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フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、一定の期間においてあらかじめ定められた総労働時間の中で、労働者が始業・終業時間を自由に決められる制度です。
一般的に多くの企業は固定時間制を導入しており、「1日の実働が9〜18時まで」など決められた時間帯に勤務しています。
一方のフレックスタイム制では、例えば1ヵ月で働く時間が160時間と決まっていた場合、「明日は7時間」「明後日は9時間」などのように、1ヵ月間の合計時間が160時間になるように調整します。
また、フレックスタイム制には「コアタイム」と「フレキシブルタイム」の2種類があり、各労働時間の特徴は下記の通りです。
- コアタイム:1日の中で社員が必ず勤務する時間帯がある
- フレキシブルタイム:社員の裁量によって労働時間を決められる
自由度の高い制度ではありますが、総労働時間やコアタイムといった定めもあるため、全てが自由になるわけではない点を覚えておきましょう。
次に、下記の2つについて解説します。
- フレックスタイム制を導入している企業が多い業界は?
- フレックスタイム制の導入率は?
ひとつずつ解説していきます。
フレックスタイム制を導入している企業が多い業界は?
フレックスタイム制を導入している企業の中でも、最も多い業種は情報通信産業です。
様々な業種がある中で、全体の約2割を占めています。
情報通信業は、通信業や放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業の総称です。
情報通信産業以外でフレックスタイム制を導入している業界や職種は、下記の通りです。
- 業界:IT、インターネット、マスコミ
- 職種:プログラマー、エンジニア、デザイナー、事務職、企画職
これらの業界や職種の特徴は、個人で仕事が細分化されており、外部と接触する機会も少なく、技術的な業務が中心である点が伺えます。
反対に、フレックスタイム制の導入が向いていない仕事の例として、サービス業や接客業、営業職などがあげられるでしょう。
ちなみに、導入企業の中でも適用範囲が「従業員全員」や「特定の部署のみ」など様々です。
フレックスタイム制を導入している企業に入社したとしても、配属部署が適用されていない場合もあるので注意しておきましょう。
フレックスタイム制の導入率は?
フレックスタイム制の導入率は、職種や業種によって様々です。
厚生労働省が発表している「就労条件総合調査(令和3年)」によれば、フレックスタイム制の導入率と業種は、下記の順位になりました。
- 情報通信業:30.0%
- 金融、保険業:14.7%
- 電気、ガス、熱供給、水道業:14.2%
情報通信業の中でも、プログラマーやエンジニア、ウェブデザイナーなどの職種は、個人の裁量で仕事を進められるので、フレックスタイム制との相性が良い傾向です。
金融・保険業に関しては、他の業種よりも女性の比率が高い傾向にあるため、妊娠や出産、育児などライフスタイルが変化しやすい女性にとって働きやすい環境作りの一環として、フレックスタイム制を導入しているといえるでしょう。
電気やガス、熱供給、水道行においては、人々のライフラインに直結する仕事になるので、24時間365日働いています。
そのためフレックスタイム制の導入率が高くなる点は、当然といえるでしょう。
出典:就労条件総合調査(令和3年)|e-Stat 政府統計の総合窓口
フレックスタイム制を導入するメリット・デメリットは?
ここまで、フレックスタイム制を導入している企業が多い業界や導入率をお伝えしました。
続いて、フレックスタイム制を導入するメリット・デメリットを解説します。
- メリット1:ワークライフバランスが取りやすくなる
- メリット2:通勤ラッシュを避けられる
- メリット3:離職率が低下する
- デメリット1:同期間でコミュニケーションが取りにくくなる
- デメリット2:勤務時間外に仕事が発生することがある
- デメリット3:勤務時間の管理がややこしくなる
それぞれ解説していきます。
フレックスタイム制を導入するメリットは?
まずは、フレックスタイム制を導入するメリットを解説します。
- メリット1:ワークライフバランスが取りやすくなる
- メリット2:通勤ラッシュを避けられる
- メリット3:離職率が低下する
ひとつずつ解説していきます。
メリット1:ワークライフバランスが取りやすくなる
フレックスタイム制を導入するメリットのひとつ目は、ワークライフバランスが取りやすくなる点です。
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートの両方を充実させて、相互に良い効果を発生させるための考え方です。
出勤・退勤時間を調整メリットとして、下記があげられます。
- 子どもの送り迎えや介護の時間が作れる
- 会社で自分が働く時間を効率的に配分できる
- 繁忙期や閑散期に合わせてメリハリのある働き方ができる
- 平日の限られた時間でしか開いていない銀行や役所に行ける
仕事とプライベートのバランスが取れると、心身ともに健康な状態を維持できるだけでなく、モチベーションを保てるでしょう。
また、自分の労働時間を管理できるようになると、タイムマネジメント能力が身に付きます。
フレックスタイム制は、企業と社員のどちらにとってもプラスの効果があるといえるでしょう。
メリット2:通勤ラッシュを避けられる
フレックスタイム制を導入するふたつ目のメリットは、通勤ラッシュを避けられる点です。
通勤時の満員電車や電車遅延、交通渋滞などで、ストレスを感じている人も少なくないでしょう。
通勤ラッシュを避けるメリットは、下記の通りです。
- 通勤時間を有効活用できる
- ストレスや疲労を軽減できる
- 仕事のパフォーマンスが向上する
例えば人の少ない時間帯に通勤できれば、落ち着いて座席に座れる確率が高くなり、通勤中に勉強や読書ができるでしょう。
また、会社に人が少ない早朝に出社して仕事ができれば、業務を効率よく生産的に行えます。
社員のストレスを減らせるフレックスタイム制は、結果として、企業にとっても大きなメリットです。
メリット3:離職率が低下する
フレックスタイム制の導入によって、離職率を低下させる効果があります。
フレックスタイム制を導入している、空調機や化学製品メーカーであるダイキン工業株式会社は、2021年度の離職率が「4.4%(定年退職者含む)」であると発表しました。
ニンジャパーティーの数値は、全産業の平均が14.9%であるのに対して、非常に低い水準だといえます。
つまり介護や育児などで急な予定が入った場合でも、柔軟に勤務時間を選択して働くことが可能です。
また、離職率が低下する企業側のメリットとして、下記の3つがあげられます。
- 企業全体の生産性が向上する
- 働きやすい企業であるイメージを持ってもらえる
- 人材採用や社員教育に発生するコストが無駄にならない
離職率の低下は、社員の満足度や会社の売り上げアップにつながる効果が期待できるでしょう。
出典:ワーク・ライフ・バランス | 人材 | ダイキン工業株式会社
フレックスタイム制を導入するデメリットは?
様々なメリットがある一方で、フレックスタイム制を導入するデメリットを解説します。
- デメリット1:同期間でコミュニケーションが取りにくくなる
- デメリット2:勤務時間外に仕事が発生することがある
- デメリット3:勤務時間の管理がややこしくなる
ひとつずつ解説していきます。
デメリット1:同期型のコミュニケーションが取りにくくなる
フレックスタイム制を導入するデメリットとして、同期型コミュニケーションが取りにくくなる点です。
仕事を行う上で、コミュニケーションは同期型と非同期型があり、それぞれ下記の特徴があります。
- 同期型コミュニケーション:電話やビデオ通話、オンライン会議といった相手と同じタイミングで時間を共有するコミュニケーション
- 非同期型コミュニケーション:チャットやメールといったお互いの都合が良い時間に通信を行うコミュニケーション
フレックスタイム制の導入によって社員の出勤時間にズレが生じるため、対面でのやり取りが難しくなるでしょう。
そのため迅速なフィードバックや問題・疑問点の解決、情報共有に時間を要してしまいます。
同期型コミュニケーションを活用してしたい場合は、上司や先輩の出勤日時に合わせて、自分も出勤するしか方法がありません。
つまり、フレックスタイム制で効率的に仕事を行うには、情報共有スキルが重要であると覚えておきましょう。
デメリット2:勤務時間外に仕事が発生することがある
フレックスタイム制のデメリットとして、勤務時間外に仕事が発生する場合があるでしょう。
労働基準法により、原則として時間外労働は認められていません。
しかしフレックスタイム制においては、36協定が締結されている場合の時間外労働は認められています。
36協定の概要は、下記の通りです。
- 労働基準法36条に基づく労使協定
- 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働や休日勤務を命じる場合に労働基準監督所に書面で届け出なければいけない
例えば、退社後でも取引先が稼働していた場合に、電話やメール、顧客太陽に追われる場合があるかもしれません。
そのためフレックスタイム制が取引先のスケジュールや勤務時間を、無視できるわけではない点を覚えておきましょう。
出典:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
デメリット3:勤務時間の管理がややこしくなる
フレックスタイム制は、勤務時間の管理がややこしくなるデメリットがあります。
社員ごとに出勤・退勤時間が異なる制度なので、勤務時間の画一的な管理が難しいです。
例えば、一般的な労働時間での勤務であれば、定時を過ぎた段階で自動的に残業と判断されます。
しかしフレックスタイム制では残業に対する判断が難しく、残業代の計算方法も複雑になるでしょう。
勤務時間の管理を簡易化する方法は、下記の3つです。
- 勤怠管理システムの導入
- 早退・遅刻の規定を作る
- 労使協定で所定の事項を定める
社員の勤務状況を正確に把握するためにも、日ごろのコミュニケーションや勤怠管理システムを活用して、勤務時間を管理しましょう。
ちなみに、こちらの記事ではクラウド型の勤怠管理システムの選び方とおすすめを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
フレックスタイム制を導入するときの注意点は?
ここまで、フレックスタイム制を導入するメリットデメリットをお伝えしました。
続いて、フレックスタイム制を導入する際の注意点を解説します。
- 注意点1:時間外労働に関する取り扱いが変わる
- 注意点2:就業規則への規定・労使協定の締結が必要になる
- 注意点3:賃金の支払いにも変化がある
ひとつずつ解説していきます。
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注意点1:時間外労働に関する取り扱いが変わる
フレックスタイム制を導入する際には、時間外労働に関する取り扱いが変わる点を覚えておきましょう。
清算期間における総労働時間の範囲内において、1日ごとの労働時間は社員の意思決定に委ねられます。
つまり、フレックスタイム制の時間外労働は1日の延長時間ではなく、1ヶ月もしくは1年の延長時間で決定します。
また、社員に法定労働時間を超えて労働させる場合には、下記の2つが必要です。
- 36協定の締結
- 労働基準監督署長への届出
ただし、清算期間が1ヶ月を超える場合は、「フレックスタイム制に関する労使協定の届出」も必要なので覚えておきましょう。
清算期間が1ヶ月を超えが場合は、「1ヶ月間の労働時間が週平均50時間を超えた」「清算期間内で、法定労働時間の総枠を超えて労働した時間」が時間外労働として計算されます。
注意点2:就業規則への規定・労使協定の締結が必要になる
フレックスタイム制は、就業規則への規定・労使協定を締結していなければ導入できません。
例えば、社員は始業・終業時間を自由に決められるようになるので、就業規則の変更と社員への通知、変更後の就業規則を労働基準監督署に届け出る必要があります。
また、社員は違った時間帯で働くことになるため、フレックスタイム制を導入する際に、企業側と社員が話し合った上で、労使協定の締結が必要です。
労使協定で定めなければならない項目の例として、下記があります。
- コアタイム
- 清算期間と起算日
- フレキシブルタイム
- 標準となる1日の労働時間
- 清算期間における総労働時間
- フレックスタイム制の適用範囲
仮に清算期間が1ヵ月を超えて、労使協定の届出を失念した場合は、30万円以下の罰金が科せられるので注意しましょう。
注意点3:賃金の支払いにも変化がある
フレックスタイム制を導入するにあたって、賃金の支払いにおいても変化があります。
今では、清算期間の上限が1ヶ月でしたが、2019年の厚生労働省の法改正によって3ヶ月に変更されました。
法改正によって、企業側と社員側のメリットは、下記の2つです。
- 企業側:3か月単位の精算なので、1ヶ月目に割増賃金が発生した場合でも、支払い不要
- 社員側:総労働時間の範囲内で、今までより自由度の高い時間調整ができるようになる
ただし、清算期間が1ヶ月以上の場合には、下記の条件を満たしていなければ労働時間の見なされないので注意しましょう。
- 精算期間全体の労働時間が、週平均40時間を超えていない
- 1ヶ月ごとの労働時間が、週平均で50時間を超えていない
上記いずれかを超えた時間は、時間外労働となってしまいます。
そのため月毎の繁閑差が大きい場合でも、繁忙月の過度に偏った労働時間にはできません。
ちなみに、こちらの記事では給与計算ソフトの機能や大企業・中小企業・個人事業主にお奨めて給与計算ソフトを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、フレックスタイム制の概要やメリット・デメリット、導入時の注意点を解説しました。
フレックスタイム制を導入している企業が多い業界や導入率は、情報通信業が最も多い結果となりました。
また、導入するメリットやデメリットも下記の通り様々です。
- ワークライフバランスが取りやすくなる
- 通勤ラッシュを避けられる
- 離職率が低下する
- 同期間でコミュニケーションが取りにくくなる
- 勤務時間外に仕事が発生することがある
- 勤務時間の管理がややこしくなる
本記事でお伝えした「時間外労働に関する取り扱いが変わる」「就業規則への規定・労使協定の締結が必要になる」などの注意点を参考にして、フレックスタイム制の導入を検討してください。
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