ベンチマークとは?
「ベンチマーク」は、主にビジネスシーンにおいてよく耳にする言葉です。
もともとは測量分野で「基準点」「水準点」といった意味で使われている言葉ですが、そこから転じてビジネス全般において「基準」「指標」といった意味合いで幅広く使われるようになっています。
ベンチマークという言葉には複数通りの意味があり、使われるビジネスシーンや分野によって具体的な意味合いが変わってくるため、それぞれの分野における「ベンチマーク」の意味を理解しましょう。
経営分野におけるベンチマーク
経営分野では、ベンチマークという言葉がよく使われます。
自社の昨年対比だけで収益や利益率などの成果を測定すると、主観的な判断になりがちです。そこで、競合企業や優良企業などをベンチマークとして設定し、他社との比較によって自社のボトルネックや改善点を洗い出すことができます。
業界内で比較することで自社の立ち位置を明確にでき、ベンチマークした企業との差別化のためにやるべきことが見つかります。
また、ベンチマークした企業の成功事例や経営ノウハウなどを、自社の経営戦略の参考にすることもできるでしょう。
IT分野におけるベンチマーク
IT分野では、ハードウェアやソフトウェアの性能や動作速度などを測定する指標のことをベンチマークと言います。 同種類の複数のハードウェアやソフトウェアの性能を比較することを「ベンチマークテスト」と言い、ベンチマークテストで出た結果は「ベンチマークスコア」として点数化されます。
ゲーム業界では、新作ゲームの本リリース前にベンチマークテスト版をリリースする場合もあります。本リリース前に性能や動作速度をチェックできるだけでなく、本リリースに先駆けて宣伝できる効果も期待できます。
投資分野におけるベンチマーク
投資分野で使われる「ベンチマーク」は「市場平均」という意味です。たとえば、日経平均株価や東証株価指数などがベンチマークとなります。
投資結果がベンチマークを上回っていると良好だと判断できるため、そのまま継続して投資するか、投資をやめるのか、といった判断材料になります。
ただし、株価などは市場動向や世界情勢などで大きく変動するため、ベンチマークだけでなくさまざまな要素から多角的に判断しなければなりません。
ベンチマーク対象の企業を決める手順は?
主観的な経営では、収益が上がらない原因を特定できなかったり、現状で満足してしまったりして、企業の成長につながりません。ベンチマークとなる企業を設定することで、客観的な視点で自社を分析できるようになり、改善点を見つけやすくなります。
しかし、ベンチマークとなる企業をどのように決めたらよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここからはベンチマーク企業を決める手順を解説します。
手順1:同じ規模の競合企業を調査する
ベンチマーク対象の企業は、自社と同じくらいの規模の競合企業とします。
具体的には、業界内で、同じ顧客層をターゲットとしている企業のうち、従業員数や収益などの規模が自社と同程度の企業をベンチマークとします。 自社よりも規模が小さすぎる企業だと、自社と比較することが難しくなるからです。
さらに言うと、ベンチマークとする企業は、自社よりも収益面で上回っている企業や急成長している企業をおすすめします。自社と比較した際に、参考になる点が多く見つかるでしょう。
競合企業がない場合は異業種や優良企業を設定する
同じくらいの規模の競合企業がない業界もあるでしょう。そうした場合には、異業種の同等規模の企業をベンチマークとして設定するのも一つの手です。
異業種だとしても、自社の業種と大きくかけ離れていなければ、ターゲットする顧客層が同じだったり、戦略の方向性が似通っていたりするため、戦略や施策が参考になります。
また、競合企業が見つからない場合は同じ業界内のシェアがトップの企業や、収益が大きい企業など優良企業をベンチマークとすることもあります。
収益面や成長率での比較は難しくなりますが、トップになっている理由や成長している理由などを分析すると、自社の参考になる点も多く見つかるでしょう。
手順2:定期的に分析する
ベンチマーク企業を決めたら、定期的に自社との比較・分析を行います。
ベンチマーク分析は緊急性が高くないため後回しにしていると、「知らないうちに、自社のシェアが減ってベンチマーク企業のシェアが増えている」「いつの間にかベンチマーク企業の収益が大きく向上している」といった事態を見逃してしまいます。
また、こういった急激な変化だけでなく、定期的に分析をしていると徐々に変化しているポイントも見つけやすくなります。
「毎月1日にベンチマーク分析をする」などとタスクを決めて、定期的に分析する機会を設けましょう。
ベンチマークを活用するメリットは?
ベンチマーク企業と比較・分析することで、以下のメリットがあります。
メリット1:優れている企業の戦略や施策を学べる
ベンチマークとする企業は、自社よりも優れている企業を設定することが一般的です。 ベンチマーク分析により、なぜ優れた成果をあげているのか分析でき、戦略や施策などを参考にできます。
たとえば、収益は同じくらいでも利益率が自社よりも高い企業を分析すると、高い利益率を確保できている理由を把握できます。 ベンチマーク企業がどのような手法を取り入れているのか、どのような取組みに力を入れているのか、といったことを学べれば、自社の参考になります。
また、ベンチマーク企業の戦略や施策を把握できれば、適切な対策を取ることもできるでしょう。
メリット2:自社のボトルネックが明確になる
他社と比較することで、自社に不足している点や改善点などが客観的に把握できます。
たとえば「自社とA社は売上金額では同規模だが、利益率が大きく異なる」という事実がわかれば、自社では利益率がボトルネックとなっていると判断できます。そこで、利益率が高くなる施策を打ち出すことで、利益率を改善できるのです。
自社の課題を客観的に把握して、適切なネクストアクションを打ち出すためにも、ベンチマーク分析が効果的です。
ベンチマークを活用するときの注意点は?
ベンチマーク企業を設定して自社と比較・分析することは、自社の成長につながります。その一方で、注意すべきポイントもあります。
それが、自社の強みを見失ってしまうことです。
ベンチマーク企業は、あくまでも自社と比較する際の指標です。しかし、ベンチマーク企業を意識しすぎるあまり、ベンチマーク企業を超えることが目標になってしまうケースも珍しくありません。
そうなると、ベンチマーク企業と類似してしまい、自社の強みや特徴を見失って差別化ができなくなります。
市場が成熟している現代では、自社ならではの強みを打ち出さなければ、ユーザーに価値を感じてもらえません。そのため、ベンチマーク企業を真似するのではなく、参考にできるポイントをアレンジして自社の成長につなげることが重要です。
まとめ
ベンチマークとは、経営やITなどさまざまなビジネスシーンで使われる言葉です。
シーンや目的によって意味合いが異なりますが、いずれも「基準」や「指標」という意味を含んでいるため覚えておきましょう。
経営分野では、ベンチマーク企業を設定して比較・分析することで自社の成長にもつなげられるため、ベンチマーク分析を覚えておくと便利です。ただしベンチマーク企業を意識しすぎると失敗しかねないので、あくまでも比較する指標と考えておきましょう。
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