登壇者プロフィール
実業家。プロバスケットボールBリーグ秋田ノーザンハピネッツ株式会社 代表取締役社長。
秋田ノーザンハピネッツの活動や企業理念
本日はよろしくお願いします。秋田ノーザンハピネッツは、Bリーグというプロバスケットリーグに所属をしています。一番上のB1リーグに所属しているクラブ、およびその運営会社になります。
最初にノーザンハピネッツについて簡単にご紹介できればと思います。2009年に設立した会社で、プロバスケットボールのチームのシーズンとしては13シーズン目に入るところです。昨今Bリーグ自体で言うと、大企業例えばアルバルク東京でトヨタ社でありますとか、川崎ブレイブサンダースのDeNA社、島根のスサノオマジックのバンダイナムコ社など、大企業が資本に入っているクラブ運営会社が増えてきています。
一方で我々は、秋田に根づいた会社として、地元企業法人の出資を中心として立ち上がった会社になります。我々の企業理念というのは、新しい挑戦を通じて、「自らの限界」と「型にはまった思考」を打ち破り、世の中ににかつてないハッピーとワクワクを提供しますということで、プロバスケットボール事業をメインになりますが、どんどん新しいチャレンジをしていて、世の中、特に秋田を面白くしていきたいということを目指しています。そうはいっても、我々はプロバスケットボールチームが中心事業ですので、プロバスケットボールチームとして目指していることとして、県民球団宣言に3つの理念と7つのビジョンというのがあります。
3つの理念の1つ目、「ハピネッツプライド」として、やはりプロスポーツクラブとして世界に通用するようなチームであるなど選手育成、そういったものを目指しています。ただそのベースにあるのは、常に選手たちに全力プレーをしてもらってその結果 、見に来ていただいた皆さんに元気とか勇気、希望、そういったものが与えられるところを目指しています。また、プロスポーツチームとしてというと、チームがあれば当然フロントスタッフもいますので、その両者がリスペクトし合えるような、両輪でクラブを成長させていくということを目指しています。
2つ目の理念は「アリーナ・エンターテイメント」です。我々のバスケットボールの試合を単に見せるだけではなく、試合会場の空間、アリーナ空間を楽しんでもらいたいということがベースにあります。非日常空間を作ったり、やはり秋田のクラブとして「秋田らしさ」というものをミックスさせていきながら、ワクワクするような空間を提供していくことを目指しています。
3つ目が「オラホイズム」という考え方ですけど、地域密着し秋田に根差した活動をしていって秋田というものを全国、そして世界に発信していくということを目指しています。この3つの理念を具現化していくために、7つのビジョンというものを定めています。7つのビジョンについては、興味ある方がいたらホームページを是非見ていただければなと思います。
- 常に成長するノーザンハピネッツ
- 安定経営の追及
- ステイクホルダーズとの信頼関係構築
- スポーツの普及と選手の育成
- スポーツエンタテインメント
- ホームアリーナ構想
- ブースター主義
Bリーグの変革期に向けてのチャレンジ
実際平均観客数4,000名というのはかなり、今のBリーグの中ではハードルは高い方です。我々がコロナ前で平均観客数3,400名ぐらいでしたので、まだまだコロナが影響がある中で4,000人に持っていくということをこのシーズンのチャレンジに置いています。
秋田でのSDGsの取り組みがどのように地域の活性化に繋がっていくか
実際私がこのクラブを立ち上げる活動を一番最初に始めたのが2007年ですが、当時は人口が111万人ぐらいでした。今では93万人ということでかなり減っています。年々1万人以上、人口が減っているような状況です。そこには少子化という問題もあれば高齢化率もあり、高齢化率は全国ワースト1位です。実際秋田市でも約35%の人が高齢者。秋田市の人口が31万人に対して約10万人が65歳以上というような現実があります。
実は、少子高齢化の問題というのは「東京でもどんどんこれから進んでいく」という風に言われてます。そのトップランナーというのが秋田です。この秋田で新しい取り組みをしていく中で地域に貢献し、またその事業というものが全国に展開できるのではないかという風に考えています。我々がこの「課題先進県のプロスポーツチームだからこそできる、ここにしかない取り組みで未来を築こう」ということで、SDGsのコンセプトを作っています。
プロバスケットチームが子ども食堂をオープンさせた理由
特に子ども食堂ですが、我々は去年の10月末から秋田県内で、日本のプロスポーツチームで初めて常設の子ども食堂をオープンしました。そのオープンに至った背景は、そもそもまず秋田県内に子ども食堂というのが当時21カ所あったんですが、常設のものは0でした。かつ21カ所でやっているNPO法人の子ども食堂というのは公共施設を使ってやるケースが多かった。実際それはコロナ禍になって、例えばワクチンの接種会場になって場所を借りれなくなるなど非常に活動が停滞してしまう状況になっていたというのがあります。
もう一つは、実際の数字として秋田県内の一人親家庭の子供の数1万6,000人です。その一人親家庭の収入を見ていくと、秋田県の方で公開してる資料でほとんどが母子家庭です。母子家庭の年収の一番のボリュームゾーンは、125万から180万。これが28.9%です。かつそれ以下を見ていくと、トータル約60%が実際180万円以下で子供を育てているというような世帯年収になっています。ということから我々は、県民球団を目指す上で一人親世帯のサポートをしていくべきだろう、というところがあり常設の子ども食堂をオープンすることになりました。
我々のコンセプトというのは、「明るく、楽しく、そして安心できる場所」という形です。ですので「みんなのテーブル」という名前になっています。 実際に大きなテーブルが子ども食堂にありまして、みんなで食べるというようなところをやっています。現在は、週4日、火曜日・水曜日・金曜日・土曜日に運営をしており、夕方4時から夜8時まで中学生以下の子どもは全て無料。大人1,000円という形です。ターゲットの一人親世帯をサポートをしていきたいと考えてますので、一人親世帯の親も週に1回は無料で食事ができるという会員制度というものをしています。
オープンして約7カ月ほど経っていますが、片親が延べ約500世帯に利用していただいており、トータル2,000名ぐらいの利用をいただいています。今回このオープンに至った元々の考え方で言うと、実はうちの選手というのがあります。若い選手に関して、栄養価のある食事をとってもらいたいが、我々の事業規模だと寮を整備し運営するのに大変お金がかかる、難しい。それなら選手が食事をとれる場所をオープンしたらいいのではないかということになりました。
ただ選手だけですと、チームで13名契約選手がいるんですが、そのうち若手選手というのは 4、5名です。その選手のためだけに食堂をやるのも、これもあまり効率的じゃないなということで 、5年ほど前から子ども食堂というものが非常に世の中的にも注目され始めてましたので、そういった場にして選手が子供たちと一緒に食べられれば良いのではないかと思い、 それを目指してオープンしました。
子ども食堂を運営するにあたっての課題への取り組み
今回スタートするにあたって、休眠預金の助成金事業を使わさせていただいてまして、スタートはまずそちらの助成金でお金をかけることができました。そこの部分で約半年間、今年2月まで助成事業としてやらさせていただいたので、ほとんど持ち出しなくやることができました。ただそれ以降、3月からは当然、家賃から人件費、食材費、光熱費等がかかっていきます。年間でおそらく約700~800万円ほど通常やっていくとかかっていく状況です。その運営費をどう下げていくか今取り組みをしているのは、農家さん、直売所と提携をして、廃棄するような規格外の野菜等をその直売所に持ってきてもらい、我々が回収するということで寄付をいただいています。
あとはプロスポーツチームとしていろんな企業とのネットワークがありますので、そういった中から卵を提供してくれる企業が出てきたり、お肉を提供している企業が出てきたりとそんな形でできるだけ食材費を下げる取り組みをしています。また運営費をカバーしていくために協賛の仕組みを今作り始めており、持続可能なモデルを作っていこうと取り組んでいます。我々が秋田で県民球団を目指してこの12年間活動している中で、「みんなのテーブル」というこの子ども食堂オープンした以上は、大変だからやめますというのはできないと考えています。まずやる、ずっとやり続けるということを決めてスタートをしていますので、この活動はこれからもやり続けていくということになると思っています。
そのほかのSDGsの取り組みとこれからの活動について
ただやはりいち企業でやってる活動ですので、なかなか発信力が足りない。そこで我々と一緒にやるという取り組みになりました。試合会場でエコキャップ運動をやり、キャップをファンの方々がたくさん持ってきてくれるんですけども、 回収ボックスを設置しています。今までやってきた活動よりも非常に多くの量を回収をできているといった取り組みをスタートしています。子ども食堂の活動をやっていく中で、秋田の色々な子供の支援をしているNPO団体と連携する機会が増えてきました。その中でNPO団体がフードドライブをかなりやられているということで、そこに我々が協力をして連携していこうと、このフードドライブを試合会場に箱を設置して毎試合ファンの方などに、家でもう食べなそうな食材等を持ってきてもらうというようなことをやっています。
もう1つがユニバーサルスポーツに対する取り組みです。試合会場で体験会というような形のものをやり始めています。ボッチャやブラインドテニス、車椅子バスケットなどを体験するブースを設けています。実際こういったものにSDGsパートナーという形で、協賛、サポートしていただく企業も今募り始めています。そもそも我々がこのSDGsというものを掲げて、昨シーズンより発信し始めましたけども、前提にあるのは地域貢献活動というのは、この秋田でプロバスケットチームを根付かしていく、永続させていくためにはなくてはならない活動だと思ってます。
この数年、SDGsというものが非常に世の中的に出てき、 各企業が取り組まなきゃいけないという形で、我々もある意味その流れに乗ってはいるものの、ベースにあるのは常に地域活動をやっていく、それはSDGsという考え方が出る前から我々がチームを立ち上げるところからやっています。ですので色々な地域活動に参加したりということをやってまして、昨シーズンは約180回の地域活動に参加をしています。ただコロナ前は約200回以上やっていましたので、やはりコロナ禍によって活動が少し減っているというのが現実としてはあります。ですのでまたコロナが収束していく中で、もっと数を増やしていって我々としてはいかに地域に密着し根差していくかということを目指してやっています。
最後に我々はこのクラブを大きくしていくということを目指しています。そしてこの秋田でなくてならない存在になっていく、そのためにはやはり我々スポーツエンターテインメントというものを目指している以上、施設が重要だと思っています。我々は近い将来、この秋田にアリーナを実現してさらに多くの方に楽しんでもらう、ということを目指してやっています。私の方からの発表は以上となります。
まとめ
地方創生サミット2022 スポーツによる地方創生/地方自治体の取り組み Day4 アーカイブ
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