eラーニングは電子化された教育
eラーニングは、電子化された教育です。
具体的には、パソコンやタブレット、スマートフォンで学習管理システム(LMS:Learning Management System)を利用した学習形態です。新型コロナウイルス感染拡大による働き方改革を機に広がった、新しい時代の学習方法の一つです。
学習管理システムは、eラーニングを実施するときのベースとなるシステムで、ネットワーク上での教材配信や学習を管理するためのプラットフォームです。
具体的には、学習管理システムは受講者自身がシステムにログインし学習を始める受講機能や、受講した履歴や成績を管理者や教員が管理できる機能が搭載されています。
ちなみに、学習管理システムはeラーニングを提供する上で基となるシステムで、「eラーニングシステム」「eラーニングプラットフォーム」などと呼ばれることもあります。一般的には、 SafariやGoogle Chromeなどのブラウザを利用して提供されています。
学習管理システムと聞くと「学習を一元的に管理するシステム」と思うかもしれませんが、学習管理システムは管理者用の学習管理ではなく受講者向けに学習しやすく、かつ効果的な学習環境の提供がメインで作られています。
eラーニングのメリット
ここではeラーニングを導入するメリットについて解説していきます。
自分のペースで学習できる
eラーニングは自分のペースで学習できることもメリットです。
社会人は学生などのように決まった受講時間はありませんし、自分で時間を見つけて勉強することが求められます。「毎日ちょっとずつでも勉強したい」「短い時間で一気に勉強したい」など、受講者によって学習が進むケースは違います。
そうしたこともあり、eラーニングを導入するとそれぞれの受講者が自分に合ったペースで勉強できるのです。
分からなかった点やもう一度復習したい点がある場合は、同じ講座や資料を改めて見られることもメリットのひとつです。
場所や時間を問わずに学習できる
eラーニングは場所や時間を問わずに学習できることもメリットです。
職場はもちろん移動先や自宅でも勉強できますし、コロナ禍を経て働き方を変えた企業ではテレワークも推進しています。テレワークを導入している企業では、社員教育の進め方に迷うこともありますが、eラーニングではそうした物理的な問題も一気に解消できるのです。
また、マルチデバイスに対応しているeラーニングサービスなら、パソコンはもちろんスマートフォンやタブレットでも学習できます。
成績や進捗状況がすぐに確認できる
eラーニングでは、受講者自身が成績や学習の進捗状況をその場で確認できます。
「自分はどれだけの成績を収めたのか」「どれくらい学習が進んでいるのか」を管理できますし、eラーニングの管理者はこれらのデータを基にして個人の指導や激励もできます。
コンテンツが学びやすい
eラーニングはコンテンツの学びやすさもメリットです。
紙の資料だけでは集中して学習することや理解を深める点でも限界はありますが、eラーニングはPDFでの資料配布はもちろん、音声や動画、クイズ形式など受講者を飽きさせないさまざまなコンテンツが用意されています。
単純に紙の資料を読んだり講師の話を聞くだけの勉強よりも、楽しみながら学習が進むのでより高い効果も期待できるのです。
eラーニングのデメリット
eラーニングにはさまざまなデメリットも存在しています。
実技研修はできない
そもそもeラーニングは、受講者に特定の実技をやってもらい、その実技内容を見て講師が指導や修正などを行うことはできません。
ただし、実技を動画として収録してアップロードすれば、後から確認できます。
講師が目の前にいない
eラーニングは講師が目の前にいない学習システムです。
講師が目の前にいないため、受講者自身が自分でモチベーションを維持していかなければなりません。一般的な学習のように講師が目の前にいると緊張感が生まれて学習意欲も維持できますが、eラーニングはそういったことが不可能です。
しかしながら、eラーニングは管理者が受講者の学習進捗状況や成績を把握できるため、気になる場合は個別で話を聞くなどの対策は出来ます。
インターネット環境が必要
eラーニングを実施するにはインターネット環境が欠かせません。
リモートワークで自宅などにインターネット環境が整っている場合は問題ありませんが、万が一自宅にインターネット回線などがない場合は、eラーニング受講前にインターネット環境の整備を進める必要があります。
無料のeラーニングサービスを選ぶポイント
ここでは無料のeラーニングサービスを選ぶポイントをいくつか解説します。
無料でどの機能まで使えるのか
eラーニングサービスを選ぶポイントとしては、無料でどの機能まで使えるかを見極めることが大事です。
見極めるポイントはデータ移行機能の有無や利用できる機能の範囲などですが、有料のeラーニングサービスでも無料トライアル期間があります。
そうしたところを利用して、自分たちに合ったeラーニングサービスかどうかを確認するといいでしょう。無料のeラーニングでやってみて、「こういう機能は欲しいけど有料になる」という場合は有料のeラーニングサービスの契約を検討するといいでしょう。
どのようなコンテンツがあるか
利用しようとしている無料のeラーニングサービスは、どのようなコンテンツがあるかも確認すべきポイントです。
eラーニングを受けさせようとする社員に合ったコンテンツでないとeラーニングサービスを導入する意味はありませんし、社員のスキルアップ向上にはつながりません。
また、古いままのコンテンツをそのまま配信しているeラーニングサービスも一部あるので、目的にマッチしたコンテンツかどうかを予め見極めておきましょう。
利用可能なユーザー数は会社規模にあっているか
eラーニングサービスでは、利用できるユーザー数を制限している場合もあります。
例えば、30人まで利用できるeラーニングサービスに対して社員数が40人であれば、利用者数を超えてしまいます。コンテンツごとで人数を分けるなど、ユーザー数と社員数のミスマッチを抑える工夫も欠かせないでしょう。
無料のeラーニングサービス
ここからは無料で使えるeラーニングサービスを4つご紹介します。
Cloud Campus
Cloud Campusは株式会社サイバー大学が運営しているeラーニングサービスです。
ユーザー数は160万人を超えているeラーニングサービスで、動画コンテンツだけではなくアンケート作成やテストが容易にできる機能を搭載しています。
マルチデバイスに対応しているので、パソコン以外のデバイスでも受講できます。さらには、専用のスマホアプリも登場しているので、オフラインでの動画視聴も可能です。
初期費用と月額費用はかかりますが、無料トライアル期間が設定されています。本格的な導入前に機能や操作性なども確認できるのでおすすめです。
etudes
etudesは大手企業や省庁への導入実績を多く持っている、アルー株式会社が提供しているeラーニングシステムです。
特徴としては、大規模な運用と規模に応じた研修にも細かく権限設定できることです。教材が無制限でアップロードできる上に、Zoomなどのオンラインでの研修や多言語に対応できます。
また、使い方のレクチャーなどサポート体制も充実しているので、初めてeラーニングを使用する人でも安心して運用できます。
Know-baton
Know-batonは株式会社デジタルナレッジが提供しているeラーニングシステムです。
Know-batonの特徴はオンライン教材が簡単に作成できるため、音声や動画などの教材も作成できます。また、社内にあるノウハウや知識をバトンして共有し、コミュニケーションの促進にも一役買っています。
FAQをチャットボットで対応するなどのサポート体制も充実しているので、運用しやすいのも特徴です。
学びばこ
株式会社テクノカルチャーが提供しているeラーニングシステムの学びばこは、PDFやExcelなどのデータを教材として使用できることが大きな特徴です。
記述式や選択式、ランダム出題などのテストも簡単に作成できますし、操作ログ管理やIPアドレス制限、多言語対応など豊富なオプションが充実しているので、さまざまなニーズに対応できます。
有料のeラーニングは必要なのか?
最後に有料のeラーニングについて解説していきます。
有料のeラーニングシステムは提供する形態で費用が異なります。一つ目は「オンプレミス型eラーニングシステム」で、自社サーバーの中にシステムをインストールして利用する形態です。
オンプレミス型eラーニングシステムはシステム費用だけではなく、サーバーの構築費用なども別途準備する必要があります。
ただ、ユーザーごとの月額費用などが不要でメンテナンス費だけ必要なので、大人数かつ長期間で利用する場合には、この後紹介するクラウド型よりも費用が割安となるケースが見られます。
初期費用の相場が幅広く、30万円~500万円と製品によって異なります。そのため、自社の利用人数や利用期間などを踏まえた上で選ぶことをお勧めします。
もう一つの「クラウド型eラーニングシステム」は、eラーニングシステムをオンラインで提供しているサービスに対してユーザーがログインをして利用する形態です。
インターネット接続が確認できれば時間や場所を問わずに利用できる上に、初期費用も安く済みます。初期費用は最小で無料~10万円ほどですが、月額料金は従量型の課金モデルも多く、利用する人数で月額料金が異なります。また、月額料金は3万円~10万円程度が相場です。
まとめ
今回はeラーニングについて、特徴や選ぶときの注意点などの解説、おすすめのeラーニングサービスをご紹介しました。
これからeラーニングサービスを導入して社員教育を推進するには、最初に無料版で操作性や機能などを体感することがポイントです。無料版で満足を得られた上で、有料のeラーニングサービスを導入すると購入後のミスマッチも防げます。
コロナ禍を経て働き方が大きく変わっている昨今において、eラーニングサービスは通勤や社員教育などの問題点をクリアできるシステムです。
今回の記事を参考にして、eラーニングサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
プログラミングを学習したい方は以下も参考になります。