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これからの働き方改革は「健康経営」が中心に。企業の価値を高める戦略と進め方

投稿日:2026年3月30日 /

更新日:2026年6月7日

これからの働き方改革は「健康経営」が中心に。企業の価値を高める戦略と進め方
● 健康経営● 働き方改革

働き方改革を推進しても、生産性の向上や人材定着に課題を感じていませんか。その成功の鍵は、従業員の心身の健康を資本と捉え投資する「健康経営」の実践にあります。本記事では、働き方改革と健康経営の密接な関係性を解き明かし、なぜ今健康経営が重要なのか、企業と従業員にもたらされる具体的なメリットを解説します。さらに、明日から実践できる健康経営の進め方5ステップから、企業価値を高める健康経営優良法人認定制度まで、企業の持続的な成長戦略を網羅的に理解できます。

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目次

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働き方改革と健康経営のつながりとは

近年、多くの企業で「働き方改革」と「健康経営」という二つの言葉が重要視されています。これらは一見すると別々の取り組みのように思えるかもしれませんが、実は密接に結びついており、企業の持続的な成長を実現するためには両者を一体として推進することが不可欠です。

働き方改革は、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現を通じて、労働生産性の向上を目指す取り組みです。一方、健康経営は、従業員の健康を経営的な視点で捉え、健康維持・増進への取り組みを戦略的に実践することで、企業の成長を目指す経営手法を指します。つまり、働き方改革が目指す「生産性の向上」や「従業員の活力向上」を根本から支える土台こそが、健康経営なのです。

働き方改革の目的と健康経営の役割

政府が推進する働き方改革の主な目的は、労働人口が減少する日本において、個々の従業員がその能力を最大限に発揮できる環境を整え、企業と国全体の生産性を高めることにあります。しかし、単に労働時間を短縮したり、テレワーク制度を導入したりするだけでは、この目的を達成することは困難です。なぜなら、働く人の心身が健康でなければ、創造性や集中力は高まらず、結果として生産性も向上しないからです。

ここで重要な役割を果たすのが健康経営です。従業員の健康という基盤を固めることで、働き方改革の各種施策が初めてその真価を発揮します。従業員一人ひとりが心身ともに健康で、意欲的に仕事に取り組める状態を創り出すことこそが、働き方改革を成功に導く鍵となります。

目的とアプローチの比較

働き方改革と健康経営は、目指すゴールの一部は共通していますが、そのアプローチには違いがあります。以下の表で両者の関係性を整理してみましょう。

働き方改革と健康経営の比較
項目働き方改革健康経営
主な目的長時間労働の是正、正規・非正規の格差是正、多様な働き方の実現、生産性向上従業員の健康維持・増進、活力向上による組織活性化、生産性向上
アプローチ労働時間の上限規制、有給休暇取得の義務化、フレックスタイム制の導入など、労働環境や制度の整備が中心健康診断の受診勧奨、メンタルヘルス対策、食生活改善支援、運動機会の提供など、従業員の健康への直接的な投資が中心
視点「働き方」という外面的な制度・環境の改善「働く人」という内面的な心身のコンディション改善

このように、働き方改革が「働き方のルールや環境」を整えるアプローチであるのに対し、健康経営は「働く人の心と身体」を整えるアプローチです。両者は異なる角度から従業員と企業に働きかけますが、「生産性向上」という共通のゴールに向かっており、相互に補完し合い、相乗効果を生み出す関係にあることがわかります。

相互補完によって生まれる相乗効果

働き方改革と健康経営を連携させることで、具体的にどのような相乗効果が生まれるのでしょうか。

例えば、働き方改革によって長時間労働が是正され、従業員がプライベートな時間を確保できるようになったとします。その時間を活用して、企業が健康経営の一環として提供するフィットネスプログラムに参加したり、十分な睡眠をとったりすることで、従業員の健康状態は向上します。その結果、日中の集中力や業務効率が高まり、さらなる生産性向上につながるという好循環が生まれます。

逆に、健康経営の取り組みによって従業員の心身のコンディションが良くなれば、短い時間で質の高い仕事ができるようになり、結果として残業時間の削減、つまり働き方改革の推進に貢献します。このように、働き方改革が創出した「時間」を、健康経営が「質の高い活動」に変え、企業の成長へとつなげていくのです。

結論として、働き方改革と健康経営は、企業の持続的成長を支える「車の両輪」です。これからの企業経営においては、この二つを切り離して考えるのではなく、一体の戦略として捉え、計画的に推進していくことが極めて重要になります。

働き方改革に健康経営が重要視される理由

かつての働き方改革は、長時間労働の是正や休暇取得の促進といった「労働時間」の管理が中心でした。しかし、それだけでは従業員の活力や生産性を真に引き出すことは困難です。そこで今、働き方改革の新たな核として「健康経営」が注目されています。健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践することです。少子高齢化による労働人口の減少が避けられない日本において、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、持てる能力を最大限に発揮できる環境を整えることは、企業の持続的な成長に不可欠な経営課題となっています。ここでは、なぜ働き方改革の推進に健康経営が重要視されるのか、その3つの理由を深掘りします。

生産性の向上と業績への貢献

従業員の健康状態は、企業の生産性に直接的な影響を与えます。特に問題となるのが「プレゼンティーズム」と「アブセンティーズム」です。これらは従業員の健康問題に起因する労働生産性の損失を示します。

指標内容企業への影響
プレゼンティーズム出勤はしているものの、心身の不調(肩こり、頭痛、メンタル不調など)が原因で、本来発揮されるべきパフォーマンスが低下している状態。目に見えにくいため対策が遅れがちだが、欠勤よりも企業に与える経済的損失は大きいとされる。
アブセンティーズム心身の不調が原因で、遅刻、早退、欠勤、休職など、業務自体が行えない状態。業務の停滞や、他の従業員への負担増加につながる。

健康経営への取り組みは、健康診断の受診勧奨やストレスチェックの実施、運動機会の提供などを通じて、これらの健康課題の改善を促します。従業員が心身ともに健康な状態で働くことで、集中力や創造性が高まり、個々のパフォーマンスが最大限に発揮されます。その結果、プレゼンティーズムやアブセンティーズムによる損失が低減され、組織全体の生産性が向上し、最終的には企業の業績向上へと貢献するのです。

優秀な人材の確保と定着

労働人口が減少の一途をたどる現代において、人材の獲得競争は激化しています。特に若い世代を中心に、企業選びの軸は給与や待遇だけでなく、「働きやすさ」や「従業員を大切にする社風」へと変化しています。このような状況下で、健康経営は企業の大きな魅力となります。

健康経営に積極的に取り組んでいる企業は、「従業員の健康と幸せを第一に考えるホワイト企業」というポジティブなブランドイメージを社会に示すことができます。これは、企業のウェブサイトや採用情報、メディア掲載などを通じて求職者に伝わり、採用活動において他社との明確な差別化要因となり、優秀な人材を引き寄せる強力な武器となります。

さらに、健康経営は既存の従業員の定着(リテンション)にも極めて有効です。会社が自身の健康に投資し、働きやすい環境を提供してくれることは、従業員の会社に対する満足度や愛着(エンゲージメント)を高めます。「この会社で長く働き続けたい」という意識を育むことで、貴重な人材の流出を防ぎ、離職率の低下につながるのです。

従業員のエンゲージメントとウェルビーイング向上

働き方改革が目指すのは、単なる労働時間の短縮ではなく、従業員がやりがいを感じ、活き活きと働ける環境の実現です。その鍵を握るのが「エンゲージメント」と「ウェルビーイング」です。

  • エンゲージメント:従業員が仕事に誇りと情熱を持ち、自発的に貢献しようとする意欲。
  • ウェルビーイング:身体的、精神的、そして社会的にすべてが満たされた良好な状態。

健康経営への取り組みは、この両者を高める上で中心的な役割を果たします。企業が従業員の健康を気遣う姿勢は、「自分は大切にされている」という安心感と信頼感を生み、エンゲージメントの向上に直結します。また、ストレスチェックや相談窓口の設置によるメンタルヘルスケア、柔軟な働き方の導入によるワークライフバランスの改善などは、従業員の精神的な安定を促し、ウェルビーイングの向上に貢献します。

エンゲージメントとウェルビーイングが高い従業員は、創造性や協調性に富み、自律的に行動する傾向があります。このような従業員が増えることで、組織全体の活気が増し、変化に強いしなやかな組織風土が醸成され、イノベーションの創出や持続的な企業成長の原動力となるのです。

健康経営が企業にもたらす具体的なメリット

健康経営の実践は、単なる福利厚生の充実にとどまらず、企業と従業員の双方にとって測定可能で具体的なメリットをもたらす戦略的投資です。経営課題の解決と持続的な成長の基盤となる、その多岐にわたる効果を企業側・従業員側の視点から詳しく解説します。

対象健康経営によって得られる主なメリット
企業側企業価値・ブランドイメージの向上、離職率の低下と採用コストの削減、医療費負担の軽減
従業員側心身の健康維持と増進、仕事への満足度とモチベーション向上、ワークライフバランスの実現

企業側のメリット

経営視点で見ると、健康経営は組織の競争力を直接的に高める効果があります。人材という最も重要な経営資源を最大化し、社会的な信頼を獲得することで、企業の持続可能性を確固たるものにします。

企業価値とブランドイメージの向上

従業員の健康と安全に配慮する企業姿勢は、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として高く評価されます。特に近年、ESG投資(環境・社会・ガバナンス)やSDGsへの関心の高まりを背景に、企業の非財務情報が投資家や金融機関から重視される傾向が強まっています。「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人(ホワイト500/ブライト500)」といった認定を取得することは、株主や取引先、顧客、そして未来の従業員に対して、健全な経営を行っている優良企業であるという強力なメッセージとなり、企業価値とブランドイメージの向上に直結します。

離職率の低下と採用コストの削減

働きやすい環境と従業員の健康を支援する制度は、従業員のエンゲージメント(会社への愛着や貢献意欲)を高めます。心身ともに健康で、会社から大切にされていると感じる従業員は、定着率が高くなる傾向にあります。これにより、優秀な人材の流出を防ぎ、離職率を低下させることが可能です。人材の定着率が高まることで、新たな人材の採用活動や入社後の教育にかかるコストを大幅に削減する効果が期待できます。さらに、採用市場においても「従業員を大切にするクリーンな企業」という評判が広がり、採用競争において優位性を確保しやすくなります。

医療費負担の軽減

従業員の健康状態は、企業の財務にも直接的な影響を与えます。健康経営の推進により、生活習慣病の予防やメンタルヘルス不調の早期発見・対応が進むと、従業員の病気による休職(アブセンティーズム)や、出勤はしているものの不調により生産性が低下している状態(プレゼンティーズム)を減らすことができます。その結果、企業が負担している健康保険組合への拠出金、すなわち健康保険料の将来的な上昇を抑制することにつながります。従業員の健康維持は、企業の健康保険組合の財政健全化にも寄与し、長期的な視点でのコストコントロールを実現します。

従業員側のメリット

健康経営は、従業員一人ひとりの生活の質(QOL)を向上させる大きなメリットがあります。会社からのサポートを通じて、日々の仕事や私生活にポジティブな変化が生まれます。

心身の健康維持と増進

健康経営に取り組む企業では、定期健康診断の受診勧奨はもちろん、ストレスチェックの実施と専門家による面談、運動機会の提供(フィットネスジムの費用補助など)、食生活改善セミナーの開催といった多様なプログラムが提供されます。これにより、従業員は自身の健康状態を客観的に把握し、生活習慣を見直す良いきっかけを得られます。会社からの体系的なサポートにより、従業員は自律的に健康を管理する意識とスキルを身につけることができ、病気の予防や早期発見につながります。

仕事への満足度とモチベーション向上

「会社が自分の健康を気遣ってくれている」という実感は、従業員の会社に対する信頼感や帰属意識を育みます。心身が健康な状態であれば、集中力や思考力が向上し、日々の業務をより高いパフォーマンスで遂行できます。その結果、仕事の成果を実感しやすくなり、達成感や自己肯定感が高まります。「大切にされている」という実感は、従業員のエンゲージメントを直接的に高め、自発的な貢献意欲を引き出すため、職場全体の活性化と生産性向上という好循環を生み出します。

ワークライフバランスの実現

健康経営の取り組みの多くは、働き方改革と密接に関連しています。長時間労働の是正、フレックスタイム制度の導入、有給休暇の取得促進などは、従業員が仕事と私生活を両立させるための基盤となります。これにより、家族と過ごす時間や趣味、自己啓発の時間を十分に確保できるようになり、心身のリフレッシュにつながります。健康経営は単なる体調管理だけでなく、働き方そのものを見直し、従業員の豊かな人生を支援することで、プライベートの充実が仕事への活力となる理想的なワークライフバランスの実現を後押しします。

働き方改革と連携した健康経営の進め方5ステップ

働き方改革と健康経営を効果的に連携させるには、場当たり的な施策ではなく、体系立てて戦略的に進めることが不可欠です。ここでは、経済産業省が示すフレームワークを基にした、実践的な5つのステップを具体的に解説します。このステップに沿ってPDCAサイクルを回すことで、取り組みを形骸化させず、着実に企業の成長へと繋げていくことができます。

ステップ1:経営層による健康経営宣言と方針の明確化

すべての始まりは、経営トップの強い意志表明です。健康経営は、福利厚生の一環ではなく、企業の未来を創る経営戦略そのものであるという認識を経営層が持つことが重要です。まずは、健康経営を自社の経営理念やビジョンに明確に位置づけ、その方針を「健康経営宣言」として社内外に広く発信しましょう。

この宣言には、なぜ自社が健康経営に取り組むのかという理念や、目指すべき姿を具体的に盛り込みます。例えば、「従業員一人ひとりの心身の健康が、最高のパフォーマンスと創造性を生み出す源泉である」といったメッセージを発信することで、全従業員が同じ方向を向いて取り組むための土台が築かれます。働き方改革の目的である「生産性向上」と、健康経営の目的である「従業員の健康増進」を関連付けた方針を示すことが、取り組みを成功に導く第一歩となります。

ステップ2:推進体制の構築

宣言しただけでは、健康経営は進みません。次に必要なのは、具体的な施策を企画・実行するための「推進体制」を構築することです。この体制は、特定の部署だけが担うのではなく、全社を巻き込むためのハブとしての役割を果たします。

一般的には、人事・労務部門が中心となり、経営層から任命された担当役員(CHO:Chief Health Officerなど)をトップに据えます。さらに、産業医、保健師、看護師といった医療専門職や、従業員の医療費データを管理する健康保険組合との連携も不可欠です。可能であれば、各事業部から代表者を選出し、部門横断的な推進委員会を設置することで、現場の実情に即した施策の展開や、取り組みの浸透がスムーズになります。この体制が、会社全体の健康課題に対する司令塔の役割を担います。

ステップ3:従業員の健康課題の把握と分析

効果的な施策を打つためには、まず自社の「現在地」を正確に知る必要があります。つまり、従業員がどのような健康課題を抱えているのかを、客観的なデータに基づいて把握・分析するステップです。思い込みや感覚で施策を立案するのではなく、データドリブンなアプローチが求められます。

把握すべきデータは多岐にわたります。具体的には、以下のような情報を収集・分析します。

  • 定期健康診断の結果:有所見率、肥満者の割合、高血圧や糖尿病などの生活習慣病に関するデータ
  • ストレスチェックの結果:高ストレス者の割合、職場ごとのストレス状況(仕事の量的負担、コントロール、上司・同僚の支援など)
  • 勤怠データ:時間外労働時間、年次有給休暇の取得率、休職者数とその理由
  • 従業員アンケート:健康状態に関する自己評価、仕事へのエンゲージメント、健康への意識や行動に関する調査
  • レセプトデータ(診療報酬明細書):健康保険組合と連携し、従業員の医療費の傾向や疾病構造を分析

これらのデータを年齢、性別、部署、職種などで多角的に分析することで、「どの層に」「どのような」健康課題が潜んでいるのかを特定し、優先的に取り組むべき課題を明確にすることができます。

ステップ4:具体的な目標設定と施策の計画

ステップ3で明らかになった健康課題を解決するために、具体的で測定可能な目標(KPI:重要業績評価指標)を設定し、それを達成するための施策を計画します。この際、働き方改革の取り組みと連動させることで、相乗効果を狙います。

例えば、「長時間労働によるメンタル不調者の増加」が課題であれば、「時間外労働時間の削減」や「ストレスチェック後の高ストレス者へのフォローアップ率向上」などを目標に設定します。そして、その目標を達成するための施策として、「ノー残業デーの徹底」「勤務間インターバル制度の導入」「マネジメント層向けのラインケア研修の実施」などを計画します。課題、目標、施策を一本の線で結びつけ、論理的な計画を立てることが重要です。

以下に、課題と目標、施策の計画例をまとめます。

課題別の目標と施策の計画例
健康課題具体的な目標(KPI例)施策(働き方改革との連携)
長時間労働による心身の疲弊月平均残業時間を前年比10%削減
有給休暇取得率を70%以上に向上
・フレックスタイム制、テレワークの導入
・業務効率化ツールの導入と研修
・勤務間インターバル制度の導入
メンタルヘルス不調者の増加ストレスチェック集団分析の活用率100%
セルフケア研修の参加率50%以上
・1on1ミーティングの定期実施
・管理職向けラインケア研修の義務化
・オンラインカウンセリングサービスの提供
生活習慣病予備軍の増加定期健診の有所見率を5%改善
運動習慣のある従業員の割合を20%向上
・健康的な食事を提供する社員食堂メニュー
・階段利用促進キャンペーン
・ウェアラブル端末を配布し、歩数を競うイベント開催

ステップ5:施策の実行と効果検証による改善

計画した施策を実行に移し、その効果を定期的に検証して改善を繰り返す、いわゆるPDCAサイクルを回す最終ステップです。健康経営は一度きりのイベントではなく、継続的な活動です。

施策を実行する際は、社内報やイントラネット、朝礼などを活用して従業員へ目的や内容を丁寧に周知し、参加を促します。そして、施策の実施後は「やりっぱなし」にせず、必ず効果を測定します。ステップ4で設定したKPIがどの程度達成できたのかを定量的に評価するとともに、従業員へのアンケートやヒアリングを通じて、施策への満足度や健康意識の変化といった定性的な効果も把握します。

その検証結果に基づき、「なぜ目標を達成できたのか(できなかったのか)」を分析し、施策の継続、内容の改善、あるいは中止を判断します。この一連のプロセスを粘り強く繰り返すことで、自社にとって本当に効果のある健康経営の仕組みが構築され、働き方改革と一体となって企業文化として定着していきます。

健康経営優良法人認定制度を理解する

働き方改革と連携して健康経営を推進する上で、目標となるのが「健康経営優良法人認定制度」です。これは、経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議が認定する制度で、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰するものです。この認定は、企業の健康経営への取り組みを「見える化」し、社会的に評価するための重要な指標となります。

認定を取得することは、単なる名誉だけでなく、企業の持続的な成長に向けた強力な武器となります。自社の取り組みがどのレベルにあるのかを客観的に把握し、さらなる改善につなげるための道しるべとしても活用できます。

認定取得のメリットと社会的評価

健康経営優良法人の認定を受けることで、企業は内外に対して多くのメリットを享受できます。これは、働き方改革の成果を具体的に示すことにもつながります。

  • 社会的評価と企業価値の向上:投資家や金融機関、取引先といったステークホルダーからの信頼が高まります。ESG投資(環境・社会・ガバナンス)の観点からも、従業員の健康に配慮する企業は高く評価される傾向にあります。
  • インセンティブの活用:認定法人は、金融機関からの融資における金利優遇や、保険会社による保険料の割引、ハローワークでの求人情報のPR強化、一部の自治体による公共調達での加点評価や補助金など、様々なインセンティブを受けられる場合があります。
  • 採用競争力の強化と人材定着:「従業員を大切にするホワイト企業」であることの客観的な証明となり、優秀な人材の確保において大きなアドバンテージとなります。また、従業員のエンゲージメント向上にも寄与し、離職率の低下につながります。
  • ブランドイメージの向上:認定ロゴマークを自社のウェブサイトやパンフレット、名刺などに使用できます。これにより、健康経営に積極的に取り組む先進的な企業としてのブランドイメージを社内外に強くアピールすることが可能です。

ホワイト500とブライト500の違い

健康経営優良法人認定制度には、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つの部門があります。その中でも、特に優れた取り組みを行っている上位法人には、それぞれ「ホワイト500」「ブライト500」という冠(愛称)が付与されます。これらの違いを正しく理解することは、自社が目指すべき目標を明確にする上で重要です。

項目ホワイト500ブライト500
対象部門大規模法人部門中小規模法人部門
認定対象健康経営度調査の結果、上位500の法人健康経営優良法人(中小規模法人部門)に認定された法人のうち、上位500の法人
主な役割日本の健康経営を牽引するトップランナーとしての役割が期待される。地域において健康経営を普及・展開するロールモデルとしての役割が期待される。
評価のポイント経営理念や組織体制、制度・施策の実行、評価・改善など、包括的で先進的な取り組みが評価される。地域の健康課題に即した取り組みや、従業員への健康増進策の浸透度などが評価される。

「ホワイト500」と「ブライト500」は、単に認定されただけでなく、健康経営を実践する企業群の中でも特に優れた取り組みを行い、他社の模範となる存在であることを示しています。自社の規模や状況に合わせて、まずは健康経営優良法人の認定を目指し、将来的にはこれらの上位法人を目指すことが、働き方改革と一体となった企業成長の確かな一歩となるでしょう。

まとめ

働き方改革を成功に導くためには、従業員の心身の健康を資本と捉える「健康経営」の実践が不可欠です。従業員の健康は生産性やエンゲージメントの向上に直結し、優秀な人材の確保と定着、さらには企業価値の向上という好循環を生み出します。これは企業と従業員の双方にメリットをもたらす、持続的成長のための経営戦略です。経営層が強いリーダーシップを発揮し、自社の課題に合わせた健康経営を戦略的に推進することが、これからの時代を勝ち抜く企業の条件と言えるでしょう。

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