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ハラスメント防止の基本ルールとは?万が一発生した際の対応を紹介

投稿日:2026年4月6日 /

更新日:2026年6月27日

ハラスメント防止の基本ルールとは?万が一発生した際の対応を紹介
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職場におけるハラスメント防止対策は、パワハラ防止法の改正により、現在すべての企業に義務付けられています。しかし、「具体的にどのような対策を講じればよいのか」「万が一発生した際にどう対応すべきか」とお悩みの人事担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、企業が取り組むべきハラスメント防止の基本ルールや義務化の背景、そして事案が発生した際の迅速かつ適切な対応手順までを分かりやすく解説します。一読することで、法令を遵守した実効性のある社内体制を構築し、健全な職場環境を実現する具体的な方法が分かります。

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目次

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ハラスメント防止が企業に義務付けられている背景

近年、職場におけるハラスメント問題は、単なる個人間のトラブルにとどまらず、企業の社会的責任や経営リスクに直結する重大な課題となっています。国も法整備を急速に進めており、すべての企業に対してハラスメント防止措置を講じることが義務付けられました。ここでは、ハラスメント防止が義務化された法的な背景と、企業が主体的に取り組むべき理由について詳しく解説します。

労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の改正

日本国内において、ハラスメント防止対策が義務化される決定的な契機となったのが、労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)の改正です。この法改正により、企業規模を問わず、職場におけるパワーハラスメント防止措置が完全に義務化されました。

法改正の施行スケジュールと対象企業は以下の通りです。

企業規模義務化の時期主な対応内容
大企業2020年(令和2年)6月1日パワーハラスメント防止措置の義務化(相談窓口の設置、社内方針の明確化など)
中小企業2022年(令和4年)4月1日義務化(それまでは努力義務だったものが完全義務化へ移行)

現在では、すべての規模の企業においてパワハラ防止措置が義務となっており、万が一対策を怠った場合には、厚生労働省からの是正勧告や、企業名の公表といった社会的ペナルティが科されるリスクがあります。また、パワハラだけでなく、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に基づき、セクシュアルハラスメント(セクハラ)や妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタハラ)の防止措置も同様に義務付けられています。

企業がハラスメント防止に取り組むべき理由とメリット

ハラスメント防止に取り組むことは、単に法律を守るためだけではありません。企業が主体的にハラスメントを排除する環境を整えることには、経営上の極めて大きなメリットが存在します。逆に、対策を怠ることで発生するリスクは甚大です。

法的な損害賠償リスクの回避

職場内でハラスメントが発生し、企業が適切な対応を怠っていた場合、安全配慮義務違反や使用者責任を問われ、多額の損害賠償を請求されるケースがあります。裁判に発展すれば、金銭的な損失だけでなく、企業の社会的信用は失墜します。

優秀な人材の獲得と離職防止

ハラスメントが横行する職場環境では、従業員のモチベーションが低下し、メンタルヘルス不調による休職や退職が相次ぎます。ハラスメント防止対策を徹底し、風通しの良いクリーンな職場環境をアピールすることは、既存の優秀な人材の離職を防ぐとともに、採用活動における強力な強みとなります。

生産性の向上と組織の活性化

心理的安全性(他者の反応を恐れずに自分の意見を率直に発言できる状態)が確保された職場では、従業員同士のコミュニケーションが円滑になり、業務効率や創造性が高まります。ハラスメントを防止することは、従業員が持てる能力を最大限に発揮し、企業の生産性を向上させるための基盤となるのです。

企業が知っておくべきハラスメントの定義と種類

職場におけるハラスメントを防止するためには、まず「どのような行為がハラスメントに該当するのか」という定義と、その具体的な種類を正しく理解する必要があります。法的な定義を曖昧にしたまま対策を進めてしまうと、適切な判断ができず、かえって社内の混乱を招く原因になりかねません。

ここでは、企業が特に優先して対策を講じるべき代表的な3つのハラスメント(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント)について、それぞれの定義や判断基準を詳しく解説します。

パワーハラスメント(パワハラ)の3要素

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、労働施策総合推進法において定義されています。単に「厳しい指導」や「人間関係の衝突」というだけではパワハラには該当せず、以下の3つの要素をすべて満たすものがパワハラと定義されます。

パワハラの3要素具体的な内容・定義
1. 優越的な関係を背景とした言動業務を遂行するにあたって、抵抗や拒絶をすることが困難である関係(職務上の地位だけでなく、人間関係や専門知識の有無なども含む)を背景に行われること。
2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの社会通念に照らし、明らかに業務上の必要性がない、またはその手段・態様が不適切であること。
3. 労働者の就業環境が害されるものその言動によって労働者が身体的・精神的に苦痛を与えられ、職場環境が不快なものとなったために、能力の発揮に重大な悪影響が生じること。

また、厚生労働省の指針では、パワハラの代表的な言動として以下の「6つの類型」が示されています。これらは職場で発生しやすい具体的なトラブルの指標となります。

パワハラの代表的な6つの類型

パワハラは、その行為の態様によって大きく6つに分類されます。客観的な状況や業務上の必要性を考慮した上で判断されます。

  • 身体的な攻撃:殴る、蹴る、物を投げつけるなどの暴力行為。
  • 精神的な攻撃:同僚の前で大声で怒鳴る、人格を否定するような暴言を吐く。
  • 人間関係からの切り離し:特定の社員を別室に隔離する、集団で無視する、送別会などの社内行事に呼ばない。
  • 過大な要求:到底達成不可能なノルマを課す、業務とは関係のない私的な雑務を強制する。
  • 過小な要求:能力や経験に見合わない程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない。
  • 個の侵害:プライベートな事柄に過度に立ち入る、休日の行動を監視・詮索する。

セクシュアルハラスメント(セクハラ)の判断基準

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることを指します。セクハラは、男性から女性に対してだけでなく、女性から男性、また同性間における言動も対象となります。

セクハラには、大きく分けて「対価型」と「環境型」の2つのタイプが存在します。

セクハラのタイプ定義と具体例
対価型セクシュアルハラスメント労働者の意に反する性的な言動に対して拒絶や抵抗をしたことにより、解雇、降格、減給などの不利益な取り扱いを受けること。
(例:交際を断られたため、不当な人事評価を下すなど)
環境型セクシュアルハラスメント職場における性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなり、能力の発揮に重大な悪影響が生じること。
(例:職場内に性的なポスターを掲示する、性的な噂話を流すなど)

セクハラに該当するかどうかの判断基準は、行為者の意図に関わらず、「被害を受けた労働者の主観」と「平均的な労働者の感じ方(一般的な労働者がどう受け止めるか)」を総合的に考慮して判断されます。「悪気はなかった」「親しみの表現だった」という言い訳は通用しません。

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(マタハラ)

妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(いわゆるマタニティハラスメント=マタハラ)とは、職場において行われる上司や同僚からの言動により、妊娠・出産した女性労働者や、育児休業等の制度を利用する男女労働者の就業環境が害されることを指します。

マタハラは、主に以下の2つのパターンに分類されます。

1. 制度等の利用に関する嫌がらせ(制度利用への支障)

産前産後休業、育児休業、介護休業、妊産婦の軽易業務転換などの「法律で認められた制度や措置」を利用しようとしたこと、あるいは利用したことに対して、上司や同僚が解雇や不利益な取り扱いをほのめかしたり、請求を諦めさせようとしたりする行為です。

(例:「育休を取るなら、戻ってきたときに席はないと思って」と発言する、育休申請を却下するなど)

2. 妊娠・出産等に関する嫌がらせ(状態に対する嫌がらせ)

女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、つわりなどの体調不良により業務に支障が出たことなどに対して、嫌がらせの言動を行うことです。

(例:「忙しい時期に妊娠するなんて無責任だ」「妊婦は戦力にならないから早く辞めてほしい」などの発言をする)

なお、このハラスメントは女性労働者に対する「マタハラ」だけでなく、男性労働者が育児休業を取得することに対する嫌がらせである「パタハラ(パタニティハラスメント)」や、介護休業の取得に対する「ケアハラ(ファミリーケアハラスメント)」も含んでおり、企業は性別を問わず包括的な防止策を講じる必要があります。

ハラスメント防止のために企業が取り組むべき基本ルール

企業が職場におけるハラスメントを防止するためには、厚生労働省の指針に基づき、雇用管理上必要な措置を講じることが義務付けられています。ここでは、企業がまず着手すべき3つの基本ルールについて詳しく解説します。

社内方針の明確化と従業員への周知啓発

ハラスメントを防止するためには、企業のトップが「ハラスメントは決して許さない」という強い姿勢を社内外に表明することが不可欠です。方針を明確にするだけでなく、全従業員に対して確実に周知・啓発を行う必要があります。

就業規則への明文化と規定の整備

口頭での宣言にとどまらず、就業規則や社内規定にハラスメントの禁止条項を明記することが求められます。具体的には、ハラスメントの定義、禁止行為、そして違反した場合の懲戒処分に関する規定を整備します。

整備すべき主な項目具体的な内容
ハラスメントの定義パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントなどの具体的な定義と該当する行為の例示
禁止の表明職場におけるハラスメント行為を一切容認しない旨の宣言
懲戒規定行為者に対するけん責、減給、出勤停止、懲戒解雇などの処分内容

従業員への周知・啓発活動の実施

規定した方針は、従業員に伝わらなければ意味がありません。社内掲示板への掲載、パンフレットの配布、社内イントラネットでの共有など、多様な媒体を用いて全従業員(正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣社員を含む)に対して継続的に周知を行います。

相談窓口の設置と適切な運用ルールの策定

従業員がハラスメントに直面した際、または目撃した際に、安心して相談できる窓口を設置することが法律上義務付けられています。

相談窓口の設置形態と担当者の選定

相談窓口は、社内だけでなく社外(弁護士事務所や外部の専門機関)に設置することも有効です。社内窓口を設置する場合は、男性・女性双方の担当者を配置するなど、相談者が心理的抵抗を感じにくい体制を整えます。

相談対応における必須ルールとプライバシー保護

窓口の担当者が適切に対応できるよう、あらかじめ運用マニュアルを策定しておく必要があります。特に重要なのは、相談者のプライバシーを厳重に保護することと、相談したことを理由とする不利益な取り扱いを絶対に禁止することです。

運用ルールにおける重要要素具体的な対策と留意点
プライバシーの保護相談内容や関係者の個人情報は秘密厳守とし、相談室の防音対策やデータのアクセス制限を行う。
不利益取扱いの禁止相談したことや事実関係の確認に協力したことを理由に、解雇や配置転換などの不利益な処遇を行わないことを社内規定に明記する。
対応プロセスの明確化受付から事実確認、解決に向けた措置、フォローアップまでの手順をあらかじめ定めておく。

ハラスメント防止に向けた定期的な管理職研修の実施

ハラスメントの発生を防ぐためには、現場のマネジメントを担う管理職の意識改革が極めて重要です。定期的な研修を通じて、正しい知識と指導方法を習得させます。

管理職向け研修で扱うべき重要テーマ

管理職は「業務上の適切な指導」と「パワーハラスメント」の境界線を正しく理解する必要があります。指導のつもりで行った言動がハラスメントに該当しないよう、具体的な事例を用いたケーススタディを研修に組み込むことが効果的です。

全従業員を対象とした一般研修の並行実施

管理職だけでなく、一般従業員に対してもハラスメント防止研修を実施することが推奨されます。全社的にハラスメントに対する共通の認識を持つことで、お互いを尊重し合える健全な職場環境の醸成につながります。

万が一ハラスメントが発生した際の正しい対応手順

万が一、社内でハラスメントの疑いが生じた場合、企業には迅速かつ適切な対応が求められます。対応を誤ると、被害が拡大するだけでなく、企業の社会的信用失墜や法的責任の追及に発展するリスクがあります。ここでは、ハラスメント発生時に企業が取るべき具体的な対応手順を解説します。

事実関係の迅速かつ正確な確認方法

ハラスメントの相談があった場合、最初に行うべきは客観的な事実関係の迅速かつ正確な把握です。感情論に流されず、中立的な立場から事実を積み重ねることが重要です。

1. 相談者(被害者)へのヒアリング

まずは相談窓口の担当者が、相談者から詳しい状況を聞き取ります。この際、プライバシーの保護と秘密厳守を徹底することを最初に伝えることで、相談者が安心して話せる環境を整えます。相談者の意向を確認しながら、いつ、どこで、誰から、どのような行為を受けたのかを時系列で記録します。

2. 行為者(加害者とされる人物)へのヒアリング

相談者からの同意を得た上で、行為者とされる人物に対してもヒアリングを行います。一方的な決めつけを避け、中立的な態度で事実関係を確認することが鉄則です。言い分が異なる場合は、双方の主張のズレを整理します。

3. 第三者(目撃者など)へのヒアリングと証拠の確認

双方の主張に食い違いがある場合は、同僚や上司などの第三者から状況を聞き取ります。また、メール、チャットツールの履歴、業務日報、録音データなどの客観的な証拠も確認します。

被害者への配慮と加害者への適切な処分

事実関係が確認されたら、速やかに被害者の救済と加害者への処分を行います。この段階では、二次被害の防止と就業環境の改善が最優先されます。

被害者に対する配慮とケア

被害者が安心して就業を継続できるよう、迅速な措置を講じます。具体的には、配置転換(部署異動)や、行為者との接触を避けるための勤務シフトの調整、産業医によるメンタルヘルスケアの提供などが挙げられます。

加害者に対する処分と就業規則の適用

事実関係に基づき、就業規則に則って加害者への処分を決定します。処分内容はハラスメントの重篤度や頻度に応じて適切に判断する必要があります。

処分の重さ具体的な処分内容対象となる行為の目安
軽度口頭注意、厳重注意、始末書の提出一時的な不適切な発言や、悪意のない軽微な言動
中度減給、出勤停止、降格継続的なハラスメント行為、業務に支障をきたすレベルの嫌がらせ
重度諭旨解雇、懲戒解雇著しい精神的・身体的苦痛を与える行為、性暴力、脅迫や暴行を伴うもの

処分の決定にあたっては、就業規則に明確な懲戒規定が定められていることが前提となります。事後のトラブルを防ぐためにも、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しながら慎重に進めることが推奨されます。

再発防止に向けた具体的な措置の策定

問題が解決したように見えても、同様のハラスメントが再発生するリスクは残ります。企業として同じ過ちを繰り返さないための仕組みづくりを行うことが、最終的な義務となります。

1. 事案の分析と課題の抽出

発生したハラスメント事案を分析し、「なぜその部署で発生したのか」「管理職の監督体制に問題はなかったか」といった根本的な原因を突き止めます。

2. 再発防止策の周知徹底

全従業員に対して、改めてハラスメント防止に関する方針を表明し、同様の行為が決して許されないことを周知します。この際、プライバシー保護の観点から、当事者が特定されないよう事例を抽象化して共有するなどの配慮が必要です。

3. 定期的な意識調査と研修のアップデート

定期的に社内アンケートを実施し、潜在的なハラスメントのリスクがないかをチェックします。また、これまでの研修内容を見直し、最新の判例や法改正、自社の課題を反映させた研修を定期的に実施することで、組織全体の意識改革を継続します。

まとめ

労働施策総合推進法の改正により、企業にはハラスメント防止対策が義務付けられています。ハラスメントの防止は、法的な義務を果たすだけでなく、従業員の離職防止や企業の社会的信用向上といった大きなメリットをもたらします。そのためには、社内方針の明確化や相談窓口の設置などの基本ルールを徹底し、万が一の発生時には迅速かつ客観的な事実確認と被害者への配慮を行う体制を整えることが重要です。ハラスメントのない健全な職場環境づくりを、企業全体で推進していきましょう。

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