接客マニュアルとは
接客マニュアルとは、顧客が来店から退店までの流れをマニュアル化した文書です。
企業や店舗が理想とする接客方法がまとめられており、小売業や飲食店などのサービスで活用されています。
接客マニュアルの特徴は、下記の通りです。
- 新入社員への育成・教育時間を短縮できる
- 伝えるべき情報を共有できるので、サービスの均一化が図れる
しかし実際は、接客マニュアルの内容がわかりづらく、周知されていないケースも少なくありません。
マニュアルの形骸化を防ぐためにも、「サービスに適した内容」「第三者が読んでも理解できる実用的な内容」に仕上げる必要があります。
また通常業務だけでなく、緊急時の対応方法もまとめることで有事の際に活用できるでしょう。
接客マニュアルの目的
接客マニュアルの目的は、下記の3つです。
- 従業員スキルの平準化
- 新入社員の育成・即戦力化・育成コストの削減
- 理念とビジョンの共有
ひとつずつ解説していきます。
従業員スキルの平準化
接客マニュアルの目的は、従業員スキルの平準化です。
例えば1回目に来店した顧客は、2回目も同じレベルのもてなしを期待する可能性があります。
しかし、従業員によってサービスレベルが異なる場合、その顧客は落胆してしまうでしょう。
そのため接客マニュアルを作成することで、下記のメリットが得られます。
- 全従業員が一定のサービスを提供できる
- 店舗ごとでのサービスレベルの差をなくす
結果として顧客からの評判が良くなり、売上の向上につながるでしょう。
新入社員の育成・即戦力化・育成コストの削減
接客マニュアルの作成には、新入社員の育成・即戦力化・育成コストの削減といった目的があります。
仮に現場で全ての業務を教える場合、かなりの時間と手間を要してしまうでしょう。
しかし接客マニュアルを作成することで、新入社員側と企業側で下記の効果が得られます。
得られる効果 | |
新入社員側 | 接客マニュアルを介して、基本業務を学べる |
企業側 | 伝える情報を体系立てて整理でき、 即戦力として効率よく育てられる |
また人材育成には、研修費や人件費といったコストが発生します。
ですが接客マニュアルによって、育成コストを削減できるので、育成・教育担当者の負担を減らせる点もメリットです。
理念とビジョンの共有
接客マニュアルの目的は、企業や店舗の理念とビジョンの共有です。
企業規模の大きい会社であれば、従業員によって接客態度やマナーに差が生まれやすくなります。
そのため接客マニュアルを作成して、下記の2点を周知しなければなりません。
- 企業・店舗が目指す方向性
- 顧客にどういった気持ちで過ごしてもらいたいか
従業員一人ひとりの意識が変化することで、顧客満足度や企業の売上に大きくかかわってくるでしょう。
こちらの記事では、企業の業務を効率化できるマニュアル作成ツールを選ぶ際のポイントや、kyozon編集部がおすすめする関連の人気サービスを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
接客マニュアル導入時に入れるべき項目
ここまで、接客マニュアルの概要と目的をお伝えしました。
続いて、接客マニュアルを導入する際に入れるべき項目を解説します。
- 身だしなみ
- 挨拶
- 商品・サービス知識
ひとつずつ解説していきます。
身だしなみ
接客マニュアルを導入するにあたって入れるべき項目は、「身だしなみ」です。
人は資格情報から第一印象を決めるとされており、接客においても整った身だしなみを意識する必要があります。
接客マニュアルに身だしなみを追加する際のポイントは、下記の通りです。
- 化粧は自然であるか
- 前髪が長すぎないか
- 髭の剃り残しがないか
- 髪の毛の色が自然であるか
また、まわりの従業員と調和できているかどうかも気にすべきポイントです。
接客マニュアルへ詳細に記載することで、共通認識としてどういった服装・髪型が容認されているか判断できるでしょう。
挨拶
接客マニュアルには、「挨拶」の項目を入れましょう。
挨拶は、顧客が2回目以降の利用を決める際の判断基準になります。
実際に接客マニュアルには、下記の項目を追加しましょう。
- 自分から声をかけることを心がける
- 相手の目を見て、聞き取りやすくはっきりとして声で話す
口角を上げて大きな声で元気よく挨拶できれば、第一印象はよくなります。
また、お辞儀も追加すべき項目のひとつです。
お辞儀をする際の角度は、「軽い会釈=15度」「標準的なお辞儀=30度」「敬意を示すお辞儀=45度」と覚えておきましょう。
商品・サービス知識
接客マニュアルの導入時に入れるべき項目は、「商品・サービス知識」です。
商品・サービス知識を持っておくメリットとして、下記の2つがあります。
- 顧客に合わせた提案ができるため、売上につながる
- 商品・サービスのメリットをわかりやすい言葉で説明できるようになり、顧客の理解度が増す
また顧客から難しい質問をされた場合に、誰に相談するべきか対応方法も記載しておきましょう。
接客マニュアルを作成する際のポイント
ここまで、接客マニュアルを導入する際に入れるべき項目をお伝えしました。
続いて、接客マニュアルを作成する際のポイントを解説します。
- ルールを明確にする
- 顧客目線で考える
- 評価基準を決めておく
- アップデートを常に行う
ひとつずつ解説していきます。
ルールを明確にする
接客マニュアルを作成するにあたって、まずはルールを明確にしましょう。
明確にすべきルールの例は、下記の通りです。
- 挨拶のルール
- 身だしなみのルール
- 出勤・退勤時間のルール
- 退職時に引き継ぎルール
上記のほかには、自社内で「暗黙の了解」とされているものも含みます。
長期で在籍している従業員にとっては当たりまえでも、新入社員は知らないルールばかりです。
そのため業務フローや毎日の基本業務、どういった作業を行うのか明確にしておきましょう。
顧客目線で考える
接客マニュアルは、顧客の目線に立ったうえで作成する必要があります。
企業や店舗の価値は、「どういった商品・サービスを顧客に届けるのか」で決まります。
そのため企業・従業員側の立場で考えるのではなく、どうすれば顧客満足度を向上させられるかを念頭において、接客マニュアルを作成しましょう。
評価基準を決めておく
接客マニュアルを作成する際は、接客に関する評価基準を決めておきましょう。
どのような接客が優れているのかを表記することで、下記の効果があります。
- 接客の質が統一される
- 目指すべき接客スタイルがわかる
また評価基準を参考に給料を決定すれば、従業員の雰囲気の悪化・モチベーションの低下を防げるでしょう。
また自分に何が足りていないかを考えるキッカケになるため、スキルアップへの意欲や従業員同士の研鑽も期待できます。
結果として、商品・サービスの向上や企業・店舗の売上向上につながるはずです。
アップデートを常に行う
接客マニュアルは、常にアップデートが必要な点を覚えておきましょう。
接客ルールは、「新しい状況に置かれた」「業務ルールが変更になった」などの状況で変化していきます。
仮に接客マニュアルがアップデートされない場合のデメリットは、下記の通りです。
- 接客マニュアル自体が形骸化される
- 古い情報を参照するためミスが発生する
顧客からクレームがあった際は、対応策も含めてマニュアルを都度更新します。
また従業員間で共有できれば、同じトラブルが発生した際でも迅速な対応が可能です。
接客マニュアルの作り方
ここまで、接客マニュアルを作成する際のポイントをお伝えしました。
続いて、接客マニュアルの作り方を紹介します。
- 企画書の作成
- 内容の洗い出し・整理
- 目次の作成
- 内容の作成
ひとつずつ紹介していきます。
企画書の作成
接客マニュアルを作成する際に、まずは企画書を作成していきます。
企画書ではマニュアルの方針を決定する必要があるので、「5W1H」を明確にしましょう。
5W1Hの詳細な説明は、下記の通りです。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(なにを)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
企画書の作成では、「誰にどういった体制でマニュアルを作成するか」に絞って作成しましょう。
また企画書のテンプレートがある場合、一定の形をまとめることで整理しやすくなるはずです。
内容の洗い出し・整理
企画書を作成できたら、内容の洗い出し・整理を行います。
接客マニュアルに「記載する・記載しない」といった点は考えず、すべての業務を書き出しましょう。
実際に洗い出す際は、下記の項目も書き出します。
- 業務ごとの優先順位
- 各業務との対応関係
- 業務ごとにかかる時間
洗い出しを行うことで、業務を効率化するための担当者の変更や作業の重複を発見できるはずです。
内容の洗い出し・整理を進めることで、商品・サービスの品質向上や従業員の生産性向上につながるでしょう。
目次の作成
内容を洗い出し・整理できたら、目次を作成していきましょう。
目次を作成する際に、接客マニュアルに盛り込む項目・盛り込まない項目を決定します。
接客マニュアルに盛り込むかどうかの判断基準は、下記を基準に判断しましょう。
- 対象者に合った内容であるか
- 接客マニュアルの目的に合っているか
- 接客マニュアルの目的を満たす内容が網羅されているか
また目次を作成する際は、大分類・中分類・小分類の順番で分けておくと作りやすいです。
内容の作成
目次が完成したら、中身を作成していきましょう。
まずは、コンテンツをどういった形式で準備するのか検討します。
接客マニュアルを作成する際に記載すべき項目は、改めて下記の通りです。
- 優先順位
- 評価基準
- 業務の目的
- 業務ごとの対応関係
- 業務対応に必要な時間
内容をまとめる際は、過去の失敗事例を掲載することで再発防止の効果があります。
また初稿が完了した後は関係者に査読を依頼して、必要に応じて修正・リライトを行いましょう。
マニュアルが活用されるための仕組みづくり
接客マニュアルは作成して完了ではなく、活用されるために下記の仕組みづくりと工夫が重要です。
- 接客マニュアルを読んでもらう工夫
- 接客マニュアルを業務に活かす仕組み
- PDCAをまわして改善を繰り返す
それぞれ解説していきます。
接客マニュアルを読んでもらう工夫
接客マニュアルを読んでもらう工夫として、下記の3つがあります。
- 研修会を実施する
- オンライン研修を実施する
- ロールプレイングを実施する
接客マニュアルを活用する際は、手に取ってもらう機会を増やすだけでなく、緊張感を持ってもらう工夫も必要です。
接客マニュアルを業務に活かす仕組み
接客マニュアルが活用されるには、業務に活かす仕組みづくりも重要です。
業務へ活かすには、経営陣が従業員との間で接客マニュアルと実情の乖離があった際に、提案してもらえる関係性を構築する必要があります。
仮に経営陣が「マニュアルに記載されている内容ではダメだ」と判断してしまうと、接客マニュアルは活用されなくなるでしょう。
そのため接客マニュアルを作成する段階で、経営陣を巻き込むことが成功への近道です。
PDCAをまわして改善を繰り返す
接客マニュアルは、常にアップデートされなければ混乱を招きます。
例えば接客マニュアルと実情で多くの異なる点が出てきたタイミングで全く改善されていない場合、「接客マニュアルは活用すべきでない」と判断されるでしょう。
そのため接客マニュアルを業務に活かすうえで、PDCAをまわして改善を繰り返さなければなりません。
こちらの記事では、業務に関する資料がまとめられた資料「業務マニュアル」の概要やメリット・デメリット、作成時に注意すべきポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、接客マニュアルの概要や導入時に入れるべき項目、作り方を解説しました。
接客マニュアルとは、顧客が来店から退店までの流れをマニュアル化した文書です。
導入時に入れるべき項目は、下記の3つです。
- 身だしなみ
- 挨拶
- 商品・サービス知識
また、接客マニュアルを作成するポイントには「ルールを明確にする」「顧客目線で考える」「評価基準を決めておく」などがあります。
本記事でお伝えした作成方法も参考にして、自社の接客に活かしてください。
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こちらの記事では、おすすめのWEB接客ツールや導入メリット、比較する際のポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。