タレントマネジメントシステムとは
タレントマネジメントとは、社員の基本情報やスキル・経歴などを可視化し、人材育成や人材配置に役立てる方法です。タレントマネジメントシステムは、それらを効率的に行うシステムを指します。
近年、少子高齢化などの影響で人材不足が深刻化しています。企業は優秀な人材の確保が急務となり、タレントマネジメントが日本でも取り入れられるようになりました。
タレントマネジメントシステムを導入するメリット
まずは、タレントマネジメントシステムを導入すると得られる主なメリットについて解説していきます。導入のメリットは、次の3点です。
- 評価業務を効率化できる
- 戦略的な人材配置ができる
- 人材開発に繋がる
評価業務を効率化できる
タレントマネジメントシステムを導入すれば、社員の基本情報やスキル・経歴・労務データなどをデータ化して一元管理できます。社員データを客観的に分析でき、人事評価業務の効率化に活用可能です。
評価業務にかける時間が減ることで、人事部が注力すべきコア業務に時間を割けるようになるでしょう。
戦略的な人材配置ができる
タレントマネジメントシステムを活用し社員のスキルや能力・経歴などを可視化することで、より戦略的な人材配置ができます。
個別のデータや紙で管理をしていると、組織にいる人材の全体像がなかなか見えてきません。システムを利用すれば、すべての社員や部署の特徴なども把握でき、最適な人材配置を行えるのです。
人材開発・育成に繋がる
タレントマネジメントを活用することで、社員の適性を考慮した人材開発・育成を行えます。
どのような研修や業務を行えば社員が成長できるかを個々に見ることができ、無理のない目標設定やパフォーマンスの評価ができるようになるでしょう。
過去の目標や結果を参照しながら人材開発や育成に活かせるのもポイントです。
タレントマネジメントシステムの選び方
それでは、タレントマネジメントシステムはどのように選べば良いのでしょうか。
比較するポイントは以下の通りです。
- システムの強みで選ぶ
- 機能で選ぶ
- 料金で選ぶ
- サポート体制で選ぶ
システムの強みで選ぶ
タレントマネジメントシステムは、それぞれ機能や特徴・強みが異なります。システム自体にも、人事評価特化型や人材育成特化型、人事に関するあらゆる機能を統合した総合型などの違いがあります。
比較の際は、自社の導入目的に沿ってシステムを選ぶことが大切です。人事部門の業務効率化を目指すのであれば、まずは現在コストがかかっている業務を洗い出してみると良いでしょう。
機能で選ぶ
タレントマネジメントシステムの基本機能は、プロフィール・スキル検索機能やレポート・分析機能、目標設定・管理機能など多岐に渡ります。
システムによって搭載されている機能が異なるため、自社の目的を満たす機能が搭載されているかをチェックする必要があります。追加オプションとなる機能もあるため、事前に比較することが大切です。
料金で選ぶ
システムの料金は、プランや利用人数などによって異なります。機能も多岐にわたるため、実際の料金は問い合わせなければ分からない場合も多くあるでしょう。
一般的には、機能が増えれば増えるほど料金もアップします。無料トライアル期間を設けているシステムもあるため、検討する際は一度試してみるのがおすすめです。
サポート体制で選ぶ
タレントマネジメントに難しい作業はなさそうに見えるかもしれませんが、実際は人事戦略に基づく専門的な知識が必要な場面も多くあります。システムを使う上で不明点が出てきた時に、すぐに解決できるサポート体制が整っているかを確認しておきましょう。
システムによっては、専門家によるコンサルティングを受けられることもあります。
【総合】おすすめのタレントマネジメントシステム
それではここからは実際にタレントマネジメントシステムを比較しながらみていきましょう。
まずは、多機能で総合的におすすめできるシステムを6つ紹介します。
HRBrain
株式会社HRBrainが提供するHRBrainは、詳細な人材データを一元管理でき、分析・活用を通して人事業務の効率化や組織の見える化、戦略的な人材配置を実現します。
人事業務に関わるあらゆる機能を備えているのがポイントです。データ管理だけを行いたい場合は、機能を制限したプランもあり、自社に合わせてプランを選択できます。
スマカン
スマカン株式会社が提供するスマカンは、分散しがちな人材情報を一元管理し、社員情報を瞬時に把握できます。
人材データをさまざまな方法で分析でき、グラフ化などで視覚的に分かりやすいビジュアライズを活用している点が特徴です。デバイスを問わず使いやすいインターフェースで、外出先からも気軽に閲覧や編集ができるのも高ポイントです。
カオナビ
株式会社カオナビが提供するカオナビは、社員の顔写真と名前が並ぶデータベースが特徴的なシステムです。
社員のあらゆるデータを集約し、表示ビューの切り替えも可能です。項目はドラッグ＆ドロップで簡単にカスタマイズでき、自社に合わせた用途で利用できます。柔軟性が高く多くの企業での採用実績があるため、安心して利用できるシステムの一つであると言えるでしょう。
タレントパレット
株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供するタレントパレットは、あらゆる社員データを蓄積し、組織の力を最大限に発揮させるシステムです。
人事業務の効率化にとどまらず、適切な人材配置や育成、離職防止、採用強化など、さまざまな人事戦略の実現に活用できます。
多くの企業に導入され継続率も高く、専任のサポート体制も魅力的です。
COMPANY
株式会社Works Human Intelligenceが提供するCOMPANYは、社員の入社から退社までの人事労務をすべてまかなえる総合型の人事システムです。
人事・給与システムと一体化しているため、タレントマネジメントもリアルタイム情報をもとに使いやすくなっているのが特徴です。研修やe-learningの実施や結果を管理でき、社員個々に合わせた課題に対する学習を促せます。
CYDAS PEOPLE
株式会社サイダスが提供するCYDAS PEOPLEは、社員の働きがいを作る総合型人事DXシステムです。
業務効率化にこだわるのではなく、社員の働きがいを意識して作られている点がポイントです。見えにくい社員の企業への貢献度合いを可視化することで、さらなるハイパフォーマンスに繋げられるシステムとして評価されています。
【人事評価】おすすめのタレントマネジメントシステム
次に、人事評価に強みを持つタレントマネジメントシステムを6つ紹介します。
人事評価業務を効率化できれば、人的・時間的コストの削減に繋がるでしょう。
SmartHR
株式会社SmartHRが提供するSmartHRは、専門知識のない担当者でも理解しやすい操作性のインターフェースで、データの可視化・分析が簡単にできます。
入社手続きや雇用契約、給与明細など、企業ではさまざまな場面で紙やデータのやりとりが発生します。人事評価にとどまらず年末調整などの労務手続きも効率化できるため、組織全体の改善が期待できるでしょう。
ヒトマワリ
株式会社Touch&Linksが提供するヒトマワリは、人材データベースの活用であらゆる人事業務を効率化できるシステムです。
人事評価は、自己評価から上長による一次評価、人事部による二次評価、経営者による最終評価といったワークフローで管理できます。また、評価だけではなく面談フロー管理やアンケートなども実施可能で、さまざまな評価に関するワークフローを一元化できる点が魅力です。
あしたのクラウド
株式会社あしたのチームが提供するあしたのクラウドは、長年蓄積されたビッグデータを活用したAIによる機能に強みを持ちます。
特に「目標添削機能」や「評価者モニタリング機能」は他社にはない機能で、人事評価業務の小さな悩みも見逃しません。
さらに、創業以来培ってきた圧倒的なノウハウを持つ専門家によるサポート体制が整っているのも魅力です。
ジョブカン労務HR
株式会社DONUTSが提供するジョブカン労務HRは、企業における労務業務のすべてを網羅的に管理できるシステムです。
社員の基本情報やスキル・経歴の他、項目を自由にカスタマイズして収集できます。社員に関するあらゆる情報を一元管理できるため、うまく活用することで人事評価業務を効率化できるでしょう。
また、安否確認や人事異動通知など、社員が回答できるお知らせの配信機能も便利です。
HR-Platform
フォスターリンク株式会社が提供するHR-Platformは、タレントマネジメントにとどまらない、人事業務全般を効率化できるシステムです。
現在の自社の評価制度をそのままクラウド上で運用でき、必要に応じてカスタマイズしていきます。これまで工数がかかっていた人事評価を、クラウド化によって大幅に効率化できるでしょう。
業績データと360度評価などを組み合わせ、複合的な評価ができる点も魅力です。
人事くん
株式会社レントラックスが提供する人事くんは、社員データとMBO（目標管理制度）をクラウド化したサービスです。
優秀な人材の行動特性である「コンピテンシー」を基本項目とし、さらに自社独自のコンピテンシーを追加することもできます。企業理念や経営方針に沿った独自の項目を設定し評価に反映することで、企業が求める人材への成長を促せるでしょう。
【人材配置】おすすめのタレントマネジメントシステム
続いて、適切な人材配置の実現に一役買うタレントマネジメントシステムを6つ紹介します。
特に大企業では、支店や支所も含めた適切な人材配置が必要となるでしょう。システムを活用し、戦略的な人事配置に役立ててください。
HRMOSタレントマネジメント
株式会社ビズリーチが提供するHRMOSタレントマネジメントは、社員・組織全体のパフォーマンス向上を目的としています。
顔写真付きの組織図を作成でき、過去の組織図の蓄積や管理も可能です。社員のデータに加えて人材や組織全体の変遷を把握できるため、より有効な人材配置に役立てられるでしょう。
sai*reco
株式会社アクティブアンドカンパニーが提供するsai*recoは、社員に関わるすべての情報を直感的に分かりやすく可視化し、有効な経営情報としての活用を支援します。
関連会社や兼務している社員まで管理できる機能や、組織シミュレーション機能などが搭載されており、組織全体の基盤作りに適したシステムです。
給与計算・労務手続きシステムなどとの連携にも優れています。
ミイダス
ミイダス株式会社が提供するミイダスは、自社に適した人材を探せる採用特化型のシステムです。
自社で活躍する優秀な人材の分析を行い、要件を定義して採用基準を設けられます。書類上や面接では分からない情報をデータ化し、より効果的な採用を実現できる点が魅力です。
チームや部署の特徴、上司との相性、社員自身のコンディションなどさまざまなデータを可視化できるため、あらゆる角度からの戦略的な人材配置ができます。
JobSuite TALENTS
株式会社ステラスが提供するJobSuite TALENTSは、社員データの取得や管理を習慣化するシステムです。
日々の人事業務を習慣化し人材データベースと掛け合わせることで、有効な人事の基礎を築けます。人材配置の検討シミュレーションを行い、その結果を関係する社員に共有することも可能です。
最適な人事には、人材を把握し管理することが大切です。人材配置によって企業成長をねらいたい企業におすすめできます。
HuTaCT
TDCソフト株式会社が提供するHuTaCTは、成功しているチームをモデルケースとし、不足する要素を補う人材配置シミュレーションが可能です。
モデルケースをもとにしたシミュレーションは、次世代のリーダー育成にも活用できます。まさに、チームの力を最大限に発揮できるシステムと言えるでしょう。
人事にまつわるさまざまな機能を搭載していますが、必要な機能だけをピックアップして自社の目的に特化したシステムとしても使えます。
HITO-Talent
株式会社パーソル総合研究所が提供するHITO-Talentは、総合人材サービス会社が開発した人材と組織の成長を促すシステムです。
異動シミュレーション機能で新しいポジションへのアサイン検討ができる他、社員一人一人にタグを付与することで人材プールを作成できます。
多角的な視点からの人事異動や配置が可能なため、リーダーとなる人材を安定的に輩出することにも役立つでしょう。
【人材育成】おすすめのタレントマネジメントシステム
次は、人材育成に活用できるタレントマネジメントシステムを6つ紹介します。
人材育成をスムーズに行うには、目標設定や進捗管理が重要です。目標管理機能やコミュニケーション機能に強みを持ったシステムを紹介していきます。
モノドン
株式会社くじらシステム開発が提供するモノドンは、サービス開始から10年を超える老舗の人事考課システムです。
モノドンの特徴は、低コストかつカスタマイズが前提とされたシステムである点です。自社に合わせてカスタマイズができるため、現行の制度に合わせてシステムを柔軟に適応させられます。
目標やスキルは開示されるため、社員同士が刺激し合いながら成長を促せるのも魅力です。
Resily
Resily株式会社が提供するResilyは、OKR（目標管理方法の一つ）を使った目標管理に特化したシステムです。
OKRをカード・ツリー形式で可視化することで、会社の向かう先が一目で分かります。目標達成を推進するためのミーティングや1on1の実施をサポートする機能もあり、スケジュール管理から議事録作成まで自動でできるのも魅力です。
OKRを導入したい、もしくは効率化したい企業におすすめのシステムです。
MotifyHR
株式会社アックスコンサルティングが提供するMotifyHRは、人事・人材開発の強い味方になってくれるシステムです。
組織に対する思いを表すエンゲージメントを可視化する機能で、社員一人一人が意欲的に業務に取り組めるよう支援します。働きがいに関する質問を定期的に配信し、エンゲージメントを定期的に可視化できるのが特徴です。
スキルナビ
株式会社ワン・オー・ワンが提供するスキルナビは、標準機能が豊富でノーカスタマイズで利用開始できるシステムです。
人事にまつわるあらゆるデータを一つのデータベースで管理し、自由自在に抽出できます。データフォームを設定することで、取得できるデータを増やせるのもポイントです。
月額4万円からスタートできる、コスパの良い利用料も見逃せません。
Workday
ワークデイ株式会社が提供するWorkdayは、変化するビジネス環境下でも組織の適応力を強化でき、立ち止まらない組織へと導きます。
Workdayのタレントマネジメントシステムでは、学習内容を厳選してスキル開発を促し、社員が目標を達成できるようサポートします。
社員間でオープンにコミュニケーションが取れ、能力を最大限発揮できる環境を作っているのもポイントです。
MINAGINE人事評価システム
株式会社ミナジンが提供するMINAGINE人事評価システムは、紙やデータで煩雑になりがちな人事評価フローを一元管理でき、評価業務を効率化します。
評価プロセスの進捗管理機能により、担当者の業務負担を大きく減らしてくれます。人事評価機能に絞り、人材育成に関わる評価に関するデータの一元管理を重視したシステムです。
【その他】おすすめのタレントマネジメントシステム
その他、さまざまな強みを持つおすすめのタレントマネジメントシステムを6つ紹介します。
これまで紹介してきたように、世の中にはたくさんのタレントマネジメントシステムが存在します。比較検討しながら、自社に最も適したシステムを探してみてください。
HR OnBoard
エン・ジャパン株式会社が提供するHR OnBoardは、社員のコンディションを見える化し、人材育成・離職防止などに繋げられるシステムです。
テレワーク下でも社員のSOSを素早くキャッチし、打つべき手を提示してくれます。提示されたアクションを参考にしてメッセージでフォローできるため、「どう手を打てば良いか分からない」と悩むことなくすぐに対応が可能です。
人事評価ナビゲーター
株式会社日本経営が提供する人事評価ナビゲーターは、人事コンサルの経験やノウハウが詰め込まれたシステムです。
本当に必要な機能だけを搭載し、効率化と低価格の両方を実現しています。人事コンサル会社ならではの経験と知識がちりばめられた機能が満載で、まさに「痒い所に手が届く」システムであると言えるでしょう。
BetterEngage
株式会社BtoAが提供するBetterEngageは、データ・ドリブンな戦略人事を実現し、心地よい従業員体験を実現するシステムです。
あらゆる人事データを横断的に可視化し、システムが持つアルゴリズムやシミュレーターで直感的に理解できます。データはリアルタイムで反映されるため、社員一人一人に対し適切なタイミングでサポートを行うことが可能です。
SAP SuccessFactors
SAPジャパン株式会社が提供するSAP SuccessFactorsは、将来的に社員に必要とされるスキルと特性を得られる環境を提供するシステムです。
採用からオンボーディング、パフォーマンス管理、学習管理など、基本的な機能が一通り揃っています。あらゆる切り口で人事業務を効率化するだけではなく、戦略的な人材配置への活用も期待できるでしょう。
wevox
株式会社アトラエが提供するwevoxは、組織に気づきを与えることを目的としたシステムです。
組織の現状を多角的に把握し、当事者が気づいて行動を起こせるような組織へと変化させる一連のプロセスをサポートします。
エンゲージメントや組織文化を通して、真に大切な人的資本価値の測定を実現していく仕組みのため、組織力を底上げしたい企業におすすめです。
WiMS/SaaS人事考課システム
株式会社ソリューション・アンド・テクノロジーが提供するWiMS/SaaS人事考課システムは、あらゆる評価制度に対応した人事考課システムです。
人事考課における目標設定から評価、評定値算出、面談までのフローをクラウドで提供しています。運用設計にかかるコストを抑えて現場でのマネジメントを強化することで、人事考課の本来の目的を重視した運用を可能にします。
まとめ
タレントマネジメントシステムは、人事評価にかかる業務の効率化、戦略的な人材配置、優秀な人材の開発・育成に活用できます。
世の中にはさまざまなタレントマネジメントシステムがあるため、システムの強みや機能、料金、サポート体制などの情報を集め、比較しながら検討するのがおすすめです。
タレントマネジメントシステムの導入をお考えの方は、この記事を参考に比較検討してみてください。
