CTIとは電話とコンピューターを繋ぐ技術
CTI(Computer Telephony Integration)は、電話やFAXをコンピューターと連携させる技術で、顧客情報の共有をスムーズにできます。
電話番号に紐付けられた顧客情報をコンピューター上で参照して対応できるため、誰が対応しても統一された対応ができるようになります。
もし、一度お問合せのあった内容が社内で共有できていなければ、相手に再度説明する手間をかけさせたり、確認のために待たせたりする場合もあります。
また、確認の手間もかかり、電話対応にかかる時間が長くなる可能性もあるでしょう。そのため、CTIの導入によって、上記の課題が解決できると業務負担の軽減や業務の効率化につながります。
顧客満足度の向上にも効果があるため、さまざまな企業で取り入れられています。
CTIの機能
CTIには、主に以下の6つの機能があります。
- ポップアップ機能
- ワンクリック発信
- 通話録音機能
- 電話制御機能
- IVR(自動音声応答機能)
- モニタリング機能
最もベーシックなプランにも含まれるこれらの機能について順番に紹介します。
1.ポップアップ機能
1つ目の機能は、ポップアップ機能です。電話がかかってきた時に、画面に発信者の情報を表示します。名前や性別などの基本情報から、前回までのお問い合わせ内容やそれに対する対応、購入履歴などをすぐに把握できるのです。
事前にどのような相手かわかると、その都度担当者や対応方法を合わせられるようにもなります。事前にCMRシステムと呼ばれる、顧客管理システムと連携しておく必要がある場合もありますが、顧客情報を確認する時間の短縮になるため、顧客満足度向上につながります。
2.ワンクリック発信
2つ目の機能にワンクリック発信があります。スマートフォンでも電話番号をタップすると発信できる機能がありますが、その機能と同じものです。
この機能により、折り返す際に電話番号の検索や手入力が不要となり、オペレーターの負担軽減につながります。間違えて電話をかける可能性が低くなるため、間違い電話による会社へのクレームを抑えられます。
3.通話録音機能
3つ目の機能は通話録音機能です。自動で録音を開始する機能がついているものもあります。会話内容をデータとして保存できるので、後で確認できます。
話し方や言葉遣い、説明方法などの会話内容を次回のサービスに活用できるだけでなく、新人教育の際にも利用できます。録音されている状況は、クレーマーのヒートアップ防止にも役立ちます。
4.電話制御機能
4つ目の機能は、電話制御機能です。一度に複数の電話がかかってきた場合に自動で電話を振り分けてくれる機能です。
電話の転送と共に顧客情報も送れるため、スムーズに引き継ぎできるでしょう。着信が一か所に集中するのを防げるので、相手を待たせる時間を減らせます。
また、着信を均等に振り分けることもできるので、一人当たりの対応件数の偏りを解消できます。さらに、クレーマーや特別な対応が必要な相手などを、経験豊富なオペレーターにつなげられるように設定することもできます。
5.IVR(自動音声応答機能)
5つ目の機能は、IVR(Interactive Voice Response)です。自動音声応答機能を指し、着信相手に自動音声で案内できます。回線が混み合っている時や対応ができない時間にかかってきた電話を自動音声で案内します。
相手はコール音を聴き続けることにストレスを感じるので、素早く切り替えることで不満を抑えられます。また、自動音声で相手の要件を絞れると、その後の対応もスムーズにできるため、電話業務にかかる時間の短縮にもつながります。
6.モニタリング機能
最後の機能は、モニタリング機能です。管理者のモニターで、応対中や離席中などオペレーターの状況を確認できます。また、電話対応中に先輩や上司も一緒に内容が確認できる機能もあります。
「ささやき機能」と呼ばれる、電話の相手には聞こえないようにオペレーターに話しかける機能がついているものも。新人が対応する場合にすぐに指導できたり、クレーマーへの対応に適切な指示を出したりできる機能です。
CTI導入の3つメリット
CTIを導入すると以下の3つのメリットがあります。
- コスト削減
- 顧客対応の品質向上
- テレワークへの対応
順番に説明します。
コスト削減
1つ目のメリットは、コストが削減できる点です。一般に電話対応の部分は、コールセンターを設置している企業が多いでしょう。しかし、これからコールセンターを設置する場合には、パソコンや電話などの設備導入費や人件費がかかります。
一方で、CTIを導入する際には機能や種類・規模にもよりますが、クラウド型なら初期費用0円から導入できるサービスもあり、大幅にコストを削減できます。
また、オペレーターの負担軽減や作業の効率化は、人件費の削減にも効果的です。着信の自動振り分けをしてくれる「電話制御機能」や顧客に自動で電話をかけてくれる「オートコール機能」は、オペレーターの負担軽減となっています。
さらに、顧客情報の共有は再度情報を聞き取ったり要望の確認をしたりする無駄なやりとりをなくせるため、作業の効率化につながっています。これらの機能により、過剰な人員配置が不要となり人件費の削減につながるのです。
顧客対応の品質向上
2つ目のメリットは、顧客対応の品質が向上する点です。顧客情報の共有によって、前回までの要望や対応などをもとに電話応対が可能なので、顧客のニーズに合った対応ができるようになります。
また、顧客情報を参照しながら対応できるので、誰が対応しても一定以上の応対品質を確保できるようにもなるでしょう。録音機能を活用して今後の接客対応の改善点を発見したり、マニュアル作成したりもできます。
自動で文字起こししてくれる機能がついているサービスもあるので、他部署との共有もでき、営業への活用も期待できます。さらに、自動音声案内機能で相手を待たせる時間の短縮にも。
対応の統一によって安心感を与え、個別の対応によって、満足度向上につなげられるのです。
テレワークへの対応
3つ目のメリットは、テレワークへの対応も可能な点です。クラウド型のCTIを導入した場合には、場所を選ばず会社と同じようにCTIを利用できます。インターネットに接続できる環境ならば、顧客情報を参照できる状態で電話応対が可能です。
ソフトウェアのダウンロードができれば固定電話や会社用のパソコンや携帯電話などの専用の機器がなくても、在宅でオペレーションができるようになります。
管理者は「モニタリング機能」でオペレーターの稼働状況も確認できるので、作業効率が落ちる心配もありません。テレワークに対応できると、さまざまな働き方に合わせた選択肢が増え、人材不足の解消も期待できます。
形態別に解説!CTIの種類一覧
CTIには提供形態と業務形態のそれぞれに種類があります。
【提供形態別】
- クラウド型
- オンプレミス型
【業務形態別】
- インバウンド型
- アウトバウンド型
それぞれの種類が、どのような職場に向いているのかも合わせて紹介します。
提供形態型|クラウド型とオンプレミス型
提供形態で分けると、クラウド型とオンプレミス型があります。クラウド型は、インターネットを介してCTIのサービス提供者のサーバーへとアクセスするため、自社でサーバーを用意する必要がありません。
そのため、初期費用が抑えられ、導入までの期間も最短2週間と短期間ですみます。小さな会社なら月数千円から始められるサービスも。
インターネットがつながる場所ではどの環境でも同じように作業できるようになるため、テレワークにも利用できます。一方で、オンプレミス型は自社のサーバーを設置する必要があります。
システムの構築を一からする必要があり、導入までに時間とコストがかかりますが、各々の会社の状況に合わせて作り上げることができます。
一度作り上げるとその後かかるコストは維持費のみとなるため、長期的に見るとクラウド型より安くなる場合もあります。
業務形態別|インバウンド型とアウトバウンド型
業務形態別には、インバウンド型とアウトバウンド型に分けられます。インバウンド型は、かかってくる電話への対応がメインの場合に必要なサービスを提供しています。
お問い合わせや申し込みの電話をうける機会の多い会社ではインバウンド型の機能が充実したサービスを選択しましょう。ポップアップ機能やIVR(自動音声案内機能)、自動録音機能は最低限実装されていないと不便な機能ですので、装備されているか確認しましょう。
一方で、アウトバウンド型は営業やアフターサポートなどでこちらから電話をかける機会が多い際に必要な機能を提供しています。
ワンクリック発信のほか、登録されている顧客に自動で電話をかける機能の「オートコール」や顧客を属性やステータスで分類できる「リスト機能」が実装されているサービスを選択しましょう。
また、インバウンド型とアウトバウンド型の両方を提供しているサービスもありますので、電話がかかってくる機会も多く、かける機会も多い場合は検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
CTIとは電話をコンピューターと連携させる技術で、電話応対の効率化や顧客満足度の向上に役立ちます。メイン業務がある中での電話対応は、電話にも仕事にも注力できず生産性が下がるため非常に効率が悪いでしょう。
クラウド型を選択すれば、低コスト・短時間での導入も可能です。また、自社に合わせたカスタマイズが可能な種類もあるので、最適なサービスが見つかるでしょう。
CTIの導入は業務の改善効率化とスムーズな電話対応による顧客満足度の向上の両面にメリットが期待できます。
導入しやすくメリットの多いCTIの導入を、検討してみてはいかがでしょうか。