データマイニングとは?今注目される背景
ほとんどの企業で業務が電子化され、「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な量のデータを扱うことが増えています。しかし、せっかくのデータも従来の手法では扱いきれなくなっているのが現状。
そこで、ビッグデータの中から有益な情報を発掘して、さまざまな業務に役立てようというのが「データマイニング」です。ちなみに「マイニング(mining)」は、発掘するという意味があります。
氾濫する情報の中、人が手作業でデータを整理・分析し、その中から業務や売上などに役立つものをピックアップするのが難しくなっています。
データマイニングの手法を活かせば、蓄積したビッグデータを業務効率化や売上アップ、経営戦略にまで役立てられるようになります。
データマイニングの狙いとは?
データマイニングを行うには、目的を明確にしておくとその活用方法も理解しやすくなります。データマイニングをするねらいを説明します。
高度なマーケティング
データマイニングでは、膨大なデータを分析することで、一定の法則やパターン、関係性、傾向などを分析し、今後の予測に活用します。
データマイニングのねらいは「新しい知識を発見する」ことであり、AIによるデータマイニングで人が発見できない新たな知識を発見でき、得られた知識は、高度なマーケティングなどに役立てられます。
例えば、スーパーにおいてまったく関連性のない(と思われる)商品を一緒に購入する人が多いことを発見し、その商品を並べて陳列すると売上が伸びる、ということが実現できるようになります。
設備のメンテナンス効率化
データマイニングは業務の効率化や、リスクの回避などにも活用できます。
例えば、食品工場の製造設備のメンテナンスにおいて、故障が起きやすい箇所やタイミングなどをデータマイニングで分析できれば、定期メンテナンスの頻度を決定するのに役立ちます。無駄なメンテナンスを防ぎ、コスト削減や故障によるリスク回避も可能です。
さらには、設備の状態を監視・把握してデータを分析すると、不具合の前兆も予知することができます。
これまで技術者や職人の経験や勘に頼っていた分野を、データマイニングによって備えることができるようになります。
データマイニング代表的な2つの方法
さまざまなデータマイニングの手法がありますが、ここでは主な2つを紹介します。目的に対して適切な方法を選んでください。
統計分析
統計学や確率論を用いたデータ分析の方法で、事前に仮説を立ててから行うのが特徴です。
仮説に対し必要なデータを集め、検証したい課題や事象により、適切な分析手法を選択してから分析し検証します。これを繰り返すことで精度の高い統計分析ができます。
データマイニングを仮説の検証に活用することが目的ですが、統計学など専門知識が必要となります。データマイニングツールを使えば、ある程度の専門知識を補い、自動的に結果が導き出されますが、仮説を立てることや分析手法の選択は自分で行わなければなりません。
機械学習
AIを活用したデータマイニングの手法です。ここでは事前に仮説を立てる必要がなく、データの中から機械(コンピュータ)が自分で相関関係などを学習します。そのため、人が気づかなかった新しい分類や関係性、方向性などを発見してくれます。
さらにはある事象の原因を特定したり、顧客ごとにマーケティングシナリオを選んだりといった、複雑な条件下での課題の分析や最適化なども行うことができます。
主なデータマイニングの分析方法
多くのデータマイニングの手法がありますが、主な3つの分析方法について解説します。
クラスタリング
データを似た行動をするものによってクラスター(グループ)に分類し、クラスターごとに適切なアプローチを考案する方法です。マーケティングにおける顧客セグメントを作成するのによく活用されています。
AIの機械学習のひとつで、答えのない状況からデータの類似性を学習してグルーピングします。
ロジスティック回帰分析
自然災害など、事象の発生確率を分析するために使われる手法です。「Yes」か「No」といった、答えが2つしかないものを予測するのに役立ちます。
例えば、マーケティングにおいてDMを送付したときの反応予測や、キャンペーンをしたときの購入確率などを予測します。
マーケット・バスケット分析
アソシエーション分析とも呼ばれる分析で、製品やサービスの関連性を発見する手法です。有名な例えとして「おむつとビール」の相関性があります。おむつとビールが一緒に購入されることが多いことを発見し、この2商品を並べて陳列したら売上が上がったという例です。
人間では発見できなかった関係性を発見し、マーケティングに役立てます。
データマイニングのやり方
データマイニングは大きく3つのステップに分けて行うことができます。それぞれの段階で何を行うか見ていきましょう。
データ収集
データマイニングを行うためには、まず分析するデータが必要です。データの蓄積が多いほど分析の精度も上がります。
ただし、効率的なデータマイニングには目的に応じた適切なデータが必要なので、闇雲にデータを収集しても意味がありません。データマイニングの目的にマッチしたデータ収集をしましょう。
データクレンジング
収集したデータはばらつきがあるとそのまま分析できないため、データを加工して整理します。このことをデータクレンジングといい、外れ値や欠損値などのノイズを除去する作業になります。
また解析しやすいよう、データ形式を統一し、重複がないように正規化加工も大切です。
データ分析
整理されたデータをグループ化してグループごとに分析・調査します。データの法則性を発見するだけでなく、データ同士の相関関係の探索や抽出も行います。
これらの分析によってデータ同士の関係性や事象の発生頻度など、さまざまな知見を得ることができ、将来の施策に活かすことができます。
データマイニングツールを活用するメリット
データマイニングには、大量の元データ、統計分析の専門的な知識、データマイニングをするシステムが必要です。ツールを使わずデータマイニングを行うのは、手間も時間も人材も必要なので、データマイニングツールを活用することをおすすめします。
ビッグデータを効率的に分析できる
極端な話ですが、Excelでもデータマイニングを行うことはできます。ただし膨大なデータを扱う上に、専門的な知識が求められるため業務で行うには現実的ではありません。
データマイニングツールであれば、ビッグデータを収集して一元管理できます。多角的なデータを収集する必要がありますが、ツールの利用にとってデータ収集の手間を大幅に削減し、効率的に分析できます。
試行錯誤が得意
データマイニングは繰り返し分析を行うことが大切で、たった1度の分析で有益な結果を得られるものではありません。
データマイニングツールなら、AIが多角的にデータを検証し、繰り返し試行錯誤と分析を行ってくれます。
手間とコストを削減できる
データマイニングには膨大なデータを集め、データ加工を行い、何度も試行錯誤しながらデータ分析をする必要があります。当然ながら手間と時間、専門知識を有する人材が必要です。
データマイニングツールを導入すれば、それらの手間と時間を減らすことができ、最終的にはコスト削減も実現します。
専門知識がなくてもできる
データマイニングツールを導入すれば、統計分析の専門知識がなくても分析ができるようになります。現場スタッフで行えるメリットだけでなく、それまで経験則や勘で行っていた施策も、きちんとした分析に基づく施策を行えるようになります。
また実践するものの予測が可能となるため意思決定のスピードも上がり、業務改善にもつながります。
まとめ
データマイニングはビジネスの現場で大いに役立つ分析です。しかし多種多様な手法があり、専門知識も必要なため時間も手間もかかってしまいます。より精度の高い分析結果を、よりスピーディに出すには、データマイニングツールの活用がおすすめ。
せっかく蓄積したビッグデータをうまく活用し、今後の業務に活かすためにもデータマイニングを行ってみましょう。