今さら聞けないバーチャルセールスとは

近年、ビジネスの世界で急速に浸透している「バーチャルセールス」。言葉は聞いたことがあっても、その正確な意味や、なぜ今これほどまでに注目されているのかを詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。この章では、バーチャルセールスの基本的な定義から、従来の対面営業との違いまでを分かりやすく解説します。
バーチャルセールスの定義と注目される背景
バーチャルセールスとは、ZoomやMicrosoft Teams、Google MeetといったWeb会議システムなどのオンラインツールを活用し、遠隔地から顧客とコミュニケーションを取りながら進める営業活動全般を指します。オンライン商談やリモートセールスとも呼ばれ、物理的に顧客先へ訪問することなく、製品やサービスの提案からクロージングまでを完結させることが可能です。
このバーチャルセールスが急速に普及した背景には、主に以下の4つの要因が挙げられます。
- 働き方改革とリモートワークの浸透
政府が推進する働き方改革や、それに伴うリモートワーク(テレワーク)の普及により、従業員がオフィス以外の場所で働くことが一般的になりました。営業担当者も例外ではなく、自宅やサテライトオフィスから効率的に営業活動を行う手段として、バーチャルセールスが不可欠な存在となりました。 - 新型コロナウイルス感染症の影響
パンデミックにより、非対面・非接触でのコミュニケーションが社会全体で求められるようになりました。これにより、これまで対面が基本だった営業活動もオンラインへの移行を余儀なくされ、バーチャルセールスの導入が一気に加速しました。 - テクノロジーの進化とツールの普及
高速なインターネット回線が安定的に供給され、高機能なWeb会議システムが安価もしくは無料で利用できるようになったことも大きな要因です。クリアな音声と映像でストレスなく会話できる環境が整ったことで、オンラインでも対面に遜色ないコミュニケーションが可能になりました。 - 顧客の購買行動の変化
インターネットの普及により、顧客は営業担当者に会う前に、自らオンラインで製品やサービスの情報を収集し、比較検討することが当たり前になりました。そのため、企業側もオンライン上で顧客との接点を持ち、情報提供や提案を行う必要性が高まったのです。
これらの背景から、バーチャルセールスは一過性のトレンドではなく、現代のビジネス環境に適応した、持続可能で効果的な営業手法として確固たる地位を築いています。
対面営業との決定的な違い
バーチャルセールスは、移動がない点以外にも、従来の対面営業(フィールドセールス)とは多くの点で異なります。その違いを理解することが、バーチャルセールスを成功させる第一歩です。ここでは、両者の決定的な違いを比較表で整理してみましょう。
| 比較項目 | バーチャルセールス | 対面営業 |
|---|---|---|
| コミュニケーション | 画面越しのコミュニケーションが中心。表情や声のトーンは伝わるが、身振り手振りや場の空気感といった非言語情報が伝わりにくい。 | 五感をフル活用したコミュニケーションが可能。相手の細かな表情の変化や仕草、その場の雰囲気を敏感に察知できる。 |
| 時間と場所の制約 | インターネット環境があればどこからでも実施可能。移動時間が不要なため、1日に多くの商談を組める。 | 顧客先への物理的な移動が必須。移動時間や交通費が発生し、1日に訪問できる件数には限りがある。 |
| コスト | 交通費、宿泊費、資料の印刷費などが大幅に削減できる。ツールの導入・維持費はかかる。 | 移動に伴う交通費や宿泊費、接待交際費、紙の資料代など、様々なコストが発生する。 |
| 使用するツール | Web会議システム、SFA/CRM、チャットツール、画面共有を前提としたデジタル資料(スライド、動画)などが必須。 | 名刺、紙のパンフレットや提案書、手帳などが中心。PCやタブレットも使用するが、あくまで補助的な役割が多い。 |
| 商談の準備 | 顧客情報のリサーチに加え、通信環境の確認、カメラ・マイクのテスト、背景の設定など、オンライン特有の準備が求められる。 | 顧客情報のリサーチや資料準備に加え、身だしなみや訪問先へのルート確認など、物理的な準備が必要。 |
このように、バーチャルセールスは時間やコストの面で圧倒的な効率性を誇る一方、コミュニケーションにおいては対面営業に及ばない側面もあります。特に、画面越しでは伝わりにくい「非言語情報」をいかに補い、顧客との信頼関係(ラポール)を築いていくかが、成功の鍵を握ると言えるでしょう。
バーチャルセールスを導入するメリットとデメリット

バーチャルセールスは、従来の営業スタイルを大きく変革する可能性を秘めていますが、導入を成功させるためには、その光と影、つまりメリットとデメリットを正確に理解することが不可欠です。
ここでは、バーチャルセールスがもたらす具体的な利点と、導入前に知っておくべき注意点を対策とあわせて詳しく解説します。
導入で得られるメリット
バーチャルセールスを導入することで、企業は単なるコスト削減に留まらない、多岐にわたる恩恵を受けることができます。営業活動の根本的な効率化から、これまでアプローチできなかった新たな市場への扉を開くことまで、そのメリットは計り知れません。
営業活動の効率化とコスト削減
バーチャルセールスがもたらす最大のメリットの一つが、営業活動における時間的・金銭的コストの大幅な削減です。対面営業では必須だった移動時間がゼロになることで、営業担当者は1日により多くの商談をこなせるようになります。例えば、これまで1日に2〜3件が限界だった訪問が、オンラインになることで4〜5件、あるいはそれ以上に増やすことも可能です。
この「移動時間の削減」は、単に商談件数を増やすだけでなく、創出された時間を顧客理解を深めるためのリサーチや、提案資料のブラッシュアップ、丁寧なフォローアップといった、より付加価値の高い活動に充てることを可能にし、営業の質そのものを向上させます。結果として、組織全体の生産性が飛躍的に高まるのです。
また、直接的なコスト削減効果も絶大です。以下のような経費が不要または大幅に削減されます。
- 交通費(電車、タクシー、飛行機代など)
- 遠方への出張に伴う宿泊費
- 紙の提案資料やカタログの印刷・郵送費
- 接待交際費の一部
これらのコスト削減は、企業の利益率改善に直結し、削減した予算をマーケティング活動やツールの導入など、新たな投資に振り向けることができます。
商談エリアの拡大
地理的な制約から解放され、ビジネスチャンスを全国、さらには世界へと広げられる点も、バーチャルセールスの強力なメリットです。インターネット環境さえあれば、顧客がどこにいても、まるで隣にいるかのように商談を行うことができます。
これにより、これまで物理的な距離やコストの問題でアプローチが難しかった地方の優良企業や、逆に地方の企業が首都圏の大市場に挑戦することも容易になります。海外の顧客との商談も、時差を考慮すれば気軽に行えるため、グローバル展開を目指す企業にとっては欠かせない営業手法となるでしょう。
商談エリアの拡大は、新たな顧客層の開拓を促進し、事業の成長を加速させる大きな原動力となります。ニッチな製品やサービスであっても、市場を広げることで、より多くの潜在顧客にリーチできる可能性が広がります。
注意すべきデメリットと対策
多くのメリットがある一方で、バーチャルセールスには特有の難しさや注意点も存在します。しかし、これらのデメリットは事前に対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。ここでは、代表的なデメリットと、それを乗り越えるための具体的な対策をセットでご紹介します。
通信環境に左右されるリスク
オンラインで完結するバーチャルセールスは、自社および顧客側の通信環境にパフォーマンスが大きく依存します。商談の途中で映像がフリーズしたり、音声が途切れたりすると、話の流れが止まり、顧客の集中力を削いでしまいます。最悪の場合、不安定な通信環境は、企業の信頼性そのものを損なう原因にもなりかねません。
このリスクを回避するためには、事前の準備が何よりも重要です。自社側では、安定した高速の光回線(可能であれば有線LAN接続)を準備し、高性能なWebカメラやマイクスピーカーといった機材を揃えることが望ましいでしょう。また、顧客に対しては、商談前に使用するWeb会議ツールのURLを送付し、可能であれば事前に接続テストをお願いするなどの配慮が有効です。万が一のトラブルに備え、すぐに切り替えられる電話などの代替連絡手段を伝えておくと、顧客に安心感を与えることができます。
非言語コミュニケーションの難しさ
対面営業では、相手の表情のわずかな変化や身振り手振り、その場の「空気感」といった非言語情報(ノンバーバルコミュニケーション)から、顧客の感情や本音を読み取ることができました。しかし、画面越しのコミュニケーションでは、これらの情報が著しく制限されます。
相手の反応が読み取りにくいため、一方的なプレゼンテーションに陥ってしまったり、信頼関係(ラポール)の構築に時間がかかったりするケースは少なくありません。この課題を克服するには、対面時以上に意識的なコミュニケーションが求められます。
具体的には、以下のような対策が効果的です。
| 課題となる点 | 具体的な対策例 |
|---|---|
| 相手の反応が分かりにくい |
|
| 信頼関係を築きにくい |
|
| 商談の空気が重くなりやすい |
|
これらのデメリットと対策を正しく理解し、準備を徹底することで、バーチャルセールスの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
売上を伸ばすバーチャルセールス5つの実践的なコツ

バーチャルセールスは、単に対面営業をオンラインに置き換えただけでは成功しません。オンラインならではの特性を理解し、それに最適化されたアプローチが不可欠です。
ここでは、リモート環境でも顧客の心を掴み、着実に売上を伸ばすための5つの実践的なコツを、具体的なアクションプランと共に徹底解説します。明日からの営業活動にすぐ活かせるノウハウが満載です。
徹底した事前準備で商談の質を高める
バーチャルセールスの成否は、商談が始まる前の「準備」で8割決まると言っても過言ではありません。相手の顔が見えにくいオンライン環境だからこそ、入念な準備によって商談の主導権を握り、顧客の信頼を勝ち取ることが重要になります。
顧客情報の収集と仮説構築
商談に臨む前に、顧客に関する情報を徹底的に収集し、課題やニーズについての仮説を立てておきましょう。情報収集が不十分なままでは、的外れな提案をしてしまい、貴重な商談時間を無駄にしてしまいます。
- 情報収集のポイント: 企業の公式ウェブサイト、プレスリリース、IR情報、採用情報はもちろん、担当者や決裁者のSNS(LinkedInやXなど)も確認し、相手の興味関心や人柄を把握します。
- 仮説構築のフレームワーク: 収集した情報をもとに、「BANT条件(Budget:予算、Authority:決裁権、Needs:必要性、Timeline:導入時期)」を意識しながら、「顧客は現在どのような課題を抱えているのか」「自社のサービスがどのように貢献できるのか」という仮説を複数構築します。
- 準備すべきこと: 構築した仮説に基づいて、商談のゴール設定、トークスクリプトの作成、想定される質問への回答を準備しておくことで、当日は余裕を持って対話に集中できます。
接続環境とツールの事前テスト
商談中の「音声が聞こえません」「画面が固まってしまいました」といった機材トラブルは、商談の流れを止め、顧客の集中力を削ぐ致命的な問題です。プロフェッショナルとして、安定した通信環境とツールの操作習熟は最低限のマナーと心得ましょう。
商談前には必ず以下のチェックリストを確認し、万全の体制を整えてください。
- インターネット接続: 可能な限り安定した有線LAN接続を利用する。
- 映像・音声デバイス: PC内蔵のものではなく、高画質のWebカメラやクリアな音声を拾うヘッドセットマイクの使用を推奨。事前にツール上でテスト通話を行い、映り方や聞こえ方を確認する。
- Web会議ツール: 画面共有、録画、チャットなどの基本操作に習熟しておく。事前に同僚と練習し、スムーズに操作できるか確認する。
- 周辺環境: 背景に余計なものが映り込まないよう整理するか、ビジネスにふさわしいバーチャル背景を設定する。また、通知音が鳴らないようPCやスマートフォンの通知はオフにしておきましょう。
可能であれば、商談相手にも事前に接続テストを案内し、当日のトラブルを未然に防ぐ配慮も大切です。
視覚に訴える魅力的なプレゼン資料
非対面であるバーチャルセールスでは、対面以上に「視覚情報」の重要性が増します。相手は手元のPC画面に集中しているため、単調な資料はすぐに飽きられてしまいます。画面共有を前提とした、直感的で分かりやすい資料を準備しましょう。
画面共有を前提とした資料作成術
対面でのプレゼン資料をそのまま流用するのは避けましょう。オンラインでの見やすさを考慮し、以下のポイントを押さえて資料を最適化することが成果への近道です。
- 文字は大きく、情報は少なく: 1スライドに盛り込む情報は1メッセージに絞り、フォントサイズは最低でも18pt以上を推奨します。相手がスマートフォンで参加する可能性も考慮しましょう。
- ビジュアルを多用する: 文章ばかりのスライドは敬遠されます。図解、グラフ、アイコン、画像を積極的に活用し、視覚的に理解を促す工夫を凝らします。
- 配色の工夫: 画面越しでも見やすい、コントラストのはっきりした配色を心がけます。ブランドカラーを効果的に使い、一貫性のあるデザインに仕上げましょう。
- ポインターの活用: プレゼン中は、マウスカーソルやツールのポインター機能を使って「今どこを説明しているか」を明確に示すことで、相手の理解を助けます。
動画やデモを効果的に活用する方法
静的なスライドだけでは伝えきれない製品やサービスの魅力は、動画や実際の操作デモを交えることで格段に伝わりやすくなります。特に、無形商材や複雑な機能を持つソフトウェアのセールスにおいて絶大な効果を発揮します。
- 動画の活用: 顧客の導入事例インタビューや、サービスのコンセプトムービーを2〜3分の短い動画にまとめて見せることで、相手の利用イメージを具体化させ、感情に訴えかけることができます。
- ライブデモのポイント: 実際の操作画面を見せるデモンストレーションは、非常に強力な訴求手段です。事前にリハーサルを重ね、スムーズな操作を徹底しましょう。また、万が一のトラブルに備え、操作画面を録画した動画を代替案として用意しておくと安心です。相手の課題に合わせて、見せる機能を絞り込むことも重要です。
非対面でも信頼を築くコミュニケーション術
バーチャルセールスで最も難しい課題の一つが、非言語情報(表情、身振り手振り、空気感など)が伝わりにくい中で、いかにして顧客との信頼関係(ラポール)を築くかです。意識的なコミュニケーションによって、画面越しの距離を縮める努力が求められます。
オンラインでのアイスブレイクとラポール形成
商談の冒頭、いきなり本題に入るのは禁物です。対面以上に、意識的なアイスブレイクで場の空気を和ませ、話しやすい雰囲気を作ることが重要です。
- カメラ映りを意識する: 常にカメラのレンズを見て話すことを意識しましょう。相手は「自分と目が合っている」と感じ、親近感を抱きやすくなります。また、少し大げさなくらいの頷きや笑顔を心がけることで、熱意や共感が伝わります。
- アイスブレイクのネタ: 相手のバーチャル背景や、LinkedInのプロフィールで見た共通の趣味、最近の業界ニュースなど、事前に調べた情報を元にパーソナルな質問を投げかけると、会話が弾みやすくなります。
- 自己開示: まずは自分から趣味や最近あったことなどを少し話すことで、相手も心を開きやすくなります。「実は私も…」と共通点が見つかれば、一気に距離が縮まります。
相手の反応を引き出す質問力
一方的なプレゼンテーションは、オンラインでは相手の集中力を著しく低下させます。対話をキャッチボールのように続け、相手を商談の当事者として巻き込むための質問力が試されます。
- こまめな確認と質問: 5分に1回は「ここまでで何かご不明点はございますか?」「この点について、〇〇様はどのようにお考えですか?」といった形で相手に問いかけ、理解度を確認しながら進めます。
- SPIN話法の活用: 顧客の潜在的なニーズを掘り起こすためのフレームワーク「SPIN話法」は、バーチャルセールスでも有効です。
- Situation Questions(状況質問): 顧客の現状を把握する質問。
- Problem Questions(問題質問): 顧客が抱える問題や課題を明確にする質問。
- Implication Questions(示唆質問): その問題がもたらす深刻な影響に気づかせる質問。
- Need-payoff Questions(解決質問): 問題解決後の理想の姿をイメージさせ、解決策の価値を認識させる質問。
- 沈黙を恐れない: 質問を投げかけた後、相手が考えるための「間」を恐れないことが大切です。オンラインではつい間を埋めたくなりますが、じっと待つことで、相手はより深い本音を話してくれることがあります。
最新ツール活用でバーチャルセールスを効率化
バーチャルセールスの質と量を向上させるためには、テクノロジーの活用が欠かせません。Web会議システムはもちろん、SFA/CRMといった営業支援ツールを連携させることで、活動を飛躍的に効率化できます。
おすすめのWeb会議システム比較
現在、多くのWeb会議システムが存在しますが、それぞれに特徴があります。自社の営業スタイルや顧客層に合わせて最適なツールを選びましょう。
| ツール名 | 特徴 | こんな企業におすすめ |
|---|---|---|
| Zoom | 通信の安定性と豊富な機能(ブレイクアウトルーム、投票機能など)が魅力。ウェビナー開催にも強い。 | 大人数での商談やウェビナーを頻繁に行う企業。 |
| Google Meet | Googleアカウントがあれば誰でも手軽に利用可能。GoogleカレンダーやGmailとの連携がスムーズ。 | Google Workspaceを社内のメインツールとして利用している企業。 |
| Microsoft Teams | Microsoft 365とのシームレスな連携が強み。チャット、ファイル共有、ビデオ会議が統合されている。 | Microsoft 365を導入しており、社内連携を重視する企業。 |
SFAやCRMとの連携で成果を最大化
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、バーチャルセールスにおける営業活動の羅針盤となります。顧客情報や商談履歴を一元管理し、データに基づいた戦略的な営業活動を実現します。
- 情報の一元管理: 過去の商談内容、メールのやり取り、顧客の課題などをツールに集約することで、担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能です。
- タスク管理の自動化: 商談後のフォローアップメール送信や、次回の連絡時期などを自動でリマインド。対応の抜け漏れを防ぎ、機会損失を最小化します。
- データ分析による改善: 受注率の高い営業担当者の行動パターンを分析したり、失注の原因を可視化したりすることで、チーム全体の営業力を底上げできます。SalesforceやHubSpot、Zoho CRMなどが代表的なツールとして知られています。
次につなげる商談後のフォローアップ
商談が終わった瞬間に気を抜いてはいけません。バーチャルセールスでは、商談の熱量が冷めないうちに、迅速かつ的確なフォローアップを行うことが、次のステップへ進むための重要な鍵となります。
お礼メールと議事録の即時送付
商談後、できれば1時間以内、遅くとも当日中にお礼メールを送ることを徹底しましょう。スピード感のある対応は、相手に「重要視されている」という印象を与え、信頼度を高めます。
メールには以下の内容を簡潔に盛り込みます。
- 時間をいただいたことへの感謝
- 商談で確認した顧客の課題(認識の再確認)
- 自社が提供できる解決策の要点
- 決定事項とネクストアクションの確認
- (もしあれば)質問への回答や補足資料の添付
詳細な議事録も添付することで、相手の社内共有をサポートし、検討をスムーズに進めてもらうことができます。
ネクストアクションの明確化
「検討します」という言葉で商談を終えてはいけません。商談のクロージング段階で、「誰が」「何を」「いつまでに」行うのか、具体的な次のアクションを双方で合意し、その内容をフォローアップメールにも明記することが極めて重要です。
【ネクストアクションの具体例】
- 当方: 本日いただいた課題に基づいた御社向けの詳細な見積もりを、〇月〇日(火)の午前中までにお送りします。
- お客様: 見積もり内容を〇〇部長と共有し、〇月〇日(金)までにフィードバックをいただけますでしょうか。
このように具体的な約束を交わすことで、案件が停滞するのを防ぎ、成約に向けた確実な一歩を踏み出すことができます。
まとめ
本記事では、バーチャルセールスの基本から、売上を伸ばすための5つの実践的なコツまでを網羅的に解説しました。働き方の多様化やDX推進の流れを受け、バーチャルセールスは単なる対面営業の代替手段ではなく、現代のビジネスにおいて不可欠な営業手法となっています。
バーチャルセールスは、営業活動の効率化や商圏の拡大といった大きなメリットをもたらします。一方で、通信環境への依存や非言語コミュニケーションの難しさといったデメリットも存在しますが、これらは適切な対策と工夫によって十分に乗り越えることが可能です。
成果を最大化するための結論として、成功の鍵は「徹底した事前準備」「視覚に訴える資料」「信頼を築くコミュニケーション術」「ツールの活用」そして「迅速なフォローアップ」の5つの要素に集約されます。これらのコツを一つひとつ着実に実践することが、対面と遜色ない、あるいはそれ以上の成果を出すための最短ルートなのです。
この記事でご紹介した実践術を参考に、ぜひ貴社の営業活動にバーチャルセールスを取り入れ、ビジネスの成長を加速させてください。




