙の契約では、契約書案の作成から郵送、相手方での確認・押印、返送まで、数週間かかることも珍しくありませんでした。電子契約を導入すれば、このプロセスが数時間から数日で完了します。これにより、売上の計上を早め、キャッシュフローを改善することができます。また、迅速な契約締結は取引先からの信頼獲得にも繋がり、競合他社に対する優位性を確立する一因となるでしょう。

さらに、AI契約書レビューで基本的なチェックを済ませることで、顧問弁護士への相談を「より高度で専門的な判断が必要な案件」に絞ることができます。これにより、弁護士費用の最適化も可能になります。

コンプライアンス強化と経営リスクの低減

企業の規模にかかわらず、コンプライアンス(法令遵守)違反や契約上のトラブルは、企業の存続を揺るがしかねない重大な経営リスクです。特に法務体制が脆弱な中小企業は、意図せずリスクを抱え込んでしまう危険性が常にあります。

リーガルテックは、ルールに基づいた一貫性のある業務プロセスを構築し、人的ミスを減らすことで、企業のガバナンス体制を強化します

  • 契約リスクの可視化: AI契約書レビューは、自社に不利な条項や法的に問題のある表現を客観的に指摘します。これにより、担当者の経験や知識に依存することなく、潜在的なリスクを未然に防ぐことが可能になります。
  • 契約管理体制の整備: 契約書管理システム(CLM)は、契約のライフサイクル全体を一元管理するための基盤です。「いつ、誰が、どの契約書にアクセスしたか」という証跡(ログ)が記録されるため、内部統制の強化や情報漏洩リスクの低減に繋がります。
  • 更新漏れ・解約漏れの防止: 多くの契約書管理システムには、契約の更新期限が近づくと自動で通知してくれるアラート機能が搭載されています。これにより、有利な契約の更新機会を逃したり、不要な契約を自動更新してしまったりするミスを防ぎます
  • 法的証拠力の担保: 電子契約サービスで締結された契約書には、電子署名とタイムスタンプが付与されます。これにより、「誰が」「いつ」「何を」合意したかが法的に有効な形で記録され、紙の契約書以上に高い証拠力を確保することができます。これは、万が一の訴訟リスクに備える上でも非常に重要です。

これらの機能を活用することで、中小企業は堅牢なリスク管理体制を低コストで構築し、取引先や金融機関からの信頼を高め、持続的な成長の土台を築くことができるのです。

【分野別】リーガルテックでできることの具体例

リーガルテックと一言でいっても、その領域は多岐にわたります。ここでは、特に中小企業が直面しやすい課題を解決できる代表的な分野を取り上げ、具体的にどのような業務を効率化・高度化できるのかを詳しく解説します。自社の課題と照らし合わせながら、最適なツールを見つけるヒントにしてください。

契約書レビュー支援

法務担当者や弁護士がいない中小企業にとって、契約書のレビューは特に専門性が高く、時間のかかる業務です。取引先から提示された契約書に潜むリスクを見抜けず、不利な条件で契約してしまうケースも少なくありません。AI契約書レビュー支援サービスは、このような課題を解決するために開発されました。

AIによる契約書レビューの仕組み

AI契約書レビューサービスは、AI(人工知能)技術、特に自然言語処理を用いて、契約書の内容を瞬時に解析・チェックするツールです。弁護士が監修した何万件もの契約書データをAIが学習しており、その知識ベースを基に、レビュー対象の契約書を分析します。

具体的には、以下のような機能を提供します。

  • 不利な条項の指摘:自社にとってリスクとなりうる一方的な条項や、一般的な契約内容から逸脱した条項を自動で検知し、アラートを表示します。
  • 条項の抜け漏れチェック:秘密保持契約(NDA)や業務委託契約など、契約類型ごとに必須とされるべき条項が抜けている場合に指摘します。
  • 修正案・代替案の提示:指摘されたリスク箇所に対して、より有利な、あるいは公平な内容にするための修正条文案を提示してくれます。
  • 自社基準との比較:事前に自社のひな形や法務基準を登録しておくことで、レビュー対象の契約書がその基準から外れていないかを自動でチェックできます。

これにより、法務の専門知識がない担当者でも、一定水準の品質で契約書のリスクチェックが可能になり、レビューにかかる時間を大幅に短縮できます。ただし、AIはあくまで「支援」ツールであり、最終的な判断は人間が行う必要があることは忘れてはいけません。

主要な契約書レビューサービス

日本国内で利用されている代表的なAI契約書レビューサービスには、それぞれ特徴があります。自社のニーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。

主要な契約書レビューサービス比較表
サービス名特徴レビュー対象言語
LegalForce業界トップクラスのシェア。対応する契約類型が豊富で、自社のひな形との比較機能も充実。弁護士によるサポートも手厚い。日本語、英語
GVA assistスタートアップや中小企業に人気。自社に有利な条文を検索できる「GVA ひな形」との連携が強み。コストパフォーマンスに優れる。日本語
MNTSQ四大法律事務所の一つである長島・大野・常松法律事務所が開発に関与。大企業向けの複雑な契約書レビューに強みを持つ。日本語、英語

電子契約サービス

リモートワークの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れを受け、多くの企業で導入が進んでいるのが電子契約サービスです。従来の紙の契約書で発生していた製本、押印、郵送、保管といった一連の作業をすべてオンラインで完結させることができます。

電子契約の法的有効性とメリット

「電子データ上の契約書に法的な効力はあるのか」と不安に思われるかもしれませんが、電子署名法に基づき、電子署名が付与された電子文書は、手書きの署名や押印がある紙の文書と同様に法的効力が認められています。

電子契約の証拠力は、「電子署名」と「タイムスタンプ」によって担保されます。これにより、「誰が」「いつ」「何を」契約したのかを証明することが可能です。電子契約を導入するメリットは多岐にわたります。

  • コスト削減:契約書に貼付する印紙税が不要になります。また、紙代、印刷代、郵送費、保管スペースのコストも削減できます。
  • 業務効率化とスピードアップ:契約書の送付から相手方の署名、締結完了までがオンラインで数分で完了します。郵送にかかる時間や手間がなくなり、事業のスピードが格段に向上します。
  • コンプライアンス強化:締結状況や契約内容がシステム上で可視化されます。誰がいつアクセスしたかのログも残り、原本の改ざんや紛失のリスクを防ぎます。
  • BCP(事業継続計画)対策:災害時やパンデミックで出社が困難な状況でも、場所を問わずに契約業務を継続できます。

おすすめ電子契約サービス比較

電子契約サービスは、署名者が本人であることを証明する方法によって「当事者型(実印相当)」と「立会人型(契約印相当)」に大別されます。中小企業では、導入の手軽さから立会人型が広く利用されています。

おすすめ電子契約サービス比較表
サービス名特徴署名タイプ
クラウドサイン弁護士ドットコムが提供する国内シェアNo.1サービス。シンプルな操作性と高い信頼性で、多くの企業や官公庁で導入実績がある。立会人型
GMOサイン「立会人型」と「当事者型」の両方に対応しており、契約の重要度に応じて使い分けが可能。料金プランが豊富で、コストを抑えたい企業にも適している。立会人型・当事者型
マネーフォワード クラウド契約会計や請求書発行など、他のマネーフォワード クラウドシリーズとの連携がスムーズ。バックオフィス業務全体の効率化を図りたい企業におすすめ。立会人型

契約書管理システム(CLM)

契約は締結して終わりではありません。その後の履行管理や更新管理、期限管理が極めて重要です。契約書管理システム(CLM:Contract Lifecycle Management)は、紙やフォルダでの管理では煩雑になりがちな契約書の一元管理を実現し、契約にまつわるリスクを低減します。

契約ライフサイクル管理とは

契約ライフサイクル管理とは、契約書の作成・審査・交渉・締結から、締結後の履行管理、更新・終了管理、そして保管・廃棄に至るまでの一連のプロセス全体を管理する考え方です。CLMを導入することで、これらのプロセスをシステム上で一元的に管理し、最適化することができます。

例えば、契約の更新期限が近づくと自動でアラートが通知されるため、意図しない自動更新や、更新漏れによるビジネス機会の損失を防ぐことができます。また、過去の類似契約を参照しやすくなるため、新規契約作成の効率も向上します。

契約書管理の効率化と検索性向上

キャビネットに保管された大量の紙の契約書から、目的の一枚を探し出すのは大変な労力です。CLMを導入すれば、契約書をデータで一元管理できるため、以下のようなメリットがあります。

  • 高度な検索機能:契約書のタイトルや取引先名だけでなく、契約書本文に含まれるキーワードでの全文検索が可能です。「あの契約の違約金条項はどうなっていたか」といった確認も瞬時に行えます。
  • 情報の紐付け:基本契約と個別契約、関連する覚書などを紐付けて管理できるため、契約関係の全体像を容易に把握できます。
  • セキュリティの強化:部署や役職に応じて契約書へのアクセス権限を細かく設定できます。重要な契約情報が意図せず漏洩するリスクを低減します。
  • バージョン管理:契約交渉の過程で発生する複数のバージョンの契約書を適切に管理し、常に最新版がどれかを明確に保つことができます。

その他分野のリーガルテック

リーガルテックの活用範囲は、契約業務だけに留まりません。中小企業の経営に欠かせないその他の法務関連業務を支援するサービスも登場しています。

オンライン登記支援サービス

会社の設立、役員変更、本店移転などの商業登記は、法務局への申請が必要な手続きです。従来は司法書士に依頼するか、自身で複雑な書類を作成する必要がありました。オンライン登記支援サービスは、Webサイト上のフォームに必要な情報を入力するだけで、登記申請に必要な書類を自動で作成してくれる見出しタグにリンクをつけないように。>サービスです。司法書士に依頼するよりも費用を大幅に抑えることができ、スピーディーに手続きを進められるため、特に設立間もない企業やコストを重視する中小企業に最適です。

知的財産管理ツール

自社のサービス名やロゴ(商標)、独自技術(特許)といった知的財産は、中小企業の競争力の源泉です。知的財産管理ツールは、これらの権利を適切に管理するためのプラットフォームを提供します。自社の商標の出願・更新期限を管理したり、他社による権利侵害の可能性がないかを監視したりする機能を備えています。ブランド価値や技術的優位性を守り、事業を安定的に成長させるための重要な守りの一手として、その重要性が高まっています。

失敗しないリーガルテックの選び方と導入ステップ

リーガルテックの導入は、もはや一部の大企業だけのものではありません。むしろ、法務専門の人材が不足しがちな中小企業にこそ、その恩恵は大きいと言えます。しかし、多種多様なサービスの中から自社に最適なものを選び、スムーズに導入するには、計画的なアプローチが不可欠です。

「高機能なツールを導入したものの、複雑で使いこなせない」「現場の業務フローと合わず、かえって手間が増えた」といった失敗を避けるため、以下の4つのステップに沿って検討を進めましょう。

ステップ1:自社の法務課題を明確にする

リーガルテック導入の第一歩は、自社が抱える法務関連の課題を具体的かつ正確に把握することです。「流行っているから」「競合が導入したから」といった曖昧な理由で導入を進めると、目的がぶれてしまい、投資対効果を得られません。まずは、社内の現状を可視化することから始めましょう。

課題の洗い出しには、法務担当者だけでなく、実際に契約業務に関わる営業部門や、締結後の契約書を管理する経理・総務部門など、関連部署の担当者へのヒアリングが効果的です。以下の表のようなフレームワークを使って、現状の課題と、リーガルテックによって実現したい理想の状態を整理してみましょう。

課題が発生する場面現状の具体的な課題(As-Is)リーガルテックで実現したい理想の状態(To-Be)関連するリーガルテック分野
契約書の作成・レビュー取引先から提示された契約書のチェックに時間がかかり、事業スピードが遅延している。リスクの見落としが不安。AIが瞬時にリスク箇所を指摘し、修正案を提示してくれることで、レビュー時間を80%削減し、法務担当者の負担を軽減する。契約書レビュー支援
契約の締結プロセス契約書の印刷、製本、押印、郵送に手間とコストがかかる。相手方の返送待ちでリードタイムが長い。オンライン上で契約締結が完結し、印紙代や郵送費をゼロにする。締結までの時間を数日から数分に短縮する。電子契約サービス
契約書の管理・運用締結済みの契約書が紙で保管されており、必要な時にすぐに見つけられない。更新期限の管理が属人化している。全ての契約書をクラウドで一元管理し、キーワードで瞬時に検索できるようにする。更新期限を自動で通知し、更新漏れを防ぐ。契約書管理システム(CLM)

このように課題を具体化することで、自社に必要なリーガルテックの種類(契約書レビュー支援なのか、電子契約なのか、あるいは契約管理システムなのか)が明確になります。

ステップ2:必要な機能と予算を決める

解決すべき課題が明確になったら、次にその課題を解決するために必要な機能と、導入にかけられる予算を具体的に決めていきます。多機能なサービスは魅力的ですが、使わない機能が多ければコストが無駄になってしまいます。課題解決に直結する「必須機能(Must-have)」と、あると便利な「推奨機能(Nice-to-have)」を切り分けることが重要です。

例えば、契約書レビュー支援ツールを検討する場合、以下のように機能を整理できます。

  • 必須機能(Must-have):
    • 不利な条文や欠落条文の自動検知機能
    • 自社のひな形や法務部門の基準に合わせたカスタマイズ機能
    • Word形式でのレビュー機能
  • 推奨機能(Nice-to-have):
    • 英文契約書のレビュー機能
    • 条文ごとの修正案の自動生成機能
    • 過去の契約書との比較機能

予算については、初期費用だけでなく、月額利用料やID数に応じた課金、契約送信件数に応じた従量課金など、サービスの料金体系をしっかり確認し、ランニングコストを含めたトータルコストで判断しましょう。単に価格が安いというだけで選ぶのではなく、導入によって削減できる人件費や印紙代などのコスト、短縮できる時間といった投資対効果(ROI)を総合的に評価することが、賢い選択につながります。

ステップ3:無料トライアルで操作性を確認する

候補となるサービスをいくつか絞り込んだら、必ず無料トライアルやデモを申し込み、実際の操作性を確認しましょう。ウェブサイトや資料だけではわからない、「誰でも直感的に使えるか」「自社の業務フローにスムーズに組み込めるか」といった点を、実際にツールを触って確かめることが、導入後の定着を左右する最も重要なプロセスです。

無料トライアルでチェックすべき主なポイントは以下の通りです。

  • UI/UXの分かりやすさ: マニュアルを熟読しなくても、基本的な操作が迷わずに行えるか。画面デザインが見やすく、ストレスを感じないか。
  • レスポンス速度: 契約書のアップロードやAIレビューの解析、検索結果の表示など、システムの処理速度は快適か。
  • 業務フローとの親和性: 現在の承認フローや管理方法を、システム上で再現できるか。連携したい他のツール(SFA/CRM、チャットツールなど)との連携は可能か。
  • 現場担当者の評価: 最も重要なのは、実際にツールを日常的に利用する現場の担当者が「これなら使いたい」「業務が楽になりそう」と感じるかどうかです。複数の担当者に試してもらい、フィードバックを集めましょう。

複数のサービスを比較検討することで、それぞれの長所・短所が明確になり、自社にとって最適なツールを見極めることができます。

ステップ4:導入後のサポート体制をチェックする

リーガルテックは、導入して終わりではありません。法改正への対応や新機能の追加、トラブル発生時の対応など、導入後も継続的にベンダーのサポートが必要になります。安心してツールを使い続けるために、サポート体制の充実度は必ず確認しましょう。

特に、法務に関する専門的なツールであるため、単なるシステム操作のサポートだけでなく、法務知識に基づいた支援や、ツールの活用を促進する能動的な働きかけがあるかが重要な比較ポイントとなります。

チェック項目確認すべき内容の具体例
導入支援(オンボーディング)初期設定の代行、既存の契約書データの移行支援、社内向けの説明会の実施など、スムーズな利用開始を支援してくれるか。
問い合わせ対応電話、メール、チャットなど、問い合わせ手段は豊富か。対応時間は自社の営業時間と合っているか。回答の速さや質は十分か。
カスタマーサクセスツールの活用方法を定期的に提案してくれる専任担当者がつくか。導入効果を最大化するための支援体制が整っているか。
セキュリティ体制データの暗号化、IPアドレス制限、二段階認証などのセキュリティ機能は万全か。ISMS(ISO/IEC 27001)などの第三者認証を取得しているか。
専門性と信頼性サービスが弁護士によって監修されているか。民法や電子帳簿保存法などの法改正に迅速に対応する体制があるか。

これらのサポート体制を手厚く提供しているベンダーを選ぶことで、導入後の「こんなはずではなかった」という事態を防ぎ、リーガルテックの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。

まとめ

本記事では、中小企業におけるリーガルテックの活用術を解説しました。専門人材が不足しがちな中小企業こそ、リーガルテックを導入すべきです。AI契約書レビューや電子契約などを活用することで、法務業務の効率化やコスト削減はもちろん、コンプライアンス強化による経営リスク低減も実現できます。

まずは自社の課題を明確にすることから始め、無料トライアルなどを活用して、事業成長を加速させる第一歩を踏み出しましょう。

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