そもそもシェアードサービスとは?簡単に解説
まずはシェアードサービスとは何かを簡単に解説した上で、その起源や発展的な目的についても触れておきます。
なお、現代企業にとって今後欠かせない要素はDX(デジタルトランスフォーメーション)です。DXを成功させるためには、その前段階の「デジタライゼーション」が重要となります。
「デジタライゼーション」については、以下の特集記事『デジタライゼーションとは?DX等との関係性も含め日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
シェアードサービスとは簡単にいえば経営手法のひとつ
シェアードサービスとは、同一企業グループ内の複数の企業で行われている、共通する間接業務を集約して、それらを専門に担当する組織を新たに作り、業務効率化とコスト削減を図る経営手法です。
シェアードサービスの主な対象としては、経理・人事・財務・総務・法務・情報システム・物流・購買などが挙げられます。
たとえば給与計算や勤怠管理、研修や教育などの業務を集約して標準化することで、それらにかかる諸経費や人件費を大幅に削減できるでしょう。またサービスを提供する組織と受ける組織に分けることで、業務の品質向上を図れます。
なかには「〇〇〇〇シェアードサービス株式会社」のように別法人を設立して、グループ内の特定の業務の代行を一手に引き受けるケースもあります。
あるいは、各地の支社や支店などの各地の拠点の間接業務を、本社のシェアードサービス部門が一括で代行するケースもあります。また、グループ会社ではなく、外部の専門企業にアウトソーシングするケースも見られます。
近年盛んとなっているM&Aによって子会社が急激に増えた企業や、分社化した企業などが、シェアードサービスを積極的に導入しています。
なお、現代ビジネスにおいてメディアリテラシーを発揮できるマーケティング手法は、有益な情報の発信で見込み客を獲得して育ててゆくコンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングに関する詳細に関しては、以下の特集記事『コンテンツマーケティングとは?情報の資産効果で顧客拡大を図ろう!』で詳しく取り上げて解説していますので、ぜひそちらも参考にご覧ください。
シェアードサービスの起源
シェアードサービスの起源はアメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)社が経営強化のために、間接業務の集約に積極的に取り組んだのが最初だといわれています。
その後アメリカの企業の間でERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)が導入されたことも手伝って、シェアードサービスの導入は拡大しました。
ちなみに、GMのシェアードサービス部門はやがて独立して、市場のニーズに対応するBPO(Business Process Outsoursing)企業となり発展し、日本法人もできています。
なお、今日のようなコンテンツビジネスがデジタルシフトした時代のマーケティング戦術について、戦略との違いも含め以下の記事『デジタル時代のマーケティング戦術とは?戦略との違いもわかりやすく解説』で取り上げています。ぜひ、参考にしてください。
日本におけるシェアードサービスの沿革
日本においては、1997年の法改正で純粋持株会社が解禁されてから法整備が進み、グループ経営が推進されるようになりました。その流れから、多くの企業がシェアードサービスの考え方を、積極的に導入しています。
バブル崩壊後の不況やITの発展を背景に、企業は生き残りを賭けて業務の集約化や標準化を図りました。業務効率改善とコスト削減の目的でシェアードサービスの導入例が増えた経緯があります。
なお、シェアードサービスのように企業が前向きに経営を進めるにあたって、欠かせないのはマーケティング戦略です。
マーケティング戦略の構築やマーケティング施策の実践に役立つおすすめ本を厳選し、以下の記事『マーケティング戦略の実践に役立つ本おすすめ20選!初心者向け教科書から名著まで網羅』にてご紹介しています。参考にご覧ください。
シェアードサービスを導入する会社の発展的目的とは?
シェアードサービスの基本的な目的は、業務効率化とコスト削減であることは明白ですが、実はもうひとつ発展的な目的があります。特定の業務を代行する専門部隊となるため、市場=外部企業にサービスを供給できるビジネスチャンスが生まれます。
現実にさまざまな分野で、当初は企業グループ内のシェアードサービス会社だったところが、外部に向けてBPO(Business Process Outsoursing)企業としてビジネス展開するのは、珍しいことではありません。
ただし一方で、これまでの慣習を捨て去らなければならないこともあり、統率力のある人材をリーダーに配して、企業全体で力強く改革を進める覚悟が必要となります。
なお、当サイトの読者のみなさんが携わっていると思われる、サブスク型ビジネス、とりわけSaaSビジネスにとっての最重要課題は「カスタマーサクセス」です。
そんな「カスタマーサクセス」について、以下の特集記事『カスタマーサクセスとは?サブスク型SaaSビジネスの生命線を完全解説!』で特集しています。ぜひご一読ください。
また、SaaSを含むBtoB企業における、マーケティング組織の類型と作り方や、営業部門との関係性に関して以下の特集記事『現代のマーケティング組織の類型と作り方とは?営業部門との関係性も解説』で解説しています。ぜひ、そちらも参考にご覧ください。
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シェアードサービスの対象となる業務内容
シェアードサービスの対象となる業務領域を、少し整理してみましょう。対象の領域は、大きく分けて以下の2系統になります。
- ルーティン的なオペレーション業務:専門性が低い
- 高難易度で人材の確保・育成が難しい業務:専門性が高い
具体的な業務を挙げておきます。
【ルーティン的なオペレーション業務:専門性が低い】
- 給与計算
- 社会保険
- 債務管理
- 一般会計
- 福利厚生
【高難易度で人材の確保・育成が難しい業務:専門性が高い】
- 資金調達
- 管理会計
- 人事制度構築・運営
- 内部監査
企業間で共通しやすいルーティン的なオペレーション業務のほうが、シェアードサービスの対象となりやすい傾向があります。もちろん、高難易度で人材の確保・育成が難しい業務をシェアードサービスの対象としている例もないわけではありません。
なお、現代企業にとって業務改善やコスト削減とともに、大きな経営課題となっているのが「ブランディング」です。この包括的戦略は、残念なことに抽象的、あるいは表層的な理解で行われがちな側面があります。
それをデータや事例などを参照しつつ体系的、現実的に推進するリテラシーが、企業ブランドの認知拡大に必要です。そしてブランディングにおいて、ひとつの基準となるのが「他社が模倣できない独自の強み」を表現した「USP」です。
このUSPについて、以下の特集記事『マーケティングにおけるUSPとは?独自の強みを活かした提案の作り方』で取り上げ、総合的に解説しています。ぜひ参考にしてください。
また、別の角度(顧客視点・顧客心理の理解)から、ブランディング政策を進めるために貴重な示唆を与えてくれるのは、「顧客エンゲージメント」です。
顧客エンゲージメントの概念について、以下の特集記事『マーケティング施策で高めるべき顧客エンゲージメントとは?事例付きで徹底解説』で詳しく解説しています。ぜひ、参考にご覧ください。
大手企業によるシェアードサービス導入の成功事例一覧
最後に、これまでにシェアードサービスを導入した大手企業による、成功事例をご紹介します。
また、現代経営の核心であるマーケティング戦略に取り組むためにも、過去の先達の優れた成功事例がお手本となります。
そんな過去の代表的な成功事例については、以下の特集記事『マーケティング戦略・過去の成功事例15選!視点や実践手法を解説』で取り上げて詳しく解説しています。ぜひ、参考にご一読ください。
NECの成功事例
ビジネスユニットを9つ、連結会社を46社持つNECグループは、間接部門である総務・人事・経理・調達などのシェアードサービスを実現しています。
これらの業務はグループ各社に共通しているものの、制度や慣習が各社で異なっており、オペレーションや人員配置に改善の余地がありました。
そこで、出張の改革に先行して着手しました。出張申請から旅券手配まで従来なら2〜3日かかっていたところを、出張者が自分で手配できるように仕組みを変えたのです。
その結果、申請から手配完了までわずか20分程度に短縮でき、事務処理の工数においても約3割削減できました。
〜【おすすめ記事】「疑問ワードを日本一わかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
「ジョブローテーション」については、以下の特集記事『ジョブローテーションとは?その概要とメリット&デメリットを日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
USEN-NEXTの成功事例
USEN-NEXT HOLDINGSは、従来グループ企業ごとに運用していたカスタマーセンターやテレマーケティングなどの顧客対応業務を一括化するために「USEN Shared Service Center(USSC)」を設置しました。
USSCが機能してコストの削減はおろか、課題になっていた情報やノウハウの共有の実現につながりました。
なお、スマホやPCなどのように、日常の文化に溶け込んだマーケティングの身近な成功事例などを、以下の記事『マーケティングの身近な例を大特集!日常の文化に溶け込んだ成功事例』で詳しく特集していますので、ぜひ参考にご一読ください。
大和ハウス工業の成功事例
大和ハウス工業では、82箇所の事業所が個別に行っていた経理・財務業務を本社が集約しました。
その結果、事業所においては必要な経理データを用意するだけで、取引先に支払通知書等が確実に送付されるようにしたのです。従来の担当者の作業負担が減ったことで、業務上のミスは激減したようです。
〜【おすすめ記事】「疑問ワードを日本一わかりやすく解説」シリーズのご紹介 〜
「シェアードサービス」については、以下の特集記事『シェアードサービスとは?企業の成功事例を交え日本一わかりやすく解説!』で取り上げて詳しく解説しています。そちらの記事もぜひ、参考にご一読ください。
P&Gの成功事例
グローバルな消費財メーカーとしてトップクラスのP&Gも、シェアードサービスを導入しています。経理・財務部門を中心に組織変革を大胆に実施しました。
80ヶ国以上の組織単位で行われてきたバックオフィス業務を集約して、ボーダーレスなシェアードサービス組織を作ったのです。その取り組みによって、コスト削減を10億ドル以上削減し、売上原価を3割以上も下げることに成功しました。
なお、IT化が進んで複雑化するマーケティングも、根幹は現状認識と戦略的思考です。
マーケティングの分析や戦略立案に欠かせないフレームワークについては、以下の記事『マーケティング戦略に有効なフレームワーク9選!分析・立案フェーズ別に使い方も解説』で詳しく特集していますので、参考にしてください。
LIXILの成功事例
LIXILグループは、INAXやトステムなどが統合して生まれたので、統合当時は子会社が105社もありました。そして、それぞれに間接部門があったのです。
そこで、グループとしての一体感を強調することをテーマに掲げ、会計システムの統合に踏み切りました。子会社の販売・人事などの基幹システムは完全に切り離し、会計システムのみを統合する手段を取ったのです。
その結果、グループ各社の基幹システムに悪影響を与えることなく、会計部門の人材ローテーションが実現できるようになりました。
企業はIT化に遅れないようITリテラシーを維持・向上するのがひとつの課題です。ビジネスの中核であるマーケティングも、今やデジタルマーケティングなしには立ち行かなくなってきています。
そんなデジタルマーケティングについては、以下の特集記事『デジタルマーケティングとは?現代ビジネスに欠かせない方法論を徹底解説』で総合的に解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
また、デジタルマーケティングで活用する、ビジネスに関する膨大な情報の収集と分析・解析に欠かせないのがマーケティングオートメーション(MA)です。
マーケティングオートメーション(MA)については、以下の特集記事『マーケティングオートメーションとは?ツールの選び方と運用の注意点』で包括的に詳しく解説しています。ぜひ、そちらも参考にご一読ください。
まとめ
シェアードサービスについての概要と、大手企業の具体的な成功事例をご紹介しました。シェアードサービスはあくまでも、業務効率化とコスト削減を主目的とした改革です。
つまり「集約」がゴールではなく、集約を実現して経営課題がどのように解決されたのかが、極めて重要であるかがおわかりいただけたでしょう。その精度次第では、市場のニーズを取りに行くビジネス展開もありえます。
企業の経営者、経営陣、決裁者のみなさんにはここでご紹介した情報を、シェアードサービス導入を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
なお、当メディア「kyozon」のメインテーマのひとつが「マーケティング」です。当サイトにて、マーケティングに役立つ、さまざまなサービスの資料が無料でダウンロードできます。マーケティング担当者や責任職のみなさんは、ぜひご利用ください。
また、ビジネススキルの中でも高度な部類に入るのが「マーケティングスキル」です。
マーケティングスキルはビジネスにおける自分の最強のリソース(資源)であることを、以下の特集記事『マーケティングスキルは身につけて損がないビジネス上の最強の自己資源』で総合的に詳しく解説しています。ぜひそちらも、参考にご覧ください。
ちなみに、そもそもマーケティングとは一体どういうものなのかについて知りたいみなさんのためには、以下の特集記事『マーケティングとはなにか?その意味や定義を日本一わかりやすく解説』において、掘り下げつつわかりやすく解説しています。
基礎的情報として、ぜひ参考にご一読ください。
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※2023年以降のマーケティング戦略構築に参考になる、マーケティングトレンドについて、以下の特集記事『マーケティングトレンドを徹底解剖!2022年までの考察と2023年の展望』で総合的かつ詳細に解説しています。ぜひとも、参考にご一読ください。
※マーケティングを実践するにあたって、消費者の購買行動を可視化するマーケティングモデルというものがあります。マーケティングモデルとは何かについて、以下の記事『マーケティングモデルとは?認知から購買の消費者行動を分析した仮説』でわかりやすく解説しています。そちらも、参考にご一読ください。
※マーケティング活動は幅広い領域にまたがるため、全体を統括するスキル「マーケティング・マネジメント」が求められます。
「マーケティングマネジメント」について、そのプロセスと業界別成功例を以下の特集記事『マーケティングマネジメントとは?プロセスと業界別成功例を徹底解説』で詳細に解説しています。そちら、ぜひ参考にご覧ください。