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新入社員へのフィードバック完全ガイド|成長を促すコツと例文集

投稿日:2025年11月18日 /

更新日:2025年11月18日

新入社員へのフィードバック完全ガイド|成長を促すコツと例文集
● 人材育成

新入社員へのフィードバックについて、「どう伝えれば成長につながるのか」「関係性を壊さずに改善点を指摘するにはどうすればいいか」と悩んでいませんか。結論として、目的を明確にした適切なフィードバックは、新入社員の早期離職を防ぎ、成長を加速させる最も効果的な手段です。この記事を読めば、フィードバックの基本的な心構えから、すぐに使える具体的な褒め方・指摘の仕方の例文、効果を高めるフレームワーク、そして避けるべきNG例まで、新入社員の育成に必要な知識がすべてわかります。明日からのコミュニケーションに自信を持ち、新入社員との信頼関係を築きながら即戦力化をサポートする方法を身につけましょう。

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新入社員へのフィードバックが重要である理由

多くの企業が新入社員研修に力を入れていますが、研修後の現場でのフォローアップ、特に「フィードバック」がなければ、その効果は半減してしまいます。現代のビジネス環境において、新入社員への丁寧なフィードバックは、単なる業務指導の一環ではなく、企業の持続的な成長を支える極めて重要な人事戦略です。なぜなら、適切なフィードバックは、新入社員の定着、成長、そして組織全体の活性化に直結するからです。ここでは、新入社員へのフィードバックがなぜそれほど重要なのか、3つの具体的な理由を掘り下げて解説します。

新入社員の早期離職を防ぐ

新入社員の早期離職は、採用や育成にかかったコストが無駄になるだけでなく、既存社員の士気低下にもつながりかねない深刻な問題です。離職の背景には、給与や待遇だけでなく、「この会社で成長できるのだろうか」という不安や、「自分のことを見てくれている人がいない」という孤独感が大きく影響しています。

定期的なフィードバックは、こうした不安や孤独感を解消する特効薬となり得ます。上司や先輩が日々の仕事ぶりをしっかりと見て、適切な言葉で伝えることで、新入社員は「自分は組織の一員として認められている」という承認欲求が満たされ、エンゲージメント(会社への愛着や貢献意欲)が高まります。結果として、会社への定着率向上に大きく貢献するのです。

フィードバックの有無による新入社員の心理状態の変化
項目フィードバックがある場合フィードバックがない場合
成長実感自分の成長を客観的に認識でき、モチベーションが向上する。成長しているか分からず、将来への不安が募る。
孤独感・疎外感気にかけてもらえていると感じ、心理的安全性が確保される。放置されていると感じ、孤独感や疎外感が強まる。
会社への信頼透明性のあるコミュニケーションにより、会社や上司を信頼できる。何を考えているか分からず、会社への不信感が生まれる。

成長を加速させ即戦力化を促す

新入社員は、右も左も分からない状態で社会人生活をスタートします。彼らにとって、自分の行動が正しかったのか、改善すべき点はどこなのかを客観的に知る機会は非常に貴重です。フィードバックは、まさにその道標の役割を果たします。

適切なフィードバックがないままでは、新入社員は間違った方法を自己流で続けてしまったり、何が正解か分からずに行動が停滞してしまったりする可能性があります。しかし、上司や先輩がタイムリーにフィードバックを行うことで、新入社員は自身の現在地と目指すべきゴールを明確に認識し、効率的にスキルアップを図ることができます。良かった点は自信となり、改善点は具体的な次のアクションにつながります。この「振り返り」と「改善」のサイクルを高速で回すことが、新入社員の成長を加速させ、一日も早い即戦力化を実現する鍵となるのです。

上司や先輩との信頼関係を築く

フィードバックは、業務の評価を伝えるだけの場ではありません。それは、上司・先輩と新入社員との間で交わされる、極めて重要なコミュニケーションの機会です。特に1on1ミーティングのような定期的な対話の場を設けることは、強固な信頼関係を築く上で非常に効果的です。

フィードバックを通じて、上司は新入社員の価値観や悩みを知り、新入社員は上司の仕事に対する考え方や人柄に触れることができます。このような相互理解が深まることで、業務上の指示や評価がスムーズに受け入れられるようになります。信頼関係が土台にあることで、新入社員は安心して質問や相談ができるようになり、失敗を恐れずに新しい仕事へ挑戦する意欲が湧いてきます。心理的安全性が確保された職場環境は、新入社員の主体性を引き出し、ひいてはチーム全体のパフォーマンス向上にもつながるのです。

新入社員へのフィードバックを行う前の心構え

効果的なフィードバックは、テクニック以前に、伝える側である上司や先輩の「心構え」が土台となります。新入社員が安心してフィードバックを受け入れ、成長の糧とするためには、まず指導する側が正しいマインドセットを持つことが不可欠です。ここでは、フィードバックを行う前に必ず押さえておきたい3つの心構えについて詳しく解説します。

フィードバックの目的は成長支援であることを忘れない

フィードバックと聞くと、「評価」「ダメ出し」「査定」といった言葉を連想しがちですが、その本質は全く異なります。新入社員へのフィードバックにおける最大の目的は、評価を下すことではなく、彼らの「成長を支援し、自律的な成長を促す」ことにあります。

この目的意識がブレてしまうと、フィードバックは単なる批判や一方的な指示になり下がり、新入社員のモチベーションを著しく低下させる原因となります。上司や先輩は「評価者」である前に、新入社員の可能性を信じ、共にゴールを目指す「支援者」「伴走者」であるというスタンスを忘れないでください。フィードバックを通じて、新入社員が自身の現在地を正しく認識し、次に取るべき具体的なアクションを自ら考えられるように導くことが、指導する側の重要な役割なのです。この姿勢が伝わることで、新入社員は安心してフィードバックを受け入れ、前向きに行動を改善していくことができます。

人格ではなく行動を評価する

フィードバックにおいて最も注意すべき点は、相手の人格や性格、能力そのものを否定するような発言を避けることです。「なぜ君はいつも慎重さに欠けるんだ」「やる気があるのか」といった言葉は、相手を追い詰めるだけで何の解決にもなりません。これは指導ではなく、ハラスメントと受け取られても仕方のない危険な行為です。

フィードバックの対象は、あくまで「客観的に観察できた具体的な行動」とその「行動がもたらした事実・結果」に限定しましょう。人格と行動を切り離して伝えることで、相手は個人的な攻撃と捉えることなく、改善すべき点を冷静に受け止めやすくなります。

NGなフィードバック(人格・性格への言及)OKなフィードバック(行動・事実への言及)
「君は本当に大雑把だな。」「先ほど提出してくれた資料に、3箇所の誤字が見られたよ。次回からは提出前にセルフチェックする時間を設けてみよう。」
「もっと積極的に発言できないのか?」「今日の会議では発言がなかったけれど、何か考えや意見はあったかな?次はAさんの意見に対して、どう思うか一言でも良いから発信してみよう。」
「コミュニケーション能力が低いんじゃないか?」「〇〇さんへの報告の際、結論から話すことを意識すると、相手にもっと意図が伝わりやすくなると思うよ。」

このように、変えることが難しい人格ではなく、意識すれば変えることができる「行動」に焦点を当てることで、新入社員は次への一歩を踏み出しやすくなります。

双方向のコミュニケーションを意識する

フィードバックは、上司から部下へ向けた一方通行の「指示」や「通達」ではありません。理想的なフィードバックは、お互いの考えや認識を交換する「対話」の場です。一方的に話すだけでは、新入社員はただ話を聞くだけの受け身の姿勢になり、内容が深く浸透しません。

大切なのは、新入社員自身に「考えさせ、気づきを促す」ことです。そのためには、まず相手の話を真摯に聴く「傾聴」の姿勢が求められます。

  • 自己評価を促す質問:「今日のプレゼンテーション、自分ではどうだった?」「今回のタスクで、特に上手くいった点と、課題に感じた点を教えてくれる?」
  • 内省を促す質問:「なぜその方法で進めようと思ったのかな?」「もし次にもう一度同じ仕事をするなら、どんな工夫をする?」
  • 今後の行動を考えさせる質問:「この課題を乗り越えるために、明日から具体的に何ができそうかな?」

こうした質問を投げかけることで、新入社員は自らの頭で考え、行動を振り返り、主体的に改善策を見つけ出すようになります。上司が答えをすべて与えるのではなく、新入社員が自ら答えにたどり着くプロセスをサポートするファシリテーターとしての役割を意識することが、真の成長支援に繋がるのです。

成長を促す新入社員へのフィードバックの基本原則

新入社員へのフィードバックは、伝え方一つで「成長の糧」にも「やる気を削ぐ毒」にもなり得ます。ここでは、新入社員の成長を最大限に引き出すための3つの基本原則を解説します。これらの原則を意識するだけで、フィードバックの質は格段に向上し、指導する側とされる側の双方にとって有益な時間となるでしょう。

具体的かつ客観的な事実を伝える

新入社員へのフィードバックで最も重要なのは、抽象的な感想や主観的な評価ではなく、具体的で客観的な事実に基づいて伝えることです。「もっと頑張って」「意識が低い」といった曖昧な言葉では、新入社員は何をどう改善すれば良いのか分からず、混乱してしまいます。また、人格を否定されたように感じ、モチベーションの低下や不信感につながる恐れもあります。

フィードバックを行う際は、「いつ」「どこで」「どのような状況で」「どのような行動があったか」という事実(ファクト)を明確に伝えましょう。行動に焦点を当てることで、新入社員は指摘を素直に受け入れやすくなり、具体的な改善アクションを考えられるようになります。

NGな伝え方(抽象的・主観的)OKな伝え方(具体的・客観的)
先日のプレゼン資料、ちょっと分かりにくかったよ。もっと工夫して。先日のA社向けプレゼン資料、3ページのグラフの目盛りが細かすぎて少し見えにくかったよ。次回は主要なデータに絞って、フォントサイズを14pt以上にすると、より相手に伝わりやすくなると思う。
電話応対、もっとハキハキ話した方がいいんじゃない?先ほどB社の佐藤様からお電話があった際、少し声が小さく聞こえたようだ。緊張するかもしれないけれど、受話器を口元から指2本分離して、普段より少し大きめの声を意識すると、相手に安心感を与えられるよ。

タイムリーなフィードバックを心がける

フィードバックは「鉄は熱いうちに打て」という言葉通り、対象となる行動や出来事が起きてから、できるだけ時間を空けずに行うのが効果的です。時間が経てば経つほど、当人の記憶は薄れ、フィードバックの内容と自身の行動を結びつけて内省することが難しくなります。

良い行動があった場合は、その場ですぐに「今の〇〇、良かったよ!」と伝えることで、その行動が強化され、成功体験として定着しやすくなります。一方、改善が必要な点を指摘する場合は、人前を避け、その日の業務終了後や1on1ミーティングの場など、落ち着いて話せる環境を設けるのが望ましいですが、それでも数日以内に伝えるようにしましょう。記憶が鮮明なうちにフィードバックすることで、学習効果は最大化されます。

ポジティブとネガティブのバランスを考える

新入社員の育成においては、褒めて伸ばす「ポジティブフィードバック」と、改善点を伝える「ネガティブフィードバック(建設的フィードバック)」の両方が不可欠です。どちらか一方に偏るのではなく、両者のバランスを意識することが、新入社員のモチベーション維持と健全な成長につながります。

一般的に、ポジティブとネガティブの比率は「3:1」から「5:1」程度が良いとされています。日頃から良い点を見つけて積極的に伝えることで信頼関係の土台を築き、心理的安全性を確保することが、いざ改善点を伝える際に相手が素直に耳を傾けてくれる素地を作ります。

ポジティブフィードバックのコツ

単に「良かったね」と褒めるだけでは、効果は半減してしまいます。新入社員の自信と意欲を引き出すためには、以下の点を意識しましょう。

  • 具体的に褒める:「何が」「どのように」良かったのかを具体的に伝えます。「先日の議事録、要点が簡潔にまとまっていて、会議に参加していない人にも状況が伝わりやすかったよ」のように、行動と結果をセットで評価します。
  • プロセスを褒める:目に見える成果だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫、姿勢に着目します。「締め切りに間に合わせるために、事前に細かくスケジュールを立てていた姿勢が素晴らしいね」など、見えない努力を認める言葉は本人の大きな励みになります。
  • 期待を伝える:褒めた上で、「その強みを活かして、次は〇〇にも挑戦してみようか」と、今後の成長への期待を伝えることで、本人の次なる目標設定をサポートします。

ネガティブフィードバックの注意点

改善点の指摘は、伝え方を間違えると相手を深く傷つけ、成長の芽を摘んでしまいかねません。目的はあくまで「成長支援」であり、叱責や詰問ではないことを肝に銘じ、以下の点に注意してください。

  • 人格ではなく行動を指摘する:「君は注意散漫だ」といった人格否定ではなく、「提出された報告書に3箇所の誤字があった」というように、あくまで客観的な「事実」と「行動」に限定して伝えます。
  • 改善策を一緒に考える:「なぜできなかったんだ」と問い詰めるのではなく、「どうすれば次はうまくいくか、一緒に考えてみよう」というスタンスで対話します。解決策を共に模索することで、本人は前向きな改善意欲を持つことができます。
  • 感情的にならない:怒りや失望といった感情をぶつけるのは絶対に避けましょう。冷静に、落ち着いたトーンで、客観的な事実と改善によるメリットを論理的に伝えることが重要です。
  • フォローアップを約束する:フィードバックをして終わりではなく、「来週また進捗を聞かせてね」「困ったらすぐに相談して」といった言葉を添え、継続的にサポートする姿勢を見せることで、新入社員は安心して改善に取り組むことができます。

すぐに使える新入社員へのフィードバック例文集

理論や心構えを理解しても、いざ新入社員を目の前にすると「どんな言葉で伝えれば良いか分からない」と悩む方は少なくありません。この章では、具体的なシチュエーションですぐに使えるフィードバックの例文を、ポイント解説付きで紹介します。これらの例文を参考に、ご自身の言葉でアレンジして活用してみてください。

良かった点を褒めて伸ばすときの例文

ポジティブフィードバックは、新入社員のモチベーションを高め、長所を伸ばす上で非常に重要です。単に「良かったよ」と伝えるだけでなく、「どの行動が」「なぜ良かったのか」「今後どう活かしてほしいか」を具体的に伝えることで、新入社員は自身の強みを認識し、再現性のある行動へと繋げることができます。

シチュエーションフィードバック例文(OK例)ポイント解説
資料作成

「〇〇さん、先日の会議資料、ありがとう。特に△△の部分のデータ分析が非常に分かりやすく、クライアントからも好評だったよ。君の丁寧な仕事ぶりが具体的な成果に繋がったね。この強みを活かして、来週の提案資料でも分析パートをお願いできるかな?」

具体的な行動(データ分析)と、それがもたらした良い結果(好評だった)をセットで伝えます。本人の強み(丁寧さ)と結びつけ、次の業務への期待を伝えることで、自信と責任感を育みます。

電話応対

「さっきの〇〇商事さんからの電話応対、落ち着いていて素晴らしかったよ。相手の話をしっかり傾聴して、要点を復唱しながら確認していたから、聞き間違いも防げるし、相手に安心感を与えられていた。その姿勢を続けていけば、もっとお客様から信頼されるようになるよ。」

観察した具体的な行動(傾聴、復唱確認)を褒めます。その行動がもたらす良い影響(ミス防止、安心感)を言語化することで、なぜその行動が重要なのかを新入社員が深く理解できます。

主体的・積極的な姿勢

「今日のチームミーティングでの発言、とても助かったよ。〇〇さんが『△△という視点もあるのではないでしょうか?』と勇気を出して意見をくれたおかげで、議論が深まったんだ。新人のうちから積極的に意見を出すのは素晴らしいこと。これからも気づいたことはどんどん発信してほしい。」

具体的な発言内容に触れ、チームへの貢献度を伝えます。「勇気を出して」といった言葉で心理的なハードルを越えたことを認め、今後の積極的な行動を促すことで、心理的安全性を高める効果もあります。

改善点を指摘し成長を促すときの例文

改善点の指摘は、新入社員の成長に不可欠ですが、伝え方を間違えるとモチベーション低下や人間関係の悪化に繋がる可能性があります。人格を否定するのではなく、あくまで「行動」や「事実」に焦点を当て、未来志向の改善策を一緒に考える姿勢が重要です。

シチュエーションフィードバック例文(OK例)ポイント解説
報告の遅れ・漏れ

「〇〇さん、少し時間いいかな。先日の△△の件、報告が期限を過ぎていたけれど、何か困っていたことはあった?もし作業の途中で問題が発生したら、まずはその時点で早めに相談してほしいんだ。そうすれば一緒に解決策を考えられるし、チーム全体でサポートできるからね。次はどうすれば期限内に報告できそうかな?」

「なぜ遅れたの?」と詰問するのではなく、「何か困っていた?」と相手の状況を尋ねる質問から入ります。期待する行動(早めの相談)とその理由(チームでサポートできる)を伝え、本人に改善策を考えさせることで、主体性を引き出します。

ケアレスミス

「この見積書の数字、一箇所違っていたみたいだね。忙しい中での作成、お疲れ様。提出前にダブルチェックをする、あるいは先輩に一度見てもらう、というプロセスを入れると、こうしたミスを防げるかもしれないね。次はどういう手順で進めてみる?」

まず労いの言葉をかけ、心理的な壁を下げます。「注意力が足りない」といった個人の資質の問題にせず、「ミスを防ぐ仕組み(プロセス)」の改善を提案します。具体的な対策を提示しつつ、最終的には本人に考えさせることで、やらされ感をなくします。

指示の理解不足

「先ほどお願いした△△の作業、ありがとう。私の伝え方が悪かったかもしれないのだけど、意図していたのは〇〇という形だったんだ。今後、私が何か指示を出すときは、最後に君の言葉で『〇〇という理解で合っていますか?』と復唱してもらえると、お互いの認識のズレが防げると思うんだ。協力してもらえるかな?」

「私の伝え方が悪かったかも」と前置きすることで、相手が指摘を受け入れやすくなります。一方的に責めるのではなく、再発防止のための具体的な仕組み(復唱確認)を提案し、協力をお願いする形で伝えることで、前向きな改善に繋がります。

日報や週報に対するフィードバックの例文

日報や週報は、新入社員の状況を把握し、継続的にコミュニケーションを取るための重要なツールです。単に「見ました」と返信するだけでなく、具体的なコメントを返すことで、新入社員は「しっかり見てくれている」と感じ、エンゲージメントが高まります。

良かった点と学びを深めるコメント

「今週もお疲れ様でした。〇〇のタスクで『△△を工夫した』と書いてあったけど、素晴らしい着眼点だね!具体的にどういう思考プロセスでその工夫に至ったのか、次回の1on1で詳しく聞かせてくれる?君の学びをチームにも共有したいな。」

ポイント:具体的な記述を引用して褒めることで、日報をしっかり読んでいることが伝わります。さらに深掘りする質問を投げかけることで、新入社員の内省を促し、学びを言語化する力を養います。

困っていることへのサポートを示すコメント

「日報で『〇〇の業務に時間がかかっている』と書いてあった件、共有ありがとう。もしかしたら△△のツールを使うと効率化できるかもしれないから、明日少し時間を取って一緒に見てみようか。一人で抱え込まずに相談してくれて助かるよ。」

ポイント:課題の自己開示に対して感謝を伝えることで、相談しやすい雰囲気を作ります。精神論で終わらせず、具体的な解決策やサポートを提示することで、新入社員の不安を解消し、信頼関係を深めます。

目標達成に向けた軌道修正のコメント

「今週の目標達成、おめでとう!日報を見ると、計画通りに進められているのがよく分かるよ。一方で、来週の目標である△△については、少し難易度が高いかもしれない。来週月曜の朝に5分だけ話して、進め方について一緒に計画を立ててみないか?早めに準備すれば、きっとうまくいくはずだ。」

ポイント:まずは達成したことを承認し、自信を持たせます。その上で、未来の課題について触れ、具体的なサポート(計画の相談)を提案することで、失敗を未然に防ぎ、成功体験を積ませる手助けをします。

効果的なフィードバックのためのフレームワーク活用法

新入社員へのフィードバックに慣れていないと、「何をどう伝えれば良いか分からない」「伝え方一つで相手を傷つけてしまわないか」と不安になるものです。そんな時に役立つのが、型となる「フレームワーク」です。フレームワークを活用することで、伝えるべき内容が整理され、感情的になるのを防ぎ、新入社員もフィードバックを受け入れやすくなります。ここでは、特に効果的で実践しやすい3つのフレームワークを、具体的な活用法と合わせてご紹介します。

サンドイッチ型フィードバック

サンドイッチ型フィードバックは、伝えにくい改善点や注意点を、ポジティブな言葉で挟み込むことで、相手の心理的負担を和らげる手法です。パン(ポジティブ)で具(ネガティブ)を挟むサンドイッチに例えられています。特に、まだ関係性が浅い新入社員や、精神的にデリケートなタイプの社員に対して有効です。

サンドイッチ型フィードバックの構成と例文
構成内容例文(プレゼン資料作成について)
パン(ポジティブ)褒める・認める・感謝する「〇〇さん、先日のプレゼン資料、とても分かりやすくまとまっていたよ。特にグラフの使い方が秀逸で、説得力が増していたね。短期間でよく仕上げてくれた、ありがとう。」
具(ネガティブ)改善してほしい点・指摘「ただ、1点だけ。最後の結論部分のテキストが少し多くて、要点が少し伝わりにくかったかもしれない。もう少し箇条書きにしたり、図解を入れたりすると、もっと良くなると思うんだ。」
パン(ポジティブ)期待・励まし・勇気づけ「でも、全体的には本当に素晴らしい出来だったよ。〇〇さんの資料作成能力には期待しているから、次もこの調子で頑張ってほしい。何か困ったら、いつでも相談してね。」

この手法のメリットは、相手のモチベーションを維持しながら改善を促せる点にあります。しかし、多用すると「褒め言葉の後には必ず指摘が来る」と新入社員が警戒してしまったり、本当に伝えたい改善点がぼやけてしまったりするというデメリットもあります。伝えるべき内容の重要度に応じて、他のフレームワークと使い分けることが重要です。

SBIモデル

SBIモデルは、フィードバックを「Situation(状況)」「Behavior(行動)」「Impact(影響)」の3つの要素に分解して伝えるフレームワークです。人格や性格を評価するのではなく、あくまで「客観的な事実」に基づいて伝えるため、新入社員が納得感を持って受け入れやすいのが最大の特徴です。具体的で行動変容を促しやすいため、日常的な指導や1on1ミーティングなど、あらゆる場面で活用できます。

SBIモデルの構成要素

  • S (Situation) 状況:「いつ」「どこで」起きたことかを具体的に示します。
  • B (Behavior) 行動:相手が「具体的にどのような行動をとったか」を、評価を交えずに客観的に描写します。
  • I (Impact) 影響:その行動が、周囲や組織、あなた自身に「どのような影響を与えたか」を伝えます。

SBIモデルを活用した例文

種類要素例文
ポジティブフィードバック
(会議での発言について)
S (状況)「今日の午後の定例会議で、新しい企画について議論していた時のことなんだけど、」
B (行動)「〇〇さんが、他の人が気づいていなかったリスクについて、データに基づいて具体的に指摘してくれたよね。」
I (影響)「あの一言のおかげで、プロジェクトの潜在的な問題点を事前に洗い出すことができたんだ。チームとして大きなミスを防げたし、本当に助かったよ。ありがとう。」
ネガティブフィードバック
(報告の遅れについて)
S (状況)「昨日が締め切りだった〇〇の案件報告書の件で、少し話せるかな。」
B (行動)「締め切り時間を過ぎても報告がなくて、こちらから状況を確認するまで連絡がなかったよね。」
I (影響)「報告がないと、僕も上司に進捗を伝えられないし、次のアクションをどうするかチーム全体の判断が遅れてしまうんだ。もし遅れそうなら、事前に一言相談してくれると、こちらもサポートできるから、次からはお願いできるかな。」

SBIモデルを実践する際は、日頃から新入社員の行動をよく観察し、具体的なエピソードをメモしておくことが成功の鍵となります。「いつも頑張っているね」といった曖昧な言葉ではなく、事実に基づいたフィードバックこそが、新入社員の確かな成長へと繋がります。

ペンドルトンモデル

ペンドルトンモデルは、フィードバックを受ける側(新入社員)の自己評価から始める、対話形式のフレームワークです。上司が一方的に評価を伝えるのではなく、新入社員自身の「気づき」を促し、主体的な改善行動を引き出すことを目的としています。コーチングの考え方に基づいた手法であり、新入社員の自律的な成長を長期的に支援したい場合に特に有効です。

ペンドルトンモデルの基本的な進め方

  1. 確認:まず、フィードバックの目的と進め方について、お互いの認識を合わせます。「今日はこの前のプレゼンについて、一緒に振り返って次に繋げていきたいんだけど、いいかな?」
  2. 良かった点(本人):新入社員自身に、うまくできたと思う点、良かった点を挙げてもらいます。「まず、〇〇さん自身が、今回のプレゼンで『ここは上手くできたな』と感じた部分を教えてくれる?」
  3. 良かった点(上司):上司から見て良かった点、称賛したい点を具体的に伝えます。「そうだね、私も〇〇さんが言ったように、質疑応答に冷静に対応できていた点が素晴らしいと思ったよ。事前の準備がしっかりできていた証拠だね。」
  4. 改善点(本人):新入社員自身に、改善したい点、次はこうしたいと思う点を挙げてもらいます。「じゃあ次に、自分で『ここはもっとこうすれば良かったな』と感じた点はあるかな?」
  5. 改善点(上司):本人の意見を踏まえた上で、上司から改善策やアドバイスを提案します。「なるほど。時間配分か。確かに、最後のまとめが少し駆け足になっていたかもしれないね。もしよかったら、次回は事前に時間を計りながら一度リハーサルをしてみるのはどうかな?」
  6. 行動計画の策定:最後に、次に取り組むべき具体的なアクションプランを一緒に考え、合意します。「じゃあ、次のプレゼンでは、リハーサルを1回やってみることを目標にしようか。何か手伝えることがあったら、いつでも声をかけてね。」

このモデルは、新入社員の自己肯定感を高めながら、納得感のある形で改善を促せるという大きなメリットがあります。ただし、ある程度の時間が必要であり、上司には相手の話を傾聴し、うまく内省を促すファシリテーション能力が求められます。定期的な1on1ミーティングなどで時間を確保し、じっくりと対話する場として活用するのがおすすめです。

やってはいけない新入社員へのNGフィードバック

良かれと思って伝えた言葉が、新入社員の成長を妨げ、モチベーションを著しく低下させてしまうことがあります。特に、経験が浅く精神的にもデリケートな新入社員に対しては、フィードバックの方法を誤ると、早期離職やメンタル不調の引き金にもなりかねません。ここでは、上司や先輩が絶対に避けるべきNGフィードバックを3つのポイントに絞って具体的に解説します。信頼関係を損ない、育成の機会を失うことのないよう、必ず押さえておきましょう。

他の社員と比較する

新入社員の成長を促す目的で、つい他の優秀な同期や先輩社員を引き合いに出してしまうケースがありますが、これは逆効果です。「同期の〇〇さんはもう契約を取っているのに」「去年の新人はもっと早く独り立ちした」といった比較は、本人に不要なプレッシャーと劣等感を与えるだけです。

比較によって生まれるのは、健全な競争心ではなく、自己肯定感の低下や、比較対象への嫉妬心です。結果として、本来持っている能力を発揮できなくなったり、チーム内の人間関係が悪化したりする原因となります。フィードバックで比較対象とすべきは、他人ではなく「過去の本人」です。「先週はできなかった〇〇が、今週はできるようになったね」「入社時と比べて、電話応対が格段にスムーズになったよ」というように、本人の成長した点に焦点を当てて伝えることで、自信を持って次のステップに進む意欲を引き出すことができます。

抽象的で感情的な表現を使う

「もっと頑張って」「やる気あるの?」「ちゃんとして」といった、具体的でない抽象的な言葉や、感情的な表現は、新入社員を混乱させるだけで、行動改善にはつながりません。何をどう改善すれば良いのかが分からないため、ただ「自分は評価されていない」というネガティブな感情だけが残ってしまいます。

フィードバックは、あくまで客観的な事実と、それに基づく具体的な行動に焦点を当てるべきです。感情的な決めつけは避け、観察した事実を基に対話を促しましょう。これにより、新入社員は次に取るべきアクションを明確に理解し、前向きに業務改善に取り組むことができます。

NGな表現(抽象的・感情的)OKな表現(具体的・行動ベース)
もっと主体的に動いて。次の定例会議では、〇〇の議題について、事前に自分の意見をまとめて発表してみようか。
報告書の内容が全然ダメだ。報告書の「考察」の部分、データAとBの関連性がもう少し分かりやすくなるように、グラフを追加して説明を補足してくれるかな。
君はいつも緊張しすぎだよ。プレゼンの時、少し声が小さくなってしまう傾向があるから、次は一番後ろの人に届ける意識で話してみると、もっと自信を持って聞こえるよ。

人前で叱責する

業務上のミスや改善点を指摘する際に、他の社員がいる前で叱責することは、最も避けるべき行為の一つです。人前での叱責は、指導という本来の目的を大きく逸脱し、新入社員のプライドを深く傷つけ、強い羞恥心を与えるだけの「公開処刑」になってしまいます。

このような経験は、上司や先輩に対する恐怖心や不信感を植え付け、その後の報告・連絡・相談(報連相)が滞る直接的な原因となります。また、叱責されている本人だけでなく、それを見ている周囲の社員も萎縮させてしまい、職場全体の心理的安全性を著しく低下させます。

改善点を伝えるネガティブフィードバックは、必ず会議室や面談スペースなど、1対1になれるクローズドな環境で行うことを徹底してください。場所とタイミングを選ぶという配慮そのものが、相手を尊重する姿勢として伝わり、フィードバックを素直に受け入れてもらうための土台となります。

まとめ

本記事では、新入社員の成長を効果的に支援するためのフィードバックの重要性から、具体的な方法、すぐに使える例文までを網羅的に解説しました。

新入社員への適切なフィードバックは、彼らの早期離職を防ぎ、成長を加速させ、上司や先輩との信頼関係を築く上で不可欠です。成功の鍵は、フィードバックの目的が「成長支援」であることを常に意識し、人格ではなく具体的な行動に対して、客観的な事実を基に伝えることです。

良かった点を褒めるポジティブなフィードバックと、改善点を伝えるネガティブなフィードバックのバランスを取りながら、タイムリーに行うことが新入社員のモチベーション維持につながります。SBIモデルなどのフレームワークを活用することで、より構造的で伝わりやすいフィードバックが可能になります。

一方で、他者との比較や人前での叱責、抽象的で感情的な表現は、新入社員の自信を奪い、逆効果になりかねません。本記事で紹介したコツや例文を参考に、新入社員一人ひとりに寄り添った丁寧なコミュニケーションを心がけ、彼らのポテンシャルを最大限に引き出していきましょう。

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