データビジュアライゼーションとは?
データビジュアライゼーションとは、データの可視化という意味であり、データを図形などのグラフィック形式で表現することです。
データビジュアライゼーションを活用することで、下記のような場合に役立つでしょう。
- 新しいパターンの特定
- 難しい概念を意思決定者が理解する
- 特徴・傾向がデータから見える
デジタル化が進む現代ビジネスでは、ビッグデータ活用法の一つとしてデータビジュアライゼーションが利用されています。
また、デジタルビジュアライゼーションには大きく分けると下記の2種類がありますので、詳しく解説していきます。
- 科学分野で扱われる
- 情報分野で扱われる
科学分野で扱われる
科学分野で扱われるビジュアライゼーションとは、英語で「Scientific Visualization」と呼ばれています。学術的な研究の分野で使われており、下記のような分野で使われています。
- 建設学
- 薬学
- 生物学
- 天文学
3Dを用いたビジュアライゼーションを活用することで地理空間の認識に役立ち、各分野の研究者が現象の理解や傾向を把握することに役立ちます。
情報分野で扱われる
情報分野で扱われるビジュアライゼーションの多くは商業の分野で活用されており、英語で「Information Visualization」と呼ばれています。
情報・データを扱う場合に活用されるビジュアライゼーションです。
デジタル情報・非デジタル情報どちらの場合でも活用でき、以下のようなグラフィックから膨大で複雑なデータの見える化に役立つでしょう。
- ヒストグラム
- フローチャート
- グラフ
- 表
データビジュアライゼーションが重要視されているのはなぜ?
デジタル化が進む現在ビジネスにおいて「データビジュアライゼーション」は重要であると言われていますが、その理由にはどういったものがあるのでしょうか。
以下の2つの観点から重要視されていると言われていますので、ここから詳しく解説していきます。
- ビッグデータの時代だから
- 機会損失を防ぐ必要があるから
ビッグデータの時代だから
ビッグデータとは、人が全体を把握することが困難とされる巨大データ郡のことです。例としては以下の内容があります。
- ソーシャルメディアデータ
- マルチメディアデータ
- ウェブサイトデータ
- カスタマーデータ
- センサーデータ
- オフィスデータ
膨大な情報の処理を瞬時に行う必要性がある中で、データビジュアライゼーションの活用は必要不可欠であると言えます。
図などのグラフィックでデータを可視化することで、大量のデータに対しても瞬時に理解することができる点はデータビジュアライゼーションの最大のメリットであり活用する醍醐味であると言えるでしょう。
機会損失を防ぐ必要があるから
膨大で複雑なデータをすべて理解するには、膨大な時間の確保や労力も多く必要となります。
さらに、多くの時間や労力をかけてデータが理解できても、活用できなければ自社にとって機会損失となってしまう可能性もあるでしょう。
そこで、図やグラフから視覚的にも理解しやすく次の行動を起こしやすくなる可能性が高いデータビジュアライゼーションを活用することで、通常業務だけでなく機会損失を防ぐ必要のある経営判断などにも役立つでしょう。
データビジュアライゼーションを活用すべき業界
ここからは、データビジュアライゼーションを活用すべき下記の4つの業界について詳しく説明していきます。
- 金融業界
- デジタルマーケティング業界
- 製造業界
- デジタルサービス業界
データを見て理解する技術であるデータビジュアライゼーションを活用することで、直感的かつ情報の全体像やポイントをスピーディーに伝えることができ、意思決定の迅速さにおいても役立ちますので、ぜひ参考にしてください。
金融業界
金融業界には、銀行だけでなく証券会社・保険会社・クレジットカード会社などの業種があり、顧客情報など膨大なデータを所有・管理しています。
しかし、顧客情報などの重要度の高いデータを保管していることから、セキュリティ上の関係でうまくデータ活用をできていない現状となっています。
そこで、データビジュアライゼーションを活用することで、以下のようなデータの分析や意思決定を行う上で役立てることができるでしょう。
- 顧客の取引履歴
- 金業界にまつわる市場動向
また、既存顧客の傾向や行動パターンを分析することで、金融商品の改善や販売戦略の立案につなげることにも有効であると言えます。
デジタルマーケティング業界
デジタルマーケティング業界では、ウェブサイトやソーシャルメディアのアクセス解析などの膨大なデータから広告やコンテンツの効果を最大化するための戦略を立てることが重要であるとされています。
データビジュアライゼーションを活用することで、膨大なデータの理解・分析を行うことができるだけでなく、グラフや表などで分かりやすく視覚化することができます。
可視化することで、迅速に効果的な意思決定をすることが可能となることからも、データビジュアライゼーションの活用は必要不可欠でしょう。
また以下の記事「デジタルマーケティングとは?現代ビジネスに欠かせない方法論を徹底解説」では、デジタルマーケティングに関してわかりやすく徹底解説していますので、合わせて参考にしてください。
製造業界
製造業では、製品にまつわるありとあらゆるデータが発生するため、膨大なデータを管理しなければいけません。
また、発生するデータは製品の品質管理や、メンテナンス計画、新商品開発においても重要であることから機会損失を防ぐためにもデータビジュアライゼーションの活用が有効的であるとされ、以下においても効果的であると言えるでしょう。
- リアルタイムでのデータの可視化
- 生産ラインの改善・メンテナンス計画
- 品質問題に対する迅速な対応
- オペレーションの監視・効率化
迅速に対応しなければならない業務領域とデータビジュアライゼーションは相性が良いとされていますので、効果が分かりやすい業界であると言えます。
デジタルサービス業界
データビジュアライゼーションを活用すべき業界として最後に紹介するのは、デジタルサービス業界です。
デジタルサービス業界では、最初から多くの情報がデジタル化されていますので、データビジュアライゼーションを活用にあたって比較的低いハードルで始めることができ、比較的短い期間で効果が見られます。
- アクセス解析
- ユーザーの行動分析・傾向
- ダウンロード数などの各種指標の分析
上記に関するデータが分かりやすく視覚化されることにより、サイトやサービスの改善だけでなく顧客満足度の向上にも効果的となります。
データビジュアライゼーションの活用事例5選
ここからは実際にデータビジュアライゼーションを活用した事例となる下記の5つについて説明していきます。
- ナポレオン侵攻マップ
- クリミア戦争の死亡原因
- 政府予算
- 映画のセリフ
- 2080年までの日食
ここで紹介する活用事例は、歴史上有名なデータビジュアライゼーションの例となりますので、今後データビジュアライゼーションを活用していくにあたって理解しておくといいでしょう。
ナポレオン侵攻マップ
1892年にナポレオンがモスクワを占領する際に、ナポレオン軍の進退をデータビジュアライゼーションを用いて詳しく説明したものが「ナポレオン侵攻マップ」です。
この「ナポレオン侵攻マップ」には下記の情報が1つのマップに記載されており、モスクワを占領する際に効果的かつ・詳細に表しています。
- 兵士の総数(線の幅)
- 進軍・撤退の方向(線の色)
- 気温(折れ線グラフ)
モスクワを占領する際の悲惨な状況を効果的かつ詳細に表しているだけでなく、軍事作戦のストーリーが分かりやすく可視化されていることから、現代にわたっても非常に影響力の高い優れたチャートとなっています。
クリミア戦争の死亡原因
クリミア戦争は、1853年に起きたロシアとトルコ・イギリス・フランス・サルデーニャ連合会との間でおきたクリミア半島が舞台となった戦争です。
兵士の死亡率が高く人数も増加を続けていましたが、それは戦闘だけが理由ではなかったことがデータビジュアライゼーションで表されています。
スパイラルチャートによると死亡原因の大半は、劣悪な医療活動によって引き起こされたことで、戦闘以外の死亡原因が明らかとなり予防可能であったことが発見されました。
政府予算
不明瞭かつ複雑で有名な政府予算に対してもデータビジュアライゼーションが活用されています。2016年にアメリカで作成されたツリーマップでは、政府プログラムを視覚的に分類しています。
政府が税金の使い道に関して、納税者とコミュニケーションを図れる状態にするためにデータビジュアライゼーションを採用したことが現在もアーカイブされ人々を啓発しています。
このようにデータビジュアライゼーションを活用することで、不明瞭で複雑な情報もシンプルかつ分かりやすく可視化することができます。
映画のセリフ
Hanan Andreson氏とMatt Daniels氏は、データビジュアライゼーションで2000本の映画の原稿の分析を行いました。これは、映画史上最大とも言われており、大衆文化での性別格差を視覚化しています。
分析対象となる各映画の男性と女性の登場人物それぞれのセリフをデータビジュアライゼーションを活用し集計しましたが、この結果で重大かつ驚くべき結果が発表されています。
すべてのジャンルにおいて男性と女性のセリフの量に対し明らかな格差が視覚化され、女性のセリフが多い映画が極端に少ないことが一目でわかります。
また、分析した2000本の映画の台本の概要、男性役と女子役に対する年齢の偏りを示すビュー、映画を検索した際のいくつかのフィルターを操作できるグラデーションバーが提供されており、膨大な情報をわかりやすく迅速に理解することができます。
さらにこの分析を行った際の手法が詳細に公開されており、結果と共に提供されていることから、透明性があるという点でも知られているデータビジュアライゼーションの活用事例です。
2080年までの日食
2080年までに起こるすべての日食の進路を示すデータビジュアライゼーションがWashington Postによって発表されました。
このデータビジュアライゼーションでは、以下の内容が回転する地球によって表されています。
- 皆既日食の進路
- 世界のどこで起きるのか
- いつ皆既日食が起きるのか
また、このページでは誕生日を入力することができ、今後生きている間に起こる日食の数を知ることもできます。
このように、データビジュアライゼーションの活用方法はさまざまであり数多くの分野・事例で活用でき、役立てることができるでしょう。
まとめ
この記事では、データビジュアライゼーションについて重要視されている理由や活用すべき業界、過去の活用事例について解説しました。
日々の業務で可視化・効率化に役立つだけでなく、経営判断を的確にかつスピーディーに意思決定するうえでもデータビジュアライゼーションの活用は効果的であると言えます。
さまざまなビジネス領域でデータビジュアライゼーションが関わってくることから、自身のビジネス領域でうまく活用していくことが重要であると言えるでしょう。
そのためにも、データビジュアライゼーションに関して理解を深めておきましょう。
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