IaaSサービスを選ぶ3つのポイント
IaaSサービスを提供している事業者は多く、1つのサービスの中にもさらにプランが分かれていて選ぶポイントが分かりづらい点があります。
まず、次の3つに絞って自社の環境に適しているかを判断しましょう。
- コスト
- 他サービスとの連携
- セキュリティとサポート体制
コストパフォーマンス
IaaSの料金体型はどの事業者も「どこまでが無料」「どのサービスが有料か」がプランや期間によって異なり、比較が難しい項目です。
毎月平均的に使用しないシステムであれば、従量課金制を選ぶと良いでしょう。
「使ってみてから判断したい」場合もあるので無料トライアルのある事業者がおすすめです。
他サービスと連携は問題ないか
システム同士の相性が悪いと、導入したのは良いがかえって保守管理の手間がかかる場合があります。
OSや他サービス・今使っているオンプレミスとの連携・移行が簡単にできるかが重要です。
セキュリティーとサポート体制
データセンターは分散され、災害が起きた際回避できるか。日本国内東西に分かれて拠点があるか、サポートは日本語対応しているかなどをチェックしましょう。
事業者の管理体制やセキュリティ対策も確認が必要です。
安定性やサーバーに大きな負荷がかかっても耐えられるかなど稼働実績が分かる資料があればそちらも確認しておけば安心です。
大手IaaS|3社のサービスを一覧で比較
Young woman comparing A with B.
2022年の世界のクラウドシェア率は1位Amazon Web Services(AWS)、2位Microsoft Azure、3位Google Cloudという結果でした。
世界3大クラウドサービスといわれる3社であれば、セキュリティ体制は安心です。
3社とも従量課金制であることは同じですが、それぞれ対応しているOSや連携可能なサービスも異なるため、無料期間を利用してトライアルしてみましょう。
AmazonWebサービス(AWS)
初期費用がかからず導入が簡単で利用者が多く初心者でも使いやすいです。
- 初期費用無料:無料
- 無料トライアル:30日間/Amazon CloudSearch 検索インスタンス時間合計 750 時間
- 従量課金制
- サポート体制:平日 10:00〜17:00 はチャット/24時間365日対応/日本語対応
- 主な機能:Amazon S3/AWS Direct Connect
- デメリット:サービスの種類が200以上あり選びにくい
Azure IaaS
Microsoftが運営しているのでWindowsと相性がよいです。
- 初期費用無料:
- 無料トライアル:12か月間無料
- 従量課金制
- サポート体制:祝日を除く月曜日から金曜日の24時間/日本語対応
- 主な機能:LinuxとWindowsの仮想マシンを作ることが可能/Windowsとの親和性が高い
Google Cloud Platform(GCP)
Googleが提供しているので信頼性、安全面で定評があります。
AIを用いた機械学習やビックデータの分析を得意としています。
- 初期費用無料
- 無料トライアル:90日間有効の $300 分のクレジット
- 従量課金制
- サポート体制:ゴールドとプラチナは 24 時間 365 日対応の電話サポート
- 主な機能:Googleが提供しているインフラや分析、AI技術を利用できる
IaaSはインフラサービスを提供
そもそもIaaSとはクラウドサービスのどの部分を指し、どのようなことができるのでしょうか。
IaaS(Infrastructure as a Service)とはサーバーや記憶装置などのインフラ環境をネットワーク経由で構築するためのクラウドサービスで、イアース/アイアースと呼ばれます。
同じクラウドサービスのSaaSやPasSの土台となるネットワークインフラです。
サーバーに構築するOSやCPU、メモリ、ストレージなどのスペックを選択できるので、自由度の高い設計が可能です。
IaaSで何ができる?
IaaSを利用すればサーバーやネットワークなどのインフラを持たず、自社の目的に合わせて自由に設計できます。
アプリケーションも任意に選択できるため、カスタマイズしやすいことも特長です。
自社専用の仮想ネットワークを構築できる、イメージです。
IaaSとPaaS・SaaSとはどう違う?
クラウドサービスを使ったビジネスモデルは、利用する部分によって大きく3種類に分けられます。
IaaSの他にPaaS、SaaSがよく聞かれますがどのような違いがあるのでしょうか。
PaaSはミドルウェアやアプリケーションを提供
PaaS(Platform as a Service)はIaaSで構築されたネットワーク環境を基に、ミドルウェアやアプリケーションなどをクラウド上でサービス提供しています。
アプリケーション・ソフトウェアを開発するためのプラットフォームで、主にプログラム言語、OS、データベースなどアプリ開発に必要なサービスです。
IaaSよりもカスタマイズ性は低く、必要な部分だけ使用してソフトウェア開発をしたい場合にはコスト削減にもつながります。
SaaSはソフトウェアを提供
SaaS(Software as a Service)はソフトウェア機能を提供するサービスで、IaaSやPassが法人向けに対しSaaSは個人向けに近いイメージです。
用意されたサーバーやOS上で、アプリのダウンロードなしで高機能なソフトウェアを利用できます。
IaaSのようにカスタマイズ性はなく、事業者から提供されているサービスをクラウド上で利用します。
違いのポイント | |
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IaaS | アプリケーション:☓ |
PaaS | アプリケーション:☓ ミドルウェア:〇 OS:〇 サーバー:〇 ストレージ:〇 ネットワーク:〇 |
SaaS | アプリケーション:〇 ミドルウェア:〇 OS:〇 サーバー:〇 ストレージ:〇 ネットワーク:〇 |
IaaS導入の3つのメリット
IaaSを導入すると、コスト削減だけでなくシステムの構築やその後の変更にも柔軟に対応できるメリットがあります。
コスト削減につながる
IaaSはネットワークやOS以外を自由に選択できるので、必要なリソースだけを取り入れ余計なサービスを省けます。
また、ほとんどの事業者は料金システムに従量課金制を採用しているため、使った分しか費用がかかりません。
サーバを用意しなくていいので設置スペースも不要です。
構築の自由度が高い
IaaSで提供されているのはシステム構築部分のみなので、その他のソフトウェアやアプリケーションを自由に選択できます。
自社に必要な部分に合わせて選べるため、オーバースペックなシステムになりません。
使いたいOSが選定できる点もメリットの1つです。サーバーを自社で用意する必要がないため管理の手間も省けます。
状況の変化にも対応できる
スタートアップや中小企業の場合、業務拡大や縮小によってネットワーク環境の変更が出てくる場合も考えておきましょう。
IaaSならその時に必要なアプリケーションをのせているので、必要によって拡張も縮小も柔軟に変更できます。
また、通信拠点が複数ある事業所ならデータをクラウドに預けることで災害時のリスクヘッジができるため、BCP対策にも効果的です。
IaaS導入のデメリット
IaaSは構築の自由度が高いというメリットがある反面、専門知識がある人材の確保や導入前環境を正確な分析が必要です。
専門知識が必要
IaaSはネットワークやハードウエア部分のみ提供しているので、当然それ以外の部分は自社で構築・管理が必要です。
クラウドサービスに詳しく使いこなせる人材の確保は、大きな課題となっています。
導入前の自社サービス分析が必要
自社にとって必要なアプリケーションを選択するためには、現状のインフラ環境やシステム全体の把握をしなければなりません。
導入してからオンプレミスとのマッチングが悪いと、管理や保守に労力がかかります。
【kyozon編集部ピックアップ】あわせて活用したいファイル管理サービスをご紹介
ここからは、あわせて活用したいファイル管理サービスをご紹介します。
漏洩チェッカー
内容 | |
提供会社 | 株式会社スタメン |
価格・プラン | PC1台につき100円/月 ~ ※サイトに料金シュミレータあり ※別途、見積もり可能 |
無料トライアル | あり |
主な特徴 |
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漏洩チェッカーは、内部からの情報漏洩防止を目的としたクラウドセキュリティサービスです。従来のパッケージ型商品ではなく、必要な機能を自由に組み合わせることができ、低コストで自社に合ったIT資産管理が可能です。
誰でも使える簡単な操作性で、システム管理にIT人材を充てる必要はありません。不審な動きがあれば、アラート機能で管理者にお知らせ、事故を未然に防げます。サーバーの保守点検も不要で、常に最新の状態で使用できます。
FUNDOOR
内容 | |
提供会社 | 株式会社FUNDINNO |
価格・プラン |
※別途、オプショナル機能あり |
無料トライアル | あり |
主な特徴 |
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FUNDOORはスタートアップのためのクラウド経営管理ソフトです。企業の成長ステージに合わせた利用が可能で、経営管理に関わる煩雑な業務を一元化して、本来の業務に集中できる時間や環境を創出します。
FUNDOORはセキュリティ対策も万全です。アクティビティログは全て自動記録、保存データは毎日、自動バックアップ。複数個所での多重バックアップを行っているため、データ紛失の心配がありません。
Spinno(スピ―ノ)
内容 | |
提供会社 | 株式会社SPinno |
価格・プラン | 初期費用+月額費用 ※詳細は要問い合わせ ※月額費用はアカウント数によって変動 ※オプション機能あり |
無料トライアル | なし |
主な特徴 |
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Spinnoは、メーカーや小売店で扱う販促物の管理や発注方法など、販促業務の課題を改善するプラットフォームです。販促を担う部門の業務効率化、DX推進を通じて、販促物の運用におけるロスやコストを削減します。
導入前には現状の販促施策や業務フローについてヒアリングをおこない、改善点や効率化できる工数などをシミュレーションします。導入後も継続的に効果測定をおこない、DX推進をサポートします。
matriXagent(マトリックスエージェント
内容 | |
提供会社 | アイマトリックス株式会社 |
価格・プラン |
※メ―ルアドレス数に応じて、別途従量料金が必要 |
無料トライアル | 要相談 |
主な特徴 |
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matriXagentは、安全で簡単に添付ファイルの送信を実現するセキュアファイル・メール送信サービスです。matriXagnet分離サーバーが自動的にメールからファイルを分離、ファイル転送とユーザ認証を担うmatriXagent中継センターを介した暗号化通信で、安全にファイルを送信します。
パスワードをメールで送る運用を無くすことで、誤送信や踏み台攻撃のリスクを軽減します。スパム・Emotet対策、メール無害化、なりすまし対策もワンプラットフォームで実現可能です。
Brushup
内容 | |
提供会社 | 株式会社 Brushup |
価格・プラン |
※割引あり(年間契約の場合) |
無料トライアル | あり |
主な特徴 |
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Brushupは、Adobe illustrator、Officeドキュメント、PDF、動画ファイルなど、さまざまな種類のデータをダウンロードしたり、専用アプリで開いたりすることなくチェックできるレビューツールです。
Brushup上にアップされた制作物はウェブブラウザやアプリ上で確認でき、手描きやコメント機能でそのままフィードバックできます。SlackやChatworkなどのアプリとも連携可能で、制作管理に必要なさまざまな機能が備わっています。
まとめ|IaaSサービスはサポート体制とコストパフォーマンスで選択
IaaSサービス事業者を選定するには導入企業によって様々な基準がありますが、コストパフォーマンスとセキュリティ面は重視したいポイントです。
インフラ環境のみクラウドを使い後は自由に設計できるメリットがありますが、その分保守管理や専門知識のある人材確保が必須です。
IT部門にリソースを割けない企業はセキュリティ面が確保され、マニュアルやサポート体制が充実している事業者の利用をおすすめします。