Web給与明細システムのメリット
Web給与明細システムを利用するメリットは以下のとおりです。
- コスト削減できる
- 業務負荷軽減できる
- ミスによる個人情報漏洩の防止ができる
- 交付証明になる
順に解説します。
コスト削減できる
紙面の給与明細書で運用するには、用紙代、印刷代、封筒代、配送代などに加え、作業者の人件費が必要です。給与明細書に誤りがあった場合には再発行が必要となり、再度コストがかかります。
一方、Web給与明細システムは給与明細データをアップロードやメール送付するなどして従業員が各自で確認するため、用紙代や印刷代、封筒代といった事務コストがかかりません。Web給与明細システムの導入は消耗品のコスト削減に貢献します。
業務負荷を軽減できる
紙面の給与明細書は、作成、配布、管理など多くの作業が必要です。とくに、大規模な企業では、数千人以上の従業員の給与明細書を作成する必要があり、作業に膨大な時間と労力がかかります。
しかし、Web給与明細システムを導入することで、従業員の業務負荷が軽減できるとともに作業時間の短縮が可能です。自動化されたシステムで給与明細書の作成、配信、管理などの業務を大幅に軽減することができ、従業員の生産性向上につながります。
ミスによる個人情報漏洩の防止ができる
紙面の給与明細書は、従業員の個人情報が書かれた紙を印刷し、封筒に入れて配布するため、封入作業や印刷した給与明細の紛失、配布に伴うミスが発生した際、個人情報の漏洩リスクが伴います。
Web給与明細システムの導入をすることで、各自がWeb上で給与明細書を確認できるため、紙面の給与明細書を配布する作業がなくなります。これにより、ミスによる個人情報の漏洩リスク軽減が可能です。
交付証明になる
企業に給与明細保管義務はないものの、給与明細は記載事項が賃金台帳と重複しているため、実質的に賃金台帳に該当すると解釈される場合があります。賃金台帳の保管義務は法律により5年と定められ、給与明細も同様に5年間保管しておくことを推奨します。
また、パート・アルバイト従業員が多い企業では、出勤日の少ない従業員がいる場合があり、紙面の給与明細では渡しそびれる可能性が高まります。しかし、Web給与明細システムはインターネット上で給与明細を確認できることから、渡しそびれの防止が可能です。
Web給与明細システムのデメリット
Web給与明細システムを利用するデメリットは以下のとおりです。
- システム導入に伴う手間とコストがかかる
- 紙と電子情報が混在する
- 情報漏洩やデータ改ざんリスクがある
- 閲覧用の端末準備が必要
- 収入証明書類としてほしい場合は印刷必要
順に解説します。
システム導入に伴う手間とコストがかかる
Web給与明細システムの導入には、システムの構築や導入に伴う手間やコストがかかります。システム導入にあたり、初期費用や月額のシステム利用料がかかるほか、給与計算システムや労務管理システムといったWeb給与明細と連携する他システムの改修が求められる場合も少なくありません。
Web給与明細システムの運用を開始する際は、従業員への周知と同意が必要で、システムの使い方を説明をする手間がかかります。閲覧方法のマニュアルを用意し、説明の手間を省くようにします。
紙と電子情報が混在する
所得税法231条により、給与明細や源泉徴収票を電子交付する場合、従業員から同意を得る必要があり、同意を得られない従業員に対しては、従来どおり紙面での給与明細を発行しなければなりません。
2023年3月の税制改正において、「給与所得の源泉徴収票」及び「給与等の支払明細書」については、企業側が従業員から電子交付の承諾を得ようとする際に、「支払者が定める期限までに承諾に係る回答がない時は承諾があったものとみなす」旨の通知をあらかじめ従業員に行い、上記期限までに従業員からの回答がなかった場合には、電子交付の承諾があったものとみなされることとなりました。
同意を得た従業員と上記通知をしたうえで回答をしなかった従業員に対しては電子交付できますが、同意を得られなかった従業員に対しては紙面の給与明細を発行する必要があるため、紙と電子情報の給与明細が混在することとなります。
情報漏洩やデータ改ざんリスクがある
紙面の給与明細の情報漏洩は、主に人的ミスが原因ですが、Web給与明細システムにおける情報漏洩は第三者による不正アクセスやサイバー攻撃が原因です。外部からデータを改ざんをされるリスクもあり、徹底したセキュリティ対策が必要です。
Web給与明細システムを利用する場合はパスワードの設定に加え、サーバーにはアクセス制限をかけ、定期的なログ管理を行うなどセキュリティ対策に十分な注意を払わなければなりません。
閲覧用の端末準備が必要
Web給与明細システムはインターネットを利用して給与明細を確認するため、従業員がパソコンやスマートフォンなど、インターネットに接続できる環境を整えておかなければなりません。
従業員が閲覧できる端末を持っていない場合は会社のパソコンで閲覧するか、または印刷する必要があります。従業員の個人端末を使用する場合は、個人端末からWeb給与明細システムへアクセスするため、従業員の端末環境やセキュリティ対策にも配慮が必要です。
紙面がほしい場合は別途対応が必要
車や住宅購入にあたってローンを申し込む場合は、収入証明書として給与明細の提示を求められる場合があります。申し込み先によっては、Web給与明細を受け付けておらず、紙面での提出が必要です。
従業員から担当者へ、対象月の給与明細の印刷依頼が来ていては、担当者の業務負荷が増えてしまいます。各自でPDFをダウンロードし、印刷できるWeb給与明細システムを選ぶとよいでしょう。
まとめ
この記事では、Web給与明細システムのメリットとデメリットについて詳しくご紹介しました。Web給与明細システムには、従業員と企業双方にとって多くのメリットがあります。
従業員は給与明細の確認をいつでもどこでもアクセスできるとともに、過去の給与明細の確認が可能です。また、企業は紙面の給与明細書を作成しなくてもよくなるため、コスト削減と手作業におけるミスが減少します。さらに、給与明細の閲覧や保存の管理が容易になるため、労務管理の効率化にもつながります。
一方、Web給与明細システムには初期導入時の手間とコストがかかり、セキュリティ面の不安も拭えません。十分な対策を講じることで、Web給与明細システムのメリットを享受できるようになります。ニーズや予算に合わせて、最適なシステムを選択することが重要です。