登壇者プロフィール
早稲田大学を卒業後、森ビル入社。1994年にオプト(現:デジタルホールディングス)を設立。2000年に広告効果測定システム「ADPLAN (アドプラン)」を開発。15年に持ち株会社体制へ移行し、代表取締役社長グループCEO(最高経営責任者)に就任。20年4月より現職。20年7月、デジタルホールディングスに商号変更。DX支援会社のデジタルシフトの取締役会長を兼務。
2000年4月、新卒で投資会社に入社。2000年11月、株式会社ネオキャリアを設立、取締役に就任。2002年、代表取締役に就任。
これまで、新卒中途採用支援、エンジニア採用支援、介護人材採用支援、外国人採用支援、保育事業所運営、HR Techを活用した支援など多岐にわたる事業を展開。現在では、従業員3,000名強、売上500億を超える。2022年にはPURPOSE「人と本気で向き合い、未来を切り拓く。」を新たに掲げ、人に関わる社会課題の解決を目指す。
1969年、大阪府生まれ。甲南大学法学部を卒業後、広告代理店の営業部長を経て、2000年にインターネット広告を手掛けるアイブリッジ株式会社へ入社。
2007年9月、アイブリッジ株式会社、アドデジタル株式会社、アカラ株式会社、ブランド総合研究所という4つの会社を束ねるグループ会社へと成長した同社の社長を辞し、株式会社コミクスを設立し、代表取締役社長に就任。
日本国内でDX化を阻害している要因とは?
なかなかDX化が進まないと日本の国際競争力って超高齢化社会の中でやばくなるし、僕たちの子供の世代にとってまずいことだと思っているんですが、これを阻害している要因とそれを打ち破る手はなんでしょう。
DXは、トップがやるって決めないと全く進まないんです。
阻害している要因は「社長の年齢」です。デジタル度と社長の年齢は反比例で、そこが大きな阻害要因です。
若手から突き上げて、トップも自分がわからないのなら若手のCDOを任命して動かさないと、わからないトップがやろうと思っても無理なので。
確かに。僕の仲の良い会社も2代目になったタイミングから急にそういった動きが出てきているので、トップが変わることでかなり動き方も変わりますよね。
そうですね、2代目になったところはすごい進んでる。
要は、知ってるか知ってないかというところですよね。
そうですね。
わかってなくても、危機感だけあるオーナー系のトップは自分は旗振りに自信ないけど、若手に任せてやらせているんです。そういうところも進んでいますね
それは良いですね。ちゃんと感覚はあるんですね。
かつ、これは業種によるんですが、デジタル化やGAFAの影響を直接受ける業界と、そうでもない業界とに分かれるので、それによっても大きいんです。
例えば、足元でいうと不動産などはあまり影響を受けないし、コロナで業績が絶好調なので、デジタル化に舵を切る会社はめちゃくちゃ少ないです。
アメリカとかだと、不動産のGAFAといって4社あったりするんです。そういった会社って日本には出てきていないので。
個人で買えるような不動産とか証券とかも出て来ていますからね。
今まではある種、西澤さんとかがやっているjinjerみたいに、あらゆる業界の誰でも使えるような横系のSaaSがメインでした。こっちの方が時価総額もつきやすいです。
その中でいうと、ANDPADみたいな建築業界だけっていう縦の、バーティカルSaaSとかって呼ぶんですけど、こういう類のものは時価総額がつきづらかったんですけど、いくつかそういうものが出始めて来ているので可能性はあると思います。
「作って売って儲ける」というモデルはもう厳しい?
あとは、Notionみたいなノーコードで簡単になんでもできるようなものも、これから時流になっていくのではないかと思っています。
今までのSaasのビジネスモデルは提供者がいて、それを利用する利用企業がいてという感じですけど、提供者がノーコードビジネスがどんどん増えていって、一般の人たちもどんどん参画していく。YouTubeでいう8歳とか10歳の子供が急にお金持ちになったりとかするようなことが、未来のSaaSでも起こるのではないかと思っているんですけど。
やっぱり売り方が、「作って売って儲ける」というモデルが厳しくなっていると思うんですよ。お客様とライフタイムバリューを計算して、ずっと繋がり続けるかという風に世の中自体が変わって来ているので、そこに非常に適しているビジネスモデルがSaasとかサブスクだと思うので、これが主流になっていくというのは避けられないのではないのでしょうか。
人の時間は限られているので、その中で時間の奪い合いと自分のライフスタイルに入ってしまったら抜けられないような、圧倒的な力のあるSaaSとかが出てきていますよね。
僕らはどちらかというと、一般的な日本の人材業界って採用ビジネスを指すんですけど、僕はどちらかというと「採用」「定着」「育成」「活性化」の4つの領域を人材ビジネスと定義しているんです。
今までは人材=採用のところで、広告なり紹介なり派遣なりでお金をいただいていたというのが7兆円くらいの産業があるんですけど、どちらかというとここの部分は、お金がなくても人が取れるようにダイレクトリクルーティングだったり、Twitterでも人が取れるような時代なので、少しずつここでの課金が減っていくと予想しているんです。
それならどこでお金をいただくかというと、「定着」「育成」「活性化」のタレントマネジメント部分だったり、いかに人が辞めずに活躍していくかだったり、いかに市場価値の高い人材になっていくのかという部分の支援というところこそ、価値があると思っています。
どちらかというとこっちはSaasモデルがほとんどだと思うんです。なので僕らとしても今ここで稼いでいるお金を投資してこっちのプロダクトを作っていくという状態なんですけど、最終的にはこの採用が少しずつ減っていきながら、ワークテックの領域が主流になっていくと考えているので、このチェンジがいつになるのかを見定めながら、両利きの経営でやっているのがうちの状況ですね。
高齢化社会においてどのようにキャリア設計するべきか
高齢化社会で定年が60〜65歳、70歳とかに長くなって来ていると思うんですが、そうすると1つの会社でずっと勤めるというモデルがだんだん変わってきそうじゃないですか。逆にいうと会社に勤めても出世コースに乗っているという人がほんの一部で、ほとんどが乗っていないということを自分で自覚していますよね。
こういった人達が、自分のモチベーションをどこに持っていけばいいか?というのをみんな悩んでいて。定年までしがみつくのか、会社を辞めてでも第二のやりたいことをやるみたいな。こっちの方が健全だと思うんですがリスクも大きいわけで、この辺をどうキャリア設計すれば良いのでしょうか?
しがみつかないといけないラインの人たちは置いといてしまうのですが、僕がどういう風になるかで想定しているかというと、基本的にホワイトカラーの企業の領域に関しては基本的には人が減っていく、1社に属さなくてよくなる、パラレルで働いてよくなっていくことが主流になっていくのではないかと思っています。
一方で、エッセンシャルワーカーの領域である介護や保育はすごく大きなマーケットで、人が足りていないという状態だと思います。
きちんと思いを持った人が移動していかないとこの国の構造は成り立たなくて、こっちはちゃんと「人がワークしないと成り立たない領域」なので、こっちに資金も人も動いていく構造になるのではないかと思います。
いわゆる、通常のホワイトカラーのサラリーマン的な人はグッと減るんじゃないかという感覚で世の中的には見ています。
エッセンシャルワーカーになった人たちがちゃんと生活できるようにしていかないといけないということですよね。
それなので、もっと待遇を良くしていかないといけなかったりというような部分の課題はたくさんあって、介護の業界だったり特定技能なんかは外国人の方をたくさん入れようという流れもあるんですけど。
プラスして介護の業界は重労働が多いんですよね。DXによって重労働は機械で補える形をとって、シニアでも働けるような形にすれば、シニアがシニアを介護するという領域になるので、こっちの方が現実的ではないかなと思います。
1つの企業に勤め続けるという考え方から変化
例えば、エッセンシャルワーカー手当などを国民の税金から振り向けたり、ベーシックインカム的なもののエッセンシャルワーカー版というのは何かないんですか?
今は全然ないですね。ただ僕は、絶対に介護報酬の方とか、保育とか改善していかないと人が移動していかないので、そこは確実に国としても動いていくのではないかと思います。
結局保育園も補助金で運営されていて、いくらしか利益をあげちゃいけないといったルールもあって、保育士さんたちの給与に関しても待遇がよくない、待遇がよくないと人も戻って来ないので、その辺はこのあと変わっていくだろうと思います。
今新卒の面接をしていて感じるんですが、1社に長く勤めようと思っている人が少なくて、ファーストキャリアと考えている人が多くて、この2年くらいで学生の感覚も大きく変わったんじゃないかなと思います。
昨日聞いた話ですが、ずっと勤めてきたハウスメーカーをやめて料理人になりたいとおっしゃっていた方がいたんですよ。
おいくつくらいの方でしたか?
55歳ですね。一大決心で料理は大好きなんですけど、経験はないんですよね。だからやる気だけっていう。
中途マーケットとか見ていて思いますが、金融業界って給与が基本的に高いじゃないですか。
40代の方達は転職したいけど、結局転職できないという方が多いですね。
やっぱり転職をしたら給与が下がってしまうので、その結果生活水準を下げないといけないので、活動をしても報酬のズレが大きくて結局動けない人たちはすごく多いと思います。
年齢の時に子供が大学生だったり私学の高校生だったりするとどうしようもないですもんね。
だから副業をやると給料が1.1倍だったり1.2倍になると思うので、それもありだと思うんですよね。
今の時代って答えがない時代なので、鉢嶺さんのようにどんどん先にいく人もいれば、何もしていない人もいると思うんですよね。
きちんと時流を読んで、適切な意思決定をすることが大事だと思います。
それぞれ経営スタイルもスタンスも違うので、ものすごく勉強になります。
うちの会社も社内の平均年齢が若いので退職金制度がなくて、作ってくれという要望もなかったのですよね。でも社歴26年となると50代の社員も出てくるので、大企業から彼らのマインドなどを学ばさせてもらうと、何が社員にとって幸せなのかを色々と考えるところがありますよね。
企業規模とともに働きやすさをきちんと抑えたり、失ってはいけない働きがいみたいなところの、分かれるところをいかに混ぜて作っていくかって企業の年数や変遷、ビジネスモデルによって変わっていくなと思います。
また今度大きな意思決定をするんですが、その点も踏まえた上での判断も重要だなと思います。
2030年から逆算した経営計画を立てる
お二人に最後に質問ですけど、時間軸で経営判断している時ってどのくらいの年数で見られているんですか?
うちの場合、1つは2030年ですね。
2030年1兆円ということをターゲットとして、そこから色々と逆算してビジネスモデルの変更や人材の配置を今やっているんですが、少し長期的過ぎたかなとも思うんですが、ようやく全社が動き始めているなという感覚はありますね。
僕も全く一緒で、2030年からの逆算で2011年から9ヵ年計画で2020年までと、2030年までをセットとしていて、2030年に卒業するって宣言しているんです。
若いけどいくつでですか?
2030年だと52歳ですね。
卒業したらどうするんですか?
渋沢栄一が好きなので、北海道の産業を裏から支えたい。
あとはネオキャリアには大株主として居残ろうかなと思っています。
なので、2030年の自分のやりたい世界観から逆算していますね。今までは事業をオーガニックで伸ばして来たのですが、これからは財務によって会社をレバレッジしていかないと間に合わないと思うので、残りの9年を頑張らないとなって感じですね。
まとめ
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