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賃金支払いの5原則とは?違反罰則やその他覚えておくべき規定をご紹介!

投稿日:2023年4月18日 /

更新日:2023年10月19日

賃金支払いの5原則とは?違反罰則やその他覚えておくべき規定をご紹介!
● 人事労務● 会計・財務・経理● 給与計算

毎月支払われている賃金には、5つの原則があることをご存知でしょうか。原則に違反してしまうと、書類送検や逮捕に至る可能性もあるのでこちらの記事で確認しておきましょう。今回は、賃金支払いの5原則に関する違反罰則やその他に覚えておくべき規定も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

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賃金支払いの5原則とは?

賃金支払いの5原則とは?

賃金支払いの5原則とは、労働基準法第24条に記載されている賃金の支払いに関する原則です。

具体的には、「賃金は通貨で直接労働者に対して、全額を月に1回以上、一定の期日を定めて支払わなければいけない」と定められています。

賃金支払いの5原則の特徴は、下記の通りです。

名称特徴
通貨支払いの原則
  • 通貨とは日本銀行券を指しており、海外通貨での支払いは認められていない
  • 自社商品や食料供給、商品券での支払いも禁止
直接払いの原則
  • 賃金は労働者本人に直接支払わなければならない
  • 第三者への支払いは禁止されている
  • 中間搾取を防止する目的がある
全額払いの原則
  • 賃金は指定された期日に全額支払わなければならない
  • 賃金の一部控除は禁止されている
  • 会社の経営状況にかかわらず、分割払いも禁止
毎月1回以上払いの原則
  • 賃金の支払いは、毎月払いであれば複数回に分けられる
  • 1.5ヶ月に1回払いは禁止
一定期日払いの原則
  • 賃金は「毎月末日」「毎月10日」「毎週末」のように、支払い期日を特定しなければならない
  • 「15〜20日の間」など期日に幅を持たせることは禁止


次の章では、賃金支払いの5原則の例外を見ていきましょう。

出典:昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法

賃金支払いの5原則の例外

ここからは、賃金支払いの5原則の例外を解説します。

  • 通貨払いの例外
  • 直接払いの例外
  • 全額払いの例外
  • 毎月1回以上払いの例外
  • 一定期日払いの例外

それぞれ解説していきます。

通貨払いの例外

通貨払いの例外として、下記の3つがあげられます。

例外詳細
口座振り込み

労働者本人から同意を得ている場合、現金で直接手渡しではなく、銀行口座への振り込みができる

通勤手当の現物支給

労働組合と労働協約を結んでいる場合に限り、通勤手当の定期的な現物の支給が許可されている

退職金の小切手での支払い

労働者本人から同意を得ている場合、退職金の支払いを銀行支払保証小切手や銀行振出小切手、郵便為替に変更できる


ただし、外国人労働者であっても外国通貨での支払いは認められておらず、日本円で支払わなければいけません。

直接払いの例外

直接払いの例外として、下記の2つがあげられます。

例外詳細
使者への支払い

労働者本人が病気や怪我などによって直接賃金を受け取れない場合に、使者への支払いが認められている

裁判所の決定によって賃金が差し押さえられている

賃金の差し押さえが裁判所から出ている場合、差押債権者への支払いが可能


ちなみに使者と代理人の違いは、下記の通りです。

  • 使者:本人から言われた内容を伝える人。自らで意思決定はできない。
  • 代理人:本人から与えられた代理権の範囲であれば、自らの意思を決定できる。

つまり使者は代理人と違い、受け取った賃金をそのまま労働者本人に渡すだけということを覚えておきましょう。

また、差押債権者への支払いが認められているのは、裁判所から判断が下されている場合のみなので注意が必要です。

全額払いの例外

全額払いの例外は、下記の2つがあげられます。

例外詳細
法令で賃金の天引きが定められている

賃金から社会保険料や税金が控除された額を受け取る場合は、全額払いの原則に反しない

労使協定に同意している

労使協定や労働組合の締結や賃金から天引きを認可している場合は、例外が適用される


天引きが認められる項目は、社内保険や社宅の賃金、社内旅行の積立金などです。

罰金があった場合は、合意があったとしても公序良俗の観点から認可されていません。

毎月1回以上払いの例外

毎月1回以上払いの例外は、下記の通りです。

例外詳細
臨時で支払う賃金や賞与

臨時で支払う賃金(傷病手当や結婚手当)や年に数回支給される賞与に関しては、原則にあてはまらない


突発的な理由で支払われる賃金は、支給条件が決まっていて支給事由が不確かなものが該当します。

一定期日払いの例外

一定期日払いの例外は、下記の3つがあげられます。

例外詳細
毎月末日払い

末日は「28日・29日・30日・31日」と変動するが、一定の範囲内で特定できるので許可されている

非常時払い

労働基準法に「出産や急病が非常時」と定められており、労働者から請求があった場合は、期日前の賃金支払いが認められている

支給日が休日の場合

支払日が休日の場合は、前後別日の支払いが認められている


ただし、毎月変動する日や支払日に間隔を設ける場合は認められないので注意しましょう。

また、「〇〇の目標を達成したら給料を支払う」という条件も例外ではありません。

こちらの記事では、労働基準法における休日について、さらに深掘りして解説しているので、ぜひ参考にしてください。

賃金支払いの5原則に違反したときの罰則

賃金支払いの5原則に違反したときの罰則

ここまで、賃金支払いの5原則の概要と例外をお伝えしました。

続いて、賃金支払いの5原則に違反したときの罰則について解説します。

  • 労働基準監督署からの立ち入り調査が入る
  • 労働基準法違反により罰金が科される

それぞれ解説していきます。

労働基準監督署からの立ち入り調査が入る

賃金支払いの5原則に違反すると、労働基準監督署からの立ち入り調査が入る可能性があります。

直ちに罰金が科せられるわけではなく、立ち入り調査が入ったあとで逮捕に至る場合もあります。

逮捕までの流れは、下記の通りです。

  1. 労働者が「賃金が支払われていない旨」を労働基準監督署に相談
  2. 労働基準監督署は企業に支払いを促す
  3. 企業が支払いに応じなかった場合、労働基準監督署の立ち入り調査・行政指導が行われる
  4. 度重なる指導を行っても支払いが行われない場合、検察官による書類送検のあと、労働基準監督署が逮捕に踏み切る

立ち入り調査は証拠を押さえる目的があるので、検察官が突然現れて聞き取り調査や勤務状況を確認します。

法律違反であれば「指導書」、明らかな違反は「是正申告書」が発行されます。

労働基準法違反により罰金が科される

賃金支払いの5原則に違反した場合、労働基準法第24条に違反したとして、30万円以下の罰金刑に科されます【出典1】。

さらに割増賃金の未払いが発見された場合には、労働基準法第37条に違反したとして、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金です。

また、賃金の未払いは最低賃金法第9条に違反しているため、条件によって下記の罰金が科されます【出典2】。

  • 地域別の最低賃金額以上の未払い:50万円以下の罰金
  • 産業別最低賃金額以上の未払い:30万円以下の罰金

罪がさらに重くなるだけでなく、書類送検されたり逮捕されたりする可能性もあるので注意が必要です。

出典1:昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法

出典2:昭和三十四年法律第百三十七号 最低賃金法

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賃金支払いの5原則以外で覚えておくべき規定

賃金支払いの5原則以外で覚えておくべき規定

ここまで、賃金支払いの5原則に違反したときの罰則についてお伝えしました。

続いて、賃金支払いの5原則以外で覚えておくべき規定を解説します。

  • 残業代・割増賃金の計算
  • 遅刻・早退に関する賃金払い
  • 休業時に関する賃金払い
  • 減給に関する規定

ひとつずつ解説していきます。

残業代・割増賃金の計算

残業代・割増賃金の計算式は、それぞれ下記の通りです。

  • 残業代:月給÷所定労働時間÷所定労働日数
  • 割増賃金:1時間あたりの賃金×所定労働時間×各種割増率

どちらも支払い条件は、「1日8時間・週40時間」を超えた時間に対して発生します。

ちなみに残業代の賃金は、1時間あたりの賃金の25%増です。

こちらの記事では、一定の時間外手当が月給に含まれる賃金形態「みなし残業」が適法となる場合や超過労働への賃金について解説しているので、ぜひ参考にしてください。

遅刻・早退に関する賃金払い

遅刻・早退に関する賃金払いは、労働が発生しないので支払う必要がありません。

上記は「ノーワーク・ノーペイの原則」を呼びます。

ただし、1時間の遅刻をしたからといって1日分の賃金を支払わない行為は違法にあたるので注意しましょう。

休業時に関する賃金払い

賃金支払いの5原則において、労働者の休業時で賃金が発生する条件は異なります。

それぞれ確認してみましょう。

休業の種類条件
有給休暇

支給額は就業規則へ記載する必要がある

慶弔休暇

休暇日数や賃金の支払いについて、就業規則へ記載する必要がある

産前産後休業

有休・無休の条件を就業規則に記載する

育児・介護休業

有休・無休の条件を就業規則に記載する

休職期間

賃金の取り扱いを就業規則に記載する


ちなみに会社都合による休業手当は、労働者に平均賃金の6割を支払わなければいけません。

こちらの記事では、年次有給休暇が10日間発生した労働者に対して作成しなければならない「年次有休管理簿」の特徴や勤怠管理システムを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

減給に関する規定

労働者に減給処分を下す場合は、労働基準法により下記の制限があります。

  • 1回の減給額は、1日分の平均賃金を超えてはいけない
  • 一定期間の賃金総額の10分の1超えてはいけない

賞与への減額も同じです。

ただし、止むを得ない場合の減給は認められていますが、一定の賃金を下回る行為は違反にあたるので注意しましょう。

また企業側は、減給に関する規定を就業規則に記載する必要があります。

出典:昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法

まとめ

まとめ

今回は、賃金支払いの5原則の概要や違反罰則、覚えておくべき規定について解説しました。

賃金支払いの5原則とは、労働基準法第24条に記載されている賃金の支払いに関する原則です。

また、違反した際の罰則として下記の2つをお伝えしました。

  • 労働基準監督署からの立ち入り調査が入る
  • 労働基準法違反により罰金が科される

本記事でお伝えした「休業時に関する規定」や「減給に関する規定」などの賃金支払いの5原則以外で覚えておくべき規定も参考にして、正しく賃金の支払いを行いましょう。

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