プロキシとは?
プロキシ(Proxy)とは、日本語で「代理」と訳されることから転じて、インターネットへの接続を代理で行うシステムのことを指すIT専門用語として使われています。
通常、Webサイトに訪問する際には、スマートフォンやパソコンなどのWebブラウザからインターネット回線を通じて直接アクセスします。
一方、プロキシを使うと、WebブラウザからWebサイトに直接アクセスするのではなく、プロキシサーバーを経由してWebサイトへアクセスします。そして、プロキシサーバーがWebサイトサーバーからデータを受け取り、クライアント(ユーザー)のWebブラウザへ表示します。
このように、プロキシはクライアントの代わりにWebサイトへアクセスする役割を持ち、クライアントとWebサイトの中継役とも言える存在です。
Webサイトに直接アクセスしないため、セキュリティ対策の面でも注目されています。
ちなみに、企業のセキュリティ対策方法は多岐にわたります。スパムメールなどの悪意のあるメールを防御する「メールセキュリティ」もそのひとつ。メールセキュリティサービスについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参考ください。
プロキシの仕組み
一般的にWebサイトへアクセスする際、パソコンやスマートフォンからWebサイトのサーバーへ直接リクエストを送り、Webサイトのサーバーがリクエストを受け取って情報を返すことで、Webサイトを閲覧できます。
しかしプロキシを経由する場合は、一般的なアクセス方法とは仕組みが異なります。
詳しい仕組みを、パソコンからWebサイトにアクセスする例を用いて解説します。
- パソコンからWebサイトへのアクセスをリクエストする
- プロキシサーバーがリクエストを受け取り、該当のWebサイトのサーバーへアクセスのリクエストを送る
- Webサイトのサーバーが、リクエスト通りの情報をプロキシサーバーへ返す
- プロキシサーバーが情報を受け取り、クライアントのパソコンへ情報を渡す
- クライアントのパソコンでWebサイトが閲覧できる
プロキシを経由しても、クライアントのパソコンには特別な表示がされないため、クライアント側の視点では通常時と変わらずにWebサイトにアクセスできているように見えています。しかし裏側では、上記のようにプロキシを経由してアクセスしているのです。
プロキシの種類は?
プロキシにはいくつかの種類があり、目的によって適したプロキシが異なります。
それぞれの特徴を解説するので、自社に合ったプロキシの種類を見つけましょう。
種類1:フォワードプロキシ
フォワードプロキシとは、一般的なプロキシサーバーのことを指し、クライアントとWebサイトの中継役となるプロキシです。
クライアント側に設置してWebサイトへのアクセスを代行するため、クライアント側のIPアドレスなどの情報が守られます。そのため、セキュリティ対策として取り入れている企業も多く存在します。
種類2:リバースプロキシ
リバースプロキシとは、クライアント側に設置するフォワードプロキシの逆で、Webサイトのサーバー側に設置するプロキシです。Webサーバーにアクセスしてくる通信を制御する目的で導入されています。 Webサーバーの負荷軽減のほかにも、不正アクセス対策として導入している企業も多く見受けられます。
種類3:透過型プロキシ
通常、フォワードプロキシは各クライアントのWebブラウザごとに設定します。従業員数が多いと、すべてのWebブラウザに適用するには多くの時間や手間がかかるため非効率です。 そこで活用されているのが透過型プロキシです。透過型プロキシは、社内ネットワークの出入り口に設置します。 そのネットワークを利用するすべてのWebブラウザに適用されるため、設定や管理の時間・手間を大きく削減できます。
プロキシを利用するメリット・デメリットは?
プロキシは、クライアントの代わりにWebサイトへアクセスしたり、Webサイト側に設置するとサーバーの負荷を軽減したりする役割を持ちます。また、セキュリティ対策としても有効な手段です。
ここからは、プロキシを利用するメリット・デメリットについて詳しく紹介します。
プロキシを利用するメリット
まずは、プロキシを利用するメリットから解説します。
メリット1:匿名性が確保される
プロキシを利用する大きなメリットは、匿名性を確保できる点です。
通常、Webサイトにアクセスする場合、クライアント側のIPアドレスなどの情報がWebサイト側に記録されます。IPアドレスなどの情報を分析すると、アクセス元の企業情報を把握できます。
インターネット上には膨大な数のWebサイトが存在し、その中には情報搾取を目的とした悪意のあるWebサイトもあります。そうしたWebサイトに情報を取られ、サイバー攻撃や詐欺などの被害に遭う可能性もゼロではありません。
一方、プロキシを介してWebサイトにアクセスすると、アクセス元のネットワークやパソコンなどの情報が搾取されることがないため安心です。
このように、企業のセキュリティ面のリスクを防ぐためにも、プロキシを使って匿名性を確保しながらインターネットを利用できる点がプロキシのメリットでしょう。
メリット2:再訪するサイトの表示が高速化される
プロキシには「キャッシュ」という機能が搭載されているものもあります。キャッシュとは、過去に閲覧したWebページの情報を保存できる機能です。
キャッシュがないと、アクセスするたびにWebページに含まれている画像や動画、テキストなどのデータを送受信する必要があります。そのため、表示するまでに時間がかかります。何度もアクセスする必要のあるWebサイトだと、そのたびに表示に時間がかかって、不便さやストレスを感じるでしょう。
しかしキャッシュがあると、過去にアクセスしたWebページの画像や動画などのデータはキャッシュに保存されているため、再びデータの送受信をする必要がありません。プロキシが保存しているデータをすぐにクライアントに返せるので、再訪するWebサイトの表示が高速化するのです。
メリット3:アクセスログを確認できる
プロキシには、アクセスログを記録する機能も搭載されています。どのパソコンが・いつ・どこから・どのWebサイトにアクセスしたか、といった情報を確認できます。
従業員が危険なWebサイトにアクセスしていたり、業務に関係のないWebサイトを閲覧したりしていても、アクセスログを確認するとすぐに状況を把握できます。
また、サイバー攻撃を受けた際にも、プロキシを確認すると不正アクセスを特定したり被害状況を把握したりすることが可能です。
パソコンを1台ずつ確認しなくてもプロキシでログを確認できるため、利便性が高いと言えるでしょう。
プロキシを利用するデメリット
プロキシを利用するメリットは多いですが、注意すべきデメリットもあります。プロキシを導入する際には、デメリットも理解したうえで検討しましょう。
デメリット1:プロキシに情報が伝達される
プロキシを使うとアクセス先のWebサイトには情報が渡りませんが、プロキシ自体には情報が渡ります。 しかしプロキシの中には、情報搾取を目的とした不正なプロキシも存在する点には注意しなければなりません。特に「公開プロキシ」と言われる、インターネット上に公開されて誰でも利用できるプロキシの場合、手軽に利用できる特性を逆手にとって、多くのクライアントのIPアドレスなどを搾取していることもあります。
プロキシを設置する場合には、社外からはアクセスできない非公開プロキシを使いましょう。
非公開プロキシを導入する場合には、自社で構築するか、信頼できるベンダー(提供会社)を見極める必要があります。 最近では、オンプレミスで設置するプロキシだけでなく、クラウド上で利用できるプロキシも登場しています。それぞれの特徴やコストを比較して、自社に合ったプロキシを見つけましょう。
デメリット2:キャッシュがないページなど、通信が遅くなる場合もある
プロキシを利用すると、プロキシを経由するという一手間が加わるため、一般的なWebサイトへアクセスする方法よりも通信の手間が増えます。
そのため、プロキシにキャッシュが保存されていれば2度目以降のアクセスは高速化できますが、キャッシュが利用できないWebページの場合、毎回の通信に手間がかかります。よって、通信速度も遅くなるでしょう。
また、海外のクラウドプロキシサーバーを使うと、日本とは距離があるため通信に時間がかかる傾向にあります。さらに、アクセスするクライアント数が多すぎるとプロキシサーバーに負荷がかかり、通信速度が低下することもあるため、注意が必要です。
まとめ
インターネットが進歩し、より便利さを増している一方で、サイバー攻撃や情報流出などのリスクも高まっています。こうしたリスクを回避するためにも、企業は「プロキシ」を導入して匿名性を保ちながら、インターネットを利用することをおすすめします。
しかし、プロキシ自体に情報がわたる危険性もあるため、信頼できるベンダーを見極める必要があるでしょう。
ぜひ本記事を参考にして、プロキシのメリット・デメリットを理解したうえで導入を検討してください。
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