人材育成に役立つ
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ビジネス環境が急速に変化する現代において、企業の最大の資産である人材の育成は、さらに重要性を増しています。
しかし、効果的な人材育成は容易ではありません。個々の従業員のニーズや能力に合わせた育成プログラムの設計、限られた時間と予算内での効率的な実施、そして成果の測定と改善といった多くの課題に直面しています。
このような状況下で、多くの企業が注目しているのが人材育成フレームワークです。これらのフレームワークは、体系的かつ戦略的に人材を育成するための指針となり、効率的で効果的な人材開発を可能にします。
人材育成の最新トレンド
まずは、人材育成における最近のトレンドからみていきましょう。
1.パーソナライズされた学習体験の提供
今までは、大勢の従業員を集めて研修を行ったり、すべての従業員に対して同一の学習コンテンツを提供したりすることが一般的でした。しかし、実際には一人ひとりスキルレベルや得意・不得意、理解度が異なるため、画一的な学習体験では成果につながりにくくなっています。
そこで、近年は従業員一人ひとりの特性や学習状況などに個別化(パーソナライズ)した学習体験が求められています。パーソナライズすることで、個人の得意分野を伸ばしたり、ボトルネックを改善したりできるため、より一人ひとりの能力を成長できると期待されています。
2.eラーニングや動画学習の普及
インターネットの進歩によってさまざまな体験がオンライン上でできるようになっていますが、人材育成にもその波は及んでいます。特に、スマホやタブレットなどのモバイルデバイスで学習できるeラーニングや動画学習など、学習コンテンツのオンライン化が進んでいる状況です。
eラーニングも動画学習も、インターネット環境とデバイスさえあれば学習できるため、従業員は通勤中や休憩中などのスキマ時間を使って学習できるというメリットがあります。管理者にとっても、従業員ごとの学習状況や習熟状況を可視化できるため、一人ひとりに適切なフォローができます。
3.実践的な学びを重視
従来の人材育成では、座学メインの集団講義が主流でしたが、近年は実務を通じて経験を積みながら知識やスキルを習得していく学習方法を取り入れている企業も少なくありません。
もちろん座学で必要知識を学ぶことは重要ですが、実務を経験すると知識だけでは対応できない状況も出てきます。そのため、実践を通じて対応力や応用力を学んでいきます。
特に、エンジニア職やクリエイティブ職、営業職などの職種は実践を積むことで経験値を増やし、スキルが向上する傾向にあります。また、マネジメント層に関しても、実践によってマネジメントスキルの向上が期待できるため、実践を重んじる傾向にあるでしょう。
4.多様な学習手法への対応
学習手法が多様化している現代では、企業の人材育成でも幅広い学習手法を取り入れて人材の可能性を広げていく必要があります。最近人気の学習方法を紹介していきます。
マイクロラーニング
マイクロラーニングとは、短時間で学習できるコンテンツを用いた手法です。短ければ1分程度、長くても10分程度の学習コンテンツのため、従業員はスキマ時間で必要な知識を習得できます。使われるコンテンツは、クイズ形式が動画コンテンツなど短時間の学習に適したコンテンツが一般的です。
ゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションとは、ゲームの仕組みや要素を取り入れることです。たとえば、ゲーミフィケーションを取り入れた学習手法には以下のようなものが挙げられます。
- 学習状況に合わせてキャラクターが進化していく
- テストの点数でレベルアップする
- 他の従業員とスコアを競争する
- 習熟状況によってバッジがもらえる
このようにゲームの要素を取り入れることで学習が苦痛ではなくなるため、従業員の自主的な学習を促します。
コミュニティーラーニング
資格や趣味などの学習でコミュニティーラーニングが人気になっていますが、人材育成で取り入れる企業も見えてきました。
コミュニティーラーニングとは、同じ目的を持った人同士が一緒に学び合うことです。ディスカッションやグループワーク、相談会などを通じ、一人ひとりのノウハウを共有したり相談し合ったりしてモチベーションを高め、学習効率を高めていくことが期待できます。
このような学習トレンドは現代において効果的な手法のため、企業はどんどん活用することをおすすめします。あわせて、確立された人材育成フレームワークを使うことでより効率的な学習を促せます。
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人材育成でフレームワークを活用するメリット
フレームワークとは、思考を整理したり物事を検証したりする際に活用される枠組みのことです。フレームワークはビジネスのあらゆるシーンで活用できますが、人材育成の分野でも活用されています。
フレームワークを活用する最大のメリットは、複雑な人材育成プロセスを簡単に実施できることです。これにより、人事担当者や管理職は、体系的なアプローチで人材育成に取り組むことができます。
具体的なメリット
- 自社の人材育成における状況や課題を客観的に分析できる
- 効果的な目標設定ができる
- 長期的に一貫性のある人材戦略を立案できる
フレームワークに沿って情報を体系的に洗い出し分析することで、「自社の課題発見」「適切な目標設定」「合理的な意思決定」が可能になります。これにより、より効果的で測定可能な人材育成戦略を立案・実行することができます。
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主要な人材育成フレームワーク5選とそれぞれに適したケース
ここからは、主要な人材育成フレームワークに関して、特徴や適しているケースをあわせて紹介していきます。
1.HPI(Human Performance improvement)
特徴
HPIは、人材のパフォーマンスの現状とあるべき姿を洗い出して組織の課題を見つけ、そのギャップを埋めるための施策を立案・実行して効果を検証していくためのフレームワークです。米国の人材開発機構であるATD(Association for Talent Development)によって提唱されているフレームワークで、「人材」を基本軸として組織課題にアプローチしていきます。
具体的なメリット・効果
HPIは、「人材」という視点から組織を見すえる方法のため、今まで気づかなった組織の課題を見つけられるかもしれません。今までは「組織」という大きな視点で見ていたため、組織体制や評価制度、業務プロセスといった部分しか課題が見えていなかったかもしれませんが、一人ひとりの「人材」という視点から組織を見てみることで、もっと細かい部分に課題があることに気づける可能性があります。
また、パフォーマンスのギャップを明らかにしたうえで、その原因を特定して施策を講じていくため、自社にとって本当に必要な取組みを把握できます。自社の人材に不足しているスキルや知識を明らかにしたり、自社の組織のボトルネックを明確にしたりできるため、その部分に対応する適切な人材育成施策を実行できるでしょう。
適しているケース
「今までやっていたから」「最近流行っているようだから」といったあいまいな目的で研修を実施している企業には、HPIが適していると言えます。研修の明確な目的がないため、受講する従業員もモチベーションが上がらずスキルの定着につながりません。HPIを活用すれば、自社の課題に最適化した研修や教育を実施でき、明確な目的(ゴール)があるため従業員のモチベーションも促せます。
また、全従業員に対して画一的な集合研修を実施しているケースでも、HPIが適しています。役職や職種、立場が異なるため、一人ひとり必要とする研修内容も異なります。人材にフォーカスしたHPIを用いると、一人ひとりに最適化した教育を実施できるようになるでしょう。
2.70:20:10フレームワーク
特徴
70:20:10フレームワークとは、人材が成長するために必要な要素を割合でまとめたフレームワークです。米国のロミンガー社が提唱したため「ロミンガーの法則」とも呼ばれています。
同社は、経営者などを中心にリーダーシップの発揮に有効だった要素を調査したところ、以下の割合の結果が出ました。
- 経験:70%
- 薫陶:20%
- 研修:10%
この結果から、研修だけを行っても効果は期待できず、実務経験や他者からのアドバイス・フィードバックなどの要素が重要であることがわかります。そのため、企業の人材育成でもいずれの要素もバランスよく育成を行うことで、効果的な結果が得られるとされています。
具体的なメリット・効果
70:20:10フレームワークを活用すると、従業員は実践的なスキルを身につけながら自分自身の成長へとつなげられます。70%を占める「経験」を重んじることで実践の場面で役立つスキルが身につき、さらに他者からのアドバイスやフォーマルな研修によって自分を客観的に見つめて足りないスキルを把握できるでしょう。
また、従業員みずから経験しながら学んでいくことで、自分よりも若手の後輩や部下などへのアドバイスやフィードバックができるようになります。後輩や部下の薫陶につながる文化を形成でき、組織としての成長も期待できるでしょう。
適しているケース
研修しかしていない企業の場合、従業員のスキルアップには効果が期待できないと言えます。実務経験を通じたスキルの習得を促す仕組みを取り入れることが重要です。
また、さまざまな人材育成の施策を行っていても、やりっぱなしになっている企業にとっても70:20:10フレームワークが有効です。研修でもeラーニングでも研修をやりっぱなしでは、それがどのくらい結果に結びついているか把握できません。実務経験を増やし、インプットだけでなくアウトプットも促すことでスキルの定着が期待できるでしょう。
3.SMARTの法則
特徴
SMARTの法則とは、目標達成につながる5つの要素から、一人ひとりに最適な目標設定を行い成長を促す方法です。5つの要素とは、以下になります。
- Specific:具体的・わかりやすい
- Measurable:測定可能
- Achievable:達成可能
- Realistic:現実的
- Time-bound:期限が明確
この5つの要素を満たす目標を設定し、その目標を達成できたらまた次のレベルの目標を設定していくことで、確実なレベルアップにつなげます。
具体的なメリット・効果
SMARTの法則に従って目標を設定すると、従業員の確実な目標達成を促し、企業としての成長にもつながります。誰しも、不明確な目標や、到底達成ができなさそうな目標、期限のない目標は、モチベーションが上がりませんが、SMARTの法則に則ると従業員のやる気を引き出す目標を設定できます。
また、明確なゴールが決められているため、上司や人事担当者も評価に困りません。評価軸が明確になるため公平な人事評価ができ、組織としてもプラスの効果が得られるでしょう。
適しているケース
従業員の目標設定ができていなく、思うような結果ができていないケースではSMARTの法則が有効です。5つの要素を満たす目標を設定することで、従業員のモチベーションを向上させて成果をあげられます。
また、社内の人事評価に課題を抱えている企業でも、SMARTの法則を取り入れるケースが見受けられます。明確な評価基準が可視化されるため妥当かつ公平に評価できるようになり、従業員の不平・不満を解消できるでしょう。
4.カークパトリックモデル
特徴
カークパトリックモデルは、以下の4つのレベルに分けて教育の効果を検証するモデルです。
- レベル1:Reaction(反応)
- レベル2:Learning(学習)
- レベル3:Behavior(行動)
- レベル4:Results(業績)
具体的には、レベル1は「研修内容に満足したか」、レベル2は「研修内容を身につけられたか」、レベル3は「研修内容を実践できたか」、レベル4は「研修内容が結果に反映されたか」という内容になります。レベル1とレベル2に関しては研修内容の評価に使われ、レベル3とレベル4は研修内容を継続するか・ブラッシュアップするかといった評価に使われます。
具体的なメリット・効果
カークパトリックモデルは、研修のPDCAを回すのに有効です。研修を実施しても振り返ることなく、また同じ内容の研修をしていると、思うような効果が得られない場合があります。カークパトリックモデルで研修内容を相対的に評価すると、具体的な改善策が見つかるためさらに効果的な研修を実施できます。
また、研修内容が実務や業績にどれだけ影響しているか測定するため、研修の費用対効果の測定にも役立つでしょう。
適しているケース
研修をして満足している企業には、カークパトリックモデルの導入がおすすめです。研修をしても、受講している従業員が満足できている内容でなければ自主的に学んでくれませんし、業績につながらなければ内容を見直す必要があります。せっかく時間やコストをかけて研修を行うのであれば、より効果的な研修をしていくためにカークパトリックモデルを取り入れましょう。
5.カッツモデル
特徴
カッツモデルとは、ハーバード大学で教鞭をとっていたロバート・カッツ氏が提唱する、マネジメント層向けのフレームワークです。マネジメント層の育成に必要な能力を階層別・スキル別に分類し、どの階層でどのスキルがどれだけ必要となるかを示しています。
カッツモデルで分類される階層は、以下の3つです。
- トップマネジメント
- ミドルマネジメント
- ロワーマネジメント
そして、マネジメント層が必要とするスキルは以下の3つです。
- コンセプチュアルスキル(概念化能力)
- ヒューマンスキル(対人関係能力・人間理解能力)
- テクニカルスキル(業務遂行能力・専門能力)
マネジメント層の階層により、もっとも必要とされるスキルも変わってくるため、階層に最適化した人材育成が必要です。
具体的なメリット・効果
階層ごとに求められるスキルが明確になっているため、一人ひとりに適切な施策を講じることが可能です。マネジメント層の従業員も、自身にとって必要なスキルが明らかになるため自主的な学びを促せるでしょう。
また、マネジメント層の人材採用にも効果的です。採用活動で自社が必要とする人材のスキルが把握でき、採用基準が明確になることで、より優れた人材獲得につながります。
適しているケース
カッツモデルは、マネジメント層の人材育成に課題を抱えている企業に有効なフレームワークです。すでにマネジメント層の役職者だけでなく、今後マネジメント層へと育成していきたい人材の教育にも活用できるため、将来のリーダー育成にも効果的です。
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人材育成にフレームワークを取り入れるステップ
フレームワークを人材育成に取り入れる流れ・手順を説明していきます。
ステップ1|自社の状況と課題を整理する
まずは、自社の人材に関する状況と課題を整理しましょう。現在、各部門ではどのような人材育成を行っているのか洗い出し、ヒアリングを通じて現状を把握します。
現場には、現状の人材育成に関する不満や要望などをヒアリングします。マネジメント層に対しては、現在の人材育成の進捗状況や課題、目標とのギャップなどを聞き取ります。
自社の状況や課題がわからないまま人材育成を進めても効果が期待できないため、情報収集と整理から始めると良いでしょう。
ステップ2|経営目標とすり合わせる
現場の状況を把握できたら、経営陣と経営目標と人材育成計画のすり合わせを行います。なぜなら、人材育成を行う理由は、人材を成長させて経営目標を達成することだからです。
経営目標に合わせ、どのような人材が必要なのか、どのくらいの期間で取り組むべきか、といった方向性をすり合わせます。
また、経営陣に人材育成の方向性を共有して理解を得ておけば、社内の協力体制を構築することもできます。
ステップ3|人材育成のゴールを設定する
経営目標とのすり合わせをふまえ、自社にとって必要な人材を明確にします。ゴールが明確だと計画が立てやすくなり、自社の人材育成施策の効果も検証しやすくなります。
いつまでにどのような人材へと育成すべきか、部門ごとに目標を設定しましょう。
ステップ4|人材育成計画を立てる
具体的な計画を立てることで、人材育成を進めやすくなります。いつまでにどのくらいの人材をどの状態までしたいのか、といった計画を部門ごとに立案します。
具体的な計画があれば、実際に教育を受ける従業員も共通認識を持つことができ、モチベーションを維持しながら取り組めることでしょう。
ステップ5|適切なフレームワークを選定し施策を立案する
自社の課題や計画に沿って最適なフレームワークを選定し、フレームワークをもとに施策を立案します。フレームワークはあくまでも人材育成を進めるための手段であるため、フレームワークに基づいて効果的な施策を立案しなければなりません。
- 誰にどのような研修が必要かどうやって実務経験を積ませるか
- eラーニングや動画学習をする場合はコンテンツをどのように作成するか
- 評価制度は見直すか、このままで良いか
上記のように、具体的に施策を考えていきます。フレームワークをもとにすることで、自社にとってどのような施策が効果的か把握しやすくなります。
ステップ6|PDCAを回す
人材育成施策の実行に移ったら、定期的に内容を振り返り、成果を検証してブラッシュアップしていきましょう。軌道修正しながら進めていくことで、目標の期日までに求めている人材へと育成していく近道になります。
振り返りは、実際に人材育成施策を受けている従業員へのヒアリングや、振り返りシートの作成、上司からのフィードバックなどがあります。このほかに、適切なKPIを定めて数値で検証していく方法も効果的です。
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人材育成のフレームワークを活用するポイント
人材育成のフレームワークを活用する際のポイントは、以下の3つです。
ポイント1:自社の目的や状況に合わせたフレームワークを活用する
自社の目的や状況によって適しているフレームワークが異なるため、まずは現状を分析したうえでどのフレームワークを活用するか決めましょう。
ポイント2:PDCAを回す
フレームワークを採用したからと言って、すぐに成果が出るわけではありません。フレームワークを活用した人材育成は、定期的に振り返って効果を検証し、続けていくか改善するか適切に判断することも重要です。
ポイント3:自社に合わせてカスタマイズすることも可能
フレームワークは基本的な枠組みであるため、自社の状況や業務に合わせてカスタマイズして活用するのも一つの手です。柔軟にカスタマイズして、自社の人材開発を進めましょう。
まとめ:自社に合ったフレームワーク選定で効果的な人材育成を実現!
人材育成のフレームワークは多様であり、企業の特性や目標に応じて最適なものが異なります。効果的なフレームワークを選ぶためには、自社の現状と課題を的確に分析することが不可欠です。
選定したフレームワークは、単なる理論にとどめず、具体的な育成計画や施策の立案に落とし込んで実際に活用することが重要です。フレームワークを指針として、自社の実情に合わせた柔軟な運用を心がけましょう。
このアプローチを通じて、フレームワークの持つ強みを最大限に活かし、自社の人材育成を戦略的かつ効果的に推進することができます。結果として、組織全体の成長と競争力の向上につながるでしょう。
効率的な育成にはサービスの導入がおすすめ!助成金・補助金を活用できる場合も!
人材育成には、研修やeラーニング、動画コンテンツなどが必要です。こうした学習コンテンツを自社で整備するのは大変なので、効率良く実施できるサービスを導入するのも一案。eラーニングツールや動画作成ツールなどを活用し、効率的に人材育成をしましょう。
また、場合によっては助成金・補助金を活用できることもあります。「人材育成をしたいが予算が足りない」という場合は、事前に適用条件や申請方法などを確認してから助成金・補助金の活用も検討してみましょう。
詳しくはこちらの記事で紹介しているので、ぜひあわせてお役立てください。
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執筆:西 並子
図解:平山 理沙