社内報とは?
社内報とは会社情報や理念、従業員紹介などを発信して、企業理念・経営ビジョンを浸透させられる社内向けメディアです。
一般的には企業の目標や経営方針、現在の取り組み、部署・従業員紹介などを掲載します。
社内報を活用することで期待できる効果は、下記のとおりです。
- 離職率の低下
- リファラル採用
- 経営方針の浸透
- 情報共有の円滑化
企業が抱える多くの課題を解決する施策として、社内報が活用されています。
近年では新型コロナウイルスの影響でテレワークを実施する企業が増えたことで、慢性的なコミュニケーション不足を防止するため、社内報が重要視されています。
こちらの記事では、リファラル採用の概要やトラブルが発生した際に回避するポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
社内報の目的
社内報の目的は、下記の4つです。
- 社内コミュニケーションを活発化させる
- 従業員の意識・行動の変化を促す
- 社内情報を共有する
- 従業員のモチベーション向上につなげる
ひとつずつ解説していきます。
社内コミュニケーションを活発化させる
社内報の目的のひとつは、社内コミュニケーションの活発化です。
会社の考えや理念、従業員に対する思いは共有しなければ、広く浸透しません。
また、ほかの部署の従業員と交流する機会が少なかったり、支店が多かったりすると社内コミュニケーションは減ってしまうでしょう。
しかし社内報を導入することで、下記の効果が期待できます。
- 自社に対する帰属意識の向上
- 部署間での連携やノウハウ、ナレッジ共有の活発化
また、業務マニュアルからは発見できない新しい情報や現場で働く従業員の顔が見える形で仕事紹介を行うことも、社内報の目的です。
従業員の意識・行動の変化を促す
社内報には、従業員の意識・行動の変化を促す目的があります。
行動変革モデルである「行動変革プロセスARAC(アラック)」によると、従業員の行動を変化させる方法は、賞賛・承認であるとされています。
ちなみにARACは、下記の頭文字で構成された単語なので覚えておきましょう。
- 認知(Acknowledge)
- 理解(Realize)
- 行動(Act)
- 定着(Change Behavior)
社内でMVPを受賞した従業員を例に考えてみます。
その従業員の受賞を社内報で紹介した場合、「どうすればMVPを受賞できるのか」とほかの従業員の考えや行動を変えるきっかけになるかもしれません。
社内情報を共有する
社内報には、社内情報をスピーディーに共有する目的があります。
例えば情報が会社の上層部から部下に伝える際に、末端の従業員に届くまでかなりの時間がかかるでしょう。
しかし社内報であれば、一度の共有で情報を迅速に届けられます。
実際に企業が共有している情報は、下記の通りです。
- 事例
- 社内イベント
- 社内の取り組み
- 新商品・サービス
共有すべき内容によっては、上層部から伝達する方法が適しています。
とはいえ社内報であれば、情報格差をなくして社内に届けられます。
従業員のモチベーション向上につなげる
社内報には、従業員のモチベーションを向上させる目的があります。
例えば、社内で活躍している従業員や普段の業務で関わる機会のない従業員を社内報で取り上げることで、ほかの従業員に下記のメリットを与えます。
- 新たな気づきを得られる
- 業務ばかりに向きがちな視点を俯瞰的に見られる
- 自社の商品・サービスに愛着を感じてもらいやすくなる
社内報を通して従業員のモチベーションを向上できれば、企業の活性化にもつながるでしょう。
こちらの記事では、モチベーションの種類や上げる方法、理論について解説しているので、ぜひ参考にしてください。
社内報を作成・運用する手順
ここまで、社内報の概要や目的をお伝えしました。
続いて、社内報を作成・運用する手順を解説します。
- ゴールを明確化する
- 媒体を選択する
- 社内報を作成するメンバーを選出する
- 記事を制作する
ひとつずつ解説します。
ゴールを明確化する
まずは社内報を行うゴールを明確にしていきます。
全体像を把握するために、下記の6つを押さえておきましょう。
- 作成方法
- 運用費用
- 活用する媒体
- 発行・配信頻度
- ターゲットとなる読者
- 発信するコンテンツ内容
社内報のゴールを設定する際は、定性面と定量面の両方を設定することが望ましいです。
上記の施策は、継続が必要であり効果が見えづらいので、具体的に落とし込みましょう。
媒体を選択する
社内報のゴールが明確に決まったら、媒体を選択します。
媒体には紙とWebの2種類があり、それぞれのメリット・デメリットは下記の通りです。
メリット | デメリット | |
紙媒体 |
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Web媒体 |
|
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従業員の多くがパソコンを使って業務を行う企業であれば、Web媒体が適しています。
また社内報を活用することで、採用活動といった情報を社外へ発信できます。
社内報を作成するメンバーを選出する
媒体を選択できたら、社内報を作成するメンバーを選出します。
社内広報活動のひとつである社内報は、広報担当者を選任する企業が多いです。
ただし社内報は、下記のように工数がかかるので注意しましょう。
- 企画
- 取材
- 執筆
- 編集
- 定期的な発信
担当者の業務量によっては、業務整理とメンバーの選出を行わなければいけません。
そのため必要であれば人事異動を行ったり、派遣や業務委託を活用したりする方法もあります。
また、社内報を活用してリファラル採用を検討している場合は、人事や採用メンバーを加えたチーム編成を行いましょう。
記事を制作する
社内報を作成するメンバーを選出できたら、記事を制作していきましょう。
記事制作では、下記の2つを行います。
- 記事の企画・立案
- 記事の取材・執筆
それぞれ解説していきます。
記事の企画・立案
明確になった社内報のゴールを基に、記事の企画・立案を行なっていきます。
企画・立案の例は、下記の通りです。
- 特集やイレギュラーページの企画
- 連載コーナーや取材先、原稿執筆の依頼先の決定
- 特集やコーナーごとで行う作業を個別に洗い出して台割に記入
- コーナーごとに基本スケジュールを分割
- スケジュールごとで必要な作業時間を考慮して、仮予定を記入
- スケジュール全体の進め方に無理や無駄、ムラがないか調整
定期的に運用するために、連載できる企画があると良いでしょう。
記事の取材・執筆
記事の企画・立案に沿って取材・執筆を行います。
社内報を定期的に運用するために、取材や記事の執筆予定も計画していきましょう。
コンテンツを多く制作するための例は、下記の通りです。
- 対面取材だけでなく、アンケート形式の回答も記事化する
- 従業員を紹介する際は、事前に作成したフォームに入力してもらい掲載する
- メールで周知されている事項がある場合は社内報に転記して、ログとして活用する
取材の工数を減らすことで、多くのコンテンツを制作できるので自社に合った方法を見つけましょう。
またWeb媒体の場合は、月・週ごとに公開したい記事数を決定します。
紙媒体であれば、ページ数によって制作工数が異なります。
記事を公開する
記事制作が完了したら、記事を公開します。
自社で運用しているSNSやメーリングリストがある場合は、積極的に活用しましょう。
初回の社内報で経営陣の思いを発信することで、社内報に対する本気度を伝えられます。
改善策を練る
記事を公開した後は、測定・分析を行いながら次の記事に活かします。
記事の反応の良し悪しで、下記の検討を行います。
- 反応が良かった記事:連載化を検討
- 反応が悪かった記事:振り返り改善を行う
記事を振り返る際には、制作メンバー以外からフィードバックをもらったり、インタビューしたりしましょう。
また四半期や半年に一度、社内アンケートを実施することもおすすめです。
アンケートで得られた意見を社内報に反映すれば、従業員全体で社内報に参加していると実感できるでしょう。
社内報を運用するときのコツ
ここまで、社内報を作成・運用する手順をお伝えしました。
続いて、社内報を運用するときのコツを解説します。
- より読みたくなるような工夫を凝らす
- 他社の成功事例を参考にする
- デザイン・レイアウトを工夫する
ひとつずつ解説していきます。
より読みたくなるような工夫を凝らす
社内報を運用する際は、読者が読みたくなるような工夫を凝らしましょう。
工夫を凝らすためには、読み手の気持ちになって書くことが重要です。
「どういった話題に興味があるのか」「どれくらいの文章量が読まれやすいのか」など、常に読者目線で考える必要があります。
制作側の一方的な告知にならないように、従業員が読みたくなる内容を目指しましょう。
他社の成功事例を参考にする
社内報は他社の成功事例を参考にすると、運用時にイメージしやすくなります。
チーム内で情報や知識を共有することで、個々のメンバーが持つ経験やスキルを集結できるため、結果として企業の能力向上につながるでしょう。
また成功事例の共有は、効果的なコミュニケーションや学習環境を作り出します。
情報が蓄積されていくにつれ、今まで以上に社内報を円滑に運用できるはずです。
デザイン・レイアウトを工夫する
社内報を運用するにあたって、デザイン・レイアウトは工夫しましょう。
デザイン・レイアウトは、紙媒体やWeb媒体を開いて最初に目に入る場所です。
社内報はデザイン・レイアウト以外で、下記に関しても慎重な選定が求められます。
- 写真
- 余白の取り方
- フォントの形と大きさ
- 文字と図表のバランス
対象読者によっては、文章のテイストを調整する必要があるでしょう。
テイストを調整する際の例は、下記の通りです。
- 若手やアルバイト向け:明るくフレンドリーな雰囲気
- マネジメント層向け:情報量を充実させて、レイアウトにメリハリを効かせる
社内報のデザイン・レイアウトは、時代の変化に合わせながら工夫を凝らしましょう。
社内報が読まれるためのコツ
ここまで、社内報を運用するときのコツをお伝えしました。
続いて、社内報が読まれるためのコツを解説します。
- 文章に一貫性を持たせる
- 共感を得られる内容にする
- 視覚的な見やすさを意識する
- 興味を引く書き出しにする
- 情報の過不足をなくす
それぞれ解説していきます。
文章に一貫性を持たせる
社内報を書く基本として、まずは結論を書き始める前に一貫性を設定しましょう。
文章の途中で、これまでの主張が正反対に変わってしまうと読者は何が言いたいのか分からなくなるかもしれません。
そのため文章と書き手の立ち位置に一貫性を持たせた上で本文を書く際は、結論を読者に導くことを意識しましょう。
また状況や経緯を説明する際は、文章が単調な印象にならないよう言い回しを変えたり、疑問に思われそうな箇所は補足を入れたりします。
共感を得られる内容にする
従業員にインタビューする際は、読み手から共感を得られやすい内容を選びましょう。
共感されにくいインタビュー例として、下記の2つがあります。
- 淡々と事実を語るだけのインタビュー記事
- 自分の目線からかけ離れた語り口でのインタビュー記事
読者から読まれるためには、従業員が抱える課題や悩みに寄り添った文章展開を心がけてください。
文章が長いと感じた場合は、不要な表現を削ることも重要です。
視覚的な見やすさを意識する
どんなに社内報の内容が素晴らしかったとしても、何行も空白がないまま文章が連なっていると、読みづらいと感じる読者は少なくありません。
そのため視覚的な見やすさを作るために、下記を取り入れてみましょう。
- 段落を設ける
- 1文の中に情報を入れすぎない
- 話の区切りが良いところでは1行空ける
1文が長くなると読者だけでなく、書き手も主語と述語のねじれが原因で理解することが難しくなる恐れがあります。
社内報で視覚的な見やすさを意識できれば、連載コーナーにつながる可能性が高くなります。
興味を引く書き出しにする
社内報の書き出しは、興味を引く書き出しが重要です。
ありきたりな文章にならないように、続きが期待できそうな1文を用意しましょう。
書き出しの例として、下記が挙げられます。
- 説得力のある数字を入れる
- 注目度の高い言葉を挿入する
- 文章を疑問型にして、答えが知りたい内容にする
ほかにもセリフを抜き出したり、読み手に問いかけたりする方法も参考にしてみましょう。
情報の過不足をなくす
社内報を発行する前に情報の過不足をなくすために、従業員に仮読みを依頼しましょう。
何の情報もない第三者が読んだ際に、「場面展開が突然起きた」「説明が分かりにくい」と感じられる可能性があります。
そのため発行前に仮読みしてもらうことで、下記のメリットを得られるはずです。
- 初めて読んだ人の意見や感想を反映できる
- さらに読み手が理解しやすい記事に仕上げられる
自分だけでは気づけない文章の癖や、誤字脱字にも気づけるでしょう。
まとめ
今回は、社内報の概要や作成・運用する手順を解説しました。
社内報とは会社情報や理念、従業員紹介などを発信して、企業理念・経営ビジョンを浸透させられる社内向けメディアです。
また、社内報の目的には下記の4つがあるとお伝えしました。
- 社内コミュニケーションを活発化させる
- 従業員の意識・行動の変化を促す
- 社内情報を共有する
- 従業員のモチベーション向上につなげる
本記事でお伝えした作成・運用する手順やコツを参考にして、社内報を活かして自社のエンゲージメントを高めていきましょう。
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