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人材育成でよくある悩み
企業の人材育成では、力を入れて施策を打ち出していてもさまざまな悩みが発生します。
たとえば、以下のような悩みはありませんか。
- 目標が達成されない
- 育成の成果が見えにくい
- 従業員のモチベーションが上がらない
人材育成をしても目標を達成できない状態が続いていたり、育成施策を行っても売上や顧客満足度などの成果が出にくかったりすると、今の育成施策・戦略が間違っているのか見直す必要があります。また、このような状態が続いていると従業員本人のモチベーションも維持できず、リソースをかけて育成施策を行っても満足な結果を得られないでしょう。
こうした場合、適切な目標を設定することで人材育成の悩みを解決できる可能性があります。
目標設定が重要な理由
人材を適切に育成していくためには目標設定が重要ですが、そもそもなぜ目標設定が必要なのでしょうか。
その理由は、主に以下の通りです。
対象 | 理由 |
会社(組織全体) | 組織の戦略と個人の成長を連携できる。 |
上司(管理者、マネージャー) | 従業員のモチベーションを向上できる。 |
従業員 | 成長の方向性を明確にできる。 |
目標設定によって「どのような人材になるのか」「どのようなスキルや経験が必要か」といったことを明確にでき、従業員本人のモチベーションを引き出す効果があります。また、組織の人材育成戦略と連携した目標設定により、組織の人材力も強化できるでしょう。
従業員のモチベーションを引き出す目標設定のポイント
人材育成の効果を高めるには、従業員自身が成長しようという意志を持ち、率先して育成プログラムに参加する仕組みを作らなければなりません。そのために、従業員のモチベーションを引き出して成長へとつなげることが重要です。
従業員のモチベーションを引き出すポイントを見ていきましょう。
ポイント1|目標設定プロセスに従業員も参加する
目標設定を行う際、従業員自身も参加できるようにしましょう。マネジメント層からの一方的なトップダウン型で推し進める目標設定では、従業員自身の現状や理想像とかけ離れた目標になりかねません。
ボトムアップ型で目標設定を進めていくと従業員視点を取り入れることができ、本人のありたい姿に一致した目標を設定できます。
また、目標設定プロセスから携わることで従業員側と会社側の共通認識が生まれ、認識の齟齬(そご)や誤りを防ぐ効果もあるでしょう。
ポイント2|個人の強みと興味に合わせて目標を設定する
目標設定の際には、従業員個人の強みと興味に合わせて、一人ひとりに寄り添った目標を設定しましょう。本人がやりたくない仕事や興味のない仕事を目標として設定しても、モチベーションが上がらず失敗に終わってしまいます。
強みや興味を知るには、従業員本人へのヒアリングだけでは偏った意見になることもあるため、先輩や上司などにもヒアリングしたり、業務のデータを分析したりすると良いでしょう。
ポイント3|適度にチャレンジ性のある目標を設定する
過度に高い目標を設定すると、最初から「そもそも達成できない」とモチベーションが下がってしまったり、頑張っていても途中で「やっぱり無理だった」と挫折してしまったりする場合もあります。逆に低すぎる目標も、チャレンジする意欲をなくしてモチベーションを下げてしまう原因になりかねません。
そのため、達成可能な範囲でありながら、適度に挑戦的な目標(ストレッチゴール)を設定して意欲を引き出しましょう。適度なチャレンジ性があることで、本人の挑戦意欲を刺激してモチベーションを高められます。
ポイント4|段階的に測定可能な目標を設定する
ゴールとなる最終目標が高い場合でも、短期的に達成していく段階的な目標を立てることで最終目標を達成できる可能性を高めることができます。段階的な目標をクリアしていくことで最終目標へとステップアップしていくため、従業員自身もモチベーションを維持しながら目標へと向かっていけます。
段階的な目標を設定する際には、測定可能な指標にしましょう。測定可能な指標であれば、どのくらい達成できているのか可視化して把握しやすくなります。自身の現在地が明確になり、それが従業員のやる気を大きく高めることにつながります。
また、数値として測定可能な指標を扱う際は、データを記録・蓄積できる基盤も必要です。Excelや日報などで日々の業務データを記録したり、ツールを活用したりしましょう。
ポイント5|報酬を設定する
目標を達成することで精神的にも金銭的にも報酬を得られるようにすると、従業員のモチベーションアップにつながります。
具体的には、以下のような例があります。
報酬の種類 | 具体例 |
物理的報酬 | ・四半期/年間ボーナス ・成果連動型インセンティブ ・昇給 ・昇進/昇格 ・希望する部署への異動 ・社員旅行や懇親会 ・記念品の贈呈 など |
精神的報酬 | ・自己成長の実感 ・達成感 ・仕事の楽しさ ・目標達成の喜び など |
社会的報酬 | ・上司からの公式な表彰 ・同僚からの称賛 ・社内報での紹介 ・社内表彰制度での表彰 ・社外での評価や認知 ・顧客からの感謝 ・プロジェクトリーダーへの抜擢 など |
このような報酬を設定することでモチベーションを高め、目標達成へ意欲的に進められるでしょう。
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効果的な人材育成にするための目標設定フロー
効果的な人材育成を実行するための目標設定フローを紹介します。
ステップ1|現状の整理
まずは準備段階として現状を整理しましょう。
- 今、どのような人材育成戦略・施策を行っているのか
- 自社にとって今後どのような人材が必要なのか
- 今後のビジネス環境の変化に伴い、どのようなスキルが求められるか
このような情報を整理したうえで、自社が人材育成を強化する目的を明確にします。組織全体の目標やビジョンを明確にして従業員の共有することで、全従業員が共通の認識を持つことができ、全社一丸で足並みをそろえて進めていけます。
また、現状整理は組織としてだけでなく、従業員個人でも行う必要があります。自身の成果やスキルを棚卸しして自己評価することで、改めて自分の強み・弱みや課題を整理でき、自分自身が解決しなければならない課題や理想とする将来像に向けて何をすべきかを明らかにできるでしょう。
ステップ2|目標設定ミーティング
次は、従業員とミーティングを実行して目標の方向性をすり合わせます。
上司と従業員が1対1で面談を行い、従業員のキャリアゴールや個人的な目標を話し合いましょう。目標設定は上司からの一方的な指示ではなく、従業員からの意見や提案を受け入れる双方向のコミュニケーションで行うと、従業員のモチベーションを高められます。
ステップ3|目標の設定
ミーティングの内容を基にして、従業員一人ひとりの目標を設定します。
目標設定の際には「SMARTの法則」というフレームワークが役立ちます。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Realistic(現実的)
- Time-bound(期限が明確)
あいまいな目標や達成が難しい目標は、従業員のモチベーションを下げる原因になりかねません。SMARTに基づいて、現実的かつ測定しやすい目標を設定しましょう。
また、SMARTにもあるように「期限」も重要です。期限が決められていないと後回しになり、目標達成が遠のいてしまいます。
期限に関しては、短期・中期・長期目標: 短期(3ヶ月)、中期(6ヶ月)、長期(1年)の目標を設定することで、進捗状況や達成度を段階的に確認できるでしょう。
ステップ4|目標達成のためのアクションプラン作成
目標を設定できたら、目標達成するためのアクションプランを立案します。
アクションプランとは、いつまでに何をするのか明確に定めた具体的な行動計画のことで、確実に目標を達成するために欠かせないものです。
最終的な目標に向け「いつまでに何をしなければならないか」「いつまでにどのような状態(状況)になっているべきか」を明確にし、アクションプランに落とし込みましょう。
ステップ5|実行
具体的なアクションプランの策定後は、実行へ移ります。
従業員個人に任せきりにするのではなく、マネージャーや先輩などの上司も巻き込み、進捗状況を確認してアドバイスやフィードバックを通じてサポートしながら推進しましょう。
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目標は「設定して終わり」ではない!進捗管理の重要性
「目標を立てても達成できない」「成果が見えない」という場合、目標への進捗管理を怠っていることがよくあります。目標を設定して満足するのではなく、達成に向けて進捗状況を管理していかなければなりません。
効果的な進捗管理のポイントをご紹介します。
定期的な1on1ミーティングの実施
定期的に1on1ミーティングを実施し、アクションプランの進捗状況を確認しましょう。ミーティングのタイミングは「毎週○曜日」などと決めておくと便利です。
1on1ミーティングでは、進捗状況の確認だけでなく困っていることや直面している課題などもヒアリングします。上司が従業員の悩みに寄り添うことで、従業員はモチベーションを維持しながら目標達成に向かえるのです。
また、カジュアルな雰囲気を作ることもポイント。従業員がフランクに話せると、日ごろの悩みや組織の課題などを聞き出しやすくなります。
中間レビューの重要性と方法
従業員は目標達成へと向かっている中で、「この方向性で正しいのだろうか」「達成が難しいかもしれない」といった壁に当たることがあります。
そのため、定期的な1on1ミーティングのほかに、中間時点で改めて今までの行動・成果を振り返って、後半に向けた軌道修正・調整をする中間レビューを行いましょう。
中間レビューにより防げること
中間レビューは、以下のような事態の防止に役立ちます。
- やるべきことができていなかった
- 目標設定が高すぎた
- 従業員と上司の認識がずれていた
中間レビューの内容
中間レビューでは、従業員本人にから以下の内容について報告を受けます。
- 現在の進捗状況
- 自己評価
- 直面している課題と成功したポイント
また、定量的なデータ(例:架電数、商談数、成約数など)がある場合は、事前に収集します。これにより、成果を客観的に評価することができるためです。
これらの報告内容とデータに基づき、上司がフィードバックを行います。具体的な改善提案や指示に加えて、状況に応じて柔軟に目標の調整も検討します。
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ポイントごとに企業事例をご紹介
では実際に企業ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。ポイントごとに事例を紹介します。
ポイント1|目標設定プロセスに従業員も参加する
カルビー株式会社
C&A(コミットメント&アカウンタビリティ)システムの導入
背景
グローバル化が進む中で企業が生き残るために個人が成長なくして企業の成長はないという考えのもと、従業員一人ひとりの自律的な実行力を育てる施策を模索していた。
取り組み
- 年初に上司と部下が1on1で目標(コミットメント)を設定。
- メンバー、上司をはじめ全員がコミットメントを確認しサインする。
- その成果をもとに公平な評価を実施。
成果
- 従業員の自主性と責任感の向上
- 評価の透明性と納得感の向上
- 生産性の向上
ポイント2|個人の強みと興味に合わせて目標を設定する
株式会社リクルート
「Will-Can-Must」フレームワークの導入
課題
多様な人材の個性や能力を最大限に引き出せていなかった。
取り組み
- 従業員本人が実現したいこと(Will)、
活かしたい強みや克服したい課題(Can)、
能力開発につながるミッション(Must)を考慮した目標設定を実施。 - 上司と部下の1on1ミーティングを定期的に実施し、個人の強みと興味を深掘りする。
成果
- 従業員の自発的なキャリア開発が促進され、社内異動率が上昇
- 従業員エンゲージメントスコア向上
- 新規事業提案件数が増加
ポイント3|適度にチャレンジ性のある目標を設定する
Google合同会社
ストレッチゴールの設定
背景
イノベーションを継続的に生み出す環境を構築する必要があった。
取り組み
- OKR(Objectives and Key Results)のフレームワークを活用し、ストレッチゴールを設定。
Objective(目的): 野心的でインスピレーションを与える内容
Key Results(主要な成果指標): 測定可能であり、進捗を追跡できるものを設定 - 目標の達成率は60-70%を理想とし、100%達成は目標が低すぎると考える。
(場合によっては若干気後れするくらいの高いレベルに設定します。) - 四半期ごとに目標を設定し、進捗を確認。
- 失敗を恐れずに高い目標にチャレンジすることを奨励し、達成できなかった部分については振り返りと学びを重視する文化を構築。
成果
- ストレッチゴールにより、業務の創造性が向上し、通常では得られない新しい成果が生まれる
- 達成できなかった部分からも貴重な知見が得られ、次の戦略に活かされる
- 挑戦を奨励する文化が根付き、社員のモチベーションや能力向上に寄与
ポイント4|段階的に測定可能な目標を設定する
Google合同会社
OKR(Objectives and Key Results)の導入
背景
段階的に測定可能な目標を持たないと、進捗を追跡できず、成果の評価が困難になるという考えから環境を整備。
取り組み
- OKRにおいて、Key Results(主要な成果指標)を具体的かつ数値化。
例) 「3か月以内に顧客満足度を10%向上させる」「新しいプロダクトを1000人のユーザーに届ける」 など - チームや個人が取り組むタスクを段階的にブレークダウンし、それぞれの進捗を追跡可能に。
- 四半期や月ごとのレビューを実施し、進捗を確認、必要に応じて軌道修正。
成果
- チーム全体で進捗を可視化し、目標達成に向けたモチベーションが向上
- 測定可能な目標設定により、成功・失敗の要因分析が容易となり、次の戦略設計がより効果的に
- 短期的な達成感が継続的な目標達成意欲を生む好循環を生み出す
ポイント5|報酬を設定する
楽天グループ株式会社
能力と成果に基づく公平な評価・報酬体系を確立
課題
成果に対する評価と報酬の連動が不十分で、従業員の目標達成へのモチベーションが上がりにくかった。
取り組み
- 全従業員は半年ごとにコンピテンシー(仕事のプロセスにおいて発揮する能力)とパフォーマンス(成果)の目標を立てる。
※コンピテンシー例:チャレンジ、当事者意識、チームビルディング、仕組み化、スピーディな判断 など - コンピテンシー評価を月額給与に、パフォーマンス評価を業績賞与に連動。
- 「コンピテンシー開発ハンドブック」の作成と活用で具体的な行動指針を提示。
成果
- 勤続年数に関係なく評価が可能に
- 従業員の自発的なコンピテンシー開発と成長意欲の向上
- サステナビリティなど企業価値観に基づく行動の組織への定着
まとめ:従業員視点の目標設定がカギ!
従業員の成長を促すためには目標設定は重要な要素のひとつです。しかし、トップダウン型の目標設定では「現実とかけ離れている」「自分の理想と違う」という事態になり、従業員のモチベーション低下を招く要因になるでしょう。
従業員のやる気を引き出すためには、従業員本人の意見を取り入れながら協力して目標を設定することがポイントです。もちろん、目標設定したからといってモチベーションが上がるわけではありません。従業員のタイプによっても、モチベーションを上げる方法は異なります。しかし、従業員自身が納得し、主体的に取り組める目標設定は、確実に有効な手段の一つとなります。
従業員一人ひとりの個性や強みを活かし、それぞれにマッチした方法と指標で成長をサポートしていくことで、組織全体の力を最大限に引き出すことができるでしょう。
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執筆 :西 並子
編集・図解:平山 理沙