RPAとは?
RPAとは「Robotic Process Automation」の略であり、直訳すると「ロボットによる業務の自動化」です。事務や経理などの事務的業務は現在は人の手によって行われていますが、ソフトウェア技術の進化に伴い自動化システムを導入する企業も増えています。その一つがRPAであり、活用することでパソコン上のさまざまな作業を自動化し生産性向上の実現が期待できるでしょう。
まずは、同じ業務効率化を得意とする「マクロ」とRPAの違いについて解説していきます。どちらかを導入するか検討する際にも、マクロとRPAの違いをしっかり理解しておくことが重要となりますので、ぜひ参考にしてください。
マクロとは?
マクロとは「複数の操作をまとめて呼び出す機能」を指しており、Excelの自動化で使われる例が多いです。マクロには以下のような特徴があり、データ集計や分類の他にシートの印刷などさまざまな作業の自動化に役立つでしょう。
- VBA言語で書かれている
- Excelの全機能をプログラミングにより操作できる
- 手動操作を記録できる
- Windowsの設定やインターネットのデータ収集
マクロを活用することで、操作せずとも作業や処理が自動化され、業務効率化や人件費などのコスト削減、生産性向上などの効果が期待できるでしょう。
RPAとマクロの違い
パソコン上の定型作業を自動化する目的で利用される「RPA」と「マクロ」ですが、それぞれ異なる違いがあります。ここからは、以下の5つの観点から違いを解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
- 自動化対応範囲
- 必要なプログラミング知識
- 処理可能データ量
- 導入方法
- 外部ツールとの連携
また、「RPA」を比較する「マクロ」はExcelマクロを代表例として説明していきます。
違い1:自動化対応範囲
「RPA」と「マクロ」はどちらも定型作業を自動化するツールとして活用されていますが、自動化対応範囲に違いがあり、それぞれ作業内容や手順に合わせて選択する必要があります。
- マクロ…自動化できるのはMicrosoft社のアプリに限られる
- RPA…Officeアプリを含めさまざまなアプリやシステムで自動化ができる
Excelで作成したグラフやデータをチャットツールに送付したり、Excelでデータを整理する上でWebサイトからのデータのダウンロードが必要となるなど、Excel以外のアプリやシステムを横断する場合は「RPA」を活用することで、自動化することができます。
違い2:必要なプラグラミング知識
「マクロ」を活用するには、前述にもある通りVBA言語でコードを書いて作業の自動化を行うため、プログラミング知識が必要となります。どんな動作を実行していくのかあらかじめコードを用いて動作を指定する必要があるため、構築に時間がかかる場合がほとんどです。
一方で「RPA」を活用する際にも、プログラミング知識があることに越したことはありませんが、ツールの種類によっては以下のようにプログラミング知識がなくても設定することができます。
- テンプレートがある
- 作業を一度人の手で実践することで手順をシナリオ化し設定してくれる
しかし、複雑な作業の自動化やトラブル時のメンテナンスなどの場合は、プログラミング知識が必要となることを理解しておきましょう。
違い3:処理可能データ量
処理可能データ量にも違いがあり、以下のように「マクロ」はExcelに搭載されている機能であることから、使用するパソコンのスペックに依存するため一度に大量のデータや複雑な処理を行う場合処理しきれずに動作が遅くなったりパソコンが止まってしまう可能性があります。
- マクロ…Excelを使用するパソコンのスペックに依存
- RPA…デスクトップ型・サーバー型・クラウド型と種類が複数ある
一方で「RPA」のデスクトップ型も「マクロ」同様パソコンのスペックに依存しますが、サーバー型やクラウド型であればパソコンのスペックに関係なく導入することができるので大量のデータや複雑な処理も高速で行うことができます。
違い4:導入方法
導入方法は「RPA」と「マクロ」で以下のように大きな違いがあります。「マクロ」はExcelに元々搭載されている機能であることから、Excelをすでに利用しているのであればすぐに利用を始めることができます。
- マクロ…Excelに元々搭載されている機能
- RPA…必要に応じたツールのライセンスを購入して導入
しかし「RPA」を利用する場合、前述で紹介したデスクトップ型・サーバー型・クラウド型から選択し導入するだけでなく、自動化したい内容に応じたツールのライセンスをベンターから購入し導入する必要があります。
「RPA」は前述した通り、自動化対応範囲が広いことから導入に手間やコストがかかることを理解しておきましょう。
違い5:外部ツールとの連携
前述した導入方法と同じく「マクロ」はExcelに元々搭載されている機能であることから、Microsoft製品とのみ連携することが可能です。一方で「RPA」は以下のようにさまざまな外部ツールと連携することができます。
- マクロ…Microsoft製品のみと連携
- RPA…MicrosoftアプリやWebアプリとの連携が可能
そのため、さまざまなアプリやシステムを横断してデータ収集や作業を行う業務を自動化させたい場合には、RPAを導入することで実現できます。「RPA」にはデータベース連携やAPI連携、ファイル連携機能など機能が豊富なため幅広い業務に活用することができます。
RPAとマクロの共通点は?
ここまで「RPA」と「マクロ」の違いについて詳しく解説しました。では共通する部分としてはどのような内容があるのでしょうか。以下の3つの観点から共通点について詳しく紹介していきます。
- 定型処理の自動化が得意
- ヒューマンエラーを防止できる
- メンテナンスが必要
共通点1:定型処理の自動化が得意
「RPA」と「マクロ」どちらも定型処理の自動化が得意であることが共通点であり、すでに作業手順が決まっている業務をその手順通りに実行・反復することにより業務の自動化を行います。
一度自動化を行えば、基本的にワンクリックで正確に同じ作業を行うことができ、業務の効率化やコスト削減などの大きな効果が期待できるでしょう。また人手不足の解消や生産性向上にも影響を与えるでしょう。
共通点2:ヒューマンエラーを防止できる
人間が行うと手間や時間のかかる作業を自動化させることで、作業スピードが上がるだけでなくヒューマンエラー防止にもつながります。人間が作業する場合に起こりがちなケアレスミスや、集中力低下による業務の遅れなども自動化することで解消されるでしょう。
共通点3:メンテナンスが必須
「RPA」と「マクロ」どちらも最初に設定した通りに繰り返し作業を自動的に行うことができますが、以下のような場合にはメンテナンスが必須です。
- 作業に関わるアプリやシステムのバージョンアップ
- 作業内容の軽微な変更
- アプリやシステムの仕様変更に伴うエラー発生時
そのため、導入時にはメンテナンスしやすい状態にしておくことが大切であり、担当者が変わる場合には、作業内容だけでなくメンテナンスについてもしっかり引き継ぎを行うことが必須であることを理解しておきましょう。
RPAとマクロに適している業務は?
「RPA」と「マクロ」の違いや共通点を説明してきましたが、実際それぞれにどのような業務が適しているのでしょうか。違いや共通点を理解していても、導入の際にはどちらを活用し自動化すればいいか迷う場合も少なくないでしょう。
- RPAが適している業務
- マクロが適している業務
それぞれ詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
RPAが適している業務
RPAは設定時に、ツール内にある機能一覧から必要な作業を選択するだけで簡単に業務を自動化させることができます。以下のような業務を自動化させたい場合に適していると言えるでしょう。
- 生産管理システムや販売管理システムなど複数のシステムを横断する業務
- 大量のデータをやり取りする業務
- 定型作業ではあるが複雑な業務
幅広い外部ツールとの連携ができるRPAは、複数システム間にまたがって大量のデータを処理する場合におすすめです。また、プログラミング知識がない状態でも始めることができ、RPAのサーバー型やクラウド型を利用することで使っているパソコンのスペックに依存することなく利用することができます。
マクロが適している業務
マクロはExcelに元々搭載されている機能であることや、使用するパソコンのスペックに依存する点を理解した上で、以下のような業務を自動化させる場合に適しています。
- Microsoft製品やInternetExplorerを用いた業務
- 簡単なデータ処理
- メール送信の自動化
- Officeソフトをまたいだ業務
Microsoft製品だけで完結する簡単なデータ処理であればマクロでの自動化によって、人材不足の解消や作業の効率化に十分な効果が期待できるでしょう。また、プログラミング知識をもつ社員がいる場合には、VBA言語での設定が必要であるマクロを導入することで、導入コストを抑えながら業務の自動化が実現できます。
まとめ
この記事では、RPAについてマクロとの違いや共通点など詳しく解説しました。違いや共通点をしっかり理解した上で、それぞれに適している業務やプログラミング知識の有無の観点から導入を検討していきましょう。
また、導入前には自動化したい業務の洗い出し、扱う範囲のデータ量やコストを考慮した上で検討することで、業務自動化による業務効率化や生産性の向上においてより大きな効果が期待できます。現在の日本では少子高齢化が進み労働力人口の減少が見込まれていることから、今後訪れるであろう人材不足にも対応できるよう、積極的に取り入れてみてください。
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