ストレスマネジメントとは?
ストレスマネジメントとは、ストレスを上手に対処しながら付き合っていくための方法・考え方です。
日々の生活を送るなかで、ストレスは誰しも感じてしまいますが、その際にストレスを抱えたままでいると、体調を崩したり気力を失ったりしてしまいます。
ストレスマネジメントを行う際に重要なポイントは、下記の2つです。
- 自分で自分のストレスに気づく
- 具体的なストレスの対処法を知って、実践する
自分に適したストレス対処法を知ることで、安定かつ長期的に働き続けられるでしょう。
またストレスマネジメントでは、ストレスに対する認知変容を中心に指導が行われています。
ストレスマネジメントにより得られる効果
ストレスマネジメントにより得られる効果は、下記の3つです。
- ストレスの状態に気づける
- 仕事のパフォーマンスが改善する
- ハラスメントを防止できる
それぞれ解説していきます。
ストレスの状態に気づける
ストレスマネジメントには、自分のストレス状態に気づける効果があります。
ストレスサインと呼ばれる「ストレス反応」に気づかずストレスを受け続けた場合、うつ病などのメンタル不調に陥る恐れがあります。
結果として仕事を続けられなくなり、休職をせざるを得ない状況になる可能性もあるので注意が必要です。
そのためストレスマネジメントを介して自分のストレス状態を把握できれば、ストレスに陥るリスクを回避できるでしょう。
仕事のパフォーマンスが改善する
ストレスマネジメントの効果は、仕事のパフォーマンスを改善できる点です。
自分のストレスをコントロールできるようになれば心身が安定して、仕事のパフォーマンスも向上します。
また業務を安定して継続できるので、企業・個人の生産性も維持できるでしょう。
ハラスメントを防止できる
ストレスマネジメントの効果として、ハラスメントの防止が期待できます。
例えば、従業員がストレスマネジメントを行う効果は、下記の通りです。
- ストレスへの理解が深まる
- パワハラ・セクハラ防止につながる
- コミュニケーションエラーが起きづらくなる
また経営陣は、部下との関係性づくりや体調管理などにも役立てられます。
ストレスマネジメントの取り組みは従業員一人ひとりではなく、企業全体で行う必要があるので覚えておきましょう。
そもそもストレスとは?
ここまで、ストレスマネジメントの概要や得られる効果をお伝えしました。
続いて、ストレスについて解説していきます。
- ストレッサー
- ストレス反応
それぞれ解説していきます。
ストレッサー
ストレッサーとは、ストレス原因となる外界からのさまざまな刺激です。
そもそも「ストレス」は、生理学・物理学の分野で用いられた言葉であって、物体へ外側から圧力がかかり生じた歪みを指して使用されていました。
その歪みを本来の状態に戻そうとする反応を、ストレスと呼ぶようになったとされています。
そんなストレッサーの種類は、下記の4つです。
種類 | 特徴 |
物理的ストレッサー | 音・光・温度といった物理的な環境刺激 |
化学的ストレッサー | 公害物質や食品添加物などの化学物質による刺激 |
生物的ストレッサー | 花粉やウイルスといった生体の免疫反応を発生させる刺激 |
心理・社会的ストレッサー | 社会的立場や人間関係など、人間が社会生活を営むうえで発生する刺激 |
日常生活のなかでストレスと呼ばれる多くは、心理・社会的ストレッサーを指すケースが多いです。
ストレス反応
ストレス反応は、「ストレッサーの刺激を長時間受けた」「強いストレッサーを受けた」場合に発生する生体反応です。
また、ストレッサーに対する自然な適応反応と考えられています。
ストレス反応は下記の3種類に分けられ、それぞれの反応は下記の通りです。
種類 | 反応一覧 |
心理的ストレス反応 | 不安・イライラ・恐怖・落ち込み・緊張・怒り・罪悪感・感情鈍麻・孤独感・疎外感・無気力・集中困難・思考力低下・短期記憶喪失・判断や決断力低下 |
行動的ストレス反応 | 怒りの爆発・攻撃的行動・引きこもり・孤立・拒食・過食・幼児返り |
身体的ストレス反応 | 動悸・異常な発熱・頭痛・腹痛・疲労感・食欲の減退・嘔吐・下痢・のぼせ・めまい・痺れ・睡眠障害・悪寒 |
ストレス反応は、個人のストレス耐性や強いストレッサーを受けた際の症状など個人差があります。
それぞれのストレッサーが複合して発生する可能性もあるので、全員が同じ反応や症状を示すわけではない点を留意しておきましょう。
ストレスマネジメントの実践方法は?
ここまで、ストレッサーとストレス反応をお伝えしました。
続いて、ストレスマネジメントの実践方法を解説します。
- セルフモニタリング
- ストレスコーピング
ひとつずつ解説していきます。
セルフモニタリング
セルフモニタリングとは、自分の状態を継続的に観察・記録・分析して、ストレスの原因や反応を明確にする作業です。
記録する際に意識すべきポイントとして、下記が挙げられます。
- ストレス反応
- 現在の自分の状況
- ストレッサーだと感じられるもの
- ストレスが発生した際の自分の気持ち
自分の変化を記録することで、「どういった状況に置かれているのか」「成果につながる様子」などを視覚化できるだけでなく、行動を続けるための動機にもつながります。
また自分の気持ちを書き出す効果として、「自分が何に対してプレッシャーを感じているのか」を整理できるでしょう。
ストレスコーピング
ストレスコーピングとは、ストレスを上手く対処するために意図的に行うセルフケアです。
コーピング(coping)には、「処理する・対処する」といった意味があります。
そんなストレスコーピングの種類は、下記の5つです。
- 問題焦点型
- 情動焦点型
- 認知的再評価型
- 社会的支援探索型
- ストレス解消型(気晴らし型)
それぞれ解説していきます。
問題焦点型
問題焦点型とは、問題とされるストレッサーを取り除いたり、変化させたりして解決する方法です。
ストレスをなくしたい場合に活用されており、解決方法には接近型コーピングと回避型コーピングがあります。
それぞれの特徴は、下記の通りです。
解決方法 | 特徴 |
接近型コーピング | 人間関係が上手くいっていない場合、まわりの人に相談して問題を解決する |
回避型コーピング | 問題から一度離れて、できるだけ思い出さないようにして解決する |
それぞれ、人の考えや環境を変えて解決を図ります。
仮に回避型コーピングで対処できない場合は、一時的に接近型コーピングを用いる方法も効果的です。
情動焦点型
情動焦点型とは、自分の考え方・捉え方をストレスに応じて変化させる方法です。
例えば上司から注意された際はマイナスに捉えず、一度冷静になって「同じ失敗をしないようにしよう」と考え方を切り替えます。
特に考えがネガティブに陥りやすい人は、客観的な考えを持てる人に相談すると、自分では気づけない考え方・捉え方に気づけるでしょう。
認知的再評価型
認知的再評価型とは、ストレス原因に対してポジティブシンキングでストレスを緩和させる方法です。
ちなみにポジティブシンキングとは、積極的な考え方や前向きな姿勢で、現状を楽しく望み通りに変えていく思考法を指します。
例えば困難な目標をストレスに感じるのではなく、「企業から期待されている」「困難な挑戦は、自分を成長させるチャンス」と捉えることでストレスを緩和できるでしょう。
社会的支援探索型
社会的支援探索型とは、悩みや不安を自分だけで解決するのではなく、まわりの人に助けを求める方法です。
実際にストレスを緩和させる方法として、下記が挙げられます。
- セーフティーネットを整えておく
- 相談・依頼できる環境を整えておく
- トラブルの発生に備えて、マニュアルと作成しておく
仮に相談できる人がいない場合は、相談センターや自治体への相談も効果的です。
ストレス解消型(気晴らし型)
ストレス解消型(気晴らし型)は、ストレスを感じたあとに行う対処方法です。
対処方法の例として、下記が挙げられます。
- 運動する
- カラオケで歌う
- 趣味や買い物を楽しむ
気分転換を図って気持ちをリセットできれば、ストレスを緩和できるでしょう。
企業が従業員に行うべきストレスマネジメントとは?
ここまで、ストレスマネジメントの実践方法をお伝えしました。
続いて、企業が従業員に行うべきストレスマネジメントを解説します。
- ストレスマネジメント教育を行う
- 1on1を定期的に行う
- 産業保健スタッフ・外部窓口によるサポートを入れる
ひとつずつ解説していきます。
ストレスマネジメント教育を行う
企業が従業員にすべき施策として、ストレスマネジメント教育があります。
どういった言動がハラスメントに該当するか理解できれば、下記の効果が期待できます。
- パワハラ・セクハラの予防
- 安定したメンタルヘルスの確立
- 社内全体におけるストレス耐性の向上
まずは社内研修を開いて、ストレスの仕組み・ストレスマネジメントの実践方法などを教育しましょう。
また、従業員のEQ(Emotional Intelligence Quotient)向上を図ってストレス耐性を鍛える方法も有効です。
意識的にEQを活用することで、ストレスを感じそうな状況でもポジティブな感情を作り出して、社内で適切な行動が取れるようになります。
ストレスマネジメントにおいて、マインドセットを身につけることも効果的です。
仕事だけでなく、日常生活にも応用できるマインドセットに関しては、以下の記事をご覧ください。
マインドセットとは?仕事から人生まで役立つ7つのマインドセット| NLP Focus
1on1を定期的に行う
企業が従業員に行うべきストレスマネジメントとして、定期的な1on1が有効です。
1on1では上司と部下が1対1で面談を行い、業務の目標や成果、今後の課題などについて話し合います。
話し合う際には、部下に下記の点を確認してみましょう。
- 日々の業務のなかで、ストレスを感じる場面がないか
- ストレスを感じる場合、一緒に分析・対処方法を考えられないか
1on1は正確に現在の状況を把握でき、部下の小さな変化を察知できるので、話し合いのなかでストレスマネジメントを実践できます。
こちらの記事では、1on1の意味や成功事例、よりよくするためのポイントなどを、さらに詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
産業保健スタッフ・外部窓口によるサポートを入れる
産業保健スタッフ・外部窓口によるサポートは、企業が従業員に行うべきストレスマネジメントのひとつです。
例えば従業員が強いストレスを抱えてしまった際に、サポート体制が充実していた場合、すぐにケアできるメリットがあります。
また人間関係に悩み相談できる人がいない可能性もあるので、誰でも活用できる外部の相談窓口も有効です。
窓口に相談する際は、「匿名で相談できる」「秘密は守られている」点を周知しておきましょう。
こちらの記事では、従業員のストレス状況を把握するためのサービス「ストレスチェックサービス」の概要や主な機能、おすすめのサービス12選を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
今回は、ストレスマネジメントの概要や実践方法、企業が行うべきマネジメントを解説しました。
ストレスマネジメントとは、ストレスを上手に対処しながら付き合っていくための方法・考え方です。
実際にストレスマネジメントにより得られる効果として、下記の3つがあります。
- ストレスの状態に気づける
- 仕事のパフォーマンスが改善する
- ハラスメントを防止できる
またストレスマネジメントの実践方法として、「セルフモニタリング」「ストレスコーピング」があります。
本記事でお伝えした企業が従業員に行うべきストレスマネジメントも参考にして、自社の従業員が意欲的に働ける「ウェルビーイング」を実現させましょう。
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こちらの記事では、ウェルビーイングの意味や5つの領域、理解するためにおすすめの本を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。