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内定者リテンション完全ガイド|辞退率を激減させる具体的施策10選

投稿日:2025年11月18日 /

更新日:2025年11月18日

内定者リテンション完全ガイド|辞退率を激減させる具体的施策10選
● 採用

「せっかく採用した優秀な人材から、内定辞退の連絡が…」売り手市場が続き、採用競争が激化する昨今、多くの人事担当者が内定辞退に頭を悩ませています。採用活動にかけた時間とコストが無駄になるだけでなく、事業計画への影響も避けられません。この課題を解決する鍵こそが「内定者リテンション」です。効果的な内定者フォローは、もはや単なる辞退防止策ではなく、入社後の活躍と定着を見据えた重要な経営戦略と言えるでしょう。

本記事では、なぜ今、内定者リテンションが重要なのかという根本的な理由から、内定者が辞退を決意する心理、そして明日から実践できる具体的な施策10選までを完全網羅。内定承諾直後から入社直前までのフェーズ別に、何をすべきかを詳細に解説します。この記事を最後まで読めば、貴社の内定辞退率を劇的に改善し、優秀な人材を確実に迎え入れるための具体的なアクションプランが明確になります。

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目次

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いま人事担当者が知るべき内定者リテンションの重要性

採用活動は、内定通知を出して終わりではありません。むしろ、内定者と企業との本当の関係構築はそこから始まります。多くの人事担当者が頭を悩ませる「内定辞退」。この課題を克服し、優秀な人材を確実に迎え入れるための鍵こそが「内定者リテンション」です。本章では、なぜ今、内定者リテンションがこれほどまでに重要視されているのか、その背景と企業にもたらす多大なメリットについて詳しく解説します。

内定辞退率の上昇と採用市場の変化

近年、内定辞退率は高止まりの傾向にあり、人事担当者にとって深刻な問題となっています。その背景には、社会構造や学生の価値観の大きな変化が複雑に絡み合っています。

最大の要因は、少子高齢化に伴う労働人口の減少と、それに起因する「売り手市場」の加速です。企業からの求人数が学生数を上回る状況が続き、学生は複数の内定を保持した中から、より自分に合った企業をじっくりと選ぶことが当たり前になりました。かつてのように「内定=入社」という図式は、もはや過去のものとなりつつあります。

また、Z世代と呼ばれる現代の若者の価値観の変化も見逃せません。終身雇用を前提とせず、自身のキャリアは自分で築くという「キャリア自律」の意識が高まっています。彼らはSNSなどを駆使して企業のリアルな情報を巧みに収集し、給与や待遇といった条件面だけでなく、「自己成長できる環境か」「企業の理念に共感できるか」「ワークライフバランスは保てるか」といった多角的な視点で入社先を吟味します。このため、内定承諾後も、より魅力的な企業が現れれば、ためらいなく選択を変えるケースが増えているのです。

こうした状況下で、内定承諾から入社までの数ヶ月間、内定者を「放置」してしまうことは、そのまま内定辞退のリスクに直結します。内定者の不安や疑問に寄り添い、企業への理解と共感を深めてもらうための継続的なアプローチ、すなわち内定者リテンションが、採用競争を勝ち抜くための必須戦略となっているのです。

内定者リテンションがもたらす企業側のメリット

内定者リテンションに注力することは、単に内定辞退を防ぐだけでなく、企業経営全体に多くのポジティブな影響をもたらします。時間とコストをかけてでも取り組むべき、具体的なメリットを以下に示します。

メリット具体的な効果
採用コストの最適化

内定辞退によって発生する追加募集のコスト(求人広告費、人材紹介手数料、採用担当者の人件費など)を削減できます。一人あたりの採用単価が高騰する中、投下したコストを無駄にしないための重要な投資となります。

入社後のミスマッチ防止と定着率向上

内定期間中の継続的なコミュニケーションを通じて、内定者は企業文化や仕事内容への理解を深めることができます。これにより、入社後の「こんなはずではなかった」というギャップを最小限に抑え、早期離職を防ぎ、人材の定着率向上に大きく貢献します

新入社員の早期戦力化

内定者研修や先輩社員との交流を通じて、入社前から社会人としての心構えや基本的なスキルを身につける機会を提供できます。これにより、入社後のオンボーディングがスムーズに進み、通常よりも早く組織に馴染み、パフォーマンスを発揮する「早期戦力化」が期待できます

エンゲージメントと生産性の向上

手厚いフォローを受けた内定者は、企業から「大切にされている」と感じ、入社前から高いエンゲージメント(愛着や貢献意欲)を抱きます。このポジティブなマインドセットは、入社後のモチベーションや生産性の向上に直結します。

採用ブランディングの強化

質の高い内定者フォローは、学生の口コミやSNSを通じて「人を大切にする良い会社」という評判を広げます。これは、次年度以降の採用活動において、企業の魅力を高める強力なブランディングとなり、優秀な人材を引きつける好循環を生み出します

このように、内定者リテンションは目先の辞退防止に留まらず、人材の定着と活躍、ひいては企業の持続的な成長を支えるための、極めて戦略的な人事施策であると言えるでしょう。

内定者が辞退を決意する代表的な理由とは

内定を出して承諾を得た後も、人事担当者の仕事は終わりではありません。むしろ、ここからが入社まで内定者の心を繋ぎとめる「リテンション」の正念場です。内定承諾後から入社までの期間が数ヶ月に及ぶ中で、内定者は「本当にこの会社で良いのだろうか」という、いわゆる「内定ブルー」に陥ることが少なくありません。効果的なリテンション施策を講じるためには、まず彼らがなぜ不安になり、辞退という決断に至るのか、その根本的な理由を深く理解する必要があります。

ここでは、多くの内定者が辞退を決意する代表的な3つの理由を掘り下げて解説します。

入社後の働き方やキャリアパスへの不安

内定者が抱える最も根深い不安の一つが、入社後の「働く自分」を具体的にイメージできないことから生じるものです。選考段階で聞いていた話と、入社後の現実にギャップがあるのではないかという疑念が、時間とともに増幅していきます。

特に、以下の点に関する情報不足や不透明さは、内定辞退の大きな引き金となります。

  • 配属先や業務内容の不確実性:「自分の希望する部署に配属されるのか」「具体的にどのような仕事から始めるのか」といった情報が不明確なままだと、内定者は自身のスキルや興味を活かせない可能性を危惧します。いわゆる「配属ガチャ」への不安は、特に専門性を高めたいと考える学生にとって深刻な問題です。
  • キャリアプランの不透明さ:3年後、5年後に自分がどのようなポジションで、どのようなスキルを身につけて活躍しているのか。その道筋が見えないと、「この会社で成長できるのだろうか」という不安に繋がります。魅力的なロールモデルとなる先輩社員のキャリアパスが示されていない場合、その不安はさらに大きくなります。
  • 成長環境への懸念:研修制度は整っているか、挑戦できる風土はあるか、フィードバックをもらえる文化かなど、自己成長に直結する環境への関心は非常に高いです。具体的な成長支援の仕組みが見えないと、他社の手厚い育成プログラムに魅力を感じてしまう可能性があります。

これらの不安は、「この会社は自分のキャリアを真剣に考えてくれていないのではないか」という不信感に発展し、最終的に辞退という決断を後押ししてしまうのです。

社内の人間関係や雰囲気とのミスマッチ

「どのような仕事をするか」と同時に、「誰と働くか」は、内定者が入社を決める上で極めて重要な要素です。どれだけ事業内容や待遇が魅力的であっても、社内の雰囲気や人間関係に馴染めそうにないと感じれば、内定者は入社をためらいます。

選考過程では、面接官やリクルーターなど限られた社員としか接点がなく、企業側も良い側面を見せがちです。そのため、内定後にSNSやイベントを通じて他の社員や内定者と交流する中で、初めてリアルな組織文化に触れ、違和感を覚えるケースが少なくありません。

  • 社風や価値観の不一致:オンライン懇親会での社員同士のやり取りや、SNSグループでの他の内定者の発言などから、「思っていた雰囲気と違う」「自分の価値観とは合わないかもしれない」と感じることがあります。体育会系のノリが強い、逆にドライすぎるなど、カルチャーフィットへの懸念が辞退理由に直結します。
  • コミュニケーションへの不安:「気軽に質問や相談ができる環境だろうか」「上司や先輩はどんな人たちだろうか」といった、日々のコミュニケーションに対する不安も大きな要因です。内定者フォローが画一的で、個別のコミュニケーションが不足している場合、「自分は大切にされていない」と感じ、孤独感を深めてしまいます。
  • 同期となる内定者との関係性:内定者同士の交流会などで、他の内定者と上手く馴染めなかったり、価値観の違いを感じたりした場合、「この同期たちとやっていけるだろうか」と不安になり、辞退を考えるきっかけになることもあります。

これらのミスマッチは、入社後の働きやすさや精神的な安定に直結するため、内定者にとっては看過できない問題なのです。

他社からのより魅力的な条件提示

現在の売り手市場において、優秀な学生ほど複数の企業から内定を得ているのが実情です。内定承諾後も、他社の選考を継続していたり、新たなオファーを受けたりするケースは珍しくありません。その結果、自社の内定を「キープ」した状態で、他社と比較検討されるという状況が生まれます。

他社からより魅力的な条件を提示された場合、内定者の心は揺らぎます。この「条件」とは、単に給与や賞与といった金銭的な待遇だけを指すのではありません。

以下の表は、内定者が他社と比較する代表的な項目です。

比較項目内定者が注目する具体的なポイント
待遇・福利厚生初任給、賞与の額や回数、家賃補助や住宅手当の有無と金額、独自の休暇制度(リフレッシュ休暇など)、学習支援制度(資格取得支援金など)
働き方・勤務地リモートワークやフレックスタイム制の導入状況、平均残業時間、年間休日数、希望勤務地への配属可能性、転勤の頻度
事業・仕事内容事業の将来性や社会貢献性、より興味のある事業領域、若手から裁量権を持って働ける環境、海外で活躍できるチャンス
企業の姿勢内定者への丁寧なフォロー体制、情報開示の透明性、企業のブランドイメージや社会的評価

企業側が「内定承諾=入社確定」と考え、フォローを怠っている間に、競合他社が手厚い面談や魅力的な条件提示で内定者を口説き落とす、という事態は頻繁に起こっています。内定承諾はゴールではなく、他社との熾烈なリテンション競争の始まりであると認識することが不可欠です。

辞退率を激減させる内定者リテンション施策10選

内定承諾から入社までの期間は、内定者のエンゲージメントを高めるための非常に重要な時間です。この期間を「関係構築」「帰属意識向上」「入社意欲最大化」の3つのフェーズに分け、それぞれの目的に合わせた施策を計画的に実行することが、内定辞退を防ぐ鍵となります。ここでは、各フェーズで効果的な10の具体的施策を、成功のポイントと合わせて詳しく解説します。

フェーズ目的主な施策
関係構築フェーズ
(内定承諾直後)
内定者の不安を払拭し、企業との初期の信頼関係を築くオファー面談、懇親会、SNSグループ
帰属意識向上フェーズ
(入社数ヶ月前)
企業理解を深め、「この会社の一員」としての自覚を促すメンター制度、社内報配信、内定者研修・課題
入社意欲最大化フェーズ
(入社直前)
入社への期待感を最高潮に高め、スムーズなスタートを支援する経営層メッセージ、事務サポート、ウェルカムキット

【関係構築フェーズ】内定承諾直後の施策

内定承諾直後は、内定者が「本当にこの会社で良いのだろうか」という、いわゆる「内定ブルー」に陥りやすい時期です。このフェーズでは、内定者の不安を丁寧に解消し、企業と、そして同期となる仲間との最初のポジティブな関係を築くことに注力します。

施策1:歓迎の意を伝えるオファー面談

オファー面談は、単なる労働条件の最終確認の場ではありません。内定者一人ひとりへの期待と歓迎の意を、改めて真摯に伝える絶好の機会です。選考過程で評価した具体的なポイントや、入社後にどのような活躍を期待しているかを個別に伝えることで、内定者は「自分は必要とされている」と強く実感できます。

面談には、可能であれば配属予定部署のマネージャーや先輩社員に同席してもらいましょう。入社後の働き方をより具体的にイメージでき、キャリアパスに関する疑問や不安をその場で解消できるため、内定者の納得感を大きく高めることができます。

施策2:不安を解消する内定者懇親会

内定者懇親会は、同期となる仲間との「横のつながり」と、先輩社員との「斜めのつながり」を作る重要なイベントです。入社前に仲間ができることで、内定者の孤独感や不安は大幅に軽減されます。

開催形式は、オフラインの食事会だけでなく、オンラインでの座談会やゲーム大会なども有効です。企画のポイントは、参加者全員がリラックスして話せる雰囲気を作ること。人事担当者が進行役を務めつつ、少人数のグループに分けて自己紹介やフリートークの時間を設ける、役員や若手社員など様々な立場の社員に参加してもらうといった工夫が効果的です。

施策3:気軽な交流を促すSNSグループの開設

内定者と人事担当者、そして内定者同士が気軽にコミュニケーションを取れる場として、SlackやLINE WORKSなどのビジネスチャットツールや、非公開のSNSグループを開設しましょう。人事からの事務連絡だけでなく、内定者からの質問を受け付けたり、自己紹介リレーを企画したりすることで、継続的な接点を保つことができます。

運用する上での注意点は、内定者に過度な負担や監視されているという印象を与えないことです。投稿を強制したり、頻繁に連絡しすぎたりするのは避けましょう。あくまで「いつでも繋がれる安心感」を提供し、内定者同士の自発的な交流を側面からサポートするスタンスが重要です。

【帰属意識向上フェーズ】入社数ヶ月前の施策

内定承諾から少し時間が経ち、入社が現実味を帯びてくるこの時期は、企業への理解を深め、「この会社の一員になる」という帰属意識を高めるための施策が効果的です。会社のカルチャーや働く人々に触れる機会を増やしていきましょう。

施策4:先輩社員とのメンター制度

内定者一人ひとりに対して、年齢や職種の近い若手社員を「メンター」として任命する制度です。人事担当者には相談しにくいような、仕事の具体的な内容やプライベートとの両立、社内の雰囲気といったリアルな疑問や不安を解消するのに役立ちます。

定期的な1on1ミーティング(月1回程度)を設定し、会社がその活動を公式にサポートすることが成功の鍵です。メンターとなる社員には、制度の趣旨を事前にしっかり説明し、活動時間や費用(ランチ代など)を会社が負担するなど、メンター自身が前向きに取り組める環境を整えましょう。

施策5:定期的な社内報やメルマガ配信

社内報や内定者向けのメールマガジンを定期的に配信し、会社の「今」を伝え続けることも重要です。社員インタビュー、新規プロジェクトの紹介、社内イベントのレポートなど、いきいきと働く社員の姿や事業の成長性が伝わるコンテンツは、内定者の入社意欲を刺激します。

コンテンツを作成する際は、専門用語を避け、内定者の視点に立って分かりやすい言葉で伝えることを心がけましょう。動画コンテンツを盛り込むなど、テキストだけでは伝わりにくい職場の活気や雰囲気を伝える工夫も効果的です。

施策6:スキルアップを支援する内定者研修

入社後に必要となるスキルや知識を学ぶ機会を提供することで、内定者の「入社後、仕事についていけるだろうか」というスキル面での不安を解消します。ビジネスマナーやPCスキルといった社会人基礎力から、業界知識や自社製品に関する研修まで、内定者のレベルに合わせて内容を設計しましょう。

e-learningシステムを活用すれば、内定者が自分のペースで学習を進めることができます。研修は、スキル習得だけでなく、同期との連帯感を育む貴重な機会でもあります。集合研修やオンラインでのグループワークを取り入れ、内定者同士が協力して学ぶ場を設けることが推奨されます。

施策7:チームで取り組む内定者課題

数名のグループで特定のテーマについて考え、成果を発表する課題は、チームで働くことの面白さや難しさを体感させ、同期との絆を深めるのに非常に効果的です。テーマは「自社の新サービスを企画する」「現在の事業の課題と改善策を提案する」など、実際のビジネスに近いものが良いでしょう。

この施策で最も重要なのは、成果物そのものよりも、課題に取り組むプロセスを評価し、丁寧なフィードバックを行うことです。現場社員がレビューや発表会に参加し、プロの視点から具体的なアドバイスを送ることで、内定者は大きな学びと成長実感を得ることができます。

【入社意欲最大化フェーズ】入社直前の施策

入社を目前に控えたこの最終フェーズでは、内定者の期待感を最高潮まで高め、万全の態勢で入社日を迎えられるよう、最後のひと押しを行います。会社全体で歓迎しているというメッセージを、様々な形で伝えましょう。

施策8:経営層からの期待を伝えるメッセージ

企業のトップである経営層から、内定者一人ひとりに向けた歓迎と期待のメッセージを発信することは、極めて強いインパクトを与えます。会社のビジョンや未来像、そして新しい仲間となる内定者に何を期待しているのかを、経営者自身の言葉で熱く語ってもらいましょう。

形式は、動画メッセージや直筆サイン入りの手紙など、パーソナリティや温かみが伝わるものが効果的です。「自分は経営層からも認知され、期待されている存在なのだ」という実感は、内定者のモチベーションを飛躍的に高め、入社への決意を確固たるものにします。

施策9:入社準備をサポートする事務連絡

入社に必要な書類の提出や手続きの案内といった事務連絡も、内定者リテンションの観点から工夫することができます。単に手続きを依頼するだけでなく、「入社準備サポート」と位置づけ、丁寧で分かりやすい言葉遣いを徹底しましょう。

よくある質問をまとめたFAQを用意したり、個別の質問に迅速に対応する窓口を設けたりすることで、内定者の不安を取り除きます。入社までのスケジュールや提出物リストをチェックシート形式で提供するなど、内定者の負担を少しでも軽減しようとする配慮が、企業への信頼感を醸成します。

施策10:サプライズを演出するウェルカムキット

入社日の数日前に、内定者の自宅へ「ウェルカムキット」を送るサプライズ施策です。会社のロゴが入った文房具やタンブラー、代表からの手紙、配属部署の先輩社員からの寄せ書き、おすすめの書籍などを詰め合わせ、会社からの歓迎の気持ちを形にして届けます。

この施策は、内定者の喜びや驚きを引き出し、SNSでの発信を促す効果も期待できます。キットを受け取った内定者が「この会社に入社するのが楽しみ!」と感じ、ポジティブな気持ちで初日を迎えられるよう、心のこもったおもてなしを演出しましょう。

内定者リテンション施策を成功に導く3つのコツ

前章では、内定者リテンションを成功させるための具体的な施策を10個ご紹介しました。しかし、これらの施策をただ実行するだけでは、期待する効果が得られない可能性があります。大切なのは、施策の根底にある「考え方」です。ここでは、内定者リテンション施策の効果を最大化し、辞退率を激減させるために不可欠な3つのコツを詳しく解説します。

内定者一人ひとりに寄り添う個別対応

現代の就職活動では、学生の価値観やキャリア観は多様化しています。全員に同じ内容のフォローを一斉に行う「画一的なアプローチ」では、もはや内定者の心をつなぎとめることは困難です。重要なのは、内定者一人ひとりの個性や状況を理解し、それぞれに最適化されたコミュニケーションを行うことです。個別対応を徹底することで、内定者は「自分は大切にされている」「この会社は自分のことを見てくれている」と感じ、エンゲージメントが飛躍的に高まります。

内定者の不安や期待を可視化する

個別対応の第一歩は、内定者が何を考え、何に不安を感じているのかを正確に把握することから始まります。内定承諾直後や定期的な面談、アンケートなどを通じて、彼らの本音を引き出す仕組みを構築しましょう。

  • 1on1面談の実施:人事担当者や現場の先輩社員が、定期的に1対1で対話する機会を設けます。キャリアプランの相談、入社前の不安、プライベートな悩みまで、安心して話せる関係性を築くことが重要です。
  • パルスサーベイの活用:短い周期で簡単な質問に答えてもらうパルスサーベイは、内定者のコンディション変化をリアルタイムで把握するのに有効です。モチベーションの低下や不安の高まりといったサインを早期に察知し、迅速なフォローにつなげることができます。
  • コミュニケーションツールの整備:SlackやLINE WORKSといったビジネスチャットツール上に内定者ごとのチャンネルを作成し、いつでも気軽に質問や相談ができる環境を整えることも効果的です。

内定者のタイプ別アプローチ例

内定者の性格や志向性に合わせてアプローチを変えることで、より響くフォローが可能になります。以下に代表的なタイプとアプローチ例をまとめました。

内定者のタイプ特徴効果的なアプローチ例
成長意欲が高いタイプ自身のスキルアップやキャリア形成に強い関心がある。・入社前から参加できる勉強会やeラーニングの提供
・配属予定部署の専門的な課題への挑戦機会
・目標となるハイパフォーマー社員との面談設定
人間関係を重視するタイプ社内の雰囲気や同期・先輩との関係性を大切にする。・少人数でのオンライン/オフライン座談会の開催
・同じ趣味を持つ社員との交流会の企画
・メンターとの定期的な雑談ランチ
安定・安心を求めるタイプ入社後の働き方や福利厚生、会社の安定性に不安を感じやすい。・勤務制度や福利厚生に関する詳細な説明会の実施
・育休・産休取得実績やキャリアモデルの共有
・人事担当者によるこまめな事務連絡と進捗確認

採用担当者だけでなく全社で取り組む意識

内定者リテンションは、人事部門だけの課題ではありません。内定者が最終的に惹かれるのは、現場で働く「人」であり、企業全体の「カルチャー」です。経営層から現場社員まで、全社が一丸となって「新しい仲間を歓迎する」という雰囲気をつくり出すことが、内定者の帰属意識を高める上で極めて重要です。採用担当者だけが孤軍奮闘するのではなく、会社全体を巻き込んだ取り組みへと昇華させましょう。

各部門の役割と連携方法

内定者フォローにおいて、それぞれの部門が果たすべき役割は異なります。役割を明確にし、部門間でスムーズに連携する体制を構築することが成功のカギとなります。

部門主な役割具体的なアクション
経営層企業のビジョンと内定者への期待を伝え、安心感を与える。・内定者懇親会や内定式でのトップメッセージ発信
・内定者一人ひとりに向けた手紙やビデオメッセージ
人事部門内定者フォロー全体の企画・運営。各部門とのハブ役。・全体施策の設計と実行
・現場社員への協力依頼と情報共有
・内定者からの相談窓口
現場社員(配属先)入社後のリアルな働き方や仕事の魅力を伝え、関係性を構築する。・メンターとして内定者の相談に乗る
・職場見学やランチ会での交流
・チームの歓迎メッセージ動画の作成

現場社員の協力を引き出すための工夫

現場社員に協力を仰ぐ際は、彼らの負担を考慮し、協力することが評価につながる仕組みを作ることが大切です。例えば、メンター活動を人事評価の項目に加えたり、内定者フォローに貢献した社員や部署を表彰したりするなど、インセンティブを設計することで、より積極的な協力を得やすくなります。

オンラインとオフラインの施策を組み合わせる

近年、内定者フォローはオンラインが主流となりましたが、オフライン(対面)ならではの価値が見直されています。オンラインの手軽さと、オフラインの深いコミュニケーション。それぞれのメリットを最大限に活かし、デメリットを補い合う「ハイブリッド型」のアプローチが最も効果的です。内定期間のフェーズや施策の目的に応じて、最適な方法を使い分けましょう。

オンラインとオフラインのメリット・デメリット

両者の特性を理解し、戦略的に組み合わせることが重要です。

  • オンラインのメリット:場所を選ばず参加できるため、地方在住の内定者も参加しやすい。移動時間やコストを削減できる。短時間で多くの情報を提供できる。
  • オンラインのデメリット:非言語的なコミュニケーションが取りづらく、熱量が伝わりにくい。偶発的な雑談が生まれにくく、関係構築に時間がかかる。
  • オフラインのメリット:同じ空間を共有することで一体感が生まれやすい。企業の雰囲気や社員の人柄を肌で感じられる。深い相互理解につながる。
  • オフラインのデメリット:参加者の時間的・金銭的負担が大きい。天候や感染症の状況に左右される可能性がある。

目的別オンライン・オフライン施策の使い分け

施策の目的に合わせて最適な形式を選択することで、内定者フォローの質は格段に向上します。

目的オンラインが適した施策オフラインが適した施策
効率的な情報提供・会社説明会、制度説明会
・eラーニング形式の内定者研修
・事務手続きに関するオリエンテーション
・オフィスツアー、工場見学
・社内設備や福利厚生施設の体験会
気軽な関係構築・SNSグループでの自己紹介
・オンラインでの内定者懇親会
・先輩社員とのオンライン座談会
・内定者同士のランチ会
・チームビルディングを目的としたワークショップ
帰属意識・入社意欲の向上・経営層からのビデオメッセージ配信
・定期的なオンライン面談での進捗確認
・内定式、入社式
・全社イベントへの招待
・配属先部署との対面での顔合わせ

例えば、内定承諾直後はオンラインでの気軽な交流から始め、入社が近づくにつれてオフラインでのイベントを増やしていくなど、時期に応じた使い分けも有効です。これらの3つのコツを意識することで、一つひとつの施策が有機的につながり、内定者の心をがっちりと掴む強力なリテンション活動となるでしょう。

まとめ

本記事では、売り手市場が加速し内定辞退率が高まる現代において、人事担当者が最優先で取り組むべき「内定者リテンション」の重要性から具体的な施策までを網羅的に解説しました。優秀な人材の確保が企業の成長に直結する今、内定承諾はゴールではなく、入社までの丁寧なフォローアップのスタート地点となります。

内定者が辞退を決意する背景には、「キャリアパスへの不安」「社風とのミスマッチ」「他社からの好条件」といった明確な理由が存在します。ご紹介した10の具体的施策は、内定承諾直後の「関係構築」、入社数ヶ月前の「帰属意識向上」、入社直前の「入社意欲最大化」という3つのフェーズに沿って、これらの不安や迷いを解消し、内定者との心理的なつながりを強化するために設計されています。

そして、これらの施策効果を最大化するためには、「一人ひとりに寄り添う個別対応」「採用担当者だけでなく全社で取り組む意識」「オンラインとオフラインの施策の組み合わせ」という3つのコツが不可欠です。画一的な対応ではなく、内定者の心に響くコミュニケーションを心がけることが、他社との差別化につながり、入社への期待感を醸成します。

内定者リテンションは、採用コストの損失を防ぐだけでなく、入社後の早期離職防止やエンゲージメント向上にもつながる未来への投資です。ぜひ本記事でご紹介した施策を参考に、自社に合ったフォロー体制を構築し、未来の仲間を万全の体制で迎え入れてください。

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