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出張手当とは?企業が導入する手順や注意点など網羅的に解説!

投稿日:2023年5月9日 /

更新日:2024年2月13日

出張手当とは?企業が導入する手順や注意点など網羅的に解説!
● 人材定着● 労務管理● 定着率向上● 従業員満足度向上● 福利厚生● 経理● 経費精算

社員が出張する機会の多い会社にとっては、出張規定を定めて手当の上限を決めることでさまざまなメリットが期待できます。しかし導入するうえで、どういった手順があるのか把握できていない企業も少なくないはず。そこで今回は、出張手当の概要や導入手順を解説します。導入時の注意点も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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出張手当とは?

出張手当とは?

出張手当とは、従業員や役員が職場から離れた場所に出張する際に支払われる手当です。

各企業が自社独自の制度として運用しており、法的に定義されているわけではありません。

また企業によっては、「宿泊手当」や「出張日当」と呼ぶ場合もあるでしょう。

中小機構によると、出張手当は下記のように定義されています。

どのような場合に旅費の支給対象とするのかを具体的に決めておく必要があります。そのためには「出張」とは何かを、具体的に定義しておくことが重要です。一般に、宿泊を必要とする出張、もしくは片道100km~200km以上の移動を伴う日帰り出張を「出張」として取り扱う企業が多いようです。なお、「片道100~200km未満の場所に外出する場合は、単なる外出として交通費実費を支給し、日当は支払わない」とする場合には、その旨も記載しておきます。

出典:旅費交通費支給規程


出張は通常業務と異なり、移動や会社、宿泊といった長時間の拘束が発生します。

そこで発生する諸経費の補填・慰労を目的として支給される手当が、出張手当であると覚えておきましょう。


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出張手当の相場

出張手当の相場は、国内出張と海外出張で異なります。

  • 国内出張の場合
  • 海外出張の場合

それぞれ解説していきます。

国内出張の場合

国内出張の場合、出張手当は日額2,000円から3,000円が一般的です。

企業によっては、出張手当が出ない場合もあります。

経営陣であれば、5,000円までが出張手当の相場です。

国内出張における費用の詳細は、下記をご覧ください。

出張手当の内訳詳細
日当
  • 職場から100km以上の移動、もしくは7時間以上の出張の場合に支給される
  • 食事補助として支給されるケースが一般的
交通費・食費・接待費
  • 出張に伴う交通費は全額手当の対象になる場合が多い
  • 食費は出張手当の中に含まれているケースが一般的
  • 接待費は領収書で精算され、規定金額は企業で異なる
宿泊費
  • 実費による精算もしくは一律の金額を支給して、差額分の使途は自由としている
  • 企業によって規定上限額は異なる


出張手当を高額に設定すると経営状況を悪化させるだけでなく、課税対象になるリスクもあるので、自社の状況に合わせた金額を設定しましょう。

こちらの記事では、もし領収書を紛失した際の精算方法や対応について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

海外出張の場合

海外出張の場合は、国内出張と比べて出張手当の金額が高くなることが一般的です。

また、金額は出張先でも異なります。

支給額は低くても日額4,000円から5,000円、役職や出張先によっては10,000円以上になる場合もあるでしょう。

海外出張における費用の詳細は、下記をご覧ください。

出張手当の内訳詳細
日当
  • 訪問する国で物価が異なるため、出張先によって支給額は異なる
  • 北アメリカやヨーロッパは出張手当が高くなる傾向がある
交通費・食費・接待費
  • タクシーの利用を通費に含まれるケースが多い
  • 物価の関係で、食費も大きく異なる
  • 接待費は領収書で精算され、規定金額は企業で異なる
宿泊費
  • 役職や出張先によって支給額は異なる
  • 一般職であれば12,000円から14,000円が相場


海外出張は、国内出張より移動距離や拘束時間が長くなるため、支給額も多くなる傾向があります。

出張経費との違い

出張手当と出張経費の違いは、実費で精算するかどうかです。

精算に関する、それぞれの違いは下記をご覧ください。

  • 出張手当:1日あたりの出張日数に応じて固定金額を支払う
  • 出張精算:出張時にかかった経費は、領収書をもとに実費精算する

出張精算は、飛行機や新幹線の移動、ホテルの宿泊費が対象になるので覚えておきましょう。

また、一定の要件を満たした出張経費や一定金額以下の通勤手当は、所得税法上は非課税扱いです。

出典:給与所得となるもの


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出張手当のメリット・デメリット

出張手当のメリット・デメリット

ここまで、出張手当の概要や相場、出張経費との違いをお伝えしました。

続いて、出張手当のメリット・デメリットを解説します。

  • 出張手当のメリット
  • 出張手当のデメリット

それぞれ解説していきます。

出張手当のメリット

まずは、出張手当のメリットを解説します。

  • 各種税金を減額できる(節税)
  • 従業員のモチベーションがUPする
  • 出張経費よりも事務作業を減らせる

ひとつずつ解説していきます。

各種税金を減額できる(節税)

出張手当のメリットは、各種税金を節税できる点です。

法人税を例にして、節税される仕組みを見てみましょう。

税金の種類節税の仕組み
法人税
  1. 出張時の食事代や喫茶代は、一律に支給されるので費用として扱うことは難しい
  2. 業務との関連性を説明することも困難なため、会社の損金にし難い
  3. しかし、出張手当として支給すれば損金扱いされるため、法人税の節税になる


さらに国内出張の出張手当は仕入れ税額控除の対象になるので、消費税額を減額できます。

また、節税効果は企業だけでなく従業員にとってもメリットです。

出張手当は源泉徴収されずに全額支払われるため、社会保険料や年末調整の算定対象外として扱われます。

従業員のモチベーションがアップする

出張手当には、従業員のモチベーションをアップさせる効果があります。

出張は長時間の移動を伴ったり、生活環境が変わることで体調を崩したりすることから、できれば行きたくないと感じる従業員も少なくありません。

そういった従業員に対して出張手当を支給することで、下記の効果が得られるはずです。

  • 出張への意欲につながる
  • 従業員の前向きな姿勢によって、業務の効率化や業績が向上する

産労総合研究所の調査によると、調査企業の92%が「出張手当を支給している」と回答しています。

つまり出張手当を支給することは、従業員のモチベーションにつながっているといえるでしょう。

出典:2021年度 国内・海外出張旅費に関する調査結果

出張経費よりも事務作業を減らせる

出張手当のメリットは、出張経費よりも事務作業を減らせる点です。

出張時の宿泊費や交通費は、企業の総務担当が手配もしくは出張者の立替により精算されます。

とはいえ、領収書の収集や担当部署の確認といった手続きは面倒です。

出張手当を導入すれば、「出張日数×単価」で支給額を算出できます。

総務担当と出張者の事務コストを減らせるも、出張手当のメリットといえるでしょう。

出張手当のデメリット

次に、出張手当のデメリットを解説します。

  • 規定整備を行う必要がある
  • 支出が多くなる
  • 悪用されることがある

ひとつずつ解説していきます。

規定整備を行う必要がある

出張手当のデメリットは、導入前に規定整備を行う必要がある点です。

交通費や食費などを損金算入して課税仕入れとして処理するには、税務署から指摘されない論拠を準備しなければいけません。

そのため下記の規定を作成・追加しましょう。

  • 精算方法
  • 出張の定義
  • 領収書の提出
  • 日当や宿泊費の金額
  • 出張中の事故について
  • 交通費の上限額・計算方法
  • 出張中の勤務時間の取り扱い

規定整備で重要なポイントは、出張を定義したうえで出張手当の金額・支給条件を定義することです。

また、金額が不当に高くない根拠を文章に残す必要があります。

支出が多くなる

出張手当を新しく導入する場合、会社の支出は増えます。

そのため企業によっては費用面での負担が増えるだけでなく、利益率の低下を招くかもしれません。

出張手当には、諸経費の補填・慰労の目的はありますが、「支給額が大きすぎる」「会社の負担が大きすぎる」のであれば、支出は多くなってしまいます。

支出が多い場合は、下記の2点に注意しましょう。

  • 支給条件を見直す
  • 妥当な支給額に調整する

もしくは、同業種・同規模の出張手当を参考にする方法も有用です。

悪用されることがある

出張手当は、悪用される恐れのある点がデメリットです。

悪用事例として、本当は発生していない宿泊費や交通費などを会社に申請する不正行為があげられます。

ほかにも悪用される手口は、下記の5つです。

  • 架空の出張申請
  • 私的交際費の申請
  • チケットの払い戻し
  • 接待交際費の水増し
  • 金券付きプランでの予約

これらはれっきとした犯罪行為であり、詐欺罪(10年以下の懲役)もしくは、有印私文書変造罪・有印私文書偽造罪(3ヶ月以上5年以下の懲役)に相当します。

もしも悪用が発覚した場合は、宿泊履歴やチケットのキャンセル履歴などを調査したうえで、当人に事実確認を行いましょう。

対象者が不正事実を認めたら、就業規則に則った処分を下します。


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出張手当制度を始める手順

出張手当制度を始める手順

ここまで、出張手当のメリット・デメリットをお伝えしました。

続いて、出張手当制度を始める手順を解説します。

  • 出張旅費規程を整備する
  • 申請フローを社内で共有する
  • 出張手当制度を導入する

ひとつずつ解説していきます。

出張旅費規程を整備する

出張手当制度を始めるにあたって、まずは出張旅費規定を整備します。

規定の整備には、下記の手順が必要です。

  1. 規定案を作成する
  2. 関係部署との調整を行う
  3. 役員の承認を受ける

出張旅費規定の水準は企業によって異なるので、議論・作成などで時間がかかることを想定しておきましょう。

また、関係部署と調整する際は経理部や人事部、営業部の実態を把握したうえで作成します。

次に、出張を定義する際の例を見ていきましょう。

出張定義例

出張定義の例は、下記の通りです。

第○条(出張)
この規則における出張とは、原則として宿泊を必要とする出張、および片道○○○km以上の移動を伴う日帰り出張を言う。ただし、会社が必要と認めた場合には、片道○○○kmに満たない場合であっても、出張として取り扱う場合がある。
2.片道○○○km未満の場所に日帰りで外出する場合は、交通費実費を支給することとし、日当は支払わないものとする。
3.この規則における距離計算は、原則として所属勤務地を始点として計算する。

出典:旅費交通費支給規程


出張定義や支給条件は、自社の状況に合わせて作成しましょう。

申請フローを社内で共有する

出張旅費規定を整備できたら、申請フローを社内で共有しましょう。

せっかく規定を整備できても、従業員から理解を得られなければ上手な活用はできません。

そのため多くの企業は、「出張申請書」を活用して申請フローを整えています。

出張申請書のフローは出張手当に関する欄を作成して、支給条件を満たしていれば承認する流れです。

手続きに正しい手順は企業で異なるので、自社に合ったやり方を採用しましょう。

出張手当制度を導入する

社内に申請フローを共有できたら、出張手当制度を導入します。

導入した後で、制度に関する下記のトラブルや改善点が見つかることもあるでしょう。

  • 出張手当が思った以上の負担になっている
  • 従業員から「出張手当が少ない」と言われる

出張手当は従業員の給与に直結しているため、規定変更も視野に入れながら最適化することが大切です。

そのため規定変更後は、システムトラブルが発生しないか監視しましょう。

また、実際に出張した従業員にヒアリングして、改善点があれば改修を行います。

出張手当制度を導入するときの注意点

出張手当制度を導入するときの注意点

ここまで、出張手当制度を始める手順をお伝えしました。

続いて、出張手当制度を導入するときの注意点を解説します。

  • 出張手当分の資金を確保しておく
  • 設定する金額は常識の範囲内に止めておく
  • 出張費を節約する施策を講じる

ひとつずつ解説していきます。

出張手当分の資金を確保しておく

出張手当制度を導入する際には、出張手当分の資金を確保しておきましょう。

出張回数・対象者が多い企業が出張手当制度を導入すると、下記のリスクが考えられます。

  • 出張手当の支給が原因で、資金不足になる
  • 資金不足になることで、出張手当が支給できない
  • 出張手当以外で割ける費用も小さくなる

これらのリスクを回避するために、導入前にシミュレーションを行い必要資金を確保しておきましょう。

また、想定より金額が高くなりやすいのは、長期滞在の出張です。

対策として、出張旅費規定に「○日以上の宿泊を伴う出張は、出張手当は支給せず、転勤に準じて取り扱う」と定める方法があります。

設定する金額は常識の範囲内に留めておく

出張手当を設定する際は、常識の範囲内に金額を留めておきましょう。

常識の範囲内に留める理由は、下記のリスクを割けるためです。

  • 節税の効果を受けられない
  • 税務署から脱税していると疑われる

経費として認められる相場を基準にして、税務署に妥当性が説明できる金額を設定しましょう。

また、出張手当に該当するか判断に迷った場合は、自己判断ではなく税理士に相談する方法もあります。

出張費を節約する施策を講じる

出張手当制度を導入する際は、出張費を節約する施策を講じましょう。

  • Web会議を活用する
  • 出張予約システムを取り入れる
  • 外部委託する

それぞれ解説していきます。

Web会議を活用する

出張費を節約する施策として、Web会議の活用があげられます。

Web会議では、ZoomやGoogle Meetなどのツールが多くの企業に導入されており、ファイルの送受信やプレゼンテーションの際に利用されています。

これらのツールを活用するメリットは、下記の通りです。

  • 画面を共有できるため、紙の資料を用意する必要がない
  • 遠隔地でも打ち合わせできるので、出張手当や交通費がかからない

先方との打ち合わせだけが目的の場合、Web会議によって従業員の拘束時間や身体的な負担を軽減する効果もあります。


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こちらの記事では、おすすめのWeb会議ツール20選と選び方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

出張予約システムを取り入れる

出張費の節約には、出張予約システムの導入も効果的です。

出張予約システムでは、宿泊施設の予約や交通手段の手配、経費などを一元管理できます。

そのほかの導入メリットは、下記の通りです。

  • 出張費用を立て替える必要がなくなる
  • 宿泊施設・交通手段のサイトをひとつの画面で閲覧できるので、比較の手間が省ける

さらに、出張時のチケット支払いも一括請求できるため、経理部の負担も大幅に軽減できるでしょう。

また、管理者はリアルタイムで手配状況を確認できるので、手配が重複する心配もありません。


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こちらの記事では、経費業務を簡略化できる「経費精算システム」を導入するメリットやおすすめする経費精算システム10選を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

委託する

出張費を節約するには、ビジネルトラベルマネジメントに外部委託する方法もあります。

ビジネルトラベルマネジメントとは、業務渡航に特化している旅行会社がホテルや航空会社を代行して選定・予約・手配することです。

外部委託するメリットとして、下記の3つがあげられます。

  • 割引価格で宿泊先を手配してもらえる
  • 旅費規定の範囲内で最適な経路を提案してもらえる

外部委託費は発生しますが、旅行手配の負担と出張経費を削減できる可能性が高くなるでしょう。


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まとめ

まとめ

今回は、出張手当の概要や企業が導入する手順、注意点を解説しました。

出張手当の相場は、「国内出張=2,000円から5,000円」「海外出張=4,000円から10,000円」が一般的です。

またメリット・デメリットとして下記の6つをお伝えしました。

  • 各種税金を減額できる(節税)
  • 従業員のモチベーションがUPする
  • 出張経費よりも事務作業を減らせる
  • 規定整備を行う必要がある
  • 支出が多くなる
  • 悪用されることがある

本記事でお伝えした出張手当制度を始める手順や注意点を参考にして、自社に合った出張手当を取り入れましょう。

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参考にしたサイト

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