登壇者プロフィール
2004年3月 東京学芸大学 卒業
2004年4月 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 入社
・1年半、営業を経験したのちに人事部に異動。
採用から始まり、研修、労務、制度設計、評価制度見直し、労働組合担当と人事全領域を担う。
2010年8月 株式会社ウィルゲート 入社
・人事部を立上げ、社員数20名から160名になるまで、組織拡大を担う。
人事部と兼務して、経理財務、総務、営業、マーケティング、開発の責任者を担う。
2019年4月 株式会社FCRP 設立
・顧問として個人で9社の会社に着任。
人事系のサービスも複数の会社とローンチ/グロースを担う。
2020年4月 株式会社Hajimari 入社、執行役員 兼 人事プロパートナーズ事業部長に就任
新卒で2007年に旭硝子(現AGC)に人事として入社。国内・海外人事を経験した後、アクセンチュアで人事・組織コンサル、DeNA、ビズリーチで人事に従事。ビズリーチでは事業推進室にて事業開発も経験。2019年3月、GAにCHROとして入社。GAグループ全体の人事戦略を担う。
日本光電工業で営業として3年間従事したのち、アクシブドットコム(現 CARTA HOLDINGS)に5人目のメンバーとして懸賞サイトの広告事業、コンテンツ提供事業の立ち上げを経験。その後、インピリック電通(現 電通ダイレクトソリューションズ)にて、マーケティングコンサルを経験し、アクシブドットコムに復帰。営業統括や関西支社の立ち上げ等に従事する。2008年、サムライインキュベートを創業。現職。
地方創生とは?
「人事教育の標準化による地方創生」というテーマでセッションをしていきます。
地方創生とは「地方の活性化によって少子高齢化、東京一極集中という問題に対応する取り組み」です。
少子高齢化がどういう状態かというと、実際に現状1歳以下の人口は減少傾向で、65歳以上の人口が増加傾向という統計が出ております。
14歳以下の人口に関しては、2060年には1950年の頃と比べて2,200万人も減るという状況になっていて、65歳以上は1950年から60年までで3,100万人増えるということになっています。
また、生産年齢人口も半分になる見込みが立っております。
もう1個の東京1極集中についてです。統計にも出ているのですが、東京圏への流入者数は2010年は9万人だったところが2019年には15万人に増加、地方から東京圏に入ってくる人が年々かなり増えているという状況です。それに伴い賃金も東京と地方で格差が出てきているので、地方から東京への流入が増える形になっています。
地方創生で大事なことは、1人ひとりの地方の方々の労働生産性を高めて、地方と東京の賃金の格差をなくすことと言われています。
「人材支援」は地方創生に向けた政府の施策の1つ
地方創生に向けた政府の施策として「情報支援」「人材支援」「財政支援」がありまして、
本日はこの人材の支援についてしっかりと話していければと思います。
さらに中小企業の人材の育成の課題として、こちらは地方に限らずなのですが、属人化や忙しくてなかなか時間がとれない、モチベーションの上げ方がわからないなどの問題がございます。さらに、地方になればなるほど労働生産性が低いという結果が出ております。
解決策としては教育というものがあると思うのですが、その教育の研修プログラムがある企業というのは、研修プログラムがない企業に比べて10%以上の増収増益の割合が多いという結果も出ております。
なので、きちんと地方の教育制度を整えて人材育成を行い労働生産性を上げて、地方の会社を活性化して、そこから地方が活性化されていくというような流れができればと考えております。
本日は先程話したような教育面を中心にディスカッションさせていただければと思います。
地方創生人材育成の成功例
地方創生のよくある失敗として、「地域の現状把握が甘い」「他地域の成功事例をそのまま流用している」「効果検証が不十分で軌道修正を行わない」という点がトップ3としてあげられます。このようなことをやっている企業様に関しましては、気をつけた方がいいと思っております。
一方、地方創生人材育成の成功例のトップ3は、「女性の活躍に関する研修をきちんと行なっている」「官民交流等を行なっている」「働き方の見直しを行なっている」です。
女性の活躍に関する研修について、ちょうど水野さんがそのような場に触れたという話を聞きました。どのようなことがあったのでしょうか?
もともと東京にいた方が長野で奥さんと結婚して起業、10周年のパーティーに招待いただいて参加しました。
その社員の方々1人ひとりスピーチをされていてのですが、旅館と飲食の事業をやっていて、この1年コロナ禍の中で非常につらい中でも売上が2倍以上になっていると。
さまざまな取り組みの1つが、非常に優秀な人が入ってきたということでした。もともと大手企業でトップクラスの成績を出していた方で、地元に帰ってきて結婚して子育てをしていたそうですが、そうなると「自分のキャリアの活かし方がない」ということで。その時に出会って、働き方の柔軟性という点も加味してもらいながら入社にいたったそうです。
その方が活躍してくれたことで、企業としても「女性の活躍を一番強みにしたい」ということから、この1年その女性の方に研修をたくさん受けてもらい、幹部になってもらおうということで、その方の成長とともに会社も伸びていくというようなことを聞きました。
地方創生というよりも、その地方の企業の活躍の要因としての事例として昨日聞いたのでシェアをさせてもらいました。
相談オーダーは増えています。
弊社は「情熱」という社名なので、最初からそこで相談に来るというよりかは、研修に入らせていただいてる会社さんが、「女性活躍や女性の管理職の輩出を今年のテーマにしたい」ということで、そのような教育をしたいという相談はすごくもらっています
以前であれば、「どのようなキャリアパスを持てるか見えない」ということがご相談事項として結構多かったです。残念ながら当時社内に明確なキャリアパスを持ったメンバーがいなかったので、社外から講師の方をお招きして「どのようなキャリアパスを作ってきたのか」などをお話しいただきました。その中で女性の社員の方々にお越しいただいて、リアルなご質問もいただいたということがありました。
実際、今は数字的な部分でも結構改善が図られていて、特にグループ会社の中であれば、管理職においての女性比率が50%を超えている会社もありますね。
地方創生人材育成の失敗例
会社として、「定められている人材育成基本方針」みたいなことを明確に、言語で定める会社はそこまで多くないだろうなと思っています。特に多くの会社はミッション、ビジョン、バリューなどの中で、組織のポリシーみたいなことは定まってきているかなと思います。
会社の方針をしっかりと定めていくことは大事です。一方で、特に大手企業ではあり得るかなと思うのですが、「その定まった方針が形骸化しないために1個1個どういったレベルまで変えていくのか」ということを経営と、あとは現場レベルでコミットメントを持てる内容にできるか、よりリアリティーのある方針になるかどうかみたいなこともポイントではないかと思います。
多くの企業がまず、課題解決型の育成をします。目の前に今課題があって、たとえば「今離職が増えているから、人が辞めないための研修しよう」だったり、「DXの知識がないからDX研修しよう」だったり。「今の課題を解決したいための研修」という、すごく場当たり的になっていて、研修はいろいろやっているけれど、結局は何にもなってないというようなことです。
育成体系を作って、「この階層にはこのような研修をして、ではそれがどうだったか」を見ていくフェーズがありますが、今度はそれが形骸化してしまうということもリスクとしてありますよね。やはり現場で起こっている課題と研修をリンクさせていくこともすごく大事だと思うので、しっかりと体系を作り上げPDCA回しながら、「今何を重要テーマとして扱っていくのか」、現場からも吸い上げながら連動させていくことが非常に重要であり、それが企業ごと・地方ごとにテーマとしてあるので、自社のオリジナリティを作っていくってことが大切かなと思いました。
地方で研修がうまくいかない理由
地方で研修がうまくいっていない理由、トップ3があります。「目的が不明瞭である」「目標設定と効果測定をしていない」「社員(受講者)の知識のばらつきが大きい」というところです。
これは一般的なトップ3ですが、みなさんは研修がうまくいかない理由はどのようなところにあると思いますか。
前提でいうと、経営層なのか、それを企画する人事の責任者の方なのか、その方がどれだけこの育成に本気か、そして「会社をあげて人材育成をするんだ」という状態を作ることはすごく大事だなと思っています。
そこが目的と連動してくると思うのですが、研修に関してやらされ感だったり、現場が不満を持ちながらとか、経営も1度決めたからとりあえずやってるとか、そういう企業もすごく多いなと。やはり人材育成がどれだけ自社や自分たちの地域を良くし、自分たちの企業・業界をよくすることにつながるかまで考えながら見ていくことも含めて、どれだけ研修の重要度を上げるかということもすごく大事ではないかと思いました。
経営陣の本気度は前提とした上で、私が常に研修設計で意識していることはその研修の渇望感。たとえば「各階層ごとにいろいろな研修を受けられる」という企業では、それは受講者からするとありがたいですけれど、その当たり前なことは実は当たり前すぎて、重要であるとか大切であるという感覚を持たせづらいなと思っています。
なので、研修は極力ない方がいいのではないかなとも思っています。私は大学時代にそんな学びをしなかった人間で、一方で今は大学時代よりも学ぼうとしていて。なぜかというと、今学びが必要だから。
多分人間は、必要になると真剣に学ぼうとすると思っていて、なので自分自身が設計するポリシーとしては、あまりリッチに研修コンテンツを作り過ぎないということです。
むしろ足りないくらいで、現場から「こういうものがもっと欲しいです」というぐらいだと、「本当に現場側でも期待されてるんだな。だったら少し考えていくか」となるので、大事な方針にしてるかもしれないですよね。
確かにそれは重要ですね。
私もその場、その1日でやるような研修はうまくいかないケースが多いと思っていて、その後研修で使った言葉などを共通言語にして普段の業務の中で使い標準化させる、というようなことがあるとうまくいくなという印象は持ってますね。
地方の社内教育で重要なこと
地方の社内教育で重要なことトップ3は、「理念浸透」「学習効果を持続させるための仕組み」「しっかり育成計画を立てること」といわれています。
社内教育で重要なことは、どのようなことだと思いますか?
企業理念の浸透させるというところで、クライアントに地方で海苔屋さんをやっている会社さんがありました。
ビジネスモデル上のものを含めて、海苔屋さんが大切な地域の資源であり、それが100年続いてきた伝統があり、そこで雇用を守っているというところで、存在意義がすごくあるなと思いました。それを格好いい言葉というよりも、「自分達の企業は何のために存在するか」再度考えてみて、社員全員が捉え直していくことは、地方創生においてとても重要ではないかな思いましたね。
飲食店1店舗でも、「自分たちがこの1店舗のお店に存在する意義は何だろう?」と考えることは地方であればあるほどすごく大切なポイントではないかなと思って。それを社員に考えさせる、研修や機会はすごく大事かなと思いました。
まとめ
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