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成長企業は人事が強い?組織課題あるあると解決のキーとなる「人事力」について経営者が語る

投稿日:2023年9月8日 /

更新日:2023年9月27日

成長企業は人事が強い?組織課題あるあると解決のキーとなる「人事力」について経営者が語る
● 対談● 組織運営

第3回ものすごいベンチャー展 Day3 『組織課題解決』
セッション開催日時:2022年5月18日

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目次

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登壇者プロフィール

山中 諭(やまなか さとる) 氏
株式会社Hajimari 執行役員 兼 人事プロパートナーズ事業部長

2004年3月 東京学芸大学 卒業
2004年4月 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 入社
 ・1年半、営業を経験したのちに人事部に異動。
  採用から始まり、研修、労務、制度設計、評価制度見直し、労働組合担当と人事全領域を担う。
2010年8月 株式会社ウィルゲート 入社
 ・人事部を立上げ、社員数20名から160名になるまで、組織拡大を担う。
  人事部と兼務して、経理財務、総務、営業、マーケティング、開発の責任者を担う。
2019年4月 株式会社FCRP 設立
 ・顧問として個人で9社の会社に着任。
  人事系のサービスも複数の会社とローンチ/グロースを担う。
2020年4月 株式会社Hajimari 入社、執行役員 兼 人事プロパートナーズ事業部長に就任

 

雨宮 玲於奈(あめみや れおな) 氏
株式会社スマートエージェンシー 代表取締役社長

998年法政大学経済学部を卒業し、光通信に入社。同社にて営業や人事統括部長を歴任し、
2003年に現在の株式会社リクルートに入社。30歳でリクルートグループ最年少で子会社代表取締役に就任し、その後もリクルートホールディングス及び同社傘下の複数企業で代表取締役や執行役員を歴任。

2013年にはリクルートホールディングスカンパニーパートナーに就任し、同年退職。
2014年1月に株式会社アイ・アム&インターワークス(現:株式会社コンフィデンス・インターワークス)代表取締役社長に就任し、同社事業を牽引し2014年に東証マザーズ上場、翌年2015年には東証1部上場へ導く。

2017年に株式会社スマートエージェンシーを設立し、代表取締役社長CEOに就任
プロフェッショナル人材(主にセールス・マーケティングの副業・業務委託)に特化したマッチングサービス※スマート・プロを展開。また兼業として上場会社含む10社の取締役・監査役・経営顧問として参画

 

細木 祐孝(ほそき ひろたか) 氏
High Growth株式会社

アルファグループ株式会社取締役、アルファイット株式会社を設立し代表取締役を歴任。戦略・事業計画設計、数値・組織管理、トップ営業、社員教育、そして新規事業立上までベンチャー企業の成長過程を一通り経験。現在は40社のベンチャー企業の経営/IPO支援を行う。

自己紹介

はい、それではですね、これからですね、第3回「ものすごいベンチャー展」の公式セッションということで、「成長企業組織課題あるある」として組織課題に活きる人事力ということをテーマに話していきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
山中
山中
細木
細木
初めまして、HighGrowth株式会社の細木と申します。私は今40社ほど、ベンチャー企業の営業支援、組織作りのお手伝いをさせていただいてます。本日はよろしくお願いします。
雨宮
雨宮
株式会社スマートエージェンシーの雨宮です、本日はよろしくお願いいたします。私は大学を出たあと、大手ベンチャー企業の人事の責任者を経験し、その後リクルート社に転職しまして、いろんな事業経営をいたしました。その後、独立系の会社の代表を務め、東証マザーズ、そして東証一部上場まで導き、現在に至ります。本日はよろしくお願いいたします。
最後に私が、本日モデレーターをさせていただきます株式会社Hajimariの山中と申します。

まず、実際に企業の方々が課題をどこに持っているかというところを話していきたいと思っています。
成長企業が抱える組織の課題として、人材採用や人材の育成に課題感があるというような会社が多い統計があります。なので、成長企業の組織課題というのはやっぱり採用とか育成にあるというところですね、

また、成長企業が抱えるマネジメントの課題ですね。やはりここのマネジメントの部分っていうのが、この企業の課題の大きな部分になってきますが、メンバーの育成であったりとか、キャリア開発というところが大きな課題になっている傾向があります。
さらに、エンゲージメントの向上であったりとか、その評価の付け方やコーチングなどが課題となっているというような結果もあります。マネジメントの課題と人事の領域の関連性についての統計データも取れております。マネジメントの課題が人事の領域に被ると思うという人が全体の94%、アンケートの結果として取れております。

さらにはですね、もうここは皆さんご承知おきのところだとは思うのですが、2022年からで2065年までで、労働人口が6割ぐらいになってしまうというような統計が出ています。やはり人材の価値っていうのが高まってきて、優秀な人材の採用であったり、育成して中でしっかりと抱えておくというところが、今後の経営においての重要なことになってくるといえます。

企業が抱えるマネジメントの課題っていうのが人材育成にあり、マネジメントと人事の領域は関連がある。さらには、採用に関する課題を抱える成長企業も多く、やはり人口の減少によってこの採用や育成というところが重要になってくるといえます。

組織の「人」に関する組織課題解決のヒントということをちょっとでも皆さんにお届けできるように本日のメンバーでディスカッションしていきたいと思います。お二人は色々な会社を見られたり上場させたりしたご経験があると思うのですが、組織のところの課題において、「人」の課題ってどういうものがあるでしょうか。

山中
山中

人事に課題のある会社は業績も伸びにくい?

細木
細木
私もいろいろなベンチャー企業の現場に入ってお手伝いさせていただいていますけど、「人が大事」って言っているにも関わらず、人事が兼務だったりとか手薄で、社内のエース人材が人事をやるみたいなことがなくて、オペレーションだけやってるような人事が多くて。

結果それで優秀な人材を採用できるのかっていうとほとんどできないし、社長自身も自分の会社の人事ってある程度できていると思っていながらも、やっぱり採用、育成、評価、制度設計とかで、圧倒的にまだまだ他社に比べて弱いようなベンチャー企業は多いなって感触はありますね。

結果的に良い人材も入ってきてないし、制度がそこまでできてないし、業績もそこまで伸びきってないみたいな会社は、人事が弱いから組織も弱くて業績も伸びない会社が多いかなという印象はありますね。

成長企業の特徴もあるんですよね。
山中
山中
細木
細木
成長企業の特徴というよりは、人事が強い会社は成長してる印象があります。
人事を経営側が重要視して、ちゃんと注力するためにも優秀な人材をアサインして、そこに予算投下をしっかりしているような会社が伸びているかなとは思います。

逆にしてない会社はずっと踊り場で、シュリンクしていっているようなイメージのほうが強いかなっていう印象ですね。

事業がある程度いっても、人事のところをちゃんとしてないと結局は停滞しちゃうっていうような感じですかね。
山中
山中
細木
細木
事業を立ち上げて数年は、社長がリクルーティングして引っ張ってきて、そのメンバーである程度って成り立つじゃないですか。それはファーストステージで、セカンドステージ、サードステージにいくところでは、やっぱりちゃんと組織化していくってところになると、ちゃんとどういう人材が当社に必要かってコンピテンシーを定める必要があります。

ふわっとしちゃってて、コンピテンシーも定まっていないような会社が結構多いので。
どういうQ&Aから人材をちゃんと見極めて厳選して採用するかとか、その採用した人材に対してミッション、育成含めて、ノープランではないけれど、なんとなくうちは育成や教育してるって会社がやっぱり多いので。人事の方が戦略プロセスみたいなのをちゃんと理解できていなくて、社長に言われたオペレーションだけやってるような方が多いなっていう印象ですかね、やらされてる感というか。

雨宮さんは光通信での人事を統括して見ていて、リクルートでも人事とか人事に関する事業とかもやられていたと思うんですけど、人事の役割とか、成長企業においての人事の重要性ってどういうところがありそうですか?
山中
山中
雨宮
雨宮
今ご紹介あったように僕は光通信で人事もやったし、リクルートでいわゆる事業側も見たし、自分で上場会社の社長もやった経験もあるんですけど。

今振り返ってみると「人事ってそもそもなんだったんだろう」って、人事ってどこまでのことを指すのかっていうことが、イメージできてやれてたかというと多分微妙なんですよね。人事部としてやってるのであれば、採用やって、教育やって、人事評価やって、労務管理してって、分かるんです。セクション、ミッションとしてやってます。

今度その事業側からの経営から見た人事って、そもそもどのタイミングで何をしてどうすれば組織が強くなり、会社が強くなるのかっていうことを、経営としてはずっと考えてるはずなのに、本来僕は人事としてやってたことを経営から見たときにミッションに落とそうとすると、何を優先順位に付けてやっていいか分からなくなっちゃうんですね。
そういう会社は意外と比較的やっぱり日本の会社でも多いし、スタートアップのベンチャーでも、上場している企業も上場間際の企業も含めて結構多いような気がするので。だから実は人事ってどこまでのことをどうやってやるのかってことを、分かってらっしゃって経営してる人っていうのは、なかなか杞憂な存在じゃないかなと思います。

事業目線で戦略設計ができる人事が望ましい

私も含めて悩みすら分からない、どこが悩みなのかも分からない方も多くいて、じゃあ人事ってどういう存在であるべきなんですかね?
山中
山中
雨宮
雨宮
やっぱり人事って会社のアクセルにもなるし 会社のブレーキやゴールキーパーにもなるし、いわゆる戦略コーディネーター、サッカーでいうとミッドフィルダーにもなれる。
本来でいうとなんとなく会社って色が違うかもしれないし、直接的事業、成長に関われるオフェンシブな部分、具体的に言えば採用とか、教育とか配置転換とか幹部育成とか色々あるんですよね。

それにフォーカスして優先順位を上げてやればいいんじゃないかって思われるんだけども、実際にじゃあリクルーティングしようとするときに、より効率的に、より自分の会社に合った人材をリクルートするにはどうすればいいかっていう手段が分からなくなる。一般的にはたぶん、プロフェッショナルをアサインしてるわけではなくて、社長もしくは経営幹部たちが自分たちの一定の範囲の中、状況の中でできることをやってるだけの会社も結構あります。

本来であればここにきちんとプロフェッショナルがチームを作って、力を発揮できる人を採用して、もしくは組織を活性化させる人やマーケットを作れる人、色々な人をリクルーティングできれば会社としては厚くなる。そこに人が配置できなかったり、ブレーキはブレーキとして、例えば給与計算できたらいいよねとか人事情報を管理できたらいいよねっていう話なんだけど、それがまあ一部事務的に処理しているっていうのは実態としてありますね。

やはり私も人事の経験長いじゃないですか、もう16年くらい人事っていうところの場に携わっているんですけど。
人事っておっしゃるとおり、攻めと守りがあって、採用、育成、組織活性、労務、まあ採用広報とかいろいろあると思うんですけど、やっぱりここをしっかりと経営理念とか、経営とか、事業の目標から落とし込んで、バラバラじゃなく横を線でつないで、戦略設計ができることがベストだと思ってるんですね。

ただこれができている会社って、私も人事でコンサルとしてもう200社か300社見ましたけど、あまりなくて。そこってやっぱり人事の方がやるのは難しいものなんですかね。

山中
山中
雨宮
雨宮
ミッション・ビジョン・バリューって基本作るじゃないですか。それを作って、組織に浸透させるというそのタスクはみんな分かってるんですよ。だけどやっぱり表面的に捉えちゃってるような気がするんですよ。それが何に機能するのか、何のためにやっているかっていうのを分かって動かせてる感じじゃない。

経営に接続した人事っていうことよりも、どちらかというと「ミッションとして、ミッション・ビジョン・バリューを作りました。」これはオペレーションとしてですよね。自分たちが気持ちいいミッション・ビジョン・バリューを作って浸透させてるみたいな。マーケットでつながってるミッション・ビジョン・バリューって、自分のビジネスを通じてマーケットを作っていこうとか、それが本来の目的であるべきなんだけど、そこにやっぱりまだ追いついてない。

細木
細木
お二方と違って僕は人事の経験がないんで逆に伺いたいんですけど、今のお話って経営側と現場を実際人事でまわしている担当では、情報乖離が激しいじゃないですか。経営の意向をしっかり汲み取って人事をやっていく、さらに人事もすごくいろんな機能ってありますよね。これが当たり前ですけど、1人でやるとなると圧倒的に不可能じゃないですか。

じゃあどうするのっていうところでいくと、自社の中で人事の体制ってどういう形が理想型というか、どういう形ができると経営の意向を汲み取った人事、その体制を大きくしていけるのか。強い組織をつくる意味での、強い人事体制ってどんなものでしょうか。

本当にベストを話すと、やはり会社内で現場を経験して現場の上に上がってて、そこで経営層ともつながりができている人が人事に異動して、現場とのつながりも深い、経営とのつながりも深い人が人事をやる。

ただこの人って人事をやってきていないんで、人事ってなんやかんやいっても専門職なので。採用だけやるんだったら専門職じゃないかもしれないんですけど、人事って先ほど言ったように採用だけではなくて、そのほかもたくさんある専門職なので、ここの専門領域を誰か補う人事経験者が隣にいるとかがベストだと思います。

そもそも採用人数とかによって人員数とか変わってくるんですけど、この二枚看板がいれば、やっぱり人事ってうまくいくんじゃないかなと思います。

山中
山中
細木
細木
なんとなくイメージとして現場経験をちゃんと積んで、経営側ともちゃんと信頼関係ができていて、ある意味でいうと全社のメンバーからも一定の認知とロイヤリティをもらっている方がいいですよね?
もちろんです。
山中
山中
細木
細木
まったく初めましてだと組織全体が動かないので。そういう人をまず経営側がアサインするというか、覚悟を決めて「素晴らしい営業の成果出せるよ、だけど全社の未来を考えると彼、彼女に任せるべきだよ」という、経営にもしっかりちゃんと意見を伝えてくれて、自分たちの意見もしっかり理解しようとしてくれるような、ある意味ロールモデルになるような方をまずアサインする。

その人自身が人事経験がないから、ある程度人事経験が豊富な方をサイドにつけて、軽く家庭教師をしながら、どういう優先順位を上げていくか、実行するためにはこういうやり方がありますよというメソッド的なものをお教えしながら、もしくは一緒に作っていくみたいな感じがいいっていうことですよね。

そうですね。その家庭教師的な人から人事のことを学んでしまえば自立するので、こう言ったらあれですけどこの家庭教師的な方はいらなくなるかもしれませんけど。やはり専門職なのでそこはやらないといけない。

ただ一番難しいのは仰られていたとおり、現場のエースといいますか、経営の信頼も現場の信頼も、やはり人事って経営と現場の接点になる人間なので、この人を現場から持ってこれるかっていうのは一番難しいですよね。

山中
山中
細木
細木
それはもう覚悟ですよね。

現場でパフォーマンスを発揮している人材は人事に登用できる?

特にお二人なんてもう経営のプロといいますか、いろんな会社を経営されて上場の経験があると思うんですけど、正直現場のそんなプロフェッショナルのエースを持ってくることってできますか?やってこられましたか?
山中
山中
雨宮
雨宮
結論、僕はやったんだと思います。現場で一番パフォーマンスを出す人をリクルートでトップに持ってきたりすることは、戦略的にやってたところがあるんです。だからそれは分かってやってたかでいうと、元々人事をやってたからこそ、どういう人間が人事をやらないとパフォーマンスが出せないのかっていうイメージがあったから。

じゃあその経験なくして経営をやって、経営を上から見ていったときに人事を誰にやらすのかっていうと、なんとなく言う事きくやつとか、なんとなく分かってそうなやつとか、なんとなく従業員と仲良くやりそうなやつって感じになりそうだったんですね。

だからそういう意味でいくと、僕としては人事をやってきてよかったなっていうのはそういう瞬間なんですけど、一方で今思うことって、人事はプロフェッショナル、まあ極端に言えば会社側が抜擢してセンターに持ってきて戦略設計をするっていうことは必要かっていうふうに思ったんですけど、人事って今はセクションとしてあるじゃないですか。ベンチャー企業も上場するくらい大きな会社も、人事部もしくは管理部の中の人事担当とかいろいろあるじゃないですか。それって本当に専門組織って要るのかな、そういうセクションが要るのかなと、逆に思っちゃったんですね。なんでかというと、人事っていう形に決めちゃうと、分からないのに人事っていう定義をくっつけて、そこにやらしてるだけなので戦略的にならないんですよね。

だから人事と経営戦略ってけっこう一対に近くて、人事と経営ってものすごく近くて、じゃあファイナンスと人事って切り離せるかっていうと切り離せない、IR、広報と人事って違うものでも異質じゃないんですよ。
そうなると人事担当役員とか人事専門家ってなんだろう、人事専門組織ってなんだろうっていうのを思ったときに、それは人事を否定してるんじゃなくて、実は人事が経営になっちゃってるんじゃないか、経営の近くにいきだしてるって思いだしました。

細木
細木
そういう視点でやってる会社が圧倒的にやっぱ伸びてるんですかね?
雨宮
雨宮
まあいくつかやっぱり象徴的な人事、人事の責任者の方がもう象徴的に強い会社ってみなさんご存知の会社いくつかあると思いますけど、やっぱり比較的そういう会社って、この会社大丈夫?って思う会社ってないですよね。
細木
細木
ないですね。名前がやっぱり何人か出てきますよね。
雨宮
雨宮
なんとなくこの人この人この人って出てくると思うんですけど、そういう会社って、あ、これイケてないなこの会社、ってあんまりないんですよね。だから人事が象徴的に前に出てきて強い会社、強いなって思う会社って、ダメな会社とか弱い会社ってあんまり聞かないんですよね。
ただあんまり多くないんですよね。マーケターとか、例えば起業家とか、そういう専門領域でやっている方の中でも、人事っていう領域って有名人が少ないっていうのはあります。
山中
山中
細木
細木
たしかにCMOとかCFOとかは有名な人いっぱいいますけど、CHROは少ないかもね。
だから私は日本においての人事のプライオリティの低さはすごく、ずっと感じてますね。
山中
山中
雨宮
雨宮
たしかに世界からみたら本当に、この人人事のプロだよねって挙げられる人の数、世界標準と日本の数は圧倒的に違いますよね。なんでだろうなって思うとやっぱり、ローテーションが多すぎるんですよ、人事って。

人事の専門家として配置して、徹底的に経営につながるまでミッションの中で成長してもらうっていう人事判断をできてきた会社は少ないのかなと。だからそういう意味で言うと、日本全体の人事力を育ててこなかったし、そういう育成の仕組みがなかったのかもしれないですね。

細木
細木
けっこうなんとなく、経営者も人事の重要性は理解している。それで、ある程度社内の中でもロールモデルになりそうなこれから伸びしろのある若手に任せる、これはけっこう見かけるんですけど、スキルと情報が圧倒的に少なすぎるので実際やれる範囲が限られるのが現実な感じがしますよね。
ちょっと前になんですけど、海外、欧米なんですけど、そもそもHR学部みたいな人事を大学で学べる学部がたくさんあるんですよ。なんなら、欧米でもう400校以上あるんですよ、有名な大学で。でも日本ってないじゃないですか。
山中
山中
キャリアデザインとか、どっちかというと自分のキャリアを考えるほうですよね。
そうですよね。例えば法政大学にキャリアデザイン学部があったりとか、そういうのはあるんですけど、HR学部っていうのはほぼないんですよね。

それがやっぱりその差だと思っていて、そもそも大学時代から例えば法学部はあるし、経済学部はあるし、ファイナンスを学ぶとことはあっても人事を学ぶことはない時点で、日本の人事力ってそもそも高くなっていないって思ってるので、そこが変わってくると、人事に対するプライオリティが変わりますよね。でも経営者の抱えてる課題って、ほぼほぼ人事のことじゃないですか。

山中
山中
雨宮
雨宮
人が辞める、人を採用するとか……。
それなのにプライオリティが低いっていうのはやっぱり一番のネックだと思いますし、みなさんの会社さんでも人事のプライオリティを上げて、エースを人事に持ってくるとかってやると、会社は強くなるなっていうのはすごく感じているところで。
山中
山中
細木
細木
そういう人材をアサインしたとしても、実質「どういうふうに人事を進めなさい」っていうところに関しては、社長って少し人事分かってる感を持ってるから、こうやりなさい、ああやりなさいをある意味経験豊富な人事プロ目線ではなくて、比較的社長のオリジナル人事、のやり方をなんとなくで指示してる気がするんで、結果自分を超えるような人事戦略にはならないっていうのは、あるあるな気がします。

でもそれ社長が悪いわけじゃないじゃないですか。ただ、人事を重要視して人もアサインするけど、社長が指示してやらせてるんで、どうしても限界値があるのかなって気がしますね。

おっしゃるとおりですね。採用において想いを伝えるとか、採用に対するっていうところはまだ社長で大丈夫だと思います。ただその他の部分って、まあみなさんは一番その社長をやられて、人事の責任者、大きい会社の人事もやられてて感じるところかもしれませんけど、ちょっと違いますよね。社長業と、人事業っていうのは。
山中
山中
雨宮
雨宮
だから自分でやったことで話すと、採用に関わって忙しい自分って仕事したふりしちゃうんですよ。社長としての仕事をやるのはそこじゃないよね、っていう。関わるのは面接の数ではなくて、それこそ要件定義でどういう人をどのくらい、どのタイミングでリクルーティングするかとか、その人たちが組織の最適化のなかで一番活躍するためのフォーメーションはなにかとか。

だからそれって今ひとりの頭の中で考えたとしても、社長の判断でもどんな頭のいい人でも判断できないから、だから今でもタレントマネジメントの人事情報とかも進んで行くので、お互いこの会社が最適人事って出るようになると思うんですよ、そのうち。だから今そういう話を飛び越えて、でもやっぱりこの会社の風土とか、強い競争意欲、考えて実行する、そういう決め手を使えるのはやっぱり社長しかいないじゃないですか。

「社長は感情が入りすぎるから良くない」みたいな話をされていたことあるじゃないですか、それはちょっともう一回ここで聞きたいのですけど。
山中
山中
雨宮
雨宮
持論ですよ、持論だから一般論ではないのですが、社長って自分の会社に対する当事者意識って当たり前だけど一番高くあってほしいし、高いと思ってるんですね。だから圧倒的当事者意識を持ってる。
自分がトップ、リ-ダーとして機能している会社なので。だからこそ、なんとなくやっぱり圧倒的に当事者意識が強いから、感情を感情論として入っちゃうんですよね。

今まで会社が経営サイドで事業で成長してきた軌跡も基本見てるじゃないですか。見てるからこそ、やっぱり自分が感情的にこういう辛さもあったし、こういう成功体験もあるから、会社はこうあるべきであるっていう持論も強すぎますよね。だからそれを感情論としてぶつけられちゃう。でもそれって、過去の話なんですよね。

未来を作ろうとしてるのに、過去の成功体験と失敗体験を持論として振りかざすってなんだって話ですよね。でもそれがね、社長が持てる、持ってる凶器だと思うんですよ。過去の成功体験、失敗体験を言いながら振りかざす、これは感情論の最たるものですよね。

細木
細木
それめちゃめちゃ見かけますね。それ強いじゃないですか、強いから、社員まあ人事担当側からすれば、100%否定できないですよね。だから結果、社長の俺の成功体験、「こうあるべし!」を全部伝えてくるから、担当者からすれば結果やることすべて社長の言われることをToDoするオペレーターにしかならないっていうのはたぶん、現状かもしれないですね。
雨宮
雨宮
「お前わかってないな」の一言で終わっちゃうんですよ。
細木
細木
「俺の時代はそうだったよ」みたいな。「俺はこうやってきたよ」みたいな。
雨宮
雨宮
「こうやって勝ってきたんだよ」「こうやって優秀な人が集まってきたんだよ」と。それは感情論の最たるものですよね。
そうなった時に人事において、社長が感情論でやるからこそ、客観的に見れなくて人事の中での課題が出てきちゃうとかっていうことですかね?
山中
山中
雨宮
雨宮
あとは多分起きていることの客観論っていう部分、事実そのものを見えてないというか。だから組織で起こっている負の事実、極端に言えばなにが巻き起こってるのかって一言一句間違えずに把握できる社長もいないですよね。だからたぶん、見えてるものって思い込みなんですよ。だって100 人200人の会社でひとりずつうちの会社どうだった?って聞いてる社長っていないですよ。
細木
細木
あと本音は言わないしね。
雨宮
雨宮
組織は情熱があるので、社長に「この会社こうでだめですよ、ああですよ」って言わせられる環境を作れる会社ってなかなか僕見ないので、まあそれに近いところはあるかもしれないけど、本音はやっぱり出きらないと思うんですよね。だからこそやっぱり、思い込みは感情論につながるっていうことは往々にしてある。どっかで社長がスタンスを変えて、仕切り方を変えたとしても、本当の答えは出てこないですよね。だからこそ、分業っていうか、人事が必要だと思うんですよね。
細木
細木
その人事の担当者の一角として、経営者も人事のプロではないじゃないですか、人事だけやってきてない。あとトレンドもあるし。そのあたりでいうと、その外部のパートナーシップを社員に提供している、ベンチャーで100名くらいを想定したときに、どういうようなスキルを持ってるような人たちがプロでいると、ある意味経営側のこともしっかり理解したうえで、担当に指南してもらえるんですかね?
雨宮
雨宮
社内でいる人事のプロフェッショナルは当然プロじゃないですか。仲良くなるのがダメだっていうふうなことではないんだけど、本当に客観視して人物を見て、視差する人って、社長的にはいるんですよ。本来顧問もそうかもしれないですし、僕今複数社社外取締役なんですけど、社外取締役って牽制って言われるんですよ。牽制っていうのは気付かせることだから。組織外にいる人たちの関わり、ある意味、昔で言うと片足外してる人たちに言われたくないっていう人もいたかもしれないけど、実は、契約上片足外してる人のほうが結構言うこと聞くかなって。まあ聞きやすい、どちらも、プロとしてのアドバイスだって受け止めやすいかもしれない。
細木
細木
そういう意味で言うとあれかもしれないですね、僕の経験軸で言うのであれば、僕の方が圧倒的にベンチャーの組織、現場を見てる、っていうことを社長さんからすれば知っているわけですよね。他の会社はどうですか?じゃないですけど、聞く耳を持つ経験を持ってるっていうイメージがあって受け入れてくれるので。

先ほどの人事の家庭教師的な方っていうのは、いい意味で社長よりもはるかに人事の経験が豊富な方なので「この方からちょっといろいろ教えを乞いたい」というか「ご意見を頂きたい」っていうような存在じゃないとダメでしょうね。

成長企業の組織の課題って人にある。「人」って人事との密接なつながりがある。人事のところは、もちろん社内の人がやれればいいんですけど、やっぱり客観的に見れて、声を聞いてくれるような社外の人が入るのもありっていうことですよね。
山中
山中

社外の人材がCHROを務めることで上手く回るケースは?

雨宮
雨宮
本当に優秀な人を抜擢して人事に持ってくるって話あったじゃないですか。その話を否定するのものではないんだけど、本当に強い人事を作ろうとするならば、本当に会社のことを分かっている、よく理解して推進力もある人を連れてきて人事を任せるっていうのはひとつの手段。これは絶対条件で必要だと思うんですけど、プラス、これだけだと「社長これだめです、こっちです、あっちです」とか客観論がないのね。社内のことは分かっててもマーケットの情報がない、ファクトを持ってるわけじゃないので。

それでいうと顧問もそうかもしれないし、社内の意見をきちんと取り入れながら、社外の人たちをディレクションする人たちが社内の人事のリーダーにいて、情報を取り込んで適切な意思決定を経営にしてもらう役割を担わなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。

細木
細木
ディレクションの部分はそうですよね、それはすごく共感しますね。
雨宮
雨宮
まさに今の話、人事担当役員って山中さんのなかででは、完全に中の人じゃないとできないのか、逆に言えば社外取締役みたいな複数社を兼務している人でもできる、むしろそっちの方が強いっていう風に見るのか、色々考え方あると思うんですけどそれはどうですか?
私は正直、ちょっと前、本当に3~4年前くらいまでは社内の人じゃないとできないと思ってました。思っていたんですけど、やはり社内の人で、CHROじゃなくてもいいですけど、人事マネージャーとか人事部長クラスがいるのであれば、CHROクラスは社外の人でもいいと思っています、今は。

ここはやはり、やっぱり社内でも実働と言いますか、社内のメンバーとのコミュニケーションであったりとかっていうのは、人事はやっぱりめちゃくちゃ大事なので、ここは社内の人間がやったほうがいい。先ほど言った現場のエースの方とかがやるのがベストなんですけど、戦略を考えるとか、経営者に対して意見をするとか、意見を変えさせるとかっていうのに関しては、社外の人のほうが長けていることのほうが多いので。

もちろん、中のCHROがそれを全部できればそれに越したことはないですけど、そういう人ってなかなかいないので、社外の人が入ってやるっていうほうが上手く回るなっていうのは、ここ何年間かはすごく感じている。

山中
山中
雨宮
雨宮
自分がやってきた軌跡から言っても同意見かもしれないですね。
そうなんですよね。だから、本当に組織課題は人のところにあって、人事のところにあるっていうところは、どの経営者の方も思っているところだと思います。そこに対して「じゃあ人事部をどうするか」っていうところを、真剣に考えられている会社が勝っていくんだろうなっていうのを、今日の話を聞いてすごく思いましたね。
山中
山中
細木
細木
実際そうですもんね。
成長企業の課題あるあるっていうところで、組織の課題っていうのは人のところに結びつくっていうところでしたので、やはり、成長企業において人のところを活用する、採用する、育成する部分の改善の必要性っていうのはありますね。本日はありがとうございました。
山中
山中

まとめ

今後もSaaSについてのお役立ち情報とかを配信していきますので、チャンネル登録と高評価をよろしくお願いします。ご視聴いただきありがとうございました。
kyozon編集部
kyozon編集部

第3回ものすごいベンチャー展 Day3 『組織課題解決』

YouTube:https://youtu.be/umT-IjFPEeE?t=5943

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