第二新卒とは?
第二新卒とは高校や専門学校、大学を卒業後で企業に就職して、1年〜3年以内に退職・転職を検討している人材を指します。
しかし、厳密に意味や定義を設けていない場合もあり、募集企業や転職サイトによっては「若手」と表記する場合もあります。
さらに、最終学歴によって対象年齢も変わるので、受け入れる年齢を高く設定している企業も少なくありません。
第二新卒の特徴は、下記の通りです。
- 社会経験がある
- 年齢が若く柔軟性も高い
- ある程度のビジネスマナーが身についている
また新卒とは違い、第二新卒は月日に関係なく通年採用できます。
そのため転職市場における第二新卒の需要は高く、自己実現を考えたうえで有利な状況といえるでしょう。
新卒・既卒・中途との違い
次に、新卒・既卒・中途との違いを解説します。
- 新卒との違い
- 既卒との違い
- 中途との違い
それぞれ解説していきます。
新卒との違い
第二新卒と新卒(新規卒業者)では、対象となる年齢が異なります。
新卒の場合、学校を卒業して間を開けずに企業へ就職する人が対象です。
また年齢に上限がなく、留年・浪人した場合も新卒として扱われます。
ほかにも第二新卒と異なる点は、下記の通りです。
- 新人研修・教育が必要
- 受動的なスタンスで仕事に取り組む人材が多い
つまり第二新卒には、自身の考えに基づいて能動的に仕事へ取り組める人に期待しているともいえるでしょう。
既卒との違い
第二新卒と既卒は、社会人経験の有無です。
第二新卒は、「学校を卒業してから1年〜3年以内に退職・転職を検討している人」と定義されています。
一方の既卒は、学校卒業後に一度も正社員として就職しなかった人が定義されます。
既卒として定義づけされる理由は、主に下記の通りです。
- 留学
- 就職活動の失敗
とはいえ、既卒を新卒として採用する企業も増えています。
厚生労働省の調査によると、新卒採用において既卒の応募を可能とした企業は全体の68%であると分かりました。
その内、実際に採用を行った企業は40%にのぼります。
つまり、既卒を新卒扱いとして採用する企業の割合は多いことが分かります。
出典:新規学卒者の採用枠で正社員を募集した際の既卒者の応募の可否及び採用状況別事業所割合(令和2年度新規学卒者)
中途との違い
第二新卒と中途(中途採用)の一番の違いは、社会人経験の長さです。
それぞれの違いを具体的に表すと、下記の通り表すことが一般的です。
- 第二新卒:学校を卒業後、1年〜3年以内の退職・転職
- 中途:社会人経験を3年以上積んでいる人の採用
つまり中途採用では、自社が必要としている高いスキルを持った人材を即戦力として採用する傾向があります。
「人材を自社で育てる」もしくは「入社後すぐに活躍してもらう」で違いがある、と覚えておきましょう。
ほかにも仕事に求められるものがそれぞれ異なり、それぞれ下記の通りです。
- 第二新卒:仕事に対するやる気や熱意
- 中途:業務に必要やスキルや知識
そのため中途を「キャリア採用」と呼んだり、第二新卒を「ポテンシャル採用」と呼んだりします。
こちらの記事では、採用活用において企業側がオンライン面接で準備すべきポイントや注意点などを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
企業が第二新卒を募集する理由
ここまで、第二新卒の概要や新卒・既卒・中途との違いをお伝えしました。
続いて、企業が第二新卒を募集する理由を解説します。
- 新卒採用を補完するため
- 経営状況が良くなり採用に投資できるようになるため
- 業界構造が変化したため
ひとつずつ解説していきます。
新卒採用を補完するため
企業が第二新卒を募集する理由は、新卒採用を補完するためです。
少子化の影響により、業種や職種を問わず企業の多くが、新卒採用だけでの人材充足は難しい状況が続いています。
実際に企業が採用予定数を確保できない理由は、下記の通りです。
- 十分な時間を採用活動に割けなかった
- 採用の計画が変更され、予定より多くの新卒採用を行うことになった
これらの理由から、新卒採用だけで充足できなかった人材を第二新卒採用で補完する企業は少なくありません。
経営状況が良くなり採用に投資できるようになるため
第二新卒だけでなく全ての採用活用は、世の中の景況感が影響しています。
一般的に景気が上向きになれば、企業の経営状況も良いです。
つまり経営状況が良くなることで、下記のメリットがあげられます。
- 人材の採用・育成に投資できるようになる
- 若手や未経験者のポテンシャル採用が活発になる
そのため第二新卒の採用が活発な業種や職種は、成長しているともいえるでしょう。
業界構造が変化したため
企業が第二新卒を募集する理由は、業界構造が変化したためです。
新規産業が生まれたり、業界構造が変化したりすると、多くの企業は積極的に人材採用を行う傾向があります。
つまり第二新卒に限らず、新卒や既卒、中途を募集する企業も増えてくるでしょう。
こちらの記事では、人材過不足を把握するにあたって重要な「人材ポートフォリオ」について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
企業が第二新卒を採用するメリット・デメリット
ここまで、企業が第二新卒を募集する理由をお伝えしました。
続いて、企業が第二新卒を採用するメリット・デメリットを解説します。
- 企業が第二新卒を採用するメリット
- 企業が第二新卒を採用するデメリット
それぞれ解説していきます。
企業が第二新卒を採用するメリット
企業が第二新卒を採用するメリットは、下記の通りです。
- 通年で採用することができる
- 人材育成コストをカットできる
- 就業意欲が高い
- 社内風土・文化になじみやすい
ひとつずつ解説していきます。
通年で採用することができる
企業が第二新卒を採用するメリットは、通年で採用できる点です。
企業側にとって、通年で採用できるメリットは下記の通りです。
- 採用活動時期や入社時期を企業のタイミングで決められる
- 仮に新卒の採用状況が良くなかった場合でも、時期を改めて採用活動を行える
また募集から内定までのプロセスも、短い期間で比較的簡単に行えます。
新卒採用であれば会社説明会の実施や応募者の選考、内定から入社までのフォローなどが必要です。
しかし第二新卒は、中途採用とほとんど同じ期間・要領で選考を進められるので、大幅に採用工数を抑えられます。
人材育成コストをカットできる
第二新卒は、人材コストをカットできるメリットがあります。
ほとんどの第二新卒者は、基本的なビジネスマナーや社会人としての基礎を学んでいます。
そのため、社員研修のコストと手間がかかりません。
また、第二新卒を採用している企業は新卒採用と比べて少なく、競争率がそこまで高くありません。
つまり優秀な人材を確保するという意味でも、有効な方法といえるでしょう。
就業意欲が高い
企業が第二新卒を導入するメリットは、就業意欲が高い人材を採用できる点です。
第二新卒者の特徴として、下記があげられます。
- 企業に馴染めるように努力する
- 覚悟を持って転職活動を行なっている
- 長く就業するという思いを持っている
そのため仕事に対する呑み込みが早く、企業への定着率も高いです。
社内風土・文化になじみやすい
第二新卒を採用するメリットは、社内風土・文化になじみやすい点です。
社会人経験の長い中途を採用した場合、前職の企業カラーやプライドが邪魔をしてしまい、新しい風土・文化に馴染めない場合があります。
そのため入社しても企業になじめず、離職してしまうかもしれません。
しかし、ファーストキャリアの短い第二新卒は前職に染まっていないので、仕事に対する熱意や意欲に働きかけながら、新しい社内風土・文化に適応できます。
企業が第二新卒を採用するデメリット
企業が第二新卒を採用するデメリットは、下記の通りです。
- 即戦力になり得ることは少ない
- 早期離職の可能性が高い
- 前職と比較することが多い
ひとつずつ解説していきます。
即戦力になり得ることは少ない
第二新卒を採用した場合でも、即戦力になり得ることは少ないです。
基本的なビジネススキルは習得できていますが、即戦力となる経験や実績は多くありません。
そのため過度な期待を持ちすぎると、第二新卒者へのプレッシャーになってしまうでしょう。
選考活動を行う際は、「どういった経験や能力があるか」だけでなく、今後の成長につながる潜在能力を見極めなければいけません。
キャリア採用のような、即戦力になり得ることは少ない点に注意が必要です。
早期離職の可能性が高い
第二新卒者は、早期離職の可能性が高い点もデメリットです。
第二新卒者は前職を1年〜3年で退職しており、「また短期間で離職されるのではないか」と不安に感じている採用担当者も少なくありません。
とはいえ、「第二新卒=忍耐力がない・すぐに辞めてしまう」と判断するのは早計です。
選考の際には、下記の点を明らかにして第二新卒者へ向き合いましょう。
- どうして前職を辞めたのか
- 辞めた原因は何だと考えているか
そのため先入観にとらわれず、自社に定着できるかどうかを客観的に見極めることが重要です。
前職と比較することが多い
第二新卒は、前職と比較することが多い点がデメリットです。
新卒であれば就業経験がなく、比較企業もないため職場環境を受け入れやすい傾向があります。
しかし第二新卒は、給与や待遇、人間関係などを前職と比べてしまい不満に感じてしまうことも少なくありません。
そのため入社後のミスマッチや早期離職を防止するために、面接の際に前職での不満を聞いて確認しましょう。
第二新卒の採用を成功させるポイント
ここまで、企業が第二新卒を採用するメリット・デメリットを解説しました。
続いて、第二新卒の採用を成功させるポイントを解説します。
- ターゲットを明確にする
- 人物像を見極める
- 適した媒体を活用する
- 採用・配属・教育を見据えて計画する
ひとつずつ解説していきます。
ターゲットを明確にする
第二新卒の採用を成功させるポイントは、ターゲットの明確化です。
新卒や中途採用以上に、「どういった人材が必要なのか」を明確にする必要があります。
明確化されるメリットは、下記の通りです。
- 入社後の定着率につながる
- より良いアプローチ方法が見つかる
- 採用担当者の間で認識の擦り合わせができる
第二新卒者でも、できること・できないことの幅は異なります。
そのため自社が求める人材を絞って、採用活動を行わなければいけません。
人物像を見極める
第二新卒の採用活動では、人物像の見極めが重要です。
採用担当者の多くは、長期的に働いてくれる人材を求めています。
そのため1年〜3年以内に退職経験のある第二新卒を選考する際は、前職の退職理由や原因だけでなく、人物像も見極めましょう。
適した媒体を活用する
人材募集を行う際は、第二新卒に適した媒体を活用しましょう。
一般的な転職サイトでも第二新卒は募集できますが、ユーザーの年齢層が幅広いため効率の良い採用活動は難しいです。
「マイナビ転職」や「リクナビNEXT」内の特集を活用したり、20代・第二新卒の求人を取り扱っている「Re就活」を活用したりする方法もあります。
こちらの記事では、20代や第二新卒向けの転職サイト「Re就活」の概要や評判、メリット・デメリットについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
採用・配属・教育を見据えて計画する
第二新卒の採用を成功させるには、採用・配属・教育を見据えて計画しましょう。
まずは人材を育成するための教育プランとして、下記のようなレベルに分けます。
- 社会人経験はほとんどない
- 前職で基本的な研修は受けている
- ビジネススキルが備わっており、すぐに働ける
採用段階で、入社後の教育体制やOJT計画を立てましょう。
また、第二新卒者の能力やスキルによって配属部署が異なるので、現場との擦り合わせも必要です。
まとめ
今回は、第二新卒の概要や採用するメリット・デメリット、企業が募集する理由を解説しました。
第二新卒とは高校や専門学校、大学を卒業後で企業に就職して、1年〜3年以内に退職・転職を検討している人材を指します。
また、企業が募集を行う理由として、下記の3つをお伝えしました。
- 新卒採用を補完するため
- 経営状況が良くなり採用に投資できるようになるため
- 業界構造が変化したため
第二新卒を採用するメリット・デメリットも、それぞれ確認しておきましょう。
本記事でお伝えした「ターゲットを明確にする」「人物像を見極める」などのポイントを参考にして、自社に適した第二新卒者を採用しましょう。
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