車両管理システムとは
車両管理システムとは、GPS技術を用いたリアルタイムでの位置情報把握により、企業の社用車を一括して効率よく運行管理できるシステムのことです。トラックやバン、営業車など、様々な種類の車両に広く使われています。
このシステムを利用することで、「どこにいて、いつ到着するのか」といった情報を把握でき、運行管理の効率化、安全運転指導の強化、運転日報の自動作成やアルコール検査管理の効率化などが期待できます。
車両管理システムの導入業界
車両管理システムはさまざまな業界で導入されていますが、ここではその一例をご紹介します。
自治体
自治体では、市役所や教育委員会など、公共施設の管理や巡回業務において、車両の位置情報をリアルタイムで把握する必要があります。例えば、学校バスの位置確認や、ごみ収集車の運行状況の把握などです。
また、災害時の救援活動においても、車両管理システムは重要です。自治体が管理する車両が、どこにいて、どのような活動をしているのかを把握することで、素早く正確に対応できます。
メンテナンス・サービス
メンテナンス・サービス業界では、自社で保有している車両を効率的に管理することが求められます。車両管理システムを導入することで、自社の車両の位置情報や運転履歴を把握できるため、運行管理やメンテナンス管理の効率化が期待できます。
また、車両のメンテナンス履歴や点検スケジュールも管理でき、故障リスクを低減し、車両の安全性も向上させられるということで導入が進められています。
物流・運輸
物流・運輸業界では、配送品質の向上やコスト削減、安全運転の促進などのメリットを享受できるとされ、車両管理システムの導入が進んでいます。
車両の位置情報をリアルタイムで把握することで、運転ルートの最適化や配送スケジュールの管理が可能になります。また、車両の燃費や運転時間の最適化なども行えるため、コスト削減効果も期待できます。
車両管理システムの比較表
車両管理システム主要5サービスを最新情報を交えて料金や導入業界を比較しました。ぜひシステム導入を検討する際の参考にしてください。
サービス名 | 初期 / 月額費用 | 無料トライアル | 導入業界 |
Smart Drive Fleet | 要問合せ | ⚪ | メンテナンス・サービス、金融、介護、自動車関連サービス、物流・運輸など |
モバロケ | 要問合せ | ⚪（30日間） | 地方自治体、観光、自動車学校など |
Cariot | ・初期費用なし | ⚪ | 運輸業・トラック運送、医薬品卸、廃棄物処理業・環境衛生サービス、フォーム・内装工事など |
Docoですcar | 各サービスとタイプごとに価格が設定 | × | 物流、建設・土木、警備、消防車・救急車、高速バス・幼稚園など |
KITARO | 各サービスとタイプごとに価格が設定 | ⚪ | 卸売・小売、資源・エネルギー、物流・運輸など |
車両管理システムの比較5選
ここでは上記に挙げた車両管理システム主要5サービスを紹介します。特徴や機能、価格などを調査しました。
- Smart Drive Fleet
- モバロケ
- Cariot
- Docoですcar
- KITARO
それぞれ順に解説します。
1.Smart Drive Fleet
Smart Drive Fleetは株式会社スマートドライブが運営する車両管理システムです。
内容 | |
価格・契約 | 要問合せ |
タイプ | ・シガーソケットタイプ |
主な機能 | ・走行履歴 / 安全運転診断 |
※その他のプランやオプション、機能の詳細については公式 URL をご参照ください。
- 業界で導入事例掲載数No.1※2021年調べ
- 現場に必要とされる高精度な機能を提供
- 操作性にこだわったシンプルな設計
- 経営者やドライバーに評価される安心のサポート体制
- 他社サービスとの連携により管理工数を削減
上記がSmart Drive Fleetの主な特徴や機能です。コスト削減や安全運転強化など、利用用途に応じて最適なデバイスを2タイプから選択できます。中でもシガーソケットタイプは、差し込むだけで利用できるため、1つの車載器で複数人利用できるのが魅力です。
SmartDriveの独自技術「G-Force」によって、運転で発生する急発進や急ハンドルを検知し、危険運転を見える化します。
「日報の作成を自動で行い、ドライバーと管理側の業務の効率化を図りたい」、「すでに導入しているサービスと連携し、工数管理の増大を防ぎたい」、「万全なサポートを受け、確実に事故件数を減らしたい」と言うのであれば、前向きに導入の検討を進めてみるとよいでしょう。
2.モバロケ
モバロケはモバイルクリエイト株式会社が運営するクラウド型の動態管理システムです。
内容 | |
価格・契約 | 要相談 |
タイプ | ー |
主な機能 | ・履歴表示機能 |
※その他のプランやオプション、機能の詳細については公式 URL をご参照ください。
- IP無線機iMESHの通信を利用したクラウドサービス
- 全国どこにいても動態管理を手軽に実現
- 業界屈指の高精度な動態表示で勤務状況を可視化
- チャットやメッセージ機能あり
上記がモバロケの主な特徴や機能です。専用ソフトのインストールは不要で、インターネット回線さえあれば、普段利用のパソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスから簡単に始められます。
端末の高精度な位置情報をリアルタイムで地図上に共有するため、車両や人員の管理が可能です。また、端末の移動経路を最短3分単位で履歴表示できるので、配送・走行ルートの改善や、配達証明に活用できます。
全国どこにいても動態管理を実現できることから、特に運送業や運転代行業で導入が進められています。動態管理を通してドライバーのマナー向上や、実態把握をしたいという場合に、大変便利なサービスといえるでしょう。
3.Cariot
Cariot（キャリオット）は株式会社フレクトが運営する車両管理システムです。
内容 | |
価格・契約 | ・初期費用なし |
タイプ | ・シガーソケットタイプ |
主な機能 | ・車両管理台帳機能 |
※その他のプランやオプション、機能の詳細については公式 URL をご参照ください。
- 業界最高水準のリアルタイムを実現し、車両の位置情報を取得
- モバイルアプリを使い稼働状況を見える化
- AIによる最適ルートの算出により、運転経路を効率化
- 到着予測や遅延の検知、到着/出発通知ができる
上記がCariotの主な特徴や機能です。優れたリアルタイム表示機能により、「走行中・停車中・作業中・休憩中」などの稼働状況を可視化できるため、ドライバーの管理がしやすいのが魅力です。
また、AIが最適ルートを算出してくれることで、運転経路を効率化し、運転時間の削減につながります。
業界最高水準のリアルタイム性と位置表示から、到着予測や遅延の検知、到着 / 出発通知ができるので、問い合わせ業務を現場が対応している企業に大変おすすめです。
4.docoですcar
Docoですcar（ドコデスカー）はドコモ・システムズ株式会社が運営する車両管理システムです。
内容 | |
価格・契約 | ※各サービスとタイプごとに価格が設定 |
タイプ | ・シガーソケットタイプ |
主な機能 | ・リアルタイム位置表示 |
※その他のプランやオプション、機能の詳細については公式 URL をご参照ください。
- 3,000社・10万台を超える導入実績
- シガーソケットタイプで簡単設置
- VICS情報道路交通情報を表示し渋滞情報の把握も可能
- 多様なサービスから利用用途に応じたプランを選択できる
- ドコモ品質のセキュリティ基準でデータ保護
上記がDocoですcarの主な特徴や機能です。導入実績は3,000社 / 10万台を突破し、運送・物流業界を中心に、幅広く導入されています。サービスは、利用用途別に6つに分かれており、自社のニーズにあったプランを選択できます。
また、データ・テック社の特許技術による運転解析技術や各種センサーを搭載しているため、非日常のヒヤリハットだけでなく、日常の運転習慣を診断し改善につなげることが可能です。
ドコモ品質のサポート内容も充実していることから、社用車を数多く保有し、実務ですぐに利用したい企業におすすめです。
5.KITARO
KITAROは株式会社アクシスが運営する車両管理システムです。
内容 | |
価格・契約 | 【KITARO×アダプタ】 【KITARO×デジタコ】 【KITARO×ドラレコ】 【KITARO×バイク】 |
タイプ | ・ドライブレコーダータイプ |
主な機能 | ・リアルタイム位置表示 |
※その他のプランやオプション、機能の詳細については公式 URL をご参照ください。
- Googleマップで位置情報や走行履歴の確認
- 10秒毎に位置情報を更新し、リアルタイムなデータを閲覧可能
- 日報をオンラインで簡単作成
- 安全評価とエコドライブ評価でドライバーの運転成績をランキング化
上記がKITAROの主な特徴や機能です。「アダプタ」「デジタコ」「ドラレコ」「バイク」の4種類から、利用用途にあったサービスを選べるのが特徴です。
10秒毎にリアルタイム情報を更新してくれるため正確な位置情報や走行距離を把握するのに役立ちます。また、確認データを安全運転の向上や業務の効率化に活かすこともできるでしょう。
1台からでも利用可能なため、管理台数が少ない小規模事業者でも手軽に導入できます。
車両管理システムの主な機能
ここでは車両管理システムの主な機能を紹介します。
車両の位置情報を追跡するGPS機能
GPS機能は、車両の現在地情報をリアルタイムで追跡できる機能です。車両に搭載されたGPSデバイスから位置情報を取得し、システム上で地図上に表示することができます。
この機能を活用することで、車両の現在地、移動履歴、移動速度などを把握できます。また、遠隔地から車両の位置情報を確認することも可能で、車両の監視や管理が容易になるというのも利点です。
車両のメンテナンス管理機能
車両のメンテナンス管理機能では、定期的な車両の点検や修理のスケジュールを管理します。
車両のエンジンオイルやフィルターの交換、ブレーキパッドの交換、タイヤの交換など、定期的なメンテナンス作業をスケジュールし、実施履歴を記録できます。また、故障の発生時には、故障内容や修理履歴などの情報を管理することも可能です。
車両のスケジュール管理機能
車両のスケジュール管理機能は、車両の予約やスケジュールを管理する機能です。車両の予約者、予約日時、返却日時、利用目的などの情報を記録し、車両の予約状況を把握することができます。また、車両の利用状況の分析や、予約状況の可視化も可能です。
レポーティング機能
レポーティング機能は、車両の利用状況やメンテナンス履歴などの情報をレポートとして出力する機能です。利用状況の分析やメンテナンス履歴の把握など、車両管理における重要なデータを把握できます。
また、車両の利用状況やメンテナンス履歴などのデータをグラフ化することで、可視化することもできます。これにより、車両の状況を一目で把握でき、効率的な車両管理が可能となるでしょう。
ドライバーの運転分析機能
ドライバーの運転分析機能は、車両の運転履歴を記録し、分析する機能です。
運転距離や運転時間、平均速度、燃費などの情報を記録し、ドライバーの運転状況を見える化することで安全運転指導につなげられます。また、車両の燃費や運転コストなども把握でき、車両の運用効率を向上することが期待できます。
車両管理システムを選ぶ際のポイント
主な機能を押さえたところで、次に車両管理システムを選ぶ際のポイントについて紹介します。
トータルコストで比較する
車両管理システムを選ぶ際には、単純にシステムの価格だけでなく、トータルコストを考慮することが大切です。トータルコストには、システムの導入費用、運用費用、メンテナンス費用などが含まれます。
例えば、システムの価格が安いが、導入に関する費用が高かったり、運用やメンテナンスにかかる費用が高額だったりする場合、結果的に高額なトータルコストになることがあります。そのため、トータルコストを総合的に比較し、システムのコストパフォーマンスを判断するようにしましょう。
性能で比較する
車両管理システムを選ぶ際には、性能面で比較することも大切です。性能面で比較するポイントとしては、以下のようなものがあります。
| 機能 | 内容 |
| GPSの精度 | GPSの精度が高いほど、車両の位置情報を正確に把握できます。GPSの精度が低い場合、車両の位置情報がずれたり、誤った情報が表示されたりすることがあります。 |
| データの安全性 | 車両管理システムでは、車両の位置情報や運転履歴などのデータを管理します。そのため、データの安全性が確保されているかどうかも重要なポイントです。 |
| カスタマイズ性 | 車両管理システムは、企業や団体によって異なるニーズがあります。そのため、システムをカスタマイズして、自社の要件に合わせることができるかどうかもチェックする必要があります。 |
デバイスで比較する
車両管理システムを選ぶ際のポイントとして、デバイス選びは欠かせません。OBD-Ⅱポート型、シガーソケット型、アプリ型、ドライブレコーダー型、デジタルタコグラフ搭載型の5つのデバイスタイプがあります。
所有する車種や種類に合わせて、どのデバイスタイプが使いやすいか検討して選ぶことが大切です。
車両管理システムを導入するメリット
車両管理システムを利用することで得られるメリットは、大きく分けて「車両管理業務の効率化」「コスト削減効果」「安全運転の促進」「環境負荷の低減」「情報の可視化」の5点です。
車両管理業務の効率化
車両管理業務の効率化は、車両管理システムを導入することで得られるメリットの1つです。車両管理システムでは、車両の位置情報や運転履歴などを一元的に管理できます。
これにより、車両の位置や状況をリアルタイムに把握しながら、運行管理することが可能です。また、メンテナンス履歴や点検スケジュールなどもシステム上で管理できるため、車両管理に関わる業務の効率化が期待できます。
コスト削減効果
車両管理システムを導入することで、コスト削減効果が期待できます。車両管理システムは、車両の位置情報や運転履歴の記録や分析が可能なため、運転コストの削減につながります。
例えば、運転履歴を分析することで、改善すべき運転スタイルや、運転時間の最適化などを見つけ出すことができるでしょう。また、車両のメンテナンス履歴を管理することで、車両の状態を常に把握でき、故障が発生する前に予防的なメンテナンスを行うことができます。これにより、故障による修理費用の削減にもつながります。
安全運転の促進
ドライバーの運転履歴を記録し、分析する機能があるため、運転中の危険な運転行動を把握することができます。また、運転距離や運転時間、平均速度、燃費などの情報を記録し、ドライバーの運転状況を見える化することで安全運転指導につなげられます。これにより、運転中の事故やトラブルを未然に防ぐことができ、車両の安全運転が促進されるでしょう。
環境負荷の低減
車両管理システムでは、車両の燃費や排気量などの情報を把握できるので、車両の燃費改善に役立てられます。また、車両の運転履歴を分析することで、運転スタイルの改善や運転時間の最適化などが行え、燃費の向上にもつながるでしょう。
これにより、CO2排出量やエコロジーカー減税など、環境負荷の低減につながるメリットが期待できます。
車両管理システム導入時の注意点
車両管理システムにはさまざまなメリットがありますが、当然注意すべきポイントもいくつかあります。ここでは導入時の注意点として3つご紹介します。
導入コストがかかる
車両管理システムを導入するには、当たり前ですがシステムの導入費用が必要です。車両管理システムの導入費用は、システムの種類や機能、利用規模などによって異なりますが、比較的高額な費用がかかることがあります。
また、システムの導入に伴い、社員のトレーニングやシステムのカスタマイズが必要な場合もあります。これらのコストを事前に把握し、導入前に検討するようにしてください。
社員のモチベーション低下につながる
車両管理システムを導入することで、社員のモチベーションが低下する可能性があります。車両管理システムは、社員の運転スタイルや運転時間を把握し、安全運転指導が可能な機能があります。
しかし、社員がこのようなモニタリングシステムによって運転スタイルや運転時間を監視されることに不安を感じたり、ストレスを感じたりすることがあります。そのため、導入前に社員の意見を聞き、トレーニングや周知活動などを行い、適切なフォローアップを行うことが大切です。
乗り換えが難しいケースがある
車両管理システムは、導入後に別のシステムに乗り換えることが難しい場合があります。これは、システムの構造やデータの形式、デバイスの種類などが他のシステムと異なっているためです。
そのため、車両管理システムを導入する際には、データのバックアップ方法や別のシステムへの移行方法についても検討する必要があります。また、複数の車両管理システムを導入している場合には、それぞれのシステムのデータを一元的に管理するためのシステムが必要になる場合もあるでしょう。
まとめ
車両管理システムには、車両の位置情報の管理やメンテナンス管理、スケジュール管理、ドライバーの運転分析など、様々な機能があります。複数ある車両管理システムを選ぶ際には、トータルコスト、性能、デバイスの選択が重要なポイントです。
導入することで、車両管理業務の効率化や、コスト削減、安全運転の促進、環境負荷の低減などのメリットが期待できます。しかし、導入コストが高額な場合や社員のモチベーション低下につながる場合があるため、導入前にそれらの点をよく検討するようにしましょう。
本記事で紹介したサービスや選び方を参考に、ぜひ導入を前向きに進めてみてください。
