WMSとは
WMSとは(Warehouse Management System)の略で、日本語で「倉庫管理システム」や「在庫管理システム」と呼ばれています。WMSには倉庫内作業を効率化できるシステムが組み込まれており、入出庫や在庫管理、検品作業などをデジタル管理できます。
また、WMSは倉庫内にある商品の場所を管理できたり、入出庫作業時の納品書作成もできたりするので、倉庫内作業で行われるさまざまな業務をサポートできます。
他にも棚卸し作業を効率化できたり、倉庫内の在庫情報を一元管理できたりするので、日々の業務を削減できます。
WMSの機能
ここではWMSの主な機能について解説していきます。
WMSの機能 | 機能の内容 |
---|---|
入庫管理 | 商品の入庫予定の確認や入庫ラベル作成ができます。 |
出庫管理 | 出庫予定の確認や、ピッキングリストの作成、納品書の発行などができます。 |
在庫管理 | 在庫数の把握や消費期限、製造年月日を管理できます。 |
棚卸管理 | 棚卸作業リストの作成や、棚卸後の入力などができます。 |
請求管理 | 請求書の作成などができます。 |
返品管理 | 返品があった場合でも記録し、正確な在庫数を確認できます。 |
以上6つがWMSの主な機能と内容です。
次にWMSの種類について見ていきましょう。
WMSの種類
WMSには、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類があります。
それぞれに特徴があるため、導入前に理解しておけば、どちらを選択するか検討しやすくなります。ここでは、WMSの違いを具体的に解説していきます。
クラウド型
クラウド型とは、他社のサーバーシステムをインストールした状態にし、オンラインで使えるようにすることです。
クラウド型には次のような特徴があります。
- 安い費用で導入できる
- サーバー管理が不要
- 自動的にシステムをアップデートできる
- スペックの変更が簡単にできる
- オフラインでは使えない
- カスタマイズしにくい
クラウド型は初期費用を安く抑えられるため、コストを抑えたい方に向いています。
また、自動でアップデートできるため設定する手間を省きたい方にもおすすめです。
オンプレミス型
オンプレミス型とは、社内のサーバーにWMSのシステムをインストールするタイプです。
オンプレミス型には次のような特徴があります。
- 自社の課題に併せた機能をカスタマイズできる
- オリジナル性を実現できる
- 継続的な購入が不要である
オンプレミス型は、自社の課題解決に向けた機能を追加できるため、オリジナリティを実現できます。しかし、初期費用や運用管理費用はクラウド型と比較すると高額です。
また、オンプレミス型は導入後のメンテナンスをするため、専属のSE(システムエンジニア)を社内で配置する必要があります。
WMS導入のメリット
ここではWMS導入のメリットを3つ解説いたします。
- 人為的なミスを減らせる
- 業務を効率化できる
- 倉庫内のロケーション管理が容易になる
1つずつ順番にみていきましょう。
人為的なミスを減らせる
WMSは人為的な入力ミスなどがあった場合は、警告メッセージが表示されるのでミスを防げます。例えば発注する数量を間違えたり、棚卸したデータを誤って消しそうになったりした場合なども警告表示されますので安心して作業できます。
そのほかにも、WMSは人為的なミスにより大きな損害が出てしまう前に、機械と人でダブルチェックできます。また、WMSはラベル発行ができるため、ラベルをスキャンすれば人為的な入力ミスも防げるメリットがあります。
業務を効率化できる
倉庫内の商品は入庫や出庫、返品により数が変動します。返品が多いと人の操作によるミスが発生するケースが多く、棚卸時に在庫数と販売数が合わなくなるリスクがあります。
しかし、WMSには返品管理機能もあるため、ミスを防ぎながら管理できます。
また、WMSはアルバイトやパートなどの未経験者でも操作が簡単なため、短時間で覚えられるメリットもあります。
倉庫内のロケーション管理が容易になる
WMSを導入すると、倉庫内の商品の場所が簡単にわかるため、商品をすぐに探し出せます。
例えばお客様や取引先からの問い合わせがあれば、お待たせすることなく案内できるため、スムーズに対応できます。
また、WMSは倉庫内のロケーションを変更すると、システムにすぐに反映されるため、倉庫内の商品を探し回らずにすみます。
WMSがあれば、商品が移動したとしてもすぐに特定できるため、担当者が不在でも管理しやすく、倉庫も整理された状態を保てるでしょう。
WMS導入のデメリット
ここではWMSのデメリットを2つみていきましょう。
- 期待した効果が得られないリスクもある
- 導入すると教育時間やコストがかかる
1つずつ順番に解説します。
期待した効果が得られないリスクもある
WMSを導入した結果、期待した効果が得られないという事例もあります。
一番多い事例は、システム導入時に目的をしっかり明確にできていないことが挙げられます。
WMSは導入の目的が明確にできていないと、自社にとって本当に必要な機能は何かがわかりにくいため、導入効果は期待できないでしょう。WMSを導入するときは、なぜ導入する必要があるのか、必要な機能は何かを現場スタッフと話し合い明確にしておきましょう。
現場スタッフの意見を聞きながら導入の目的を明確化すれば、期待通りの効果を得やすいでしょう。
導入すると教育時間やコストがかかる
自社で運用するWMS(オンプレミス型)には、システム構築の費用をはじめ、社員にWMSの使い方を教える時間も必要です。オンプレミス型のWMSは、カスタマイズしやすい特徴があるため、初期費用が高額です。
他にも、導入後はWMSの操作を担当者から教わる時間を作りましょう。
WMSを導入してもすぐに使いこなすのは難しいため、社員教育の時間をどれだけ作るのかも併せて考えておくと良いでしょう。
WMSの導入までの流れ
WMSを導入するまでの流れを簡単に説明いたします。
主な導入までの流れは次の通りです。
- 現場スタッフを交えて社内で課題を洗い出す
- WMS導入を決定する
- どのWMSにするか選ぶ
- システム会社と打ち合わせする
- システムを試験的に実施する
- 最終決定する
- 社員教育を実施する
以上がWMS導入までの基本的な流れです。
WMS導入を検討しているときは、導入までの流れを社員に共有しておきましょう。
社員とともにWMSを導入する目的や、今後の改善点などを一緒に理解していき、システム会社の打ち合わせにも参加してもらいます。
打ち合わせに参加すれば、不明点は担当者に質問できますし、自社の問題点や改善点を全員で共有できるので導入効果を得やすくなります。
WMS導入の失敗事例
ここでは、WMS導入の失敗事例を3つ紹介していきます。
今後、WMSの導入を考えている方は参考にしてみてください。
- 各関係先との連携不足で業務効率が低下した
- サポートのサービスレベルが不十分だった
- カスタマイズ費用がかかりコストが増大した
1つずつ順番にみていきましょう。
各関係先との連携不足で業務効率が低下
WMSシステムを導入すると、今までの業務の流れが変わることもあります。
業務内容の変更点は、各関係部署のみならず、取引先などにも連絡し変更点を伝えておきましょう。後述しますがサポートセンターとの連携も非常に重要になります。
各関係先との連携不足があると、急なトラブルに対応しにくくなったり、理解を得られなかったりします。業務効率向上のためにWMSを導入しても、連携不足があれば、反対に業務効率の低下を招いてしまいます。
サポートのサービスレベルが不十分
実際にWMSを利用したら提供元のサポート体制が整っておらず、トラブル時に対応が遅れたなどの事例があります。
WMS導入を検討しているときは、サポートセンターの体制やサービスレベルについても確認しておきましょう。確認するべき項目は次の通りです。
- 担当者がこちらの質問にしっかり答えているか
- 営業時間と年末年始などの長期休暇の対応
- 緊急連絡先の確認
- トラブル時は訪問して迅速に対応できるか
以上を確認し、サポートセンターの対応をチェックしましょう。
カスタマイズ費用がかかりコストが増大
WMS導入時は初期費用の他に、カスタマイズ費用はいくら発生するのか確認しておきましょう。WMSの本体は低価格であっても、追加したい項目が多いとコストが上乗せされ、トータルコストが増大する可能性もあります。
予算内のコストにするためには、カスタマイズ時に発生する費用や、事前に追加しておきたい機能を伝え、価格を確認しておきましょう。
まとめ
WMSを導入するときのチェックポイントは次の通りです。
- 費用を抑えることを重要視しているか
- 自社の問題解決のためにカスタマイズしたいのか
- カスタマイズするなら予算はいくらか
- 目的に見合った機能が備わっているか
- サポート体制は十分か
以上を確認し、目的に見合ったシステムの導入や、提供元と契約してください。
WMSの導入は経営者だけでなく、必ず現場スタッフの意見も取り入れるようにし、会社全体で取り組んでいけば導入効果を得やすいでしょう。
WMS導入を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。