そもそもセクショナリズムとは?
まずは「セクショナリズム」の、本来の英単語が持つ意味を紐解いていきましょう。
日本語化している「セクショナリズム」=英語の “sectionalism” の意味
「セクショナリズム」とは、英語の “sectionalism” のカタカナ表記です。ウィズダム英和辞典によれば、 “sectionalism” の意味は「(政界や組織などにおける)派閥主義・セクト主義・地方(偏重)主義」となっています。
組織においてセクションが自分たちの利害にこだわっ部門間で協力せず、組織全体の利益や効率性を考えずに行動する状態がセクショナリズムです。官僚主義にありがちな「縄張り争い」「派閥主義」などがこれにあたります。
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セクショナリズムの例
具体的には、以下のようなセクショナリズムの例があります。
- 「営業部門がセクショナリズムによって、無茶な納期で受注した。だから納期遅れは製造部門の責任ではない」
- 「営業力があっても商品開発力がないから売れない。売上の低迷は商品開発部の責任だ」
上記のように自分たちのセクションを守るため、ほかのセクションに責任を転嫁するのがセクショナリズムのイメージです。
セクショナリズムは専門性を高めた帰結
また、ある意味においてセクショナリズムは、ある特定のセクションの人材が専門性を高めた帰結ともいえます。専門性を高めること自体は、もちろん悪いことではありません。
しかし、それが過度になると、自分たちの職務にフォーカスするあまり、ほかのセクションの業務に関心を持たなくなりがちです。そして専門外の業務と距離を置こうとする傾向が、セクショナリズムにつながってしまうのです。
セクショナリズムの対義語とは?
派閥主義や縄張り意識を意味するセクショナリズムの対義語は、「コーポレーショニズム(cooperationism)」です。コーポレーショニズムとは、組織全体の生産性向上のために各部門やセクションが互いに協力し合える連携関係にある状態を意味します。
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セクショナリズムの2つの類型とその特徴
セクショナリズムは大きく以下の2つにわかれます。
- 排他型
- 無関心型
それぞれの特徴を見ていきましょう。
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排他型の特徴
排他型は、ほかのセクションで何かトラブルがあり、それが自分たちのセクションに影響が出そうなケースでは、迷惑だというような判断から嫌悪感を滲ませてしまいます。
排他型は、特定の人やグループ、セクションなどと関わりを断つことを模索、または実行してしまうでしょう。排他型は実際に誰かのメンタルを傷つけたり、モチベーションを低下させたりするなど、周りにも悪影響が大きく出てしまいます。
時には一方的に攻撃を仕掛けることもあり、相互排他の関係に陥ってしまう可能性もあるでしょう。彼らは根本的な解決をしないかぎり、延々と不毛な戦いを繰り返します。
無関心型
無関心型は、自分たちのセクションさえ良ければ良いというように、自部門の中で起きる出来事だけに関心があり、ほかのセクションのことにまったく興味がありません。そのため、他セクションの傾向や変化も気にしないのが特徴です。
「我関せず」という立場で、本来なら社内で連携が求められる場合でも、協力をしないケースがあります。ほかのセクションから要請があっても、手を貸しません。
無関心型はほかのセクションに対して、直接的には悪影響を及ぼさないのが無関心型です。しかし、日常的なコミュニケーションをとらないため、なにか不測の事態が発生した場合に対応が遅れてしまい、最善の判断を下せないおそれがあります。
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セクショナリズムの問題点
過度なセクショナリズムは、組織に弊害をもたらします。セクショナリズムがもたらす問題点として、以下の3つが挙げられます。
- 独善的になる
- 隠蔽体質や同調圧力を招く
- セクション間の対立が生まれる
それぞれを見ていきましょう。
独善的になる
セクションの利益を最優先して考えるため、企業組織全体を俯瞰できなくなって、セクションのためには良くても組織全体に不利益が生じる行動に陥る場合があります。
自分たちのセクション中心の狭い視野で物事を判断するので、ほかのセクションとの情報共有や連携もできません。そのため、設備投資が重複してしまうなどの、織全体で考えれば合理性に欠ける独善的な動きが多くなります。
また、新しい考え方やノウハウ、チャレンジなどを避けようとする傾向が強まり、斬新な企画や新規事業などが生まれにくくなるでしょう。
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隠蔽体質や同調圧力を招く
たとえば動物が群れをなすことで、自分たちの身を脅威から保護するように、セクショナリズムが進むと自分たちのセクションを守ろうとする傾向が強まります。それが時としてセクション内の不正や、重大な過失を隠蔽する体質に陥りかねません。
また、組織の方向性に従順に従わないものに対して攻撃的となり、文句を言わせず従わせるという同調圧力が生じることもあります。そうなるとセクション内の上位者の顔色を伺いつつ仕事を進めることになるので、大胆な発想や思い切った行動がし難くなります。
現状の課題に対する改善案なども出し難い雰囲気となり、組織の成長を妨げる要因となります。
セクション間の対立が生まれる
企業組織の中で自分たちのセクションを第一とするために、ほかのセクションに対して批判したり、責任を押し付けたりなどの状態が生じかねません。
やがてほかのセクションに敵意を持つことになり、対立が生まれることになります。その結果、顧客や取引先の信用を失うような過失が発生したり、業務の進捗が滞ったりなどがおこるおそれがあるでしょう。
その結果として組織全体の生産性を悪化させ、不利益な状態を招きかねません。
現代企業にとって業務改善やコスト削減とともに、大きな経営課題となっているのが「ブランディング」です。そしてブランディングにおいて、ひとつの基準となるのが「他社が模倣できない独自の強み」を表現した「USP」です。
このUSPについて、以下の特集記事『マーケティングにおけるUSPとは?独自の強みを活かした提案の作り方』で取り上げ、総合的に解説しています。ぜひ参考にしてください。
また、別の角度(顧客視点・顧客心理の理解)から、ブランディング政策を進めるために貴重な示唆を与えてくれるのは、「顧客エンゲージメント」です。
顧客エンゲージメントの概念について、以下の特集記事『マーケティング施策で高めるべき顧客エンゲージメントとは?事例付きで徹底解説』で詳しく解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。
セクショナリズムが起こる原因
セクショナリズムは必ずしも、大企業だけに起こる問題ではありません。数十人の従業員で構成される中小企業でも、セクションが複数にわかれるようになると、セクショナリズムが発生することがあります。
セクショナリズムが起こる主な原因として、以下の3つが挙げられます。
- 偏狭な考え方
- 縄張り意識
- 仲間意識
個別に見ていきましょう。
偏狭な考え方
セクション間の人事異動がなく、皆が同じような業務を長い間続けている場合、物事を自分たちが携わる仕事の狭い範疇でしか考えられなくなると、セクショナリズムを生む土壌となります。
自分たちさえよければ良いという偏狭な考え方がベースにあると、企業組織全体の利益を考えることができなくなります。
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育児・介護休暇に関係する要支援・要介護については、以下の特集記事『【人事担当者向け】要支援要介護状態とは?早わかり表付きで日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
縄張り意識
自分たちのセクションの「縄張り」=テリトリーを守りたいという感情自体は、自然なものです。しかしそれが過度になると、社内のセクション間での顧客の取り合いや、情報および仕事の属人化問題にもつながっていきます。
縄張り意識は各セクションの目標数字を掲げ、目標達成を競わせる施策を実施する組織で生じやすいです。目標達成に向かう中で、自分のセクションさえ良ければ、ほかのセクションの邪魔をしても良いというネガティブな考えに陥ってしまうからです。
仲間意識
利害関係が一致する仲間と群れをなし、それを守るのは動物の本能とも言えます。日頃顔を合わせて働く同じセクションのメンバーを大切にすること自体は、何も悪いことではありません。
しかし、それが行き過ぎるとセクション外からの干渉を疎い、仲間内で完結させてしまう傾向が出てくると弊害が生じてくるのです。
セクショナリズムの対策は?
では、セクショナリズムを回避・解決するには、どうすればよいのでしょうか。セクショナリズムの対策としては、以下の3つが挙げられます。
- メンバーの意識改革
- 組織・制度面の改革
- 経営ビジョンの浸透
それぞれを見ていきましょう。
メンバーの意識改革
狭まった視野を広げるため、そしてほかのセクションへの敵対心をなくすため、意識的にセクション間の横のつながりを作るようにします。それにより、メンバーの意識改革を促すのです。
例えば、部門横断のチームを作る、指導者をほかのセクションの人にする、誰でも気軽に集えるリラックスできるスペースを作る、社内SNSで皆の顔が見えるようにする、などのアプローチがあげられます。
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「みなし残業代」については以下の特集記事『みなし残業代(固定残業代)とは?考え方や違法・適法の基準などを日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
組織・制度面の改革
組織構造を見直して改革することも、セクショナリズムの回避に役立ちます。組織を組み替えることによって人材がシャッフルされ、それぞれの担当業務も変わっていくため、縄張り意識が無意味になるのです。
ジョブローテーション制度を積極的に実施するのも同じ意味で、縄張り意識の駆逐に有効です。ただしそのためには、誰が各業務を受け持っても円滑にこなせるよう、マニュアルを用意したり、属人化している部分を見直したりなどの取り組みが必要です。
なおセクションごとの目標達成率を競わせるだけの評価方法は、セクショナリズムを後押しします。どれだけ組織本体の利益に貢献したか、あるいはほかのセクションとの連携を行ったかなどの評価基準を設けることも必要です。
経営ビジョンの浸透
組織のメンバーが増えていくと、すべての人が相互理解のもとに行動することは難しくなるでしょう。そうした場合に経営ビジョンを共有することで、組織のメンバーの心がバラバラになることを避けられます。
経営ビジョンが言語化され、組織に深く浸透することで、何かを判断するときに立ち返るべき原点となります。常にメンバーが、全体の利益と企業の方向性を考えることができるようになるでしょう。
企業における働き方の価値観が多様化する現代において、企業は従業員のワークワイフバランスやウェルビーイングの実現を考慮する必要があります。以下の特集記事『「ワークライフバランス」の使い方はもう間違わない!例文付き解説で完全マスター』で取り上げて詳しく解説しています。
また、同じく従業員にとって大切な「ウェルビーイングの実現」については、以下の特集記事『ウェルビーイングとは?社会・福祉・健康・経営等の視点からみた重要性』で詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご一読ください。
まとめ
セクショナリズムに関して、それがどのような問題を組織にもたらし、それをどうしたら回避できるのか、もしくは起こってしまった際に解決できるのかに関してのヒントを交えて解説しました。
現状の組織体制や人材配置にどのような課題があるのか、それはどのような要因から来ているのかを見つめることが欠かせません。
企業の経営者や経営幹部、決裁者のみなさんにはここでご紹介した情報を、セクショナリズムに対応する際の参考にしていただければ幸いです。
なお、当メディア「kyozon」のメインテーマのひとつが「マーケティング」です。当サイトにて、マーケティングに役立つ、さまざまなサービスの資料が無料でダウンロードできます。マーケティング担当者や責任職のみなさんは、ぜひご利用ください。
また、ビジネススキルの中でも高度な部類に入るのが「マーケティングスキル」です。
マーケティングスキルはビジネスにおける自分の最強のリソース(資源)であることを、以下の特集記事『マーケティングスキルは身につけて損がないビジネス上の最強の自己資源』で総合的に詳しく解説しています。ぜひそちらも、参考にご覧ください。
ちなみに、そもそもマーケティングとは一体どういうものなのかについて知りたいみなさんのためには、以下の特集記事『マーケティングとはなにか?その意味や定義を日本一わかりやすく解説』において、掘り下げつつわかりやすく解説しています。
基礎的情報として、ぜひ参考にご一読ください。
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※2023年以降のマーケティング戦略構築に参考になる、マーケティングトレンドについて、以下の特集記事『マーケティングトレンドを徹底解剖!2022年までの考察と2023年の展望』で総合的かつ詳細に解説しています。ぜひとも、参考にご一読ください。
※マーケティングを実践するにあたって、消費者の購買行動を可視化するマーケティングモデルというものがあります。マーケティングモデルとは何かについて、以下の記事『マーケティングモデルとは?認知から購買の消費者行動を分析した仮説』でわかりやすく解説しています。そちらも、参考にご一読ください。
※マーケティング活動は幅広い領域にまたがるため、全体を統括するスキル「マーケティング・マネジメント」が求められます。
「マーケティングマネジメント」について、そのプロセスと業界別成功例を以下の特集記事『マーケティングマネジメントとは?プロセスと業界別成功例を徹底解説』で詳細に解説しています。そちら、ぜひ参考にご覧ください。