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リモートワークのセキュリティ対策7選|情報漏洩を防ぐ具体的な方法を解説

投稿日:2025年12月26日 /

更新日:2026年1月25日

リモートワークのセキュリティ対策7選|情報漏洩を防ぐ具体的な方法を解説
● リモートワーク

リモートワークの普及に伴い、働き方の自由度が増す一方で、ウイルス感染や情報漏洩といったセキュリティリスクはかつてなく高まっています。「自宅だから安全」という油断が、重大なインシデントにつながるかもしれません。本記事では、個人が今すぐ実践できる7つの具体的なセキュリティ対策から、会社として整備すべきルール作り、さらにはおすすめのセキュリティツールまで網羅的に解説します。安全なリモートワーク環境の構築には、従業員一人ひとりの高い意識と、会社としての仕組み化の両立が不可欠です。この記事を読めば、明日から何をすべきかが明確になります。

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あなたのリモートワークは大丈夫?潜む危険性をチェック

リモートワークの普及は、私たちに柔軟な働き方をもたらしました。しかしその一方で、これまでオフィスという「守られた環境」で守られてきた情報資産が、外部のさまざまな脅威に晒されるリスクも増大しています。ファイアウォールや入退室管理といった物理的・システム的な防御壁がない自宅やカフェでの業務は、サイバー攻撃者にとって格好の標的となり得ます。

「自分は大丈夫だろう」という油断が、個人だけでなく会社全体に深刻な損害を与える情報漏洩インシデントに繋がりかねません。まずは、リモートワーク環境にどのような危険が潜んでいるのかを正しく認識することが、セキュリティ対策の第一歩です。この章では、オフィス環境との違いから見えてくる具体的なリスクと、あなたの現状を客観的に把握するためのチェックリストをご紹介します。

オフィスとは違う!リモートワーク特有のセキュリティリスク

リモートワーク環境は、強固なセキュリティ対策が施されたオフィスとは根本的に異なります。具体的にどのような違いがあり、それがどういったリスクに繋がるのかを比較してみましょう。

項目オフィス環境リモートワーク環境
ネットワーク許可されたデバイスのみが接続できる、監視・暗号化された安全な社内ネットワークセキュリティ強度が不明な自宅のWi-Fiや、不特定多数が利用する公共のWi-Fiを利用。通信傍受や不正侵入のリスクが高い。
デバイス(PC・スマホ)会社が管理する業務用端末。セキュリティソフトの導入や設定が統一されている。個人所有のPC(BYOD)を利用する場合、対策が不十分なことがある。業務用と私用のデータが混在し、情報漏洩のリスクが高まる。
物理的環境施錠管理や監視カメラ、関係者以外の立ち入り制限があり、物理的に守られている。家族や同居人の存在、カフェなど公共の場での第三者による覗き見(ショルダーハッキング)や、PCの盗難・紛失のリスクがある。
サポート体制情報システム部門が常駐し、トラブル発生時に迅速な対面サポートを受けられる。問題発生時の状況伝達が難しく、対応が遅れがちになる。自己判断で誤った対処をしてしまい、被害を拡大させる可能性がある。

このように、リモートワークでは従業員一人ひとりが「会社のセキュリティ担当者」として、オフィスと同等の注意を払う必要があります。しかし、現実にはそのすべてを個人でカバーするのは極めて困難であり、その隙を狙った攻撃が後を絶ちません。

実際に起きている!リモートワークを狙ったサイバー攻撃事例

リモートワークの脆弱性を狙った攻撃は、すでに多くの企業で現実の被害として発生しています。ここでは、代表的な攻撃手口をいくつか紹介します。

VPN機器の脆弱性を突いた不正アクセス

多くの企業がリモートワークのために導入したVPN(Virtual Private Network)ですが、その機器に存在する脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を放置していると、攻撃者の侵入口となります。一度侵入を許すと、社内サーバーに保存されている顧客情報や機密情報が外部に流出するなど、壊滅的な被害に繋がる可能性があります。

巧妙化するフィッシング詐欺による認証情報の窃取

「【緊急】パスワードを更新してください」「情報システム部:セキュリティ設定の確認依頼」といった、業務連絡を装った偽のメールを送りつけ、偽サイトに誘導してIDやパスワードを盗み出す手口です。リモートワーク中はIT部門との直接のやり取りが減るため、従業員が本物の通知と誤認しやすく、被害が拡大しています。

マルウェア「Emotet(エモテット)」の感染

取引先や同僚を装ったメールに添付されたWordファイルやExcelファイルを開くことで感染するマルウェアです。感染したPCからアドレス帳やメール本文などの情報が盗まれ、その情報を悪用してさらに別の取引先へ感染を広げる「なりすましメール」が送信されます。あなたのPCが、意図せず攻撃の踏み台にされてしまうのです。

公共Wi-Fi利用時の通信傍受(中間者攻撃)

カフェや駅などで提供されている暗号化されていない、あるいはセキュリティ強度の低い公共Wi-Fiを利用した際に、攻撃者が通信に割り込み、やり取りされる情報を盗み見る手口です。メールの内容やWebサイトのログイン情報などが筒抜けになり、重要な業務データや認証情報が簡単に盗まれてしまう危険性があります。

あなたの環境は安全?セキュリティリスク診断チェックリスト

ここまで紹介したリスクを踏まえ、ご自身の現在のリモートワーク環境をチェックしてみましょう。「いいえ」が一つでもあった場合、あなたの環境にはセキュリティ上の穴が存在する可能性があります。

チェック項目診断
自宅のWi-Fiルーターのパスワードを初期設定のまま使っていないか?「いいえ」の場合、第三者に推測されやすく、ネットワークに不正侵入される危険があります。
PCのログインパスワードは、推測しにくい複雑なもの(英数記号の組み合わせ)に設定しているか?「いいえ」の場合、単純なパスワードは簡単に破られ、不正ログインの原因となります。
OS(Windows, macOSなど)やソフトウェアのアップデート通知を無視していないか?「いいえ」の場合、発見された脆弱性が修正されず、ウイルス感染や不正アクセスの標的になります。
ウイルス対策ソフトを導入し、常に最新の状態にしているか?「いいえ」の場合、日々生まれる新しいウイルスやマルウェアを検知・駆除できません。
仕事で使うPCで、私的なWebサイトの閲覧やフリーソフトのインストールをしていないか?「いいえ」の場合、安全性が確認できないサイトやソフトからウイルスに感染するリスクがあります。
カフェなどで仕事をする際、背後や隣からPC画面を見られないように注意しているか?「いいえ」の場合、機密情報やパスワード入力画面を覗き見される(ショルダーハッキング)危険があります。
少しでも席を離れる際は、必ずPC画面をロック(例: Windowsキー + L)しているか?「いいえ」の場合、ほんの数秒の隙にPCを不正操作されたり、盗難されたりする可能性があります。

いかがでしたでしょうか。もし一つでも不安な点があれば、それは重大なセキュリティインシデントの予兆かもしれません。次の章からは、これらのリスクに具体的にどう立ち向かっていけば良いのか、今すぐ実践できる7つの対策を詳しく解説していきます。

今すぐ見直したいリモートワークのセキュリティ対策7選

リモートワークのセキュリティは、特別なツールを導入するだけでなく、従業員一人ひとりの日々の心がけが非常に重要です。ここでは、個人が今日から実践できる7つの具体的なセキュリティ対策を詳しく解説します。これらの対策を習慣化することで、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを大幅に低減できます。

VPN接続で通信経路を暗号化する

リモートワークにおいて、自宅やカフェなどの社外ネットワークから会社のサーバーにアクセスする際、通信内容が第三者に盗聴されるリスクが常に存在します。特に、パスワードが設定されていない、あるいは暗号化方式が古い公共のフリーWi-Fiは非常に危険です。

そこで不可欠となるのがVPN(Virtual Private Network)の利用です。VPNは、インターネット上に仮想的な専用線を設け、通信経路全体を暗号化する技術です。これにより、あたかも社内ネットワークに直接接続しているかのような安全な通信環境を構築できます。

会社から指定されたVPNがある場合は、必ずそれを利用して業務を行ってください。もし個人で契約する必要がある場合は、信頼できる提供元を選び、ログなしポリシー(利用者の通信記録を保持しない方針)を明記しているサービスを選択することが重要です。VPNを利用することで、通信の盗聴、データの改ざん、なりすましといった脅威から重要な業務データを保護します。

強固なパスワードと多要素認証で不正アクセスを防ぐ

IDとパスワードの組み合わせは、多くのシステムにおける第一の関門です。このパスワードが単純であったり、他のサービスと使い回されていたりすると、パスワードリスト攻撃などによって容易に突破され、不正アクセスの原因となります。

まずは、パスワードの強度を見直しましょう。以下の要素を組み合わせ、推測されにくい複雑なパスワードを作成することが基本です。

  • 文字数:最低でも12文字以上、できれば16文字以上を推奨
  • 文字種:英大文字、英小文字、数字、記号をすべて含める
  • その他:名前や誕生日、辞書に載っている単語など、推測されやすい文字列を避ける

さらに、セキュリティレベルを飛躍的に向上させるために、多要素認証(MFA: Multi-Factor Authentication)の設定を強く推奨します。多要素認証とは、パスワード(知識情報)に加えて、スマートフォンアプリ(所持情報)や指紋認証(生体情報)など、2つ以上の異なる要素を組み合わせて本人確認を行う仕組みです。万が一パスワードが漏洩しても、攻撃者は次の認証要素を突破できないため、不正アクセスを水際で防ぐことができます。

表:多要素認証の主な種類
認証要素具体例特徴
知識情報パスワード、PINコード、秘密の質問本人が記憶している情報。漏洩のリスクがある。
所持情報スマートフォンへのSMS通知、認証アプリ(Google Authenticatorなど)、セキュリティキー本人が所有している物理的なデバイスを利用する情報。デバイスの紛失・盗難リスクがある。
生体情報指紋認証、顔認証、静脈認証本人の身体的特徴を利用する情報。利便性が高いが、認証システムの精度に依存する。

OSとソフトウェアを常に最新の状態に保つ

お使いのパソコンのOS(WindowsやmacOS)や、日常的に利用するソフトウェア(Webブラウザ、Officeソフト、PDF閲覧ソフトなど)には、時として「脆弱性(ぜいじゃくせい)」と呼ばれるセキュリティ上の欠陥が見つかります。攻撃者はこの脆弱性を悪用して、マルウェアに感染させたり、システムを乗っ取ったりします。

ソフトウェアの提供元は、脆弱性が発見されると、それを修正するための更新プログラム(パッチやアップデート)を配布します。OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つことは、この脆弱性を塞ぎ、サイバー攻撃の標的になるリスクを低減するための最も基本的な対策です。

多くのソフトウェアには自動更新機能が備わっています。設定を確認し、有効にしておくことで、更新漏れを防ぐことができます。業務に支障が出ない範囲で、更新通知が来たら速やかに適用する習慣をつけましょう。

ウイルス対策ソフトを導入し定義ファイルを更新する

ウイルス対策ソフト(アンチウイルスソフト)は、コンピュータウイルスやスパイウェア、ランサムウェアといった悪意のあるソフトウェア(マルウェア)の侵入を検知し、駆除するための必須ツールです。リモートワークでは、社内ネットワークの保護が及ばない環境でPCを使用するため、個々のデバイスでの対策がより一層重要になります。

ウイルス対策ソフトを導入するだけでなく、「定義ファイル(パターンファイル)」を常に最新の状態に保つことが極めて重要です。定義ファイルとは、新種のマルウェアの特徴を記録したデータであり、これを更新し続けることで、日々生まれる新たな脅威にも対応できるようになります。

多くのウイルス対策ソフトは自動で定義ファイルを更新しますが、定期的に手動で更新を確認し、スキャンを実行する習慣をつけると、より安全性が高まります。会社から指定されたソフトがある場合は必ずインストールし、私物のPCで業務を行う場合でも、信頼性の高い有料版の導入を検討しましょう。

業務データと私用領域を明確に分離する

特に私物のPCを業務に利用する「BYOD(Bring Your Own Device)」環境では、業務データとプライベートなデータが混在しがちです。この状態は、意図しない情報漏洩や、私的な活動(Webサイト閲覧やフリーソフトのインストールなど)をきっかけとしたマルウェア感染のリスクを高めます。

理想は、業務用のPCと私用のPCを物理的に完全に分けることです。それが難しい場合は、PC内に業務専用のユーザーアカウントを作成し、私用アカウントと使い分けるだけでもリスクを大幅に軽減できます。これにより、ファイルの保存場所やアプリケーションの利用環境が分離され、公私混同によるトラブルを防ぎます。

また、Google DriveやDropboxといったクラウドストレージを利用する際も、業務用アカウントと個人用アカウントを明確に区別し、誤って業務データを個人アカウントに保存しないよう細心の注意を払いましょう。こうした管理体制は、シャドーIT(会社が許可していないITツールの利用)の防止にも繋がります。

公共の場でのWi-Fi利用や覗き見に注意する

カフェやコワーキングスペース、移動中の新幹線などで業務を行う際は、デジタルな脅威だけでなく、物理的なセキュリティリスクにも注意が必要です。

公共Wi-Fiの危険性

暗号化されていない、あるいは脆弱な暗号化方式(WEPなど)が使われているフリーWi-Fiは、通信内容を盗聴される危険性が非常に高いです。また、正規のアクセスポイントになりすました「悪魔の双子」と呼ばれる偽のWi-Fiスポットに接続してしまうと、IDやパスワードなどの重要情報を盗まれる可能性があります。公共の場でインターネットに接続する際は、スマートフォンのテザリング機能やモバイルルーターを利用するか、必ずVPNを介して接続するようにしてください。

覗き見(ショルダーハック)対策

背後や隣からPCの画面を盗み見る「ショルダーハック」にも警戒が必要です。機密情報や顧客情報が表示された画面を他人に見られることは、重大な情報漏洩に直結します。以下の対策を徹底しましょう。

  • プライバシーフィルターの利用:PCの画面に貼ることで、正面以外からの視認を困難にするフィルムです。リモートワークの必須アイテムと言えます。
  • 座席の工夫:できるだけ壁を背にするなど、他人の視線が入りにくい席を選びましょう。
  • 周囲への配慮:機密性の高い情報を扱う際は、周囲に人がいないことを確認してから画面に表示するように心がけましょう。

離席時は必ずPCをロックする習慣をつける

「少しだけだから大丈夫」と、PCの画面を開いたまま席を離れる行為は非常に危険です。自宅であっても、家族や同居人が誤って操作してしまったり、Web会議中にペットがキーボードに乗ってしまったりする可能性もゼロではありません。公共の場であれば、第三者による不正操作や盗難のリスクに直接さらされることになります。

トイレや飲み物を取りに行く際など、たとえ短時間であっても、PCから離れる際は必ず画面をロックする習慣を徹底しましょう。以下のショートカットキーを覚えておくと便利です。

  • Windowsの場合: `Windowsキー` + `L`
  • macOSの場合: `Control` + `Command` + `Q`

また、OSの設定で、一定時間操作がない場合に自動でスクリーンセーバーを起動し、復帰時にパスワードを要求するように設定しておくことも有効な対策です。これは、物理的な不正アクセスを防ぐための、最も簡単で効果的な防御策の一つです。

会社として講じるべきリモートワークのセキュリティ基盤

従業員一人ひとりのセキュリティ意識も重要ですが、個人の努力だけに頼る対策には限界があります。リモートワークを安全に運用するためには、会社として統一されたルールを定め、技術的な統制を取り入れたセキュリティ基盤を構築することが不可欠です。従業員が安心して働ける環境を整備することは、企業の重要な責務であり、万が一のインシデント発生時に被害を最小限に食い止めるための礎となります。

セキュリティガイドラインの作成と共有

リモートワークにおけるセキュリティ対策の第一歩は、明確なルールを定めたガイドラインを作成し、全従業員に共有・徹底することです。何をすべきか、何をしてはいけないかを具体的に示すことで、従業員の行動基準が統一され、セキュリティレベルのばらつきを防ぎます。ガイドラインは一度作成して終わりではなく、新たな脅威や働き方の変化に合わせて定期的に見直すことが重要です。

ガイドラインに盛り込むべき主要項目

企業の状況に合わせてカスタマイズが必要ですが、最低限以下の項目は網羅するようにしましょう。特にインシデント発生時の報告ルールは、被害拡大を防ぐために極めて重要です。

項目具体的なルール例
端末の利用・会社貸与PC以外の端末での業務禁止
・私物端末(BYOD)を利用する場合の利用範囲とセキュリティ条件の明記
・PCやスマートフォンの紛失・盗難時に即時報告する手順
ネットワーク接続・業務を行う際は必ず会社の指定するVPNに接続すること
・カフェやホテルなどの公共Wi-Fiの利用は原則禁止
・自宅Wi-Fiルーターのパスワードを初期設定から変更し、暗号化方式をWPA3(最低でもWPA2)に設定すること
データの取り扱い・機密情報の定義と分類(例:極秘、秘、社外秘)
・許可されたクラウドストレージ以外への業務データ保存の禁止
・USBメモリなどの外部記憶媒体の利用制限または禁止
ソフトウェア・アプリ・会社が許可していないソフトウェアやアプリケーションのインストール禁止(シャドーIT対策)
・業務で利用するツール(チャット、Web会議など)に私用アカウントでログインしないこと
インシデント発生時マルウェア感染や不審なメール受信、情報漏洩が疑われる場合の即時報告義務
・報告先(情報システム部門、セキュリティ担当者など)と報告手段(電話、チャットなど)の明確化
・報告すべき内容(いつ、どこで、何が起きたか)のテンプレート化

従業員のセキュリティリテラシー向上研修

どれだけ優れたルールやツールを導入しても、それを使う従業員のセキュリティリテラシーが低ければ、その効果は半減してしまいます。「うっかり」によるヒューマンエラーは、情報漏洩の主要な原因の一つです。従業員一人ひとりがセキュリティリスクを「自分ごと」として捉え、適切に行動できるよう、継続的な教育・研修が不可欠です。

研修で取り上げるべきテーマ例

最新のサイバー攻撃の手口は日々巧妙化しています。研修では、以下のような実践的なテーマを取り上げ、従業員の防御スキルを高めましょう。

  • 標的型攻撃メール・フィッシング詐欺:実在の取引先やサービスを装ったメールの巧妙な手口を紹介し、見分けるポイント(送信元アドレスの不審点、日本語の違和感など)を具体的に解説します。
  • パスワード管理の重要性:強固なパスワードの作成方法、パスワードの使い回しがもたらす危険性、パスワード管理ツールの利用推奨などを伝えます。
  • ソーシャルエンジニアリング対策:電話やSNSなどで巧みに情報を聞き出そうとする手口を紹介し、安易に機密情報を伝えないよう注意喚起します。
  • 物理的セキュリティの再確認:カフェや新幹線など公共の場でのPC画面の覗き見(ショルダーハック)のリスクや、離席時のPC画面ロックの徹底を改めて指導します。

効果的な研修の実施方法

研修を効果的に行うためには、一方的な講義だけでなく、参加型の手法を取り入れることが推奨されます。eラーニングシステムを活用して各自のペースで学んでもらう方法や、定期的なオンライン研修に加え、抜き打ちで「標的型攻撃メール訓練」を実施することは、従業員の危機意識を現実的に高める上で非常に有効です。訓練結果を分析し、組織全体の弱点を把握して次の対策に活かすPDCAサイクルを回しましょう。

IT資産管理とログ監視体制の構築

「誰が、どの端末を、どのように使っているか」を会社が正確に把握することは、リモートワーク環境におけるセキュリティ統制の基本です。性善説に頼るだけでなく、技術的な仕組みで端末や通信を管理・監視することで、インシデントの予防と、発生時の迅速な原因究明が可能になります。

IT資産管理(MDM/MAMの活用)

会社が貸与するPCやスマートフォン、インストールされているソフトウェアなどを一元的に管理する体制を構築します。これには、MDM(Mobile Device Management)やMAM(Mobile Application Management)といったツールの導入が効果的です。これらのツールを活用することで、以下のような統制が可能になります。

  • OSやソフトウェアのアップデートを強制的に適用し、脆弱性を放置させない
  • 会社が許可していない危険なアプリケーションのインストールをブロックする
  • 端末の紛失・盗難時に、遠隔で端末をロックしたり、データを消去(リモートワイプ)したりする

ログ監視体制(SIEM/SOCの活用)

不正アクセスやマルウェア感染の兆候を早期に検知するためには、各端末の操作ログやネットワーク機器の通信ログ、サーバーへのアクセスログなどを収集・分析する体制が不可欠です。しかし、これらのログは膨大な量になるため、人手ですべてを監視するのは現実的ではありません。
そこで、SIEM(Security Information and Event Management)と呼ばれる、複数の機器からログを収集・相関分析し、異常を自動で検知・通知するツールの導入が推奨されます。さらに、セキュリティの専門家が24時間365日体制でログを監視・分析し、インシデント対応を支援するSOC(Security Operation Center)サービスを利用することも、より強固なセキュリティ体制を築くための有効な選択肢です。

リモートワーク環境をより安全にするおすすめツール

これまでにご紹介した基本的なセキュリティ対策に加えて、より専門的なツールを導入することで、リモートワーク環境の安全性は飛躍的に向上します。巧妙化・多様化するサイバー攻撃は、ウイルス対策ソフトや個人の注意だけでは防ぎきれないケースが増えているためです。ここでは、企業として導入を検討したい代表的なセキュリティツールを2つご紹介します。

UTM(統合脅威管理)

UTMとは?複数のセキュリティ機能を1台に集約

UTM(Unified Threat Management)とは、その名の通り「統合脅威管理」を行うためのセキュリティ機器(アプライアンス)です。従来は個別の機器で提供されていたファイアウォール、VPN、アンチウイルス、不正侵入検知・防御(IDS/IPS)、Webフィルタリングといった、複数のセキュリティ機能を1台に集約しているのが最大の特徴です。これにより、社内ネットワークの出入り口で多層的な防御を実現します。

複数の機能を一元的に管理できるため、情報システム担当者の運用負荷を大幅に軽減できるほか、個別に機器を導入するよりもコストを抑えられるメリットがあります。

リモートワークにおけるUTMのメリット

リモートワーク環境においてUTMは、社内ネットワークの「関所」として極めて重要な役割を果たします。従業員が自宅や外出先から社内サーバーへアクセスする際の通信は、UTMが提供するVPN機能を経由させることで全て暗号化され、盗聴や改ざんのリスクから保護されます。また、Webフィルタリング機能を使えば、従業員がマルウェア配布サイトやフィッシング詐欺サイトといった危険なWebサイトへアクセスするのを未然に防ぎ、ウイルス感染や情報漏洩のリスクを低減させることができます。

UTMの主な機能

UTMには、主に以下のような機能が搭載されています。

機能名概要
ファイアウォール事前に設定したルールに基づき、不正な通信をブロックするネットワークの基本的な防御壁です。
VPNインターネット上に仮想的な専用線を構築し、通信経路を暗号化します。リモートアクセスを安全に行うために必須の機能です。
アンチウイルスネットワークを通過する通信を監視し、ファイルに含まれるウイルスやマルウェアを検知・駆除します。
不正侵入検知・防御(IDS/IPS)ネットワークへの不正なアクセスや攻撃の兆候を検知し、管理者に通知(IDS)したり、自動的に通信を遮断(IPS)したりします。
Webフィルタリング業務に不要なサイトや、セキュリティ上問題のある危険なサイトへのアクセスを制限・ブロックします。

導入時の注意点

UTMを導入する際は、自社の従業員数や通信量といったネットワーク規模に適した処理能力を持つ製品を選ぶことが重要です。性能が不足していると、通信速度の低下を招く可能性があります。また、多機能であるがゆえに設定が複雑になる場合があるため、導入後のサポート体制が充実しているベンダーを選ぶと安心です。

EDR(エンドポイントでの検出と対応)

EDRとは?侵入後の脅威を検知・対応する最後の砦

EDR(Endpoint Detection and Response)は、PCやスマートフォン、サーバーといった「エンドポイント」のセキュリティを強化するためのソリューションです。従来のウイルス対策ソフトが「脅威の侵入を防ぐ」ことを目的としているのに対し、EDRは万が一マルウェアの侵入を許してしまった後の「脅威の検知と迅速な対応」に重点を置いています。

エンドポイント内のあらゆる操作(ファイルの作成、通信、プロセスの実行など)を常時監視し、そのログデータを分析することで、通常の挙動から逸脱した不審な動きを検知します。これにより、従来の対策では見つけにくい未知のマルウェアや、ファイルを使わない高度な攻撃(ファイルレス攻撃)にも対応できるのが強みです。

なぜEDRが必要?アンチウイルスソフト(EPP)との違い

EDRの役割を理解するために、従来のウイルス対策ソフト(EPP: Endpoint Protection Platform)との違いを整理してみましょう。EPPが「入口対策」であるのに対し、EDRは「侵入後対策」という位置づけになります。両者は対立するものではなく、組み合わせることでエンドポイントのセキュリティをより強固にする補完関係にあります。

比較項目アンチウイルス(EPP)EDR
目的マルウェアの侵入を未然に防ぐ(入口対策)侵入したマルウェアを検知し、迅速に対応する(侵入後対策)
検知対象パターンファイルに合致する既知のマルウェアが中心未知のマルウェア、ファイルレス攻撃、内部不正など不審な挙動全般
主な機能ウイルスのスキャン、検知、隔離、駆除操作ログの監視、不審な挙動の検知、原因調査、端末隔離などの対応支援

リモートワークにおけるEDRの重要性

従業員のPCが社内ネットワークの外で利用されるリモートワークでは、管理者の目が届きにくく、インシデント発生時の状況把握や対応が遅れがちです。EDRを導入していれば、各PCで何が起きているかをリアルタイムで可視化できます。万が一、マルウェア感染が疑われる不審な挙動を検知した場合、管理画面から遠隔でそのPCをネットワークから隔離し、被害の拡大を防ぐといった初動対応を迅速に行うことが可能です。これにより、情報漏洩などの最悪の事態を回避できる可能性が高まります。

導入時のポイント

EDRは脅威を検知してアラートを発しますが、そのアラートが本当に危険なものか、どのような対応が必要かを判断するのは人間です。そのため、EDRを効果的に運用するには、アラートを24時間365日体制で監視・分析する専門知識を持った人材や体制(SOC: Security Operation Center)が必要となります。自社での運用が難しい場合は、監視や分析、対応までを専門家に委託できるMDR(Managed Detection and Response)サービスの利用も有力な選択肢となるでしょう。

まとめ

本記事では、リモートワークにおけるセキュリティ対策を、個人と会社それぞれの視点から具体的に解説しました。VPN接続や多要素認証といった個人で実践できる対策と、会社側が整備すべきセキュリティ基盤は、どちらが欠けても情報漏洩のリスクは高まります。

これらは特別な対策ではなく、安全に働くための基本です。紹介した対策を参考に、個人と組織の両輪でセキュリティ意識を高め、情報資産を守りながら安心して業務に集中できるリモートワーク環境を構築しましょう。

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