ロールモデルとは?
ロールモデルとは、行動や考え方がほかの人の模範となる人物を意味します。
「role(役割・役目)」と「model(見本)」が語源になっており、アメリカの社会学者であるロバート・K・マートンによって定義されました。
企業におけるロールモデルは、一人の人物を模倣対象とする必要はありません。
具体的な例は、下記の通りです。
- Aさんからは、コミュニケーションの方法をお手本にする
- Bさんからは、仕事とプライベートのメリハリについてお手本する
つまり身につけたい知識やスキルに応じて、ロールモデルとなる対象者と見つけましょう。
次に、下記の2点について解説します。
- ロールモデルにふさわしい人物
- ロールモデルを見つけるべき理由
それぞれ解説していきます。
ロールモデルにふさわしい人物
まずは、ロールモデルにふさわしい人物について解説します。
- 身近な上司・先輩
- 接点がある社外の人
- 有名人・歴史上の人物
それぞれ解説していきます。
身近な上司・先輩
ロールモデルにふさわしい人物として、身近な上司・先輩があげられます。
上司・先輩をロールモデルにするメリットは、下記の通りです。
- キャリアプランの参考にできる
- 仕事に対する姿勢やスキルを学べる
仮に同じ部署にオールモデルとなる人物がいない場合は、ほかの部署の上司・先輩でも問題ありません。
自社の中で理想のキャリアや尊敬できる部分を持ち合わせている人物がいないか広い視点で探してみましょう。
また結婚や出産、育児といったライフイベントに関するロールモデルを立てることで、キャリアプランを立てやすくなるはずです。
接点がある社外の人
接点がある社外の人も、ロールモデルとしてふさわしい人物です。
同業他社や接点のある取引先の人物など、お手本にしたい人物がいた場合はロールモデルとして設定しましょう。
また設定する際は、その人物の考え方や行動に共感できて、お手本にしたいと思えることが大切な基準です。
有名人・歴史上の人物
有名人・歴史上の人物もロールモデルとして、ふさわしい人物です。
ただしロールモデルとして設定する際は、下記の点に注意しましょう。
- 大きすぎる目標にならない
- 理想が抽象的になっていないか
これらは、実際の業務や仕事に落とし込めない恐れがあります。
なので有名人・歴史上の人物をロールモデルにする場合は、「Aという人物の部下を導く姿勢」など具体的な設定が必要です。
ロールモデルを見つけるべき理由
ロールモデルを見つけるべき理由は、下記の2つです。
- 自分の立ち位置を確認できる
- 無意識のうちに自分の行動に影響を与える
ロールモデルを見つけることで、社内での自分の立ち位置を明確にできます。
自分の能力で足りていない部分・補うべき部分が分かると、そこまでの目標が見えてくるので努力しやすくなるでしょう。
またロールモデルの存在によって、無意識にその人の行動を真似するので成長につながるとされています。
企業がロールモデルを作るステップ
ここまで、ロールモデルの概要やふさわしい人物、見つけるべき理由をお伝えしました。
続いて、企業がロールモデルを作るステップを解説します。
- ロールモデルを設定する
- ロールモデル対象の人材を育成する
- ロールモデルを周知させる
ひとつずつ解説していきます。
ロールモデルを設定する
まずは、部門や年代といったキャリアごとに分けてロールモデルを設定します。
ロールモデルは従業員の立場により異なるため、企業が求めるロールモデルに合わせて設定しなければいけません。
設定できるキャリアは、下記の3つです。
- スキル面
- キャリア面
- ワークライフバランス面
企業が求める人材を目指して、望ましいかたちを思い描きましょう。
ロールモデル対象の人材を育成する
ロールモデルを設定できたら、ロールモデル対象の人材を育成します。
育成方法は、下記の2つです。
- 集合研修
- 個別で育成計画を立てる
また集合研修では、下記の3つを行います。
- 部門・職種の異なる従業員とのネットワーク構築
- 自身の懐の深さや仕事の幅を広げる
- 就労意欲や能力開発へのモチベーションを高める
課題や悩みを共有することで、取り組み方の参考になったり、助言を受けられたりする点がメリットです。
また、個別で育成を行う方法として下記の3つがあります。
- 個別メンターをつける
- 必要スキルや知識を習得するための自己啓発支援
- マネジメントやリーダーシップに関する外部研修への参加
ほかにも、計画的に配置や移動を行う点も方法のひとつです。
ロールモデルを周知させる
ロールモデル対象の人物を育成できたら、ロールモデルを周知させましょう。
企業によってはロールモデルとなり得る人物がいるにもかかわらず、社内全体にその存在を知られていないケースもあります。
ロールモデルとしての役割を果たすためにも、従業員に広く周知させなければいけません。
周知方法は、下記の通りです。
- 社内報・イントラネットの活用
- 採用活用や社員研修の際に事例として紹介
転勤やスキルアップなどのテーマ別で紹介したり、プライベートに関する情報として提供したりして、関心を持ってもらうための工夫が欠かせません。
企業がロールモデルを作ることでもたらす効果
ここまで、企業がロールモデルを作るステップをお伝えしました。
続いて、企業がロールモデルを作ることでもたらす効果を解説します。
- キャリアプランを立てやすくなる
- 組織が活性化する
- 女性が活躍できる文化・風土が作られる
- 成長スピードが早くなる
- 企業への定着率が上がる
- 優秀な人材が集まりやすくなる
それぞれ解説していきます。
キャリアプランを立てやすくなる
ロールモデルを作ることで、従業員のキャリアプランが立てやすくなります。
例えば経験の浅い従業員の場合、日々の業務に忙殺されてしまい、自身の役割やキャリア設計が考えられなくなる恐れもあるでしょう。
すると向上心が失われてしまい、自身の成長を妨げてしまうかもしれません。
そういった場合に社内の上司・先輩などがロールモデルになると、下記のメリットがあります。
- 自身のやるべきことが明確になる
- 「憧れの人物に近づきたい」という業務意欲が生まれる
ロールモデルに近づくためのビジョンを視える化できれば、働くためのモチベーションにつなげられるでしょう。
組織が活性化する
ロールモデルを作ることによって、組織の活性化につながります。
企業内にロールモデルがいた場合、その人物の仕事に対する姿勢や知識を学ぼうと意思疎通が生まれるはずです。
すると自然にコミュニケーションの機会が増えて、組織が活性化します。
また、自分自身がロールモデルになった場合のメリットは、下記の通りです。
- 部下への指導・事業への介入が行いやすくなる
- 経験を積んだ従業員のスキルやモチベーションアップが見込める
また、従業員同士の交流が少ない企業では、良好な関係を構築できるでしょう。
女性が活躍できる文化・風土が作られる
企業がロールモデルを設定することで、女性が活躍できる文化・風土が作られます。
女性は出産・結婚といったライフステージの変化が多く、男性よりキャリアパスの形成が困難です。
特に家族の介護や小さな子どもがいる場合は、理想の働き方の実現は難しい可能性があります。
その場合に企業がロールモデルを設定するメリットは、下記の通りです。
- 離職率を低下できる
- 求人効果を高められる
- 仕事へのモチベーションアップにつながる
仕事と家庭を両立するための指針として、ロールモデルは設定しましょう。
成長スピードが早くなる
ロールモデルには、従業員の成長スピードを早める効果があります。
成長スピードが早くなる理由は、下記の2つです。
- ロールモデル対象の人物がどのようなキャリアを積んで成長してきたのか分かる
- 成長過程を参考にしたり、真似したりできる
特に20代は、何をするべきか具体的な目標を設定できるでしょう。
憧れの上司・先輩が身近にいることは、成長スピードだけでなくモチベーションの維持にもつながります。
企業への定着率が上がる
ロールモデルの存在は、自身のキャリアを具体的にイメージできるので、定着率アップにつながります。
そのため「5年後の自分の未来が全くイメージできない」といった不安や心配はなくなるはずです。
こちらの記事では、離職率の低い企業の特徴や離職率を減らすための対策について解説しているので、ぜひ参考にしてください。
優秀な人材が集まりやすくなる
ロールモデルを作ることで、社内だけでなく採用活動にも良い影響を与えます。
「自社で活躍する象徴的な存在=ロールモデル」であるため、その人物が魅力的であるほど新卒や第二新卒生にも魅力的に映るはずです。
ロールモデル対象の人物が採用活動に関わることは、入社動機につながります。
また、優秀な人材が集まりやすくなる効果も期待できるでしょう。
こちらの記事では、第二新卒を採用するメリット・デメリット、成功させるポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ロールモデルになりうる人材はどうやって採用するのか
ロールモデルになりうる人材を採用するには、タレントマネジメントシステムを活用する方法があります。
求人市場において、ロールモデルになれるような存在は貴重です。
当然ですが競争率は激しく、従来の方法では採用が難しいでしょう。
そこで戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム「カオナビ」について、こちらの記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、ロールモデルの特徴や企業がモデルを作るステップ、効果を解説しました。
ロールモデルとは、行動や考え方がほかの人の模範となる人物です。
また、企業がロールモデルを作るステップには、下記の3つがあるとお伝えしました。
- ロールモデルを設定する
- ロールモデル対象の人材を育成する
- ロールモデルを周知させる
本記事でお伝えした企業がロールモデルを作ることでもたらす効果や人材の採用方法を参考にして、自社に合ったロールモデルを設定してください。
【SNSフォローのお願い】
kyozonは日常のビジネスをスマートにする情報を毎日お届けしています。
今回の記事が「役に立った!」という方はtwitterとfacebookもフォローいただければ幸いです。
twitter:https://twitter.com/kyozon_comix