リスキリングとは? その定義と導入の背景
リスキリングが重要視される背景として、デジタル化による「技術的失業」が深刻になっていることが挙げられます。ここでは間違って解釈されがちな「リスキリング」という言葉の正しい定義と、リスキリングが提唱されるようになった背景を、世界経済フォーラムのデータとともにお伝えします。
リスキリングの定義
コロナ禍に入ってから目にすることの多くなった「リスキリング」という言葉、日本では「学び直し」と解釈されることが多いかもしれません。
しかしSalesforce社やシンガポールの教育機関Emeritus Institute of Managementは、リスキリングを「全く異なる業務を行うために必要な新しいスキルを獲得するプロセス」と定義しています。「新しい分野について学び、新しいスキルを身につけて実践し、新しい業務や職業に就くこと」がリスキリングの正しい定義と言えます。
リスキリングは、従来のeラーニングのように業務時間外に学ぶことを意味しているのではなく、「学ぶこと自体が業務」なのです。
リスキリングの背景 DX化に伴う技術的失業の深刻化
リスキリングが重要視されるようになった最も大きな理由は、昨今のデジタル化に伴う「技術的失業」が深刻になっていることです。
テクノロジーの導入によってオートメーション化が加速することで、人間の雇用がAIやロボットに代替される未来が予測されています。
この「技術的失業」に拍車をかけたのが新型コロナウイルスの流行です。パンデミックによってアメリカの失業率は大幅に増加しました。以下は世界経済フォーラムが発表したアメリカの失業率(1967年〜2020年)推移グラフです。
1967年〜2020年のアメリカの失業率(Unemployment rate in the United States, seasonally adjusted, 1967–2020)
出典:世界経済フォーラム Future of Jobs Report (2020年10月)
技術的失業を減らすためには、衰退産業から成長産業へ労働力をシフトし、すべての労働者が新しい時代に適応したスキルを身につける必要があります。
リスキリングの重要性については世界経済フォーラム(World Economic Forum)が中心的な役割を担っています。
2020年1月に開催された年次総会では「2030年までに世界で10億人をリスキリングする」と宣言し、各国政府や企業、学習プラットフォーマー、労組等が参加するイニシアティブを立ち上げました。
その後、2020年10 月に発表されたThe Future of Jobs Report 2020では、「今後5年間で、人間、機械、アルゴリズムの労働分担が進むことで8500万件の雇用が消失し、9700万件の新たな雇用が創出される」と予測されました。
世界の企業がリスキリングを導入する理由
世界におけるリスキリングは、国家主導で行う場合と企業主導で行う場合に分けられます。企業主導の場合では、以下3つの目的で実施されるケースが多く見られます。
- 自社のDX推進
デジタル化に伴う従業員のリテラシー向上・将来必要となる新しいスキル習得が目的のリスキリング - 自社の雇用維持
AIやロボットによる自動化による従業員の技術的失業への対策を目的としたリスキリング - 自社の事業維持
デジタル化に伴う事業転換や、新型コロナウイルスの影響から既存事業を守るためのリスキリング
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