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成功する若手社員のキャリアパスとは?人事が明かすロールモデル

投稿日:2025年11月11日 /

更新日:2025年11月10日

成功する若手社員のキャリアパスとは?人事が明かすロールモデル
● 人材定着

「将来のキャリアパスが描けない」「このままでいいのだろうか」と悩む若手社員の方は多いのではないでしょうか。本記事では、多くの社員の成長を見てきた人事の視点から、これからの時代に成功する若手社員のキャリアパス設計を徹底解説します。大企業で着実に昇進する王道コース、ベンチャー企業で事業と共に成長する道、ワークライフバランスを重視した働き方など、具体的な3つのロールモデルを参考に、あなたに合ったキャリアの選択肢が明確になります。

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そもそも若手社員にとって「理想のキャリアパス」とは何か

「キャリアパス」という言葉を聞いて、あなたはどのようなイメージを抱くでしょうか。ひと昔前までは、入社した会社で経験を積み、係長、課長、部長へと昇進していく一本道のルートを指すことが一般的でした。しかし、終身雇用が当たり前ではなくなり、働き方の価値観が多様化した現代において、その意味は大きく変化しています。

本章では、これからの時代を生きる若手社員にとっての「理想のキャリアパス」とは何か、その本質的な意味と、自分らしいキャリアパスを描くための基本的な考え方について、人事の視点から深く掘り下げて解説します。

キャリアパスの定義:単なる出世ルートではない現代的な意味

現代におけるキャリアパスとは、単に社内での役職や地位の向上を目指す「出世ルート」だけを指すものではありません。個人の価値観や目標に基づき、仕事を通じてどのようなスキルや経験を積み、どのような専門性を身につけ、最終的にどのような人材になりたいかという「成長の道筋」そのものを指します。これには、部署異動、転職、独立、副業、専門職としての深化など、あらゆる選択肢が含まれます。

企業が提示する画一的なモデルに自分を合わせるのではなく、自分自身が主体となってキャリアを設計し、会社というプラットフォームを活用しながら自己実現を目指していく。この主体的な姿勢こそが、現代のキャリアパスを考える上での最も重要な出発点となります。

価値観の多様化が生んだ「理想」の変化

なぜ今、これほどまでにキャリアパスの重要性が叫ばれているのでしょうか。その背景には、社会構造の変化に伴う、若手社員の仕事に対する価値観の大きな変化があります。かつての「安定志向」から、「成長志向」「自己実現志向」へとシフトしているのです。

以下の表は、従来のキャリア観と現代のキャリア観の主な違いをまとめたものです。

項目従来のキャリア観(会社依存型)現代のキャリア観(自律型)
雇用の前提終身雇用・年功序列成果主義・ジョブ型雇用
目指すゴール社内での昇進・昇格専門性の獲得・市場価値の向上
重視する要素安定性・福利厚生・会社の知名度成長機会・やりがい・ワークライフバランス
キャリアの主体会社(会社がキャリアを用意する)個人(自分でキャリアを設計する)
働き方長時間労働も厭わない生産性・プライベートとの両立を重視

このように、現代の若手社員にとっての「理想」は、もはや一つではありません。会社のネームバリューや役職に頼るのではなく、どこへ行っても通用する専門性やスキルを身につけたい、仕事だけでなくプライベートも充実させたい、社会に貢献できる仕事がしたいなど、一人ひとりが異なる「理想の働き方」「理想の生き方」を持っています。企業の人事担当者も、この変化を深く理解し、多様なキャリアパスを支援する体制を整えることが急務となっています。

「理想のキャリアパス」を構成する3つの要素

では、多種多様な選択肢の中から、自分にとっての「理想のキャリアパス」を見つけるにはどうすればよいのでしょうか。そのヒントとなるのが、「Will-Can-Must」というフレームワークです。これは、自身のキャリアを考える上で欠かせない3つの要素を整理するための考え方です。

1. Will(やりたいこと):情熱と興味の源泉

「Will」は、あなた自身の内なる声、つまり「何を成し遂げたいか」「どのような仕事に情熱を感じるか」「どんな価値観を大切にしたいか」といった、キャリアにおける目標や動機を指します。これがキャリアの原動力となります。たとえ高いスキル(Can)があり、会社からの期待(Must)が大きくても、本人の「やりたい」という気持ちがなければ、長期的に活躍し続けることは困難です。まずは自己分析を通じて、自分の興味や関心の方向性を深く理解することが第一歩です。

2. Can(できること):強みとなるスキルと経験

「Can」は、あなたが現在持っているスキル、知識、経験、そして実績を指します。これまでの業務で培ってきた専門的なテクニカルスキルだけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力といったポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)も含まれます。自分の「できること」を客観的に棚卸しすることで、現在の立ち位置と、目標(Will)を達成するために今後何を学ぶべきかが見えてきます。

3. Must(すべきこと):会社からの期待と社会の需要

「Must」は、あなたが所属する組織やチームから期待されている役割や責任、そして社会や市場から求められているニーズを指します。個人の「やりたいこと(Will)」や「できること(Can)」が、この「すべきこと」と重なったとき、あなたの仕事は大きな価値を生み出します。理想のキャリアパスとは、このWill・Can・Mustの3つの円が大きく重なる領域を見つけ、それを時間軸に沿って広げていくプロセスに他なりません。若手社員が自分一人でこの3つの円を整理するのは簡単ではありません。だからこそ、上司や人事との定期的な1on1ミーティングなどを通じて、期待役割を明確に伝え、本人のWillやCanを引き出す対話が不可欠なのです。

【人事が厳選】魅力的なキャリアパスを歩む若手社員のロールモデル3選

若手社員のキャリアパスと一言で言っても、その形は十人十色です。会社の規模や文化、本人の価値観によって、理想的なキャリアの描き方は大きく異なります。ここでは、人事担当者の視点から、多くの若手社員にとって目標となりうる、3つの代表的なキャリアパスのロールモデルを具体的な人物像と共に詳しく解説します。

それぞれのモデルがどのような環境で、何を意識し、どうキャリアを築いてきたのかを知ることで、あなた自身のキャリアプランを考える上でのヒントが見つかるはずです。まずは、3つのロールモデルの特徴を比較してみましょう。

キャリアパスのタイプ主な活躍の場キャリアの特徴求められる資質
王道キャリアパス大企業(総合商社、大手メーカーなど)組織内で着実に経験を積み、昇進・昇格を目指す協調性、実行力、組織貢献意欲
成長キャリアパスベンチャー・スタートアップ企業事業の成長と自己成長を重ね合わせ、早期に裁量権を得る自走力、変化への対応力、当事者意識
両立キャリアパス専門職、IT・Web業界、制度の整った企業専門性を高め、仕事と私生活の調和を図る自己管理能力、専門スキル、交渉力

ロールモデル1:大企業で着実に昇進する王道キャリアパス

最初のロールモデルは、大手総合商社に勤務するAさん(32歳)。新卒で入社後、10年で課長職へと昇進した、まさに王道とも言えるキャリアを歩んでいます。安定した組織基盤の中で、着実にステップアップしたいと考える若手社員にとって、彼のキャリアは大きな指針となるでしょう。

若手時代に意識していたこと

Aさんが入社当初から徹底していたのは、「基本動作の徹底」と「期待値を超えるアウトプット」です。議事録の作成、報告・連絡・相談といった基本的な業務を誰よりも速く、正確に行うことで、上司や先輩からの信頼を早期に獲得しました。また、依頼された仕事に対して、常に「プラスアルファ」の価値を付け加えることを意識していました。例えば、データ分析を頼まれれば、単にデータをまとめるだけでなく、そこから読み取れる示唆や次のアクションプランまで提案する。この小さな積み重ねが、周囲からの「あいつに任せれば大丈夫」という評価に繋がっていったのです。

人事評価の観点からも、こうした主体的な姿勢は高く評価されます。与えられた役割を全うするだけでなく、組織全体の目標達成にどう貢献できるかを常に考えて行動できる人材は、将来のリーダー候補として注目されます。

キャリアの転機となった出来事

Aさんのキャリアにおける大きな転機は、入社5年目に訪れた海外赴任でした。慣れない環境と文化の中で、現地のスタッフをまとめ上げ、新規プロジェクトを軌道に乗せるというミッションは困難を極めました。しかし、彼は日本で培った業務遂行能力と、現地文化を尊重する柔軟なコミュニケーションで、見事にプロジェクトを成功させます。

この経験を通じて、彼はマネジメントスキルとグローバルな視点を獲得しました。困難な環境下で成果を出したという成功体験は、大きな自信となり、帰国後の昇進に直結しました。会社としても、厳しい環境で実績を残した人材を重要なポジションに抜擢するのは自然な流れです。この事例は、安定した組織の中でも、自ら挑戦の機会を掴みに行くことの重要性を示しています。

ロールモデル2:ベンチャー企業で事業と共に成長するキャリアパス

次に紹介するのは、急成長中のITベンチャーで事業部長を務めるBさん(29歳)。新卒で大手企業に入社後、3年目に現在の会社へ転職しました。会社の成長と共に自身の役割を拡大させ、若くして大きな裁量権を持って活躍しています。スピード感のある環境で自己成長を加速させたい若手にとって、魅力的なキャリアパスです。

求められるスキルとマインドセット

ベンチャー企業で活躍するために不可欠なのは、「自走力」と「変化を楽しむマインドセット」です。Bさんのように、まだ仕組みが整っていない環境では、指示を待つのではなく、自ら課題を発見し、解決策を考え、実行に移す力が求められます。彼の口癖は「まずやってみよう」。失敗を恐れずに挑戦し、その経験から高速で学び、次のアクションに活かすサイクルを回し続けることが、事業と自身の成長に繋がっています。

また、事業領域の拡大や組織変更が頻繁に起こるため、自分の専門領域に固執せず、マーケティングから採用、営業まで、幅広い業務に柔軟に対応する姿勢も重要です。このような経験は、将来的に経営を担う上で不可欠な、事業を俯瞰する視点を養うことに繋がります。

ストックオプションなど独自の魅力

ベンチャー企業のキャリアパスの魅力は、成長機会だけではありません。Bさんも会社のストックオプションを付与されており、将来的な会社のIPO(新規株式公開)による金銭的なリターンも大きなモチベーションになっています。これは、自分の努力が会社の企業価値向上に直結し、それが資産として自分に還元されるという、大企業では得難いダイナミズムです。

もちろん、事業が成功する保証はありませんが、そのリスクを取ってでも、経営陣と一体となって事業を創り上げていく経験は、何物にも代えがたいやりがいと成長実感をもたらします。若いうちから経営に近いポジションで経験を積みたい、自分の力で事業を動かしたいという意欲のある若手社員にとって、非常に刺激的な選択肢と言えるでしょう。

ロールモデル3:ワークライフバランスを重視したキャリアパス

最後に、大手食品メーカーで商品開発の専門職として働くCさん(35歳)のケースを紹介します。彼女は2児の母であり、時短勤務制度とリモートワークを活用しながら、仕事と家庭を両立させています。キャリアの成功を「昇進」だけでなく、「自分らしい働き方の実現」と捉える若手社員が増える中、Cさんの働き方は新しいロールモデルとなりつつあります。

仕事とプライベートを両立する働き方

Cさんが両立を実現できている秘訣は、徹底した時間管理と高い専門性にあります。限られた勤務時間の中で最大限の成果を出すため、タスクに優先順位をつけ、集中して業務に取り組むことを常に意識しています。また、彼女は「特定保健用食品(トクホ)」に関する高度な専門知識を持っており、その分野では社内の第一人者です。この「誰にも負けない専門性」があるからこそ、会社は彼女の多様な働き方を認め、重要な仕事を任せ続けているのです。

彼女の働き方は、単にプライベートを優先するというものではありません。むしろ、限られた時間で成果を出すために、業務の生産性を極限まで高めるというプロフェッショナルな姿勢の表れと言えます。

自分らしいキャリアを会社に認めてもらう方法

Cさんは、会社に時短勤務を申請する際、ただ「子供がいるので」とお願いするだけではありませんでした。「この働き方でも、新商品の開発プロジェクトを計画通りに推進し、これだけの成果を出せます」ということを、具体的な計画と過去の実績をもとに提示しました。つまり、権利を主張するだけでなく、会社に対する貢献を約束し、それを実行することで信頼を勝ち取ってきたのです。

上司との定期的な1on1ミーティングの場を活用し、自身のキャリアプランや働き方の希望を伝え続けると共に、常に期待以上の成果を出し続ける。こうした地道なコミュニケーションと実績の積み重ねが、自分らしいキャリアを会社に認めてもらうための最も確実な方法です。これは、ワークライフバランスを重視するキャリアだけでなく、あらゆるキャリアパスにおいて重要な視点と言えるでしょう。

若手社員に自分に合ったキャリアパスを見つけてもらう方法

若手社員が自身のキャリアに迷い、エンゲージメントが低下することは、企業にとって大きな損失です。彼らが主体的にキャリアを築き、組織と共に成長していくためには、会社側からの積極的な支援が不可欠です。

ここでは、人事担当者やマネージャーが実践できる、若手社員のキャリアパス発見をサポートするための具体的な方法を解説します。

本人と対話して理想像を把握する

キャリアパス設計の第一歩は、本人の価値観や志向性を深く理解することから始まります。一方的な指導ではなく、対話を通じて本人の内なる声に耳を傾け、理想の将来像を共に描いていく姿勢が求められます。そのために有効なのが「1on1ミーティング」と「キャリアデザイン研修」です。

1on1ミーティングの定期的な実施

業務の進捗確認だけでなく、中長期的なキャリアについて話す場として1on1を定期的に実施しましょう。大切なのは、上司が話すのではなく、部下に話してもらうことです。心理的安全性が確保された環境で、オープンな質問を投げかけることで、本音を引き出しやすくなります。

1on1では、Will-Can-Mustのフレームワークを活用するのも効果的です。

  • Will(やりたいこと):将来どんな仕事に挑戦したいか、どんな役割を担いたいか
  • Can(できること):現在のスキル、強み、得意なこと
  • Must(すべきこと):会社から期待されている役割、目標

これらの3つの円が重なる部分を大きくしていくことが、本人の納得感と会社の成長を両立させるキャリアパスに繋がります。

キャリアデザイン研修の導入

個別の1on1に加えて、集合研修の形でキャリアについて考える機会を提供するのも有効です。同期や年齢の近い社員と共に自己分析を行うことで、新たな気づきや刺激を得ることができます。研修では、客観的な自己分析ツールを取り入れると、より深い内省を促せます。

キャリアデザイン研修の内容例
研修項目目的と具体的内容
自己分析ワーク過去の経験を振り返り、自身の強み、弱み、価値観(仕事で大切にしたいこと)を言語化する。ストレングスファインダー®などのアセスメントツール活用も有効。
会社のビジョン・事業戦略の共有会社の向かう方向性を理解し、その中で自分がどのように貢献できるかを考える機会とする。
キャリアプランニング3年後、5年後、10年後のありたい姿を描き、そこから逆算して短期・中期の目標と行動計画(アクションプラン)を作成する。

社内のロールモデルを紹介する

若手社員にとって、具体的なキャリアの歩み方はイメージしにくいものです。そこで、社内に存在する多様なキャリアを歩む先輩社員を「ロールモデル」として紹介することで、自分の将来像を具体化する手助けができます。画一的な成功モデルではなく、様々な選択肢を提示することが重要です。

メンター制度の活用

直属の上司とは別に、少し年次の近い先輩社員を「メンター」としてマッチングさせる制度です。利害関係のない第三者だからこそ、仕事の悩みからプライベートとの両立、キャリアプランまで、若手社員(メンティ)が本音で相談しやすくなります。メンター自身も、後輩指導を通じてマネジメントスキルを学ぶ良い機会となり、組織全体の成長に繋がります。

社内報やイントラネットでの事例共有

様々な部署で活躍する社員のインタビュー記事を、社内報やイントラネットで定期的に発信しましょう。現在の仕事内容だけでなく、そこに至るまでの経緯、キャリアの転機となった出来事、仕事のやりがいなどを深掘りすることで、記事を読んだ若手社員が自分のキャリアを考える上でのヒントを得ることができます。動画コンテンツなども活用し、社員の人柄や熱意が伝わるように工夫するとより効果的です。

社外の専門家に相談できる時間を設ける

社内の視点だけでは、キャリアの選択肢が限定的になってしまうことがあります。あえて社外の専門家の客観的な視点を取り入れる機会を会社が提供することで、社員はより広い視野で自身のキャリアを考えることができます。これは、社員の自律的なキャリア形成を支援する企業の姿勢を示すことにも繋がり、エンゲージメント向上や優秀な人材の定着に貢献します。

キャリアコンサルタントによる面談機会の提供

国家資格を持つキャリアコンサルタントとの面談機会を、福利厚生の一環として提供する方法です。専門家はキャリアに関する豊富な知識とカウンセリングスキルを持っており、社員一人ひとりの状況に合わせた的確なアドバイスが期待できます。相談内容は会社に報告されない守秘義務があるため、社員は安心してキャリアに関するあらゆる悩みを打ち明けることができます。

外部セミナーや勉強会への参加支援

異業種交流会や専門スキルを磨くための外部セミナー、勉強会への参加を奨励し、費用を補助する制度も有効です。社外の人脈を築き、他社の事例や新しい知識に触れることは、既存の枠組みにとらわれない柔軟な発想を育みます。社員が自ら学び、ネットワークを広げる意欲を後押しすることが、結果的に組織全体の活性化とイノベーションの創出に繋がるのです。

キャリアパス設計で若手社員が陥りがちな失敗と人事ができる対策

若手社員が自身のキャリアパスを考える際、経験や情報が少ないことから、いくつかの典型的な失敗パターンに陥りがちです。しかし、これは本人の資質だけの問題ではありません。人事部門が適切にサポートすることで、多くの失敗は未然に防ぐことが可能です。

ここでは、若手社員が直面しやすい3つの失敗と、人事が講じるべき具体的な対策について詳しく解説します。

計画を立てるだけで行動しない

自己分析や情報収集に時間をかけ、立派なキャリアプランを作成したものの、具体的なアクションに繋がらず「絵に描いた餅」で終わってしまうケースは少なくありません。日々の業務に追われたり、何から手をつければ良いか分からなくなったりすることが主な原因です。

失敗の背景にある心理

この失敗の背景には、「完璧な準備ができてから始めたい」という完璧主義や、「失敗したくない」という恐れが隠れています。また、目標が大きすぎると、最初の一歩を踏み出すことへの心理的ハードルが高くなってしまいます。結果として、行動できない自分に自己嫌悪を感じ、モチベーションが低下するという悪循環に陥ることもあります。

人事ができる具体的な対策

人事部門は、計画を行動に移すための「仕組み」と「後押し」を提供することが重要です。壮大な目標を、現実的で管理可能な小さなステップに分解する手助けをすることで、行動へのハードルを下げることができます。

対策具体的なアクション例
スモールステップの設定支援1on1面談などを通じて、「3年後にマネージャーになる」という目標を「今月中にリーダーシップに関する本を1冊読む」「来週、〇〇部署の先輩に話を聞くアポを取る」といった具体的な行動目標に分解するサポートをします。
行動を評価する仕組みの導入目標達成度だけでなく、目標に向けた学習や挑戦といったプロセスや行動そのものを評価項目に加えます。OKR(Objectives and Key Results)のようなフレームワークを活用し、挑戦的な行動を推奨する文化を醸成します。
定期的な進捗確認とフィードバックメンター制度や定期的なキャリア面談の場で、設定したスモールステップの進捗を確認します。行動できたことを称賛し、つまずいている点があれば一緒に解決策を考えることで、継続的な行動を促します。

周囲の意見に流されてしまう

親や上司、同期のキャリア、あるいはSNSで見かける華やかなキャリアパスに影響され、自分の本当の価値観や興味とは異なる道を選んでしまうのも、若手社員によく見られる失敗です。周囲が推奨する「安定した道」や「花形の職種」が、必ずしも本人にとって幸せなキャリアとは限りません。

失敗の背景にある心理

自己理解が不十分なままキャリアを選択しようとすると、外部の評価基準に頼りがちになります。「〇〇社にいるからすごい」「この職種は給料が高いから良い」といった他者からの評価を自分の価値だと錯覚し、結果的に仕事への情熱を失い、早期離職に繋がるリスクも高まります。

人事ができる具体的な対策

人事の役割は、社員一人ひとりが「自分だけの正解」を見つけられるよう、客観的な自己分析の機会と多様な選択肢を提示することです。

対策具体的なアクション例
自己分析ツールの提供と解説ストレングスファインダー®やMBTI、キャリアアンカー診断などのアセスメントツールを会社負担で提供します。結果を解説するワークショップを実施し、自分自身の価値観や強みを深く理解するきっかけを作ります。
多様なロールモデルの提示社内報やイントラネット、座談会イベントなどで、様々なキャリアパスを歩む社員を紹介します。昇進コースだけでなく、専門職を極める人、育児と両立する人など、多様な働き方や価値観に触れる機会を増やし、「キャリアの正解は一つではない」というメッセージを伝えます。
キャリアカウンセリングの機会提供利害関係のない第三者である国家資格キャリアコンサルタントとの面談機会を設けます。守秘義務が守られた環境で、上司や同僚には話しにくい本音やキャリアの悩みを安心して相談できる場を提供します。

短期的な視点しか持てない

目の前のプロジェクトを成功させることや、直近の評価で良い成績を収めることに集中するあまり、5年後、10年後といった中長期的な視点でキャリアを俯瞰できなくなる失敗です。短期的な成功体験は重要ですが、それだけではキャリアの行き詰まりを招く可能性があります。

失敗の背景にある心理

日々の業務に忙殺されていると、腰を据えて将来を考える時間的・精神的な余裕がなくなります。また、将来の社会や会社の変化が予測しづらい現代において、長期的な計画を立てること自体を無意味だと感じてしまう若手社員も少なくありません。

人事ができる具体的な対策

人事には、社員が日々の業務から一度離れ、自身のキャリアを長期的な時間軸で考える「機会」と「視点」を提供することが求められます。

対策具体的なアクション例
キャリアデザイン研修の実施入社3年目や5年目といった節目に、キャリアの棚卸しと将来設計を目的とした研修を実施します。ライフイベントも踏まえたライフプランニングと合わせて考えることで、仕事だけでなく人生全体を見据えたキャリアパスを描く支援をします。
キャリアパス・マップの可視化社内の様々な職種について、どのようなスキルや経験を積めば次のステップに進めるのか、標準的なキャリアパスやモデルケースを明示します。これにより、社員は自分の現在地と将来の選択肢を具体的にイメージしやすくなります。
斜めの関係を構築するメンター制度直属の上司(縦の関係)や同僚(横の関係)とは異なる、他部署の少し年次の高い先輩社員(斜めの関係)をメンターとしてマッチングします。メンターとの対話を通じて、自分の部署や目の前の仕事だけでは得られない、より広い視野や長期的な視点を得るきっかけを作ります。

まとめ

本記事では、若手社員が成功するためのキャリアパスについて、人事視点から具体的なロールモデルや支援方法を解説しました。終身雇用が当たり前ではなくなった現代において、若手社員が自律的にキャリアを築くことは、個人の成長だけでなく、企業の持続的な発展にも不可欠です。

紹介した「大企業での昇進」「ベンチャーでの成長」「ワークライフバランス重視」という3つのロールモデルは、理想のキャリアパスが一つではないことを示しています。重要なのは、会社が提示する画一的な道筋に従うのではなく、自身の価値観や強みに合ったキャリアを主体的に選択することです。そのためには、まず自分自身の理想像を明確にすることが第一歩となります。

人事や上司には、若手社員が自分に合ったキャリアパスを見つけられるよう、能動的に支援する役割が求められます。定期的な1on1ミーティングでの対話を通じて本人の希望を把握し、社内外の多様なロールモデルを紹介すること、そして時にはキャリアコンサルタントのような専門家の力を借りる機会を提供することが有効な対策です。これにより、若手社員は短期的な視点に陥らず、長期的な視野で自身のキャリアを設計できるようになります。

この記事が、キャリアに悩む若手社員の皆さん、そして彼らを支える人事担当者や管理職の方々にとって、未来を切り拓くための具体的なヒントとなれば幸いです。

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