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みなし残業代の計算方法は?
みなし残業とは、一定の残業時間をあらかじめ見込んでおき、給与の中に当該時間分の残業代を含んで支払う制度です。
事前に決められた残業時間内であれば、一定の手当が常に支給されるため、残業時間の計算の手間を省けるでしょう。
みなし残業には、手当型みなし残業と組込型みなし残業の2種類があります。
まずは、それぞれの残業代の計算方法を解説します。
自社への導入を検討するにあたって、どちらの方法が適しているか見ていきましょう。
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手当型みなし残業代の計算方法
手当型みなし残業代の計算方法は、「(給与総額÷月平均所定労働時間)×固定残業時間×1.25(割増率)=残業代」です。
例えば、下記の賃金や労働時間、残業時間を参考に、手当型みなし残業代を計算してみましょう。
- 1ヶ月の給与総額:250,000円
- 月平均所定労働時間:150時間
- 固定残業時間:40時間
計算式を基に残業代を求めると、「(250,000円÷150時間)×40時間×1.25=83,333円」になります。
つまり、83,333円が手当型みなし残業代の妥当な金額です。
ちなみに、月平均所定労働時間は「(365日-年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間÷12ヶ月」で求められます。
企業によっては、手当型みなし残業代を「営業手当」や「役職手当」として支給している企業もあるようです。
組込型みなし残業代の計算方法
組込型みなし残業代の計算方法は、「基本給÷{月平均所定労働時間+(固定残業時間×1.25)}×固定残業時間×1.25=残業代」です。
例えば、下記の基本給や労働時間、残業時間を参考に、手当型みなし残業代を計算してみましょう。
- 1ヶ月の基本給:250,000円
- 月平均所定労働時間:150時間
- 固定残業時間:40時間
計算式を基に残業代を求めると、「250,000円÷{150時間+(40時間×1.25)}×40時間×1.25=62,500円」になります。
つまり、62,500円が組込型みなし残業代の妥当な金額です。
就業規則や給与明細には、「基本給○○円(固定残業代▲▲円を含む)」と記載されることが一般的になります。
また、時間給が都道府県が定めている最低賃金を下回っていた場合、最低賃金方違反となるので再計算を行いましょう。
手当型か組込型のどちらを選べばいい?
ここまで、手当型みなし残業と組込型みなし残業の計算方法を解説しましたが、選択は企業が任意で決められます。
ただ組込型みなし残業を導入するデメリットに、下記があります。
- 給与明細に「基本給」と記載されているため、固定残業代の金額が分からない
- これまで「基本給+残業手当」の方法で支給していた場合、社員の基本給が減ってしまう
労働契約法第9条にも、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」と定められています。
そのため、組込型みなし残業を取り入れるのであれば、社員の合意を得なければいけません。
つまり、社員との間で無用なトラブルが発生する可能性がある場合は、基本給に残業代を上乗せする「手当型みなし残業」を選びましょう。
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みなし残業代を導入するときのポイントは?
ここまで、みなし残業代の計算方法をお伝えしました。
続いて、みなし残業を導入するときのポイントを解説します。
- ポイント1:残業代の詳細を決める
- ポイント2:従業員・社員へ説明をする
- ポイント3:就業規則などを整備する
ひとつずつ解説していきます。
ポイント1:残業代の詳細を決める
みなし残業代を導入する際のポイントとして、残業代の詳細を決めていきましょう。
手当型もしくは組込型のどちらを導入するかは当然ですが、それ以外に下記3点の詳細も決める必要があります。
- 就業規則の明確化
- 最低賃金を下回らない
- 労働基準法の残業時間を超えない
みなし残業を適用するには、就業規則で明確化して、所轄の労働基準監督署へ届け出なければいけません。
また、固定残業代を設定する際は、都道府県ごとの最低賃金を下回ると違法になるので注意しましょう。
労働基準法によると、1ヶ月間で設定するみなし残業時間は45時間を超えてはいけません。
仮に36協定を結んでいる場合でも、原則として45時間が上限となっています。
こちらの記事では、36協定についての概要や基礎知識、具体的な対策を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ポイント2:従業員・社員へ説明をする
みなし残業代の詳細が決まったら、従業員・社員へ説明をしていきましょう。
制度を導入するには、従業員・社員の給与や手当が変わるため、一人ひとりから同意を得なければいけません。
理解を深めるには、下記の方法があります。
- 説明会を開催する
- 給与辞令や労働契約書を発行する
- 内容が記された書面に記名と捺印を交わす
同意を得られた際は、必ず従業員・社員に記載してもらいましょう。
現在は、電子書類を活用している企業もあり、電子上で確認できる方法もあります。
労使間の合意とエビデンスを残す必要がある点を覚えておきましょう。
ポイント3:就業規則などを整備する
従業員・社員に説明を行い同意が得られたら、就業規則などを整備していきましょう。
労働基準法第89号によると、みなし残業代は賃金の一部であり、就業規則の「絶対的必要記載事項」として必ず記載しなければいけません。
そのため、みなし残業代が法的に認められるためには、就業きそくや雇用契約書に下記の内容を記載する必要があります。
- みなし残業代の金額と時間数を就業規則に明記する
- 賃金を支給する際に、実際の残業時間と残業代の額を明示する
- みなし残業代として支払われる賃金と、それ以外の賃金を明確に区別する
- 実際の残業時間がみなし残業代に該当する時間を超えた場合に、超過分の残業代を支給する
また、みなし残業代が時間外割増賃金・深夜割増賃金・休日割増賃金のどれに該当して、支払われるのか明確に規定しましょう。
ちなみに、こちらの記事では正確な労働時間や給与計算を行えるツール「給与管理システム」の選び方やメリット・デメリットを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
みなし残業が違法となってしまうケースは?
ここまで、みなし残業を導入するときのポイントをお伝えしました。
続いて、みなし残業が違法となってしまうケースを4つ紹介します。
- ケース1:残業の詳細が明記されていない
- ケース2:超過残業代を支払わない
- ケース3:最低賃金を下回っている
- ケース4:従業員・社員への説明がない
ひとつずつ紹介していきます。
ケース1:残業の詳細が明記されていない
みなし残業が違法となってしまうケースとして、残業の詳細が明記されていない場合があげられます。
みなし残業について記載する際は、下記の項目を就業規則や労働契約書に明記しなければいけません。
- みなし残業代を含まない基本給の金額
- みなし残業代に関する残業時間数と金額
- みなし残業時間を超過した残業や休日労働、深夜労働に対して別途残業代を支給する旨
仮に深夜労働や休日労働をみなし残業代に含まない場合は、その旨も明記しましょう。
さらに、記載だけでなく従業員・社員に周知されていなければ違法となり、就業規則自体が無効になる可能性があります。
残業の詳細を明記したら、周知漏れがないように気をつけましょう。
ケース2:超過残業代を支払わない
みなし残業代では、一定時間の残業を想定して、あらかじめ労働への割増賃金を毎月支払います。
そこから超過した分の残業代も、支払わなくてはいけません。
みなし残業時間を超えた分の残業代が支払われていない場合は、下記の対象になるので注意しましょう。
- 刑事罰
- 労働基準監督による是正勧告
仮に、労働基準監督署が動くと判断すれば、調査や立入検査が入る可能性が高いです。
次に残業時間を超過分の賃金の算出方法を解説していきます。
超過残業代の計算方法は?
超過残業代の計算方法は、「1時間あたりの賃金×残業時間×1.25(割増率)=残業代」で算出されます。
ここでの残業時間は、「実際の残業時間-固定残業時間」で計算するので間違えないようにしましょう。
1時間あたりの賃金は、「月平均所定労働時間÷基本給」で算出できます。
例えば、下記の賃金や残業時間、残業時間を参考に、手当型みなし残業代を計算してみましょう。
- 1ヶ月の基本給:250,000円
- 月平均所定労働時間:150時間
- 固定残業時間:40時間
- 超過残業時間:20時間
計算式を基に残業代を求めると、「(250,000円÷150時間)×10×1.25=20,833円」になります。
つまり、20,833円が超過分の残業代です。
また、割増率はみなし残業の休日出勤によって下記のように異なります。
- 法定休日出勤の割増率:35%
- 時間外労働にあたる休日出勤の割増率:25%
- 深夜残業にあたる休日出勤の割増率:25%(時間外労働時の深夜残業では50%、法定休日の休日出勤で深夜残業の場合60%以上の割増)
休日出勤の種類によって、割増率が異なるので計算の際に注意が必要です。
ケース3:最低賃金を下回っている
みなし残業代の導入にあたり、最低賃金を下回っていた場合は違法になります。
最低賃金の確認・計算方法は、下記の通りです。
- 時間給の場合:時間給≧最低賃金額(時間額)
- 日給の場合:日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
- 月給の場合:月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
- 出来高払制やそのほか請負制で定められた賃金の場合:賃金の総額(出来高払制そのほかの請負制によって計算された賃金の総額)÷総労働時間(当該賃金算定期間において出来高払制そのほか請負制によって労働した総労働時間数で除した金額)≧最低賃金額(時間額)
ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合は、「日給≧最低賃金額(日額)」になります。
気づかないうちに最低賃金を下回っていたことにならないように、事前に計算をしておきましょう。
ケース4:従業員・社員への説明がない
みなし残業を導入するには、従業員・社員へ説明する義務が発生します。
みなし残業代は、従業員・社員にとって重要な賃金に関わる制度です。
そのため導入する場合は、下記の2つを行いましょう。
- 就業規則に記載する
- 全ての従業員・社員が就業規則を確認できる状態にする
全体への周知が難しいのであれば、個別で同意を得なければいけません。
例えば説明がないまま、みなし残業代を給与形態に含む行為は違法となるので注意しましょう。
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まとめ
今回は、みなし残業代の計算方法や導入時のポイント、やってはいけないことを解説しました。
みなし残業代の計算は、手当型みなし残業代と組込型みなし残業代で活用します。
また、実際に導入する際は、下記のポイントに気をつけましょう。
- 残業代の詳細を決める
- 従業員・社員へ説明をする
- 就業規則などを整備する
本記事でお伝えしたみなし残業が違法となってしまう事例を参考にして、計算方法への不安や残業代の種類を選択する際の参考にしてください。
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