情報資産とは?
情報資産とは、平たく言うと「データ」のことを指します。
私たちは日々、さまざまなデータを扱い、それが元となって利益を生み出すことにつながっていたり、生産性の向上や企業の拡大などに至っています。
では、具体的に何が情報資産として該当するのでしょうか。
情報資産の要素
情報資産として該当するのは、パソコンやスマホなどの中に蓄積されているもの、USBメモリやSDカード、クラウド上に蓄積されているものに至るまで、あらゆるデータが情報資産に該当します。それは、デジタル情報だけではなく、書類などの紙の情報も「情報資産」にあたります。
ビジネスシーンにおいて、情報資産として比較的価値が高いと判断されやすいのが、クライアント・お客様に関する情報です。やりとりの履歴やログのほか、個人情報、財務情報などが挙げられます。
また、社内の情報資産としては、社内システム関連のソースコードや、人事情報、各種契約関連が社内で重要な情報資産となります。
情報資産は外部に漏洩することのないようにセキュリティ対策等を徹底することが求められます。仮に、情報資産が流出してしまうと企業の信頼性に関わるだけではなく、金銭的な損害、最悪の場合は企業の存続の危機に陥ることも考えられます。
情報資産の重要性
情報資産は、近年のデジタル化に伴い蓄積・活用が比較的容易になりました。蓄積されたデータは、すべてが企業にとっての財産。顧客情報や個人情報、競合他社に関する情報に至るまで、企業の利益となりうる存在です。適切に分析・解析を行えば、一層の企業の成長を期待できる場合もあるでしょう。
紙ベースの時代とは異なり、端末1台あればどんどんデータを蓄積していくことができるため、情報資産は積み上がっていく一方。膨大なデータをどう扱うかで、この激動の時代を生き抜けるか否かが左右されると言っても過言ではありません。
情報資産を失わないために把握しておくべきこと
情報資産を失わないためにも、把握しておきたい点がいくつかあります。
大切なデータを適切に扱い、社内の資産として活用するためにも以下の点を覚えておきましょう。
情報資産を徹底的に管理する
情報資産を失わないためにも、管理体制に目を向けましょう。
紙ベースで情報を扱っていた時代とは異なり、現在はパソコンやスマホ、タブレットなどから気軽にデータにアクセスできるようになりました。
場合によっては、外部からのアクセスも可能となるため、徹底した管理が重要となります。たとえば、HDDやSDカード、USBメモリなどはどのように管理するのかを決めます。保存媒体だけではなく、そもそも日々の業務の中で使用しているパソコンやスマートフォン、タブレットなどの使用・保管に関するルールも設けなければなりません。
実際、企業の情報資産の管理体制を見てみると、「とくにルールを設けていない」「個人野判断に任せている」といった声が少なくありません。
仮に、社外へ持ち出した端末が盗難にあったり、カフェなどの共有のWi-Fiを使用したことで情報資産に不正アクセスされてしまったりした場合、企業としては大きな損失となる場合があります。
社員がアクセスできるデータはすべて重要な情報資産であり、万が一流出したら大規模な損害を被るリスクがあると捉え、きちんと対策しなければなりません。
移動・保存などのログを保存・監視する
大切な情報資産を守るためにも、データの移動や読み書き、削除、など、すべてのアクションを保存もしくは監視できるようにしましょう。
誰がどのデータにアクセスし、どのような操作をしたのかなどが常に把握できる状態にあると、万が一情報漏洩の可能性が生じても早期発見できます。そのうえ、社内から故意にデータを持ち出す人物がいた場合にも、問題の関係者を割り出しやすくなるでしょう。
また、手間はかかりますが、データごとにアクセス権限を割り振ることも忘れてはいけません。特定のデータに対し、どこまでの社員がアクセスできるかを明確に設定しておくことは、情報漏洩リスクを下げる狙いがあります。
少なくとも、クライアント情報や顧客・社員の個人情報、社外秘情報などはきちんとアクセス権限を設定しましょう。
扱う担当者のセキュリティ性を把握する
情報資産を守るにあたり、そのデータを扱う担当者のセキュリティ性を把握することが大切です。
大切なデータをどのように扱うべきなのか、セキュリティ意識の高い人材がデータを扱う担当者として相応しいといえます。
実際、昨今のデジタルデータは、あらゆるサイバー攻撃により常に危険に晒されている状態です。過去には、行政の担当者が、受信したメールのリンクをクリックしただけでウイルスに感染し、地域住民のデータが流出してしまった例もあります。
また、目を向けるべきは、社外からの攻撃だけではありません。内部不正による情報漏洩リスクも視野に入れる必要があります。社内の人間が、社外秘の情報を簡単にコピー・移動・印刷できないように各データに設定しておくなどの対策が必要となるでしょう。
会社を守りながら、従業員の不正を防ぐことが、現代の企業に求められています。
情報資産を管理する方法
情報資産の管理野必要性について理解をしていても、具体的な管理方法について悩む方は少なくありません。
ここからは、情報資産を適切に管理する方法をご紹介します。
台帳へ記入する
情報資産を管理する方法として、まず挙げられるのが台帳への記入です。
「どの情報を」「誰が」「どこまで管理するのか」を明確にすることが、情報資産を守る上では重要です。
そのため、台帳を活用して、データの保存先の情報や管理者、登録日、保存期限などで分けて記録しておくことで、社内不正を防ぎつつ、万が一の情報漏洩における責任の所在を明確にすることができます。
記録した管理台帳は定期的に見直したり、情報が変更されるたびに記録内容も変更し、常に最新の状態を維持できるようにしましょう。
クラウドで管理する
情報資産の管理方法として、近年多くの企業が導入しているのがクラウドでの管理です。
クラウドとは、特定のソフトなどをインストールしなくても使用できるサービスのこと。インターネットを経由して、必要なデータを保存したり、クラウド上で変更を加えたりすることができ、アクセス権限やリンクの共有があれば、どこの端末からでもアクセスできるのが魅力です。
データの保存に対応しているクラウドであれば、セキュリティ対策を徹底していることも多く、安心して情報資産を管理しやすいといえます。
ただし、セキュリティ性能のレベルや、堅牢性などに関しては、クラウドサービスによって差があるのが現状です。複数のクラウドサービスをチェックしてみて、信頼できるクラウドを探してみるといいでしょう。
情報資産をより安全に管理するためのポイント
情報資産をより安全に管理するためにも、前項の基本的な管理方法に加え、以下のポイントも合わせておさえておきましょう。
セキュリティ人材へのバックアップを行う
情報資産をより安全に管理するためにも、セキュリティ人材へのバックアップを行いましょう。
大切な情報資産をより高いレベルで守るためには、現時点で判明しているセキュリティ関連の不備・不満等を確認したり、必要としているシステムの導入を進めたりするなど、なるべく担当者が求めている環境を整えていくことが望ましいといえます。
また、優秀なセキュリティ人材の離職を防ぐためにも、待遇の見直しや他の部門・部署と大差ない予算をあてるなど、配慮することも重要でしょう。
近年、国内ではセキュリティ人材が不足気味であることから、貴重な人材確保のためにもセキュリティ人材へのバックアップは欠かせません。
常に最新の状態に保っておく
情報資産を徹底して管理するためには、データ関連・セキュリティ関連の情報はすべて最新状態に維持しましょう。
せっかく管理台帳などを活用してセキュリティ対策に臨んでいても、記録内容が古いままではセキュリティ対策に穴が生じてしまいます。また、急なトラブルに速やかに対応するためにも、最新のセキュリティ体制であることは基本です。
情報漏洩等の問題は、いつ起きるのかは分からないため、今日・明日問題が生じても対応できるくらいの対策が望ましいでしょう。
ちなみに、セキュリティの情報を常に最新にしておくことは、離職等の急な人材不足にも対応しやすくなります。現時点のセキュリティ対策について、すぐに共有できるため、情報のアップデートに関するルールを設けておくといいでしょう。
ゼロトラストセキュリティに基づいた業務の流れに再構築する
より安全に情報資産を管理するためのポイントとして、「ゼロトラストセキュリティ」に基づいた業務の流れに再構築すること」が挙げられます。
ゼロトラストセキュリティとは、情報資産を守るために、安全性を検証し、脅威を防ぐことを指します。
インターネットを経由するものであれば、通信経路を暗号化させたり、ユーザー認証を強化させたりすることが該当します。
また、社内での取り組みとしては、紛失・盗難のリスクを回避するために「メモリ関連の持ち運びの手順をなくす」といったものもあります。
データやネットワークへのアクセスを制限することで、情報資産をより確実に守りやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、情報資産について詳しく解説しました。
情報資産の要素や重要性、大切なデータを守るために必要なことなど、現代におけるさまざまなリスクを回避するためにも知っておかなければならないことは多いものです。
社内不正のほか、外部からの脅威にも対策を施さなければならず、企業は常に備え続けなければなりません。
大切な情報の流出を防ぎ、企業からリスクを遠ざけるためにも、これを機に社内のセキュリティ対策について改めて考えてみてはいかがでしょうか。