登壇者プロフィール
株式会社エデュテクノロジー ストラテジックデザイナー
久喜市 教育委員会 指導課
久喜市 教育委員会 指導課
久喜市教育委員会の取り組み
教育データ利活用における取り組みについて、久喜市教育委員会様のお話を伺っていこうと思います。それでは、まず初めに本セッションでご登壇いただきます方、自己紹介で恐縮ですけども、お願いしたいと思います。
早速ですけれども、久喜市教育委員会様のお取り組みについてお話を伺ってまいりたいと思います。
また、教職員の過酷な労働環境がニュース等で報道され、早急な改善が必要な状況となっている現在、メンタルヘルスも含めた「働き方改革」も教育現場においては喫緊の課題となっています。そのような中で、今大きなチャンスを迎えています。それは「GIGAスクール構想」により、1人1台の端末を使った環境ができたからです。端末を通して、子供たちの学びの記録、教師による支援の記録がデータとして蓄積されるようになりました。
これらのデータを利活用し、最適な指導や支援をすることができたなら、教員の負担を減らしながらも学校教育が抱えていた課題を解決できるかもしれない。そんな可能性が見えてきました。久喜市では目指すべき次世代の教育の姿を「久喜市版未来の教室構想」として描き、その実現のために多くの企業と連携をしてまいりました。
しかしながら、GIGAスクール環境下を利用したデータを効果的に利活用する方法はまだ明確なソリューションが示されておらず、本誌でもデータの利活用については絵空事の状態でした。そのような中、ドーモ株式会社を紹介いただきました。様々な企業を相手に実績を持つドーモ社のコンサルタントと相談しながら、学校でのデータ利活用をどう進めるべきかについてまとめてきました。
BIツールを活用して子どもや教職員の心身の状態を可視化
しかし、これからはBIツールを使えば、もっと即時的により効率的に負担をかけることなく、一人一人のを看取りを実現することが可能になります。これが教職員のメンタルヘルスを含めた働き方改革をするということ、教育の個別最適を図るということ、ひいては学校組織運営の適正化を図っていくことができるのではないかと考えました。
久喜市では、ドーモのBIツールを次のような形で運用しています。学校では、端末を通して変更除去やテスト結果等のさまざまなデータを日常的に入力していきます。これをBIツールを使い、必要なデータをレポート形式で管理職や教職員にわかりやすく、端的に伝えることで、教職員のメンタルヘルスを含めた学校組織運営の適正化や児童生徒に対する指導、支援につなげるといった取り組みを進めております。
また、こういった前例は多くありません。実際に利用してもらうことで、現場の意見を吸い上げ、学校教育に適した形へとブラッシュアップしながら、ツールの研究と開発を行っております。
実証から見えてきたことや課題
例えば、教職員の心の病による休職や退職がそのリスクに当たります。管理職や教育委員会による教職員の状況把握が不十分だったために、事前のサインに気がつかず、教職員が学校に行かなくなってしまったといった事例もありました。教職員1人欠くといった状況は、学校運営において大きな損失になります。
今回、BIツールを活用し、教職員のメンタルの状態を可視化・レポート化したことで、やる気が大きく低下した教職員の状態を教育委員会や管理職が即座に把握し、該当職員の個別面談を実施、メンタルケアを行うといったアクションにつなげることができました。体調不良やモチベーションの低下、こういった状況を適切に把握し、教職員が持つリスクに対して事前にマネジメントすることが可能となりました。これは大きな成果であると考えています。
システム構築に際しての障害
「専門知識がないと難しいのでは?」
こちらは専門知識がなくても簡単にデータを加工することができたり、データをすぐに使ってグラフに表現することができたりすることがツールの利点になります。
サンプルデータについてですが、1日2日でデータを加工して表現をすることが簡単にできました。本実証実験については、綿密にシステム設計すること、現場への説明をすることも含めて1カ月半ほどで実現できました。
こちらは確かにデータがないと何もできません。効率的にデータを集められるように工夫をしました。
こちらのGoogleフォームなどでデータを集めました。現在では、学校で子どもたち教職員も端末を一人1台持っているので、アンケートのURLが送られてくれば、さくっと回答することができます。また、今後は端末の活用時間や学習アプリのデータなど自然に蓄積されているデータの活用も考えているところです。
システムを運用する上で生じた課題
「操作を覚えるのが大変なのでは?」
ツールにログインすれば画面を閲覧することができ、フィルターも簡単にかけられるので、直観的な操作で関心のあるデータを深堀することができます。また、画面のスクリーンショットをメールで送ることもできます。このメールは、タイムスケジューリングもできますし、例えば「ある値が下回ったら対象のアカウントに自動送信する」このような設定も可能です。
最後に「なかなか活用されないのでは?」
確かに校長や教職員がデータ利活用していくということはこれまであまり行われていなかったことかと思います。しかし、教職員のこれまでの経験や技能に加えてデータ利活用の要素が学校という組織にミックスされると、義務教育が大きくアップデートされる可能性があるように感じています。
このプロジェクトでも、現場の教職員の意見を聞きながら画面を改良し、説明会や管理職へのヒアリングも複数回に渡って実施しています。先日の管理職を対象としたヒアリングでも、校長が導入時は正直管理されているという気持ちがあったが、自分を見つめ直すための有効なツールであるという認識の転換が起きていると話していて、確かな手応えを感じているところです。
データ利活用の可能性や展望
現在開発しているツールはまだまだ改善の余地がありますので、子供たちや教職員にとってより価値あるものにしていかなければならないと考えています。そして、子供たちのみならず、教職員も含めた「誰一人取り残すことのない教育」を実現してまいります。
まとめ
地方創生サミット2022 地方創生と新しい働き方 Day2 アーカイブ
YouTube:https://youtu.be/YhVKft9Nebo?t=8955
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