CTOとは?
CTOとは、「Chief Technical Officer」または「Chief Technology Officer」の略称を指します。
日本語に訳した意味は、「最高技術責任者」です。
1980年代にアメリカで登場した役職で、日本の会社法に定められた役職ではありません。
日本におけるCTOは、下記の専門的な知識・技術を用いる部門のトップとして設置されています。
- 製造技術
- 化学技術
- 情報技術
- 研究開発技術
また近年では、スタートアップ企業や外資系企業を中心に浸透が広がっています。
そのため技術領域における最高責任者として、技術職だけでなく経営層として意思決定する場面もあるでしょう。
さらにCTOは、情報業務を安徳するCIO(Chief Information Officer)を兼任する場合もあるようです。
CTOとCEOの違い
CTOとCEOの違いは、下記の通りです。
- CTO:企業の技術面に関する活動を統括する最高責任者
- CEO:企業の経営方針を決定する業務執行役員の最高責任者
CEOとは、「Chief Exective Officer」の略称を指します。
企業の中には技術面以外にも、経営戦略やマーケティング、情報、財務といった部門があり、各部門で最高責任者が設置されています。
CTOは一部門ですが、CEOはそれらを統括している最高責任者といえるでしょう。
そんなCEOの役割は、下記の4つです。
- 業務執行の統括
- 適切な情報開示
- 事業戦略や経営方針の策定
- ステークホルダーへの説明
また日本において、CEOの使われ方は企業によって異なります。
CEOを経営責任者として配置している企業もあれば、代表取締役や会長、社長と同じ意味で使用している企業もあるようです。
こちらの記事では、CEOの特徴やCIO・CTO・COO・CFO・CMO・CPO・CKOとの違いを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
日本を代表するCTO3選
ここまで、CTOの概要やCEOとの違いをお伝えしました。
続いて、日本を代表するCTOを3名紹介します。
- 名村卓|株式会社ソウゾウ
- 藤本真樹|グリー株式会社
- 藤倉成太|Sansan株式会社
一名ずつ紹介していきます。
名村卓|株式会社ソウゾウ
名村卓氏は、2021年1月にメルカリグループである株式会社ソウゾウ取締役CTOを務めた人物です。
2004年に会津大学を中退した後、Slerに就職して、株式会社サイバーエージェントに入社しました。
株式会社サイバーエージェントで入社後は、リードエンジニアとして下記のサービス開発に関わっています。
- AWA
- Abema TV
- アメーバピグ
2016年には株式会社メルカリに入社して、アメリカ版のメルカリ開発を担当しました。
2017年4月に同社の執行役員CTOに就任した後、2021年1月から株式会社ソウゾウ取締役CTOを努めています。
また名村氏は、株式会社メルカリから株式会社ソウゾウに移籍した理由を「メルカリの居心地の良さに危機感を抱いている自分がいた」と語っています。
藤本真樹|グリー株式会社
藤本真樹氏は2001年に上智大学文学部を卒業した後、さまざまな企業を経てグリー株式会社取締役常務執行役員CTOとして活躍している人物です。
大学卒業後は、株式会社アストラザスタジオに入社して、2003年1月に有限会社テューンビズに入社しました。
同社では、PHP等のオープンソースプロジェクトに参画しており、オープンソースソフトウェアシステムのコンサルティングなどを担当しています。
2005年6月に、グリー株式会社の取締役として就任しました。
藤本真樹氏は、株式会社グリーに就任して16年以上CTOとして勤めています。
藤倉成太|Sansan株式会社
藤倉成太氏は、2018年からSansan株式会社のCTOに就任して、全社の技術戦略に携わっている人物です。
2002年4月には、シリコンバレーでミドルウェア製品の導入コンサルタントとして、現地ベンチャー企業と共同開発事業に従事しました。
帰国後は、KIT虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院)で経営やビジネスを学びながら、開発ツールやプロセスの技術開発に従事します。
2009年に、Sansan株式会社に入社後の経歴は、下記の通りです。
- クラウド名刺管理サービス「Sansan」の開発に従事した後、開発部長に就任
- 2016年からプロダクトマネージャーと兼務
2018年に内部昇格で、CTOを就任しました。
CTO・CEO以外で知っておくべき役職
ここまで、日本を代表するCTOを3名を紹介しました。
続いて、CTO・CEO以外で知っておくべき役職を解説します。
- 役職1:COO
- 役職2:CFO
- 役職3:CMO
- 役職4:CPO
- 役職5:CKO
ひとつずつ解説していきます。
役職1:COO
COOとは「Chief Operating Officer」の略称で、日本語に訳すと「最高執行責任者」といった意味があります。
CEOのような企業の経営方針には携わらず、実務上の最高責任者に区分されます。
もともとはアメリカ企業で設置された役職であり、経営責任の所在を明確にするために作られました。
COOの特徴は、下記の通りです。
- CEOの経営方針を業務に落とし込む
- 各部門責任者に指示を出して業務執行を管理する
- 経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を適切に配置する
そのためCOOには、実行力やマネジメント力、経営に関する知識・スキルが求められます。
また、CEOが決定した方針を日々の業務に落とし込み、各部門へ適切に指示出すためは、自社事業に理解も必要です。
役職2:CFO
CFOとは「Chief Financial Officer」の略称で、日本語に訳すと「最高財務責任者」といった意味があります。
アメリカにおけるCFOは、財務戦略を経営戦略のひとつと見なしており、経営陣の一員と捉えているようです。
しかし日本では、財務責任者は財務部長である場合が多いので、経営陣と見なされていません。
とはいえ、ビジネスのグローバル化が進むにつれて、財務・経理の知識や海外企業に対してM&A・資金調達できるCFOの存在は重要になっています。
CFOの役割は、下記の通りです。
- 内部統制の構築
- 監査法人や証券会社の選定
- 企業の拡大期における予算配分やコストカット部分の洗い出し
- 融資手続きを円滑に進めるための財務諸表の整理や返済計画の策定、金融機関との交渉
CFOは財務・経理の知識だけでなく、計画を社員に納得したうえで実行してもらう必要があります。
そのため、分かりやすく伝えるコミュニケーション能力が必須となるでしょう。
役職3:CMO
CMOとは「Chief Marketing Officer」の略称で、日本語に訳すと「最高マーケティング責任者」といった意味があります。
近年のインターネットやSNSの普及により、顧客の価値観や購買行動、生活様式は大きく変化しました。
これまではモノ作りによって企業競争力が問われた時代でしたが、現代ではマーケティングが企業競争力に多大な影響を与えています。
そのため、企業の商品・サービスが効率よく売れる仕組みを構築する役割がCMOにはあります。
CMOの具体的な役割は、下記の通りです。
- ステークホルダーとの良好な関係の構築
- 社内の部署を横断した一貫性のあるマーケティング戦略の主導
- 経営戦略をマーケティングに落とし込み「ヒト・モノ・カネ」を活用したマーケティング活動の最適化
また顧客に購買行動を起こさせるため、共感力が必要になるでしょう。
顧客の気持ちを理解するスキルが備わっていれば、企業のマーケティング戦略に落とし込み、購買につなげられるはずです。
こちらの記事では、マーケティングの際に必須の市場調査で役立つツールやデータベース、選び方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
役職4:CPO
CPOとは「Chief Privacy Officer」の略称で、日本語に訳すと「最高個人情報保護責任者」といった意味があります。
インターネットやスマートフォンの普及により、個人情報の取り扱いに関しては非常に重要度の高い項目といえるでしょう。
経済産業省が発表しているガイドラインにも、個人情報の漏洩を防ぐために企業に対してサイバーセキュリティーを設置する旨の記述があります。
CPOの具体的な役割は、下記の通りです。
- プライバシーポリシーの構築
- 外部からの苦情処理対応・管理監督
- 自社内のプライバシーコンプライアンスの徹底
- プライバシーポリシーに則った内部監査体制の構築
- 自社内のプライバシートレーニングプログラミングの実施
個人情報の漏洩防止には、各社員による細心の注意を払う必要があります。
そのため、個人情報保護の一貫した取り組みを浸透させるために、CPOは重要な存在です。
出典:個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン
こちらの記事では、個人情報を一元管理できる顧客管理システムや選び方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
役職5:CKO
CKOとは「Chief Knowledge Officer」の略称で、日本語に訳すと「最高知識責任者」といった意味があります。
社内・社外の知識やノウハウなどを共有として、経営戦略を足がかりとした業務を担う役職です。
同じ情報を取り扱う「CIO(Chief Information Officer)」と混合されますが、CIOは経営戦略に沿ったIT戦略の立案・実行する点が異なります。
CKOの役割は、ナレッジマネジメント戦略の立案です。
ナレッジマネジメント戦略を成功させるための例として、下記の2つがあります。
- 社員が率先して知識を共有したくなる評価制度の導入
- 社員が使いやすいと感じるナレッジ経営用ツールの導入
仮にCKOを設置していなかった場合、社員目線がない経営陣の都合だけが反映されたナレッジ経営になってしまうでしょう。
そのためCKOは戦略・立案だけではなく、それぞれの社員が持つ知識やノウハウを管理したり、共有したりする役割が求められます。
CTOに関するよくある質問
ここまで、CTO・CEO以外で知っておくべき役職をお伝えしました。
続いて、CTOに関するよくある質問を解説します。
- CTOは普段どんな仕事をしていますか?
- 日本のCTOの平均年収はどれくらいですか?
- CTOになるにはどうすればいいですか?
ひとつずつ解説していきます。
CTOは普段どんな仕事をしていますか?
CTOが普段行っている仕事内容は、下記の通りです。
仕事 | 内容 |
技術経営方針の策定 | 企業のビジョンの実現に向けて技術内容を理解して、どのように管理・経営するすべきか技術と事業を結びつけて、経済的な価値を創出する。 |
技術面での意思決定 | 自社の目的を達成するために、どういった技術を選択するべきか市場の動向をチェックしながら、最適な意思決定を行う。 |
エンジニアの採用 | 自社の目標を達成するために技術面で足りていないものを分析しながら、自社に必要な人材であるかを既存社員とのバランスを加味しながら、エンジニアの採用と教育を行う。 |
そのため、自社の技術やチームに不足しているものを分析して、どのような活動が技術力を高められるか考慮しながら意思決定を行う必要があるでしょう。
日本のCTOの平均年収はどれくらいですか?
経済産業省の調査によると、日本におけるCTOの平均年収は「950〜1,200万円」です。
企業規模や担う責務、位置づけによって年収に大きな差があります。
CTOの年収は企業の規模が大きくなるほど上昇傾向にあり、業績のへの貢献度によってさらに報酬の上昇が見込めるでしょう。
理由は大勢の社員を抱えている企業の場合、CTOの提言により業績への貢献度が大きく左右されるためです。
CTOになるにはどうすればいいですか?
CTOになるための方法は、下記の3つです。
方法 | 詳細 |
求人を探す | 就職・転職を希望した企業にCTOがいなかった場合、その企業でCTOが作られる可能性があります。しかし、ポジションが用意されているのであれば、「転職サイトの活用」「キャリアアドバイザーのサポート」が効果的です。 |
起業する | スキルを磨いて企業に想いを伝えても、必ず届くとは限りません。そのため自分で新しく企業を立ち上げて、その中でCTOを担う方法もあります。 |
現職の企業で昇進する | 現職がCTOのいる環境であれば、成果をあげて昇進を目指す方法があります。その際は技術的なスキルや幅広い知識、教養を身につけて、人間力を高める必要があります。 |
CTOになるには学歴や資格は不要ですが、経営・技術・管理に関する理解が求められるので覚えておきましょう。
まとめ
今回は、CTOの概要やCEOとの違い、日本を代表するCTOの事例を解説しました。
CTOとは、「Chief Technical Officer」または「Chief Technology Officer」の略称を指します。
日本を代表するCTOの事例は、下記の3つです。
- 名村卓|株式会社ソウゾウ
- 藤本真樹|グリー株式会社
- 藤倉成太|Sansan株式会社
またCTO以外にも、COOやCFO、CMO・CPO・CKOといった役職があるので、覚えておきましょう。
本記事でお伝えしたCTOの仕事内容や平均年収、なるための方法を参考にして、自社に適しているか検討してください。
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