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「うんこミュージアム」が爆発的ヒット!面白法人カヤックの鎌倉での取り組みとまちのコイン

投稿日:2023年9月8日 /

更新日:2023年9月27日

「うんこミュージアム」が爆発的ヒット!面白法人カヤックの鎌倉での取り組みとまちのコイン
● 地方創生● 対談

地方創生サミット2022 地方創生とSDGs、Society5.0との関わりについて Day3
セッション開催日時:2022年7月13日

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登壇者プロフィール

柳澤 大輔(やなさわ だいすけ) 氏
面白法人カヤック CEO

1974年香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。鎌倉に本社を構え、鎌倉からオリジナリティのあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場に発信する。主要事業のほかにもカヤックが運営する飲食店「DONBURI CAFE DINING bowls」の運営や2009年、ビンボーゆすりを科学したプロダクト「YUREX」の開発のプロデュースにたずさわる。

100以上のクリエイティブディレクターをつとめる傍ら、2012年カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル、2010年東京インタラクティブ・アド・アワード、2009~2015年Yahoo!インターネットクリエイティブアワードなどWeb広告賞で審査員をつとめ、著書に「面白法人カヤック会社案内」「鎌倉資本主義」(ともにプレジデント社)、「アイデアは考えるな」(日経BP社)、「リビング・シフト 面白法人カヤックが考える未来」(KADOKAWA)、「面白法人カヤック社長日記 2015年-2020年愛蔵版」などがある。

ユニークな人事制度(サイコロ給、スマイル給)や、ワークスタイル(旅する支社)を発信し、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。

iU 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
金沢大学 非常勤講師
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特別招聘教授
淑徳大学 地域創生学部 客員教授

2015年〜現在 株式会社TOW 社外取締役
2016年〜2022年 クックパッド株式会社 社外取締役
2019年〜現在 INCLUSIVE株式会社 社外取締役
2022年〜現在 株式会社リビングハウス 社外取締役
2023年~現在 株式会社フィル・カンパニー 社外取締役

2021年内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議構成員就任

自己紹介

柳澤
柳澤
面白法人カヤックの創業の柳沢と申します。大学を出て、2年目にカヤックという会社を友人と3人で立ち上げました。創業から今年で24年目になります。

元々はエンジニアで広告のクリエイティブディレクターをやっておりまして、2014年に上場をして、今は経営者という立ち位置で、しっかりとやっております。街づくりそのものは、2011年くらいからしっかり関わり始めたので、10年以上はやっておりますが、そのなかでまた色々な街づくりの事業が立ち上がってきた、というような状況です。

実際にどんなことをやっているかと申しますと、社名に面白法人という名前をつけてしまったため、最初は「面白いものを作ってくれ」という請負型の仕事が中心でした。現在は、請負型は2割くらいです。広告的な仕事であったり、イベントであったり、新規事業の開発であったり、様々なことを手がけております。

うんこミュージアムが爆発的なヒット

柳澤
柳澤
2年前に「何か面白いイベントを作ってくれ」という依頼で、面白いものということで我々が「うんこ」を提案して、アカツキさんと一緒にうんこミュージアムという、テーマパーク型の企画を作りました。
途中、コロナ禍で中断もしましたが、現在も広島で開催されており、大ヒットを続けております。インスタ映えをすることをかなり狙って、カラフルなうんこをメインに作りました。

うんこ自体の市民権が、うんこ漢字ドリルで得ましたけども、その前にうんこ演算というものも我々が出していまして、その頃はあまり認知されていなかったのが、漢字ドリルでブレイクして次に繋がった、という感じです。

「ハイパーカジュアル」ジャンルへの参入

柳澤
柳澤
創業して7〜8年後、次はゲーム事業に参入しました。
現在、色々なゲームを製作しておりまして、全体の4割くらいを占めるチームになっております。特に最近力を入れているのが、「ハイパーカジュアル」という新しいジャンルです。数年前くらいに立ち上げまして、内容は無料のゲームなのですが、遊んでいると広告が出てきて、そこから収益を得るという「究極の暇つぶしゲーム」というようなものです。

これが世界で当たりまして、色々な国で使って頂いて2億ダウンロードされています。昨年、1年間で日本が世界に出したアプリの中で、一番ダウンロードされたということで表彰されました。LINEなどのダウンロード数も抜いているので、だいぶすごいというのがお分かりいただけるかと思います。
最初から、日本特有のものではなく、IPなどを使ったアプリにもせず、全世界に当てるというコンセプトで作っておりますので、日本初でありながらも、非常にマニアックな企業でもあり、世界からも高い評価を受けております。

e-sports事業

柳澤
柳澤
3つ目の領域として、ゲームの延長にはなりますが、最近力を入れているのがe-sportsの事業です。子会社にも、e-sports専門の会社もありますが、本社でもe-sportsに絡むようなサービスをいくつか展開しております。

例えば、オンラインでゲームを教える家庭教師事業の「ゲムトレ」というものであったり、オンラインで簡単にゲームの大会を主催することができる「Tonamel」というものであったり、気軽にユーザーが楽しめるものから、大きなものは海外では武道館をいっぱいにするくらいの規模のe-sportsの大会を主催したりなど、e-sports事業にかなり力を入れています。こういったe-sports事業で、地方創生に関して相談を受けたりすることが増えてきております。

サイコロで給料が決まる報酬制度「サイコロ給」

柳澤
柳澤
今度は組織観点からもお話させていただきます。創業の際に面白法人と名づけたからには、組織の中でも「面白くやっていこう、面白く働こう」という思いを込めました。面白く働くというのが、ある種の会社の文化でもあります。会社の文化というのは、端的に言うと、報酬や評価制度、エピソード、こういう価値観が重要だという指針、研修などの仕組みから、自社の文化が作られると思っております。その中で、報酬制度として「サイコロ給」というものを取り入れました。

つまり、サイコロの出た目で給料が決まる、ということです。報酬の全てがサイコロで決まるわけではないですが、例えばサイコロを振って6が出たら、給与に6%加算をする、という仕組みです。報酬を与えるにあたって、人が人を評価するのは難しい部分があるので、最後はサイコロで決めて面白がっていきましょうねというメッセージを込めました。

結果的に、これが会社の面白がる文化に繋がっていくという思いも込めておりますし、我々の中では、面白く働くための大事な遺伝子となっていると思います。

オフィスを点在させて街の人との繋がりも生まれた

柳澤
柳澤
その文化を創るうえで、どこで働くのかということも非常に大事でそこに意志があると思っております。

本当に経済合理性で考えれば東京が一番最適ですし、産業が集積している場所、例えば眼鏡の事業を行うのであれば鯖江を選んだ方がいいと思いますので、事業の観点からすると東京などになってしまいます。しかし、文化の観点からすると、例えばPatagonia社がなぜ鎌倉に日本本社をおいているのかというと、アウトドア企業としての価値観が鎌倉にあるからです。
我々が24年前に鎌倉に会社を置いたのは、「働き方を自由にしよう」という意味をもって置きました。ITの企業なのだから、別に東京に集中しなくてもよかったのです。

しかし会社が大きくなってきて鎌倉で新しく物件を借りようと思っても、なかなか無かったですし、東京に事務所もありましたので、苦労もしました。でもきっと必ず、テレワークだったり働く場所が自由になる時代が来るだろうと、そういう働き方を引っ張っていく存在でもあるべきだろうという思いで鎌倉を選びました。その中で、発想を切り替えた瞬間というのがいくつかありまして、大きな事務所が借りられないのであれば、街全体をオフィスにしてしまおうと発想を切り替えました。

現在は鎌倉の街の中にオフィスが点在していて、街の通りが会社の廊下のようになっています。その結果、働いていてとても楽しいですし、街にも関わるようになっていきました。歩いている街の人と挨拶をしたり、お店に行くと、「面白法人カヤックの社員さんですね、おまけしておきますよ」と言われたりと、街に入っていきながら、並行して街に絡むようになっていき、働く人の意識もかなり楽しくなっていきました。

鎌倉による鎌倉のための「まちの社員食堂」

柳澤
柳澤
その中で、数年前に、「街づくり事業部」を立ち上げようという話になりました。街全体をオフィスにしよう、と考えるとおのずとアイデアも面白いものが出てきます。例えば「まちの社員食堂」というものを数年前に作ったのですが、これは鎌倉に所在する企業群同士で会員費を出し合って、鎌倉所在のレストランが週代わりで本食堂に出張してきていただけるという「オール鎌倉スキーム」です。

出資企業群の社員さんのみならず、一般の方々も一般料金とはなってしまいますが利用可能であり、みんなを繋いで仲良くなっていくハブのような存在になれればなという思いが込もっています。鎌倉は観光地なため、働く人が食事をとれる安くて美味しい食堂が少なかったので、この「まちの社員食堂」はしっかりと根付いて利用されています。このように街全体をオフィスにしようとすると、結構発想が湧いてきて、他にも色々なものが増えているという形です。

アイデアいっぱいの人は深刻化しない

柳澤
柳澤
元々の根底の中に流れているキーワードとして「アイデア一杯の人は深刻化しない」ということです。これはある詩人の言葉なのですが、うちの社員にも、この言葉がすごく大好きな人が多いです。こういう価値観を大事にしていて、アイデアをしっかり出していけば、面白がって働けるのではないか、と思います。

面白くないときや行き詰っているとき、深刻になっているときは、もうこれ以上、打ち手が無いと視野が狭くなっているときなのです。それが、アイデアをたくさん出すと、元気になっていくのです。これは我々の中では、かなり大事にしている価値観です。

「ブレーンストーミング」を繰り返しアイデアフルに

柳澤
柳澤
それではどうしたらいいか、ということになりますが、ただただアイデアを出せ、といっても、元々アイデアマンという人はいいのですが、そうではない人はなかなか出せないので、スポーツのように、アイデアを出すトレーニングができないか、と色々取り組んだ結果、この「ブレーンストーミング」というものを採用しました。

このブレーンストーミングとは、複数人でアイデアを出し合って相手が出したアイデアに自分のアイデアを掛け合わせることで、今までにないアイデアを創出するという会議手法のひとつです。ですが、ここ10〜15年ほどは、一般的には主流ではありませんでした。

みんなでアイデアを出して、1時間やって1個しかいいアイデアが出ないというような感じになり、効率が悪かったからです。世の中は効率重視になっておりまして、Google社などもブレストを全く推奨しません。ただ、僕らはこれをビジネスの効率性という観点ではなく、チームワークの向上やアイデアマンになるためのある種のトレーニングと捉え直したときに、非常に有効だと気づきました。これをしつこく繰り返すことで、体質が非常にアイデアフルになって「面白がり体質」になってきたという経緯がありました。

「カマコン」街全体でブレーンストーミング

柳澤
柳澤
そして我々が企業で培ったブレストを、街に導入してみようと最初に始めたのが「カマコン」という企画です。この「カマコン」は、街でこんなことしたいという人や既にやりたいと活動している人にアイデアを発表してもらって、そこでみんなにブレストをするというシンプルな企画ですが、本当にスポーツのように集まって、時間をストップウォッチで計って、アイデアをポンポン出して、数をしっかりカウントしていきます。まるで部活のように、真剣にやるのです。

何度も主催しているのですが、複数回参加している方はブレストの感じが掴めてきて、街全体がアイデアフルになって、結果的に街づくりに対して主体的になる人が増えたり、他を巻き込むことができるようになったりします。色々なプロジェクトを、各自で立ち上げたものが、この「カマコン」で発表するとまとまるというように、街にとっていい流れになっていきました。

これは言い換えると、僕らは社内文化を良くするためにブレストを使っていましたが、街でブレストをやることで、住民文化がより良くなると言えると思います。住民同士がフラットになり、足の引っ張り合いが無くなり、陳情ばかりしていた人が減ったり、雰囲気が良くなりました。そして現在、日本全国の色々な地域に広まって、熱い交流が起こっているというのが10年くらい前から行ってきた地域創生の街づくりの一環の経緯となります。

カマコンの開催が移住者の増加に影響も

柳澤
柳澤
色々な繋がりが、鎌倉でも、カマコンを通して「まちの社員食堂」が生まれましたし、地域の人が、協力しやすくなっていきました。下地を作っておくと、何か新しいことをやろうとなったときに、みんなが協力しやすくなります。そんなこともあり、色々な地域に広げてきましてその中で移住の話になるのですが、カマコンを通して面白かったのは、元々鎌倉は移住人気がある街でしたが、カマコンには鎌倉に移住していない人も参加していたのです。

それで参加して楽しくなってしまって、街の活動に別の場所から毎週末通って参加しているうちに「鎌倉に引っ越してくる」という現象が起きていました。カマコン経由で引っ越してきた人は、結構な数いると思います。最初からコミュニティに所属すると、移住に繋がるのだなということも理解できましたし、人と人が繋がると関心を持って人が移ってくるのだなということも分かりました。

移住希望者と地域のマッチング

柳澤
柳澤
そんななかで、「各地域の抱えている大きな課題=人口減少」というのが、わかってきました。それは当然、国としてもなんとかしようということで、地域おこし協力隊だとか、色々な制度を設けているのですけども、まず一旦、移住者や関係人口を増やすという、そういうサービスを作ったらいいのではないかと思い立ちました。

先ほどお話したカマコンのノウハウを活かして、まずは人と人を繋げればその地を好きになって移ってきてくれるだろうということから、地域の行政や地域で活躍している人とどこかに移住したいと思っている人を繋げて、移住のきっかけを作るという「移住マッチングサービス」である「SMOUT(スマウト)」というサービスを立ち上げました。

このサービス自体もうすでに800近くの自治体にご利用頂いており、事実上移住サービスとしてはNo1と言っていいようなサービスに育っており、これからもどんどん利用していただこうと思っております。特に、このコロナ禍以降は移住に対するニーズが高まっておりまして、どこでもいいのでいい場所があれば移住したいという人や、2拠点居住を求める人が増えているという印象があります。

地方移住者が地方に感じる価値とは

柳澤
柳澤
このように、移住のお手伝いをして見えてきたことは、地方に移住したい人がどういう価値を地方に感じているか、ということです。ウェルビーイングという、都会に無い豊かさを価値として見出しているということだと思います。

これは鎌倉でも感じたことですが、色々なところから移住してきた弊社カヤックで働きだしたメンバー達が口を揃えて言うのは「お互い顔が見えて街を歩いていると、人から挨拶されたりすることが毎日の生活の豊かさに繋がっている」ということです。特に鎌倉は町全体にカヤックオフィスが点在しているので人との繋がりが濃いことも影響しています。

もうひとつは「海や山や文化的施設など、自然やその街の価値自体に非常にハマることがある」ということ。逆に海が好きではないと、鎌倉はハマらないかもしれないです。山派の人もいますが、両方が同居できるといい所なのです。鎌倉に移住してきた山派の人が、数年後に八ヶ岳に移住したという例もありますので、やはり自分の好きな環境というのは、人それぞれ違っていて、そこは東京に無いものが当然あって、そこの豊かさが大事かと思います。

最先端は我々の子会社は今は秋葉原にあるのですが、電脳好きなメンバー達はやはり秋葉原がいいと、そちらで働いております。その街ごとの特長があるので、その人との繋がりがしっかりできて関わっていくと豊かさを感じる。これはなかなか、経済価値では計れないのではないかと思います。経済価値で計ろうとして、そこを伸ばそうとすると、どんどん似たような街になっていき、全部が東京化していってしまいます。

地域コミュニティ通貨「まちのコイン」

柳澤
柳澤
そこをしっかり伸ばしたりするようなことが、指標化して価値化できて計れるようなもの、これが本来地域通貨なのではないかと思ったのがきっかけで、地域コミュニティ通貨「まちのコイン」を作りました。地域通貨として最初に思い浮かぶのは、プレミアム振興券という人も多いかと思います。商品券みたいなもので、1万円分購入すると1万1000円分くらいの商品券になって、地元の店舗で使用できるというものです。

それともうひとつ、地域通貨というときに、ソーシャルコインとかエコマネー、ボランティアポイントという名称が多いのですが、街に良いことをして、海のごみを拾ったらコインが貯まって、それは日本円のようには使えないのですが、そのコインで何かに交換できたりとか、あるいはポイントが多いと表彰されたりなどするものです。性質は別ですが、それも総称としては地域通貨に含まれるかなと思います。

でも、どちらも課題を抱えていると思います。地域振興券の方は、1000円分のお得の原資を行政が負担し続けなければならないので、数万人の人口の街でも、数億円くらいの金額になるので、あっという間に無くなってしまいます。そこまで自治体が負担してまで地元の店舗でしか使えないのは、本当に地元の経済を活性化させているのか採算は合っているのかという議論は常に出ておりますし、ユーザー自体が地元のためにという意識がほとんど無く、ただお得だからやっているという状況です。

一方で、ソーシャルコインは、地元の人が地元のためにという意識を持ちやすい設計にはなっています。しかし、日本円の通貨のようには使えないためあまり使用できる場所が無いという理由で、広がりが弱いという難しさがあります。一生懸命頑張っている人がいれば広がるのですが、その人の情熱を知らないと広がらない。お店もだいたい経済合理性で動きますので、それでお客さんが来る、安くなる、売上が上がるとかが無いと使ってくれないので、あまり広がらない要因になっています。

両方とも難しさを抱えているのですが「まちのコイン」がチャレンジしているのは後者になります。一旦、このソーシャルコインでどこまで新しい形で拡げることができるか、というのをチャレンジしております。現在、色々な地域で使って頂いているのですが、どこも実験的な形で参加して頂いて、こうやれば上手くいきそうだというのがだいぶ見えてきた、というフェーズです。
導入をスタートした直後にコロナが来てしまって、元々人がリアルに繋がることを前提にしていたコインでしたので、コロナ禍でかなり苦しんだのですが、最近、人が戻ってきたので色々な事例が出始めたところです。

「まちのコイン」が使われている事例

柳澤
柳澤
大事なところは、そのコインを使って人との繋がりが生まれたり、ちょっといいことして役に立ったりすることです。ちょっとお得な要素もあったり規格外野菜を貰えたりするなど、そんなことがあるというコインです。例えば、海をきれいにして200コイン貰って集めたコインで、花屋さんの廃棄の花を貰えたり、飲食店に入ってしっかりと残さずにご飯を食べきったら100コイン貰える、というものもあります。これはゴミも食品ロスも減らせますし、お店の人も気持ちがいいですよね。

そしてその集まったコインでお寺に行くと、住職さんが300コインで愚痴を聞いてくれますとか。
この体験型のものが結構面白くて、日本円ではなかなかできなさそうなものをこのコインで上手く回してもらうというような流れです。お店がこのシステムを使うとすると、お得な体験やちょっと変わった体験、プレミアムな体験ができることでファンを増やすことに繋がるので、これを街全体で行っていこうというのが「まちのコイン」の狙いです。

そのため、呼び方としてはコミュニティ通貨と名付けています。コインが循環する仕組みは、今日はそんなに細かくはお話はできないのですが、ポイントはこのコインは法定通貨に戻せないので、いくらでも発行できるというところです。いくら発行しても、誰も懐は痛まないという点がポイントです。加盟団体はだいたい市であることが多いのですが、市が参加したいというイベントやお店に毎月コインを配布して、そのコインを元にお客さんにあげたり貰ったりして、楽しんでもらうという感じです。コインを貯めているユーザーが、一定期間使っていないとそのコインは没収となります。

そしてまた配布されていくという、ぐるぐる回る循環をデータで可視化してどこが滞っているかなどを検証します。今は、大体は使う体験が少ないことが困る原因なのですが、そういった部分を増やしていって、人の繋がりを増やすというのを目標としています。鎌倉で「まちのコイン」を始めて1年間経ったところで、一番コインを使用してくれたユーザーを表彰しました。そのユーザーは移住したばかりの方だったのですが、コインを多く使うことで友達ができたり、お店の常連客になれましたという感想を仰っていて、まさに人との繋がりを作るという狙い通りの使い方をしてくれていました。

「まちのコイン」は観光にも利用できる

柳澤
柳澤
ある程度普及した後の話になりますが、鎌倉外から来た人がコインを使うと、すごく楽しくなるというのが後から分かってきたことです。地元の人だけで使っているだけでも十分楽しいのですが、外から来た人がコインを使うと地元の濃い体験ができるのです。

例えば先程も話に出た住職さんに愚痴を聞いてもらったり、地元の人の行きつけのお店で濃い体験ができるなどしていくと常連客のようになっていって、お互いコインを持っている人同士が仲良くなっていくというようになります。

このような点を利用すると、観光のなかでこのコインを使った街の歩き方を、観光のおすすめにしたりもできるかと思います。秋葉原も街全体が観光地みたいなものなので、コインを使うとメイド喫茶のメイドさんに褒めてもらえるような体験ができます。

「まちのコイン」で自分達のまちを自分達でステキにしていく

柳澤
柳澤
「まちのコイン」をやってみて、街ごとに価値観がしっかり具現化されていってるなと実感できました。鎌倉ですとエコな使い方が多く見られますし、秋葉原ですと街全体がゲームのようになっているためゲーセンコインのような使われ方が多いです。

福岡県の八女市という玉露が有名な街があるのですが、そこでは100コインでお茶が飲める。このお茶の部分は行政で負担していただいておりますがその結果、お茶コインみたいになりまして何かいいことをするとお茶が飲めたり、お茶に詳しい方に500コイン出すとお茶の淹れ方を教えてもらえたり、コインでお茶摘み体験ができたりなど、街全体で大事にしているものをこのコインで伸ばすことができています。

この「まちのコイン」は、自分達の街を、自分達で素敵にしていくコインなんだなと。これまでのソーシャルコインって持続可能にするのはなかなかに難しかったのですが、このアプリで比較的運用コストも下げられますし、自分達が自分達を良くしていこうという人には使い勝手がいいですし、イベントなどと相性はいいですので、このように広がっていきそうだなというのは手ごたえとして感じているところです。

「まちのコイン」で自分達の街を自分達で魅力的にしていく

柳澤
柳澤
最後に、この「まちのコイン」を使って人の繋がりといわれる社会資本、自然や文化という環境資本、これらを伸ばしたり計るようなものになればいいのではないか、というように僕らは考えています。全体的にゲームのようにしていくと面白いというのはあるかと思いますが、ここはブレずに「計るためにやっている」ということは忘れないように、行政の皆様と一緒に経験を貯めていって、いいものにしていけたらと思っております。

この1年間でどんどん改善していけているので、一緒にやっていただける自治体様がいらっしゃったら、ぜひ喜んでやらせていただきたいと考えております。ベースとなる考え方は、著書にも書いてありますし、みんなで勉強会をするサロンなども開催しております。地域おこし協力隊の方などは、ぜひ参加していただくと勉強になるのではないかなと思います。

まとめ

今後もSaaSについてのお役立ち情報とかを配信していきますので、チャンネル登録と高評価をよろしくお願いします。ご視聴いただきありがとうございました。
kyozon編集部
kyozon編集部

地方創生サミット2022 地方創生とSDGs、Society5.0との関わりについて Day3 アーカイブ

YouTube:https://youtu.be/OM1Qqnvlvcs?t=4519

 

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