業務マニュアルとは?
業務は、特定の作業を円滑に進めるために必要な手順書のような存在です。どのような工程で業務を進めていくのか、何を判断基準とするのか、どのようなノウハウを活用すればいいのかなどを示します。業務マニュアルは、作業の円滑化及びサービスの品質保持のためにも欠かせない存在です。
業務マニュアルの作成手順
業務マニュアルは、どのように作成していく必要があるのでしょうか。業務マニュアルの作成が初めての方へ向けて、具体的な作成手順について解説します。
メンバー・スケジュールを策定する
業務マニュアルを作成する際に、まず必要となるのがメンバーとスケジュールの確定です。なるべく、各部署から2名を選出し、1人は業務経験者、もう1人は新人や業務に慣れていない担当者を選んでください。
マニュアルを作るにあたって、業務経験者のみが中心となって作成を進めてしまうと、業務に慣れていないメンバーでは理解の難しい内容になるリスクがあるからです。なるべく「経験者」「未経験者」の両方をメンバーに加えましょう。
また、マニュアルをいつまでに作成するのかも明確にします。スケジュールが不明確では、段取りが悪くなってしまったり、そもそも完成しないまま時間だけが過ぎていくといったリスクもあるので注意してください。
情報収集・課題点を抽出する
マニュアルを作成する際には、マニュアルに落とし込むための情報収集と課題点の抽出を行います。情報収集は、マニュアル化する部分と担当者個人の裁量に任せる部分とを明確にするためにも必要な工程です。
課題点の抽出では、現時点で進捗に問題のある業務を洗い出すための工程です。業務に課題がありながらマニュアルを作成しても、本当に活用できるマニュアルには仕上がらないからです。マニュアル作成のタイミングで、課題点の抽出も同時に行うことを検討してみてください。
たたき台を作成する
情報収集と課題点の抽出が完了したら、マニュアルのたたき台を作成しましょう。大まかな目次や概略を作成し、適宜順番を入れ替えたり、要素を付け足ししながら適切な構成を作成していきます。
なお、たたき台を作成する段階では、外部の意見を反映させる必要はありません。たたき台作成の段階で外部の意見を取り込むと、構成がまとまりにくくなってしまうため、まずは作成メンバーのみで対応を進めていきましょう。
フィードバックを確認し本番に反映させる
作成したたたき台を、各部署に共有して内容に沿って業務を進めてもらいましょう。業務を進めるにあたって問題点があれば、フィードバックしてもらい、たたき台の内容を調整していきます。
内容を調整して終わりではなく、調整後にも再度実際の業務で活用してもらいPDCAを回しながらマニュアルの内容を確定していきましょう。繰り返し確認した後、問題がなければ本番のマニュアルを作成していきます。
効果を検証する
本番マニュアルを作成し、運用を開始します。しかし、マニュアルは作成・運用して終わりではありません。
マニュアルに沿って業務を行い、運用前後の効果検証を行ったり、成果が出ていないときには対策を考えたりする必要があります。追記や修正を加える際には、修正履歴を記録しておくことで、将来的に運用変更をする際のヒントになるでしょう。
業務マニュアルを作成するメリット・デメリットは?
業務マニュアルを作成するメリット・デメリットは何なのでしょうか。現時点でマニュアルが運用されていない企業や、これから業務マニュアルの作成を検討している担当者の方は参考にしてみてください。
業務マニュアルを作成するメリット
まずは、業務マニュアルを作成するメリットについて解説します。自社にとって気になるメリットがないか、以下から見ていきましょう。
品質を均一化・標準化できる
業務マニュアルを作成するメリットとして、まず挙げられるのが品質の均一化や標準化ができる点です。誰が対応しても一定の品質を保つためにも、業務マニュアルは欠かせません。
また、品質の均一化・標準化が実現できれば、人為的なミスの削減にもつながります。また、マニュアルを作成しておくことで、万が一ミスが起きても内容に沿って原因を追求しやすくなるので便利です。
属人化リスクを低減できる
業務における属人化リスクを低減できるのは、業務マニュアルを作成するメリットの一つです。「マニュアルを確認すれば誰でも業務ができる」といった環境に整えておくことで、万が一担当者が離職したり、欠勤したりしても別の従業員でカバーしやすくなります。
また、属人化の対策はコンプライアンス遵守にもつながります。「担当者がいないと現場が機能しない」といった事態に陥らないよう、業務マニュアルを作成しておきましょう。
人材の育成や研修リソースを削減できる
業務マニュアルは、その業務を行うための手順やノウハウ、判断基準をまとめた資料です。そのため、人材育成や研修などの一部を業務マニュアルでまかないやすく、リソースの削減を期待できます。
また、「教わったものの忘れてしまった」といった場合、再度質問する必要がなくなるので、双方の業務の効率向上を期待できます。とはいえ、人材育成や研修を業務マニュアルだけで対応できるわけではないので、あくまでも「育成・研修の一部」と捉えて取り入れましょう。
業務マニュアルを作成するデメリット
業務マニュアルを作成するメリットは多く、さまざまなシーンで重宝されることは間違いないでしょう。しかし、一方で業務マニュアルを作成するデメリットも存在します。ここからは、業務マニュアルを作成するデメリットを見ていきましょう。
マニュアル通りにしか動かなくなる可能性がある
業務マニュアルを作成するにあたって、最も懸念すべき点でもあるのが「担当者がマニュアル通りにしか動かなくなる可能性がある」です。業務マニュアルという指針が、担当者にとって「これさえ守れば良い」といった考えに至らせる場合があります。
臨機応変な対応が難しくなったり、無意識に行動や発言を自分で制限してしまったりするなどのリスクが考えられるでしょう。あくまでも「マニュアルは指針であること」ということに触れたうえで、自分で思考・判断する姿勢も重要であることを説明することをおすすめします。
整備にリソースがかかる
業務マニュアルを作成するにあたって、デメリットとなるのが整備のためにリソースを要する点です。本記事でも触れた通り、業務マニュアルの作成のためには事前の準備が必要です。
作成メンバーやスケジュールの策定、情報収集や課題の抽出、フィードバックをもとに加筆修正など、マニュアルを作成するためには、とにかく手間と時間が必要。社内のリソースを確保できないとマニュアル作成が難しくなることが考えられます。
業務マニュアル作成のポイントは?
業務マニュアル作成のポイントとして、何が挙げられるのでしょうか。ここからは、マニュアル作成が初めての方に向けて、作成時のポイントを解説します。
作成の目的を明確にする
業務マニュアルを作成するにあたり、まずおさえておきたいのが作成の目的です。なぜ業務マニュアルを作成するのか、目的を明確にしなければ内容が決まらなかったり、限られた従業員しか活用できないマニュアルになってしまったりするリスクがあります。
業務マニュアルを作成する目的は、「誰もがその業務に対応できるようにすること」であることを今一度確認することが大切。その目的を視野に入れて、マニュアル作りに反映させることが大切です。
電子化も検討する
業務マニュアルを作成する際には、電子化することも検討しましょう。従来のマニュアルは紙ベースが一般的でしたが、電子化することで端末があればどこからでも確認できるので便利です。
また、電子化でクラウド上に保存すれば、インターネット環境が整っている場所であれば端末を問わずに確認することが可能。マニュアルの利用率が高くなり、品質の均一化やミスの予防へとつなげやすくなるでしょう。
図・フローチャートを活用する
業務マニュアルは、テキストだけで作成するのではなく、図やフローチャートも活用しましょう。テキストのみのマニュアルは読みにくいうえに、理解に時間がかかることも多いため注意が必要です。
また、システムの操作方法などをマニュアル化する際には、実際に画面上で操作しているシーンをキャプチャで撮影してマニュアルに取り入れるのもおすすめです。「どのように設定したらいいのか」「画面のどのボタンを選択するのか」などがより分かりやすくなるでしょう。
業務マニュアル作成における注意点は?
業務マニュアルを作成するにあたって、あらかじめ知っておくべき注意点があります。どのような注意点をおさえたうえで業務マニュアルを作成すればいいのか確認していきましょう。
5W1Hを意識する
業務マニュアルを作成する際には「5W1H」を意識して構成や内容を考える必要があります。「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」を明確にしたマニュアルを目指すことで、正確に内容が伝わりやすくなります。
マニュアルを読む人の対象や、利用シーン、対応の理由などを整理することが大切です。上記をふまえて構成の流れや内容の順番を決定することで、読みやすさや理解のしやすさもアップします。
定期的に更新をする
業務マニュアルは作成・運用して終わりではありません。定期的に見直しを行い、必要に応じて更新します。
実際、運用当初とは業務フローが変わったり、社内環境が変化したりすることは多いものです。期間が経つにつれて、業務マニュアルが使われなくなっていくこともあるので、定期的に利用状況も確認してみると良いでしょう。
期日・見本を示す
業務マニュアルは、単純に業務の手順や目的などを示すだけでは不十分です。どの業務をいつまでに対応するのかといった期日を示すことも大切です。
また、見本を準備できるのであれば、参考としてマニュアルに取り入れることをおすすめします。作業の完成形が分かれば、業務が初めての方でもゴールが見えやすくなるので、ぜひ検討してみてください。
まとめ
今回は業務マニュアルの概要や作成する方法、作成のメリット・デメリットなどについて解説しました。業務マニュアルの作成には労力がかかるものの、作成できれば業務の円滑化や品質の均一化、属人化の対策などさまざまなメリットがあります。
また、マニュアルの作成をきっかけに、社内・現場の課題抽出にもつながるので、これを機に業務マニュアルの作成を検討してみてはいかがでしょうか。本ページの「業務マニュアルの作り方」を参考にしながら、ぜひ作成を進めてみてください。
参考:資料作成ツールのおすすめ10選!納得いく資料作りが可能に【無料もあり】|DGCLOSS
【SNSフォローのお願い】
kyozonは日常のビジネスをスマートにする情報を毎日お届けしています。
今回の記事が「役に立った!」という方はtwitterとfacebookもフォローいただければ幸いです。
twitter:https://twitter.com/kyozon_comix