サブスクリプションとは?
サブスクリプションとは、定額料金を支払うことによって商品・サービスを一定期間利用できるストック型ビジネスモデルです。
動詞の「サブスクライブ(subscribe)」が由来となっており、「定期購読・継続購入」といった意味があります。
サブスクリプションの特徴は、下記の通りです。
- 商品代金やサービス利用料を毎回請求せずに、定額を継続的に支払う
- 料金を支払っている期間は、商品・サービスを利用できる
- 契約が終了すると商品・サービスは利用できない
代表的な例として、動画配信サービス「Netflix」や音楽配信サービス「Spotify」があげられます。
サブスクリプションは、今までの「所有」から「利用」するビジネスモデルとして、ユーザーの生活環境合わせたサービスを展開しています。
次に、サブスクリプションと下記に5つとの違いを見ていきましょう。
- 定額制・月額制との違い
- リカーリングとの違い
- リースとの違い
- レンタルとの違い
- シェアリングエコノミーとの違い
それぞれ解説していきます。
定額制・月額制との違い
定額制・月額制がサブスクリプションと異なる点は、下記の通りです。
- 商品・サービスを購入するより割安で解約できる
- 契約後に商品・サービスをアップデートする必要ない
- 短期から長期間、商品・サービスを定額で利用できる
定額制・月額制は、特定の商品・サービスの「購入」に対して料金を支払います。
しかしサブスクリプションは、「ユーザーの需要」に注目して商品・サービスが用意されており、料金が変動することも特徴です。
定額制・月額制の代表例として、社労士や税理士との顧問契約があげられます。
顧問契約は広義として、需要に関わらず一定の品質が得られる「購入」と捉えられています。
つまり、購入と需要のどちらに置いているかで異なる点を覚えておきましょう。
リカーリングとの違い
リカーリングがサブスクリプションと異なる点は、下記の通りです。
- 短期または長期契約を結び、商品・サービスを従量制で利用できる
- 追加で商品・サービスを購入する必要がない
- 従量課金での支払いもしくは消耗品の購入が必須となる
リカーリングは契約期間内であっても、利用回数や頻度に応じて料金が変動します。
しかしサブスクリプションは、期間内の利用における料金は一定です。
また、リカーリングの代表例には、水道・電気・ガスなどの公共料金があります。
リースとの違い
リースがサブスクリプションと異なる点は、下記の通りです。
- 高額な商品が長期間で割安に借りられる
- 好みや用途に応じて借りたい商品を選べる
リースは契約期間が長く、約半年〜10年ほど契約を結ぶ場合もあります。
そのためコピー機や車内車、医療機器などの設備で利用されることが一般的です。
ただし、一度契約してしまうと原則として途中解約できないので注意しましょう。
サブスクリプションは個人が利用するサービスであるのに対して、リースは企業向けの貸し出しサービスといえます。
レンタルとの違い
レンタルがサブスクリプションと異なる点は、下記の通りです。
- 商品や場所を短期間で割安に借りられる
- 数時間〜数日の単位で手軽に借りられる
レンタルはひとつのモノを不特定多数のユーザーに貸し出しているので、中古品を利用する場合があります。
また返却期間や契約期間が設けられている場合は、期日までにユーザーは商品を返却しなければいけません。
レンタルの代表的として、レンタカーやDVD、着物などがあげられます。
繰り返して貸借する場合はサブスクリプション、単発での貸借はレンタルの仕組みが取り入れられている点を覚えておきましょう。
シェアリングエコノミーとの違い
シェアリングエコノミーがサブスクリプションと異なる点は、下記の通りです。
- 短期から長期の契約で、個人資産やスキルを借りられる
- 継続利用の縛りがなく、手軽に利用できる
また、シェアリングエコノミーが活用されている分野として、下記の4つがあります。
活用されている分野 | 詳細 |
モノ |
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スキル |
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空間 |
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移動 |
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お金 |
|
シェアリングエコノミーは、今までの「所有」から「使用」する価値観の変革と共に登場したビジネスモデルです。
ただし個人間で貸し借りを行うため、トラブルのリスクがある点は注意しましょう。
【事業者側】サブスクリプションのメリット・デメリット
ここまで、サブスクリプションの概要とそれぞれの違いをお伝えしました。
続いて、事業者側から見たサブスクリプションのメリット・デメリットを解説します。
- サブスクリプションのメリット
- サブスクリプションのデメリット
それぞれ解説していきます。
サブスクリプションのメリット
まずは、サブスクリプションのメリットを解説します。
- 安定的・継続的な売り上げが見込める
- 新規ユーザーの獲得が容易になる
- サービス改善へつなげられる
ひとつずつ解説していきます。
安定的・継続的な売り上げが見込める
サブスクリプションは安定的・継続的な売り上げが見込める点がメリットです。
利益や売上は「ユーザー数×月額利用料」で計算できるので、簡単に試算できます。
これまでの売り切り型ビジネスモデルでは、売上が毎月変動するため、事業投資が難しい場合がありました。
しかしサブスクリプションは、安定した売り上げを見込めるためサービスへの投資が行いやすいです。
そのため利用者が求める機能や魅力的なサービスに改善していくという、好循環を作れるでしょう。
新規ユーザーの獲得が容易になる
サブスクリプションを活用することで、新規ユーザーの獲得が容易になります。
例えば音楽の聴き放題のサービスをサブスクリプションで利用するメリットは、下記の3つです。
- 実際の購入金額より少額で音楽を聴ける
- 「初月無料」「3ヶ月無料」などのキャンペーンを打ち出すことで、利用ハードルが下がる
キャンペーンは、「お試しで使ってみよう」と考えるユーザーもいるはずなので、さらに多くの新規ユーザー獲得につながるでしょう。
サービス改善へつなげられる
サブスクリプションは継続課金型ビジネスであるため、ユーザーの利用履歴データを長期間にわたって蓄積できます。
そのため、下記の効果が期待できるでしょう。
- 蓄積データを活用したサービスの改善
- ユーザーの満足度を高めたうえでの解約率の低下
サービスによっては、ユーザーの履歴を基にコンテンツのレコメンド機能が搭載されているので、機能の改善・パーソナライズ化に寄与するでしょう。
こちらの記事では、販売戦略を設計する際に欠かせない「LTV」の測定方法や向上させるポイント、おすすめツールを10選紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
サブスクリプションのデメリット
次に、サブスクリプションのデメリットは下記の通りです。
- 収益化まで時間がかかる
- サービス改善を続ける必要がある
- カスタマーサクセスに注力する必要がある
ひとつずつ解説していきます。
収益化まで時間がかかる
サブスクリプションのデメリットは、収益化まで時間がかかる点です。
ビジネスを始めた直後は、ユーザー数が少ないことを想定していなければなりません。
そのため初期の段階では、下記の2点を理解しておきましょう。
- すぐに利益が出づらい
- 開始当初は赤字の可能性がある
また、初期投資で発生したリソースやコンテンツを回収するまで時間がかかる点も認識していなければいけません。
とはいえユーザー数の増加に伴って、利益の最大化が見込めるでしょう。
サービス改善を続ける必要がある
サブスクリプションはユーザー満足度を高めるために、サービス改善を続ける必要があります。
「購入」よりも安価で商品・サービスが利用できるビジネスモデルですが、ユーザーに飽きられると解約につながってしまうでしょう。
そのため、下記の2点を継続する必要があります。
- 商品・サービスの質や量の担保
- 常に魅力的で新しいコンテンツの導入
また、これらには一定のコストがかかるので覚えておきましょう。
カスタマーサクセスに注力する必要がある
サブスクリプションは、ユーザー数が少なければ成立しないビジネスモデルです。
機能改善や新規コンテンツ制作が疎かになると、ユーザーの離脱に直結するので注意しなければいけません。
そのためユーザーの離脱を防ぐために、カスタマーサクセスへの注力が必要である点を理解しておきましょう。
継続的にコストがかかるので、事前に損益シミュレーションを組んでおくことも重要です。
サブスクリプションビジネスを成功させる方法
ここまで、事業者側から見たサブスクリプションのメリット・デメリットをお伝えしました、
続いて、サブスクリプションビジネスを成功させる方法を解説します。
- 申し込みのハードルを下げる
- プランを豊富に用意する
- カスタマーサクセスに注力する
- オーダーメイドやレコメンド機能を活用する
それぞれ解説していきます。
申し込みのハードルを下げる
サブスクリプションビジネスを成功させるには、申し込みハードルを下げる方法があります。
具体的な方法と流れは下記の通りです。
- 新規ユーザーに無料で利用できるお試し期間を設ける
- 「無料だったら使ってみよう」と心理的ハードルを下げられるので、ユーザー獲得につながりやすい
すでに商品・サービスを利用している顧客の場合は、利用に応じてポイント制度を設けたり、新規ユーザーを紹介した際に得点を付与したりするなどのキャンペーンも企画できます。
プランを豊富に用意する
サブスクリプションビジネスを実施する際は、プランを豊富に用意しましょう。
豊富なプランを用意することで、利用者は料金と商品・サービス内容を比較して、自分に合ったプランを選択できます。
カップルプランやファミリープランを用意する方法も、利用促進につながるでしょう。
ただし料金体系が複雑になってしまい、ユーザーが分かりにくいと感じない配慮が必要です。
そのため企業側は、下記の点を注意しましょう。
- 提供価値に見合った価格であるか
- ユーザーのニーズに提供価値が合っているか
- 提供価値が正しく分かりやすく伝わっているか
他社との価格競争にとらわれてお得なプランを作った場合でも、採算が合わず挫折してしまうケースも散見されます。
カスタマーサクセスに注力する
サブスクリプションビジネスでは、カスタマーサクセスに注力することが重要です。
カスタマーサポートやカスタマーサービスは、顧客から問い合わせが合った際に対応します。
しかしカスタマーサクセスは、上記の2つとは役割が異なります。
具体的な役割は、下記の通りです。
- 解約率の削減
- 追加受注の増加
- 紹介案件を発生させるための種まき
- 提供商品・サービスへのフィードバック収集
サブスクリプションビジネスでは、ユーザーに能動的に働きかけるカスタマーサクセスの存在が、顧客満足度の向上とサービスの継続利用に寄与しています。
こちらの記事では、カスタマーサクセスの成功事例5選とポイント、成功させるためにサービス・ツールを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
オーダーメイドやレコメンド機能を活用する
サブスクリプションビジネスでは、オーダーメイドやレコメンド機能の活用が成功を左右します。
ユーザーの利用履歴データから、おすすめの商品・サービスをレコメンド・オーダーメイドできれば、顧客満足度の向上につながるでしょう。
ユーザーの期待以上の商品・サービスを提供できれば、ユーザーの継続利用が期待できるはずです。
まとめ
今回は、サブスクリプションの特徴や事業者が活用するメリット・デメリット、成功させる方法を解説しました。
サブスクリプションとは、定額料金を支払うことによって商品・サービスを一定期間利用できるストック型ビジネスモデルです。
事業者側が活用するメリット・デメリットとして、下記の6つをお伝えしました。
- 安定的・継続的な売り上げが見込める
- 新規ユーザーの獲得が容易になる
- サービス改善へつなげられる
- 収益化まで時間がかかる
- サービス改善を続ける必要がある
- カスタマーサクセスに注力する必要がある
本記事でお伝えした「申し込みのハードルを下げる」「プランを豊富に用意する」などの方法も参考にして、自社に適したサブスクリプションビジネスを導入しましょう。
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