年次有給休暇管理簿とは?
年次有給休暇管理簿とは、有給休暇が年間10日以上ある社員がいた場合、年次有給休暇取得状況を管理するための帳簿です。
2019年の労働基準法改正によって、10日以上の有給休暇を付与された社員は、有給休暇を5日取得しなければいけなくなりました。
年次有給休暇管理簿を作成した際は、社員に有給休暇を与えた期間満了から3年間の保管期間が定められています。
また、基本的に下記の条件を満たしていた場合に、年間10日以上の有給休暇が付与されます。
正社員とパート・アルバイトなどの時短労働者で条件が異なるので、それぞれ見ていきましょう。
雇用形態 | 条件 |
正社員 | ①雇用されてから6ヶ月以上経過 |
雇用形態 | 条件(①②と下記の全ての条件を満たす必要がある) |
パート・アルバイト | ③所定労働日数が週5日以上 |
作成する際は、年次有給休暇管理簿の作成対象者であるかどうかを確認しましょう。
正社員であっても、週4日勤務かつ所定労働時間が30時間未満の場合、短時間労働者が適用されます。
年次有給休暇管理簿の正しい作成方法
年次有給休暇管理簿を正しく作成するにあたって、下記の3項目を記載する必要があります。
それぞれの項目と記載すべき内容を見ていきましょう。
項目 | 記載すべき内容 |
基準日 |
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日数 |
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時季 | 年次有給休暇を取得した日を時季として記載 |
年次有給休暇管理簿を作成するタイミングは、社員が年次有給休暇を取得した際に作成しなければいけません。
ちなみに事前に作成することは問題ないので、年次有給休暇を促すといった点で作成しておいた方が効果的といえるでしょう。
また、年次有給休暇管理簿に作成フォーマットはないので、自由に作成して問題ありません。
なので表計算ソフトやエクセルを活用して作成したり、賃金台帳と労働者名簿とあわせて作成できたりします。
年次有給休暇管理簿の正しい管理方法
年次有給休暇管理簿を正しく管理するには、必須項目である基準日を社員ごとに記録または管理しましょう。
さらに年間5日間の有給休暇取得の漏れがないように、下記の基準日を統一する必要があります。
- 全社員の基準日を特定の日に統一する
- 月は特定せずに、日にちだけを月初に統一する
また、管理方法として紙とシステム、セクセルの3種類があり、それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
管理方法 | メリット | デメリット |
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紙 |
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システム |
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エクセル |
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年次有給休暇管理簿は、労働者名簿や賃金台帳とあわせて作成・運用・保存を統一すると、実務面で運用しやすくなるでしょう。
年次有給休暇管理簿に関する罰則
年次有給休暇管理に関する罰則として、下記のケースを解説します。
- 罰則1:社員に年次有給休暇を取得させなかったケース
- 罰則2:年次有給休暇管理簿を作成・保管しなかったケース
それぞれ見ていきましょう。
罰則1:社員に年次有給休暇を取得させなかったケース
年次有給休暇を社員に取得させなかったケースでは、企業が社員ひとりにつき「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。
さらに下記の場合においても、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられるので留意しましょう。
- 社員が有給休暇を申請したにもかかわらず、企業の判断で有給休暇を取得させなかった
- 就業規則に時季を指定して有給休暇を取得できる旨が記載されていない
違反者がひとりいるごとに科せられて、100人が違反していた場合は最大3,000万円の罰金が科せられます。
罰金以外にも企業名が公表されるなど、企業イメージが低下する罰則もあるので覚えておきましょう。
もし有給休暇を取得させない企業といった評価がついてしまうと、企業の存続問題にかかわってきます。
そのため、年次有給休暇管理簿で年間5日間の有給休暇を取得できるために管理することが重要です。
罰則2:年次有給休暇管理簿を作成・保管しなかったケース
年次有給休暇管理簿を作成・保管しなかった場合は、すぐに罰則が科せられることはありません。
ただし、年次有給級管理簿が作成・保管されていないため、下記の評価や罰則が起こるでしょう。
- 有給休暇を取得させていないため、罰則が科せられる
- 有給休暇の適切な管理を怠ったとして、企業が不利な状況に陥る
社員が労働基準監督署に通報した場合に、年次有給休暇管理簿を作成していなければ取得させた証拠がないので、違法と見なされる可能性は高いです。
作成・保管に関するトラブルが発生した場合のトラブルを回避するためにも、年次有給休暇管理簿は作成・保管しましょう。
こちらの記事では、注目を集めているサバティカル休暇を導入するメリットや日本企業の導入事例を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
年次有給休暇を管理できる勤怠管理システムは?
ここまで、年次有給休暇管理簿の概要や作成方法、管理方法などをお伝えしました。
次に、年次有給休暇を管理できる勤怠管理システムを紹介します。
- システム1:ジョブカン勤怠管理
- システム2:KING OF TIME
- システム3:オフィスステーション有休管理
ひとつずつ紹介していきます。
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システム1:ジョブカン勤怠管理
ジョブカン労務は株式会社DONUTSが運営する、各種履歴からマイナンバーまで、様々な社員情報をクラウド上で一元管理できる人事管理システムです。
国内バックオフィス領域において、12万社以上の導入実績を誇ります。
ジョブカン労務の特徴は、下記の通りです。
- 無料でストレスチェック機能が搭載されている
- 効率的に労務管理を進めるための機能が揃っている
- 企業独自の情報やスキルなどを、社員に紐付けて管理すべき情報を自由に入力できる
料金や無料体験の有無は、下記をご覧ください。
詳細情報 | |
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料金体系 | 要問い合わせ |
無料体験 | あり |
搭載機能 | 人材管理機能・書類作成、電子契約機能・マイナンバー管理、収集 |
50名以上の企業では、年に1度のストレスチェックが義務化されています。
ストレスチェックに合わせて別媒体へ利用料を支払う必要がないので、社員が50名を超える企業に向いているでしょう。
システム2:KING OF TIME
KINF OF TIMEとは、シフト管理や出退勤管理、働き方改革関連法に対応しているクラウド型勤怠管理システムです。
生体認証打刻や交通系ICカード打刻などさまざまな打刻方法が搭載されています。
KINF OF TIMEの特徴は、下記の3つです。
- 給与計算ソフトなどのシステムと連携可能
- 月額ひとり300円で全ての機能を利用できる
- 導入実績10年以上を活かしたサポートが手厚い
料金や無料体験の有無は、下記をご覧ください。
詳細情報 | |
---|---|
料金体系 | 月額300円/ひとりあたり |
無料体験 | なし |
搭載機能 | スケジュール管理・残業管理・休暇管理・リアルタイム自動計算 |
さらに東京と北海道のデータセンターで情報を二重管理しており、バックアップ体制が整っています。
200以上のセキュリティ項目をクリアしているため、盗難や改ざんのリスクも心配ありません。
こちらの記事では、働き方改革が求められている背景やメリット、働き方改革関連法について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
システム3:オフィスステーション有休管理
オフィスステーション有休管理とは、社員ごとの有給休暇の取得状況を把握するだけでなく、未取得の社員へのアラートや申請、承認を効率化するツールです。
有給休暇の管理不備によるリスクを低減できます。
オフィスステーション有休管理の特徴は、下記の通りです。
- 有給休暇が一覧表示される
- 有給休暇の残日数や雇用区分から、有給休暇取得状況を確認できる
- 必要に応じて管理者と該当する社員の双方に自動アラートメールを送信できる
料金や無料体験の有無は、下記をご覧ください。
詳細情報 | |
---|---|
料金体系 | 登録料110,000円+110円/ひとりあたり |
無料体験 | あり(30日間) |
搭載機能 | アカウント管理・他社連携システム・履歴管理・API公開 |
オフィスステーション有休管理を活用することで、オンライン上で有給休暇の申請・承認できるので、人的ミスを減らして余分な作業が発生するリスクを防げるでしょう。
年次有給休暇管理簿を作るときのポイントは?
ここまで、年次有給休暇を管理できる勤怠管理システムをお伝えしました。
続いて、年次有給休暇管理簿を作るときのポイントを解説します。
- ポイント1:ヒューマンエラーを防止する
- ポイント2:システムを導入し正確に管理する
- ポイント3:労働者名簿・賃金台帳と一緒に作成する
ひとつずつ解説していきます。
ポイント1:ヒューマンエラーを防止する
年次有給休暇管理簿に記載ミスがあった場合、社員の有給休暇取得漏れや罰則につながる可能性があります。
そのためヒューマンエラーを発生させない取り組みが必要です。
具体的な防止策として、下記の4つがあります。
- 注意喚起を促す
- 業務を分かりやすくする
- ヒヤリ・ハットを無視しない
- リスクリテラシーを向上させる
また有給休暇管理簿は、有給休暇対象となる社員ごとに作成する必要があるので、社員数が多いほど記載ミスや計算ミスの可能性が高まります。
そういった人的ミスを防ぐためには、勤怠管理システムの導入を検討してみましょう。
ポイント2:システムを導入し正確に管理する
年次有給休暇管理簿を作る際には、システムを導入して正確に管理する必要があります。
労働時間を正確に管理できていない場合、有給休暇の管理に支障が出るでしょう。
効率的かつ正確に管理する方法は、下記の3つです。
- Excel
- タイムカード
- 勤怠管理システム
また、有給休暇の基準日と日数を把握できないだけでなく、年間5日以上の有給を取得できず罰則が科せられるケースもあります。
こういったリスクを防ぐために、有給休暇取得手続きで非効率なポイントやミスが起こり得る部分を抽出しておき、正確に管理できる体制を整えましょう。
こちらの記事では、勤怠管理システムを導入する効果や選ぶ際の注意点、人気のクラウド型勤怠管理システムを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ポイント3:労働者名簿・賃金台帳と一緒に作成する
年次有給休暇管理簿を作成するにあたって、労働者名簿・賃金台帳を一緒に作成しましょう。
労働者名簿・賃金台帳をあわせて作成することで、効率化が図れます。
それぞれで管理されている情報は、下記の通りです。
- 労働者名簿:社員の氏名や生年月日などが最新情報で管理されている
- 賃金台帳:社員への給与支払い状況や労働日数、労働時間数が管理されている
上記の書類は定められたフォーマットがないので、年次有給休暇管理簿と一緒に作成・記載しても問題ありません。
また書類がひとつにまとまるので、効率的に管理できるでしょう。
まとめ
今回は、年次有給休暇管理簿の概要や作成・管理方法、おすすめ勤怠管理システムを解説しました。
年次有給休暇管理簿とは、有給休暇が年間10日以上ある社員がいた場合に、年次有給休暇取得状況を管理するための帳簿です。
正しく管理するには、下記を統一しましょう。
- 全社員の基準日を特定の日に統一する
- 月は特定せずに、日にちだけを月初に統一する
本記事でお伝えした、年次有給休暇管理簿に関する罰則や勤怠管理システムを参考にして、ミスの削減や体制づくりを進めてください。
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