eKYCとは
eKYCとは「Electronic Know Your Customer」の略称で、本人確認をオンラインで行う方法を指します。
従来、利用者や契約者などの本人確認を行う場合、運転免許証などの身分証明書を対面もしくは郵送で提出する方法が一般的でした。この方法では、身分証のコピーや書類の記入、郵送などに手間や時間がかかるため利用者の負担が大きいことが課題となっていました。また企業にとっても、利用者から届いた書類の紛失や見落としなどのリスクがあります。
しかしeKYCの場合、利用者はスマートフォンがあれば簡単に本人確認ができますし、企業はオンラインで利用者情報を保存できるため紛失や盗難などのリスクを防げるのです。
eKYCの仕組み
eKYCは、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下、犯収法)が改正され、新しい非対面での本人確認方法として規定された方法です。
eKYCの方法については、同法律の施行規則第6条第1項第1号にて詳しく記載されているので、主な本人確認の方法と仕組みを紹介します。
※参照:平成30年改正犯罪収益移転防止法施行規則(平成30年11月30日公布)に関する資料|警視庁
本人の顔写真+本人確認書類の画像
施行規則第6条第1項第1号ホで規定されているのは「本人の容貌を確認できる画像」と「写真付き本人確認書類の画像」を送付する、「ホ方式」と言われる方法です。
あらかじめ撮影された顔写真の場合、なりすましや加工などの可能性が否定できません。そのため、その場で撮影してすぐに送ることで、送付者本人の顔写真であることを証明します。
そして、運転免許証などの写真が付いている身分証明書の顔写真と、本人の顔写真が一致しているかどうかチェックすることで、本人確認を行います。
本人の顔写真+本人確認書類のIC情報
施行規則第6条第1項第1号ヘで規定されている「本人の容貌を確認できる画像」と「写真付き本人確認書類のIC情報」を送付する方法は「ヘ方式」と言います。
運転免許証やマイナンバーカードなどICチップが埋め込まれている身分証明書を用意し、スマートフォンでIC情報を読み込みます。
その他の方法
ホ方式とヘ方式は、eKYCの方法のなかでも利用頻度の高いものです。ほかにも、本人確認書類と銀行口座の情報を使う方法や、IC情報と郵便を使う方法などもあります。
eKYCサービスおすすめ10選
eKYCサービスにはさまざまな種類がありますが、ここでは以下のサービスを10製品紹介します。
- TRUSTDOCK
- GMO顔認証eKYC
- LIQUID eKYC
- ネクスウェイ本人確認サービス
- Digital KYC
- LINE eKYC
- Polarify eKYC
- ProTech ID Checker
- Deep Percept for eKYC
- Sumsub KYC/AML
それぞれの機能や価格などを紹介するので、検討材料としてぜひ参考にしてみてください。
TRUSTDOCK
「TRUSTDOCK」は、24時間365日使用でき、最短1件5分で本人確認ができるeKYCサービスです。
改正犯収法のほか、割賦販売法や携帯電話不正防止利用法などさまざまな法律に準拠しているため安心して利用できます。
年間100万件以上の本人確認をノーインシデントで行えていることからも、強固なセキュリティ面が裏付けられています。
項目 | 情報 |
提供会社 | 株式会社TRUSTDOCK |
利用料金 | お問い合わせ |
特徴 | ・24時間365日利用可能 ・手厚いサポート体制 ・さまざまな法律に準拠 ・年間100万件以上を処理 ・法人確認や反社チェックも可能 |
URL | https://biz.trustdock.io/ |
GMO顔認証eKYC
「GMO顔認証eKYC」は、情報セキュリティや電子認証業務などで実績のあるGMOグローバルサインが提供するeKYCサービスです。
搭載されたAIが迅速に本人確認を行ってくれるため、オンラインでの本人確認作業が効率化できます。
本人の容貌を撮影する方法は画像と動画を選択できるため、より精度の高い判定が可能です。
項目 | 情報 |
提供会社 | GMOグローバルサイン株式会社 |
利用料金 | 月額22,000円~ |
特徴 | ・AIが判定 ・APIによるサービス連携が可能 ・件数に応じた課金体系 ・オプションにてBPO機能を追加可能 |
URL | https://jp.globalsign.com/ekyc/ |
LIQUID eKYC
「LIQUID eKYC」は、お問い合わせフォームにタグを挿入するだけで手軽に始められる点が特徴です。
運転免許証やマイナンバーカード、パスポートや在留カードなど多様な身分証明書に対応しているため、多くのユーザーの本人確認が可能になるでしょう。
特許出願の独自の技術によって、高い精度での本人確認が実現しています。
項目 | 情報 |
提供会社 | 株式会社Liquid |
利用料金 | 初期費用50,000円、基本料30,000円、利用料50円/件~ |
特徴 | ・最短1週間で利用可能 ・目視確認のアウトソーシングも可能 ・独自技術による高精度の判定 ・各種法令に準拠 |
URL | https://liquidinc.asia/liquid-ekyc/ |
ネクスウェイ本人確認サービス
「ネクスウェイ本人確認サービス」は、オンラインでの本人確認(eKYC)だけではなく、郵便を使ったオフラインでの本人確認作業も依頼できるサービスです。
本人確認を利用した件数分だけ課金されるため、固定費としてではなく変動費として管理できます。
世界最高水準の生体認証技術と、厳重な個人情報管理や第三者によるセキュリティ診断によるセキュリティ対策が特徴で、安心安全に利用できるでしょう。
項目 | 情報 |
提供会社 | 株式会社ネクスウェイ |
利用料金 | 初期費用50,000円~、ランニング費用25,000円~ |
特徴 | ・オンライン・オフラインの本人確認に対応 ・世界最高水準の生体認証技術 ・SMSでの本人確認にも対応 ・本人確認作業の代行も可能 |
URL | https://ekyc.nexway.co.jp/ |
Digital KYC
NECが提供する「Digital KYC」には、世界トップレベルの精度を誇る、同社の顔認証エンジンを搭載。高水準の本人確認を実現しています。
オプションの「Digital KYC BPOサービス」を利用すると、ユーザーが送信した本人確認書類の画像と、申し込みの際に入力した内容をBPO事務センターが突合してくれます。
顔認証だけでなく、銀行認証やマイナンバーカード認証にも対応。
項目 | 情報 |
提供会社 | 日本電気株式会社 |
利用料金 | お問い合わせ |
特徴 | ・高精度の顔認証エンジン搭載 ・多様な本人確認方法に対応 ・金融機関を中心にさまざまな業界での導入実績 |
URL | https://jpn.nec.com/fintech/kyc/index.html |
LINE eKYC
「LINE eKYC」はLINE上でeKYCを行えるため、ユーザーにとっての利便性の高いサービスです。
LINEの友だち登録をして身分証明書と顔写真を撮影して送るだけなので、ユーザーの離脱率を改善できるでしょう。
普段から使い慣れているLINEを使用するため、本人確認の際の提出率が低い企業におすすめです。
項目 | 情報 |
提供会社 | LINE株式会社 |
利用料金 | お問い合わせ |
特徴 | ・LINEを使った本人確認 ・ユーザーにとって手軽 ・高度なAI技術 ・従量課金制 |
URL | https://clova.line.me/line-ekyc/ |
提供会社 LINE株式会社 利用料金 お問い合わせ 特徴 LINEを使った本人確認 ユーザーにとって手軽 高度なAI技術 従量課金制 URL https://clova.line.me/line-ekyc/
Polarify eKYC
「Polarify eKYC」は世界最高水準のアルゴリズムを搭載したeKYCサービスです。
Polarify独自の技術「ライブネスチェック機能」を使い、本人の写真や動画のなりすましを防止します。
不正検知や運転免許証真贋判定機能などの豊富なオプションもあるので、自社の基準やワークフローに合わせたカスタイマイズも可能です。
項目 | 情報 |
提供会社 | 株式会社ポラリファイ |
利用料金 | お問い合わせ |
特徴 | ・Daon社による世界最高水準のアルゴリズムを採用 ・なりすまし検知 ・スマホのアプリとブラウザに対応 |
URL | https://www.polarify.co.jp/ekyc/ |
ProTech ID Checker
「ProTech ID Checker」は、身分証明書と顔写真にて本人確認ができるeKYCサービスです。
タグを設置するだけなので、最短1週間で利用を開始できます。またカスタマイズも可能なので、基幹システムとの連携やページデザインの変更などができ、自社に合った運用ができるでしょう。
項目 | 情報 |
提供会社 | 株式会社ショーケース |
利用料金 | お問い合わせ |
特徴 | ・最短1週間で導入 ・強固なセキュリティ ・柔軟なカスタマイズ ・2段階認証・多要素認証によるなりすまし防止 |
URL | https://ekyc.showcase-tv.com/ |
Deep Percept for eKYC
柔軟なカスタマイズ性を求めている企業におすすめなのが「Deep Percept for eKYC」です。搭載されたAIも自社開発のため、精度や読み取り範囲などの要望が反映されやすいと評価されています。
ユーザー側はWebブラウザで完結できるため、離脱率が3倍程度も改善したという事例もあります。
項目 | 情報 |
提供会社 | Deep Percept株式会社 |
利用料金 | お問い合わせ |
特徴 | ・カスタマイズ性が高い ・自社開発のAIエンジン ・身分証明書の真贋判定チェックを自動実施 |
URL | https://www.deep-percept.co.jp/solution/ekyc/?mind |
Sumsub KYC/AML
グローバル企業におすすめのeKYCサービスが「Sumsub KYC/AML」。30以上の言語に対応しているため、世界で利用されています。
顔認証のほか、IDや住所、メールアドレス、動画などさまざまな認証方法に対応。
ただし、日本語でのサポートが不十分な部分もあるため、手厚いサポートを求めている場合は充分に検討する必要があるでしょう。
項目 | 情報 |
提供会社 | Sumsub社 |
利用料金 | お問い合わせ |
特徴 | ・海外製品 ・多言語対応 ・多様な認証方法に対応 |
URL | https://sumsub.com/jp/kyc-compliance/ |
ekycサービスを導入するメリット
上記ではさまざまなeKYCサービスを紹介しましたが、改めてeKYCサービスを導入するメリットについてみていきましょう。
- 迅速な本人確認が可能になる
- ユーザーの手間がかからなくなる
- 申し込み離脱を防止できる
- 郵送費・人件費を削減できる
- 不正認証のリスクを低減できる
それぞれ詳しく解説します。
迅速な本人確認が可能になる
従来のような郵送による本人確認では、すべての手続きが完了するまでに最短でも1週間程度はかかっていました。
しかしeKYCサービスを利用することで、オンラインで身分証明書の画像と顔写真を送るだけで本人確認ができるため、最短即日で本人確認が完了します。
手続きに関わる時間が大幅に短縮されるため、ユーザー側は早くサービスを利用できるようになりますし、企業側は人件費削減にもつながるでしょう。
ユーザーの手間がかからなくなる
従来の本人確認方法では、身分証明書のコピーや郵送、申込書の記入など、ユーザー側の負担は多大なものでした。さらに、書類に不備があると再び手続きをする必要があり、手間も時間もかかっていたのです。
一方、eKYCサービスを利用すると、コピーや郵送などの手間もなく、申し込みもお問い合わせフォームに入力するだけなので、すべての手続きがオンラインで完結します。スマートフォンを持っていればすぐに手続きできるため、ユーザー側の負担が大幅に削減され、満足度向上にもつながります。
申し込み離脱を防止できる
従来の本人確認方法では手間も時間もかかるため、手続きの途中で離脱してしまうユーザーも少なくありません。
しかしeKYCサービスの場合はオンラインで手軽に手続きができるため、離脱することなく最後まで手続きを終えることが可能です。最近では操作性や使い勝手にこだわったサービスも登場しているため、さらなる離脱率改善が期待できるでしょう。
郵送費・人件費を削減できる
eKYCサービスを活用すると、書類の郵送が必要なくなるため郵送費がゼロになります。
また、届いた郵便物を開けたり書類の内容をチェックしたりすることもなくなり、人員による作業も大きく減るでしょう。
郵送費や人件費を削減できるため、コストの最適化を図れます。
不正認証のリスクを低減できる
郵送での本人確認では、本当に本人の身分証明書なのか、本人が送ってきているのかどうか、確実に確認することが困難です。
しかしeKYCサービスにはAIや生体認証などの技術が用いられており、高い精度で本人であることを認証できます。
不正認証のリスクが大幅に減るため、企業側は安心してサービスを提供できます。
ekycサービスを選ぶときのポイント
ekycサービスはさまざまな製品があるため、どのようなポイントで検討すべきか悩む人も多いでしょう。
そこで、ここでは選定時のポイントを紹介していきます。
組み込み先がアプリかブラウザか
ekycサービスによって、アプリにもブラウザにも組み込めるものもあれば、どちらかしか対応していないものもあります。
アプリ内で本人確認を行いたい場合はアプリ対応しているサービスを選ばなければなりませんし、Webブラウザで進めたい場合はブラウザに対応しているサービスを選びましょう。
必要書類に対応しているか
ほとんどのeKYCサービスでは運転免許証に対応していますが、その他の書類や身分証明書に対応しているかはサービスによって異なります。マイナンバーカードや健康保険証、住民票での本人確認を行いたい場合には、必ず確認しましょう。
カスタマイズ性があるか
カスタマイズ性もeKYCサービスによって異なります。
- 自社の基幹システムとの連携をしたい
- オフラインでの本人確認も対応したい
- 自社のワークフローに合わせた設計にしたい
などの要望がある場合には、事前にカスタマイズ性を確認しておくことをおすすめします。
ユーザーにとって使いやすいか
eKYCサービスでは、ユーザー側のUIも見極めることが重要です。ユーザーが使いにくいと感じてしまったら、離脱につながりかねません。
- 撮影方法が簡単か
- 入力画面がわかりやすいか
- ユーザーが安心して利用できるか
など、ユーザーにとっての使いやすさを重視して選定しましょう。
予算にマッチしているか
eKYCサービスによって初期費用や利用料金が異なるため、自社の予算とマッチしているか確認しましょう。
eKYCサービスのなかには、利用した分だけ料金が発生する従量課金制のものも少なくありません。その場合は、一カ月にどのくらい利用するか試算しておく必要があります。
【kyozon編集部おすすめ】eKYCに関連するおすすめサービス
当メディア「kyozon」では、eKYCに関連するサービスを多数掲載しています。そのなかから、特におすすめの以下のサービスを紹介します。
- e-KYC/本人確認APIサービス
- 継続型脆弱性診断サービス「secuas(セキュアズ)」
- Securify Scan(セキュリファイ スキャン)
- 漏洩チェッカー
資料請求もできるので、気になるサービスがあったらお気軽に資料請求を活用してみてください。
e-KYC/本人確認APIサービス
TRUSTDOCKの「e-KYC/本人確認APIサービス」は、犯罪収益移転防止法をはじめ携帯電話不正利用防止法や古物営業法などの法令に準拠したeKYCを行えるサービスです。
さまざまなAPI連携により、法人確認や反社チェックなどのあらゆる業務をオンラインでつなげます。
サポートも手厚いため、使い方や活用方法がわからないときにも気軽に聞けて便利なので、初心者にもおすすめのサービスです。
継続型脆弱性診断サービス「secuas(セキュアズ)」
「secuas(セキュアズ)」は月1万円から利用できる脆弱性診断サービスです。
365日、1日1回必ず自動で診断するため診断忘れを防ぎ、新しいWebページが追加されても設定する必要なく診断してくれます。
検知されたリスクは即時に通知され、対策方針も示されているため専門のセキュリティエンジニアがいなくても対策できます。
eKYCサービスとあわせて利用したいサービスのひとつです。
Securify Scan(セキュリファイ スキャン)
シンプルな操作性で、最短3ステップでセキュリティ診断ができる「Securify Scan」。
多様な診断項目があり、あらゆる観点から自社サイトのセキュリティ対策ができます。
診断結果は、脆弱性の危険度や起こりうるリスクだけでなく、修正方法も例示してくれるためスピーディに改善できるでしょう。
自社のITセキュリティに課題を抱えている企業におすすめです。
漏洩チェッカー
「漏洩チェッカー」は、人的ミスによる内部から情報漏洩を予防し、IT資産管理を推進するサービスです。
初期費用は不要で、1台100円から利用できるため、予算が限られている企業にもおすすめと言えるでしょう。
ファイルの容量を超えた際、機密性の高い情報がダウンロードされた際などに通知が届くため、即座に状況を把握しつつスピーディに対策を行えます。
まとめ
本人確認業務が発生する業界では、人手による本人確認によって多くの時間と手間が取られています。オンラインで本人確認を行えるeKYCサービスを導入することで、本人確認に関するさまざまな時間や手間を削減し、業務効率化が図れるでしょう。
また、ユーザー側にとっても本人確認の負担が減るため、途中離脱のリスクも減らすことが可能です。
今回紹介したeKYCサービス、そしてあわせて検討したいセキュリティ対策サービスなどを参考に、自社のIT業務改善を検討してみてください。
また、自社のセキュリティ対策に課題を抱えている方は、以下の記事もぜひ参考にしてみましょう。
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